非常に心地よく響くManu KatchéのECM第3作
"Third Round" Manu Katché(ECM)
本作も記事をアップするのにどれだけ時間が掛かっとんねんていうぐらい時間が掛ってしまったが,毎日毎日同じようなことを書いているような気がして皆さんには申し訳ない限りである。私としてもさっさと聞いて,さっさと記事をアップするのが理想なのだが,なかなかうまくいかないものである。せいぜいこの時期にキャッチアップすることにしよう。
Manu Katchéと言えば,もともとはPeter GabrielやらStingとの活動を通じてその名を知られた人であるから,本質的にはロックの人だと思っていたわけだが,そのKatchéがECMからリーダー作をリリースした時には驚いたものである。そうこうしているうちに,彼のECMでのリーダー作もこれで3作目となった。よほど,ECMの総帥,Manfred Eicherに気に入られているということだろうが,この作品を聞いていても「ロック・ドラマー」としてのManu Katchéとしての個性は微塵も感じられない。あくまでもトータル・ミュージシャンとしてのManu Katchéの本質がこういう音楽になるということではないかと思わせるような響きである。
とにかく,この音楽は聞いていて心地よい。メンツとしてはJeff Beckとも共演するJason Rebelloがいたり,The Whoでもベースを弾くPino Palladinoがいても,ここで展開されるのは静謐な音楽である。この静謐さをどう捉えるかによって,このアルバムに対する評価や好みが分かれるのは当然だが,この心地よさは非常に魅力的に響く。こうした音楽が,現在レギュラーとして活動するJan Garbarekの影響かどうかはわからないが,Garbarekの音楽よりもはるかに聞きやすいし,ECM的なフレイバーも希薄である。ある程度ECMらしさを感じさせるとすれば,Tore Brunborgのサックスぐらいか。"Stay with You"のKami Lyleのヴォーカルを聞いて,これがECM作だと認識できる人はそうはいるまい。だって,矢野顕子あるいはKate Bushのような声なのである。これには驚く。
いずれにしても,本作で提示されたManu Katchéの新たなる方向性を私は歓迎したいと思う。こんなサトルなドラミングを聞かされれば,やはりうまいと唸らざるをえないのだ。ゲストで出てくるJacob Youngもいい味を出している。まぁ,ちょっとスムーズ過ぎて刺激に乏しいとも言えるが,これはいいわ。夜の帳が降りた後に,最適なナイト・ミュージックである。星★★★★。
Recorded in December 2009
Personnel: Manu Katché(ds),Tore Brunborg(ts, ss),Jason Rebello(p, key),Pino Palladino(b), Jacob Young(g),Kami Lyle(vo, tp)
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ECM的というよりは、もっとスムースジャズに近いものも感じましたが、聴き心地が良いので、私もけっこう気に入りました。その中でもピノ・バラディーノのベースとか、ECMの枠(そういうものがあるとすればですが)からはみ出そうとするフレーズもあったりして印象深かったです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2010年8月 9日 (月) 15時50分
910さん,TBありがとうございます。スムーズ・ジャズとまでは心情的に言いたくないですが,でもそういう感じですよねぇ。
これをEicherがプロデュースしたって凄く意外な感じがしますよね。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年8月 9日 (月) 22時11分