Steve KhanのEyewitnessバンドのアルバムの廃盤を嘆く
"Helping Hand" Steve Khan(Polydor)
今にして思えば,今は亡きトリオ・レコードはECMレーベルのアルバムをガンガン発売したり,日本人ミュージシャンの佳作アルバムを制作したりと,なかなか骨のあるレコード会社であった。そうした事例の中に,Steve KhanのEyewitnessのアルバム群をリリースしたことも含まれてよいと思う。残念ながら,私は当時のアルバムを購入していたにもかかわらず,審美眼が足らず,手放してしまったのは痛恨事である。それらのアルバムはその後,ポリドールからCDで再発されたが,現在では長きに渡って廃盤化しており,市中ではかなりの高値で取引されている。そんな中,私はなぜかこのベスト・アルバムだけを保有していたのだが,そのことも先日CDの整理をするまですっかり忘れていたのだからひどい話である。
私の記憶によれば,私は本作は中古で仕入れたはずだが,購入した当時はそんな無茶苦茶な値段ではなく,2000円台の半ばぐらいだったと思う。このアルバムはトリオ・レーベルに吹き込んだEyewitnessのアルバムとソロ・アルバム"Evidence"からの選曲に,なぜか東京ガスのために吹き込んだ曲を加えたコンピレーションである。これがなかなかに味わいを感じさせる出来で,コンピレーションとしての寄せ集め感がないのはプロダクションとしてもかなり立派である。
Eyewitnessというバンドは現在の耳で聞いても,結構ハイブラウで,コンテンポラリーな響きに満ちていて,実は大したバンドだったのだということを今更ながら思い知らされてしまう私である。例えば,"The Suitcase"なんて改めて聞けば,Discipline期のKing Crimsonのようでもあり,プログレッシブ・ロック的な感覚を感じさせる部分もあって,これが面白い。そのほかの曲(特にEyewitness関連)でも,このアルバムに収められているような音楽であれば,現在においても十分Steve Khanは評価されると思うのである。私は彼の未発表"The Suitcase"がリリースされた時に高く評価した(記事はこちら)のだが,彼のEyewitnessを中心とする80年代~90年代の活動はもっと評価されて然るべきであり,こうしたすぐれたアルバム群は一刻も早く復刻して欲しいと願わざるをえない。そうした気持ちも含めて星★★★★☆。
この頃に比べると,今のSteve Khanの活動ってちょっと地味だよなぁ...。もったいない。
Personnel:Steve Khan(g), Anthony Jackson(b), Steve Jordan(ds), Manolo Badrena(perc, vo), Bill Evans(ss), Clifford Carter(key), Neil Jason(b), Christopher Parker(ds), Cafe(perc)
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コメント
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お勤めご苦労さまでございます。
今思えばトリオレーベルは素晴らしかったですよねえ。やはり某SJ誌に取り入らなかったのが敗因なんだろうかといまさらながら思います。リッチーバイラークで唯一好きな「エレジーフォービルエバンス(でしたっけ?)」もトリオレーベルだったような。
さて、アイウィットネスもいいバンドでした。このバンドのライブを見損ねたのは一生後悔するかも。やはり肝はスティーブジョーダンのドラムなんでしょうね。私もこのベストアルバムしかもっていないのですが、ライブテイク(Blades)のスティーブジョーダンのドラムは恐ろしい切れ味ですな。デニチェンあるいはウェックルもいいんですが、あのスティーブジョーダンに比べるとなにやら鈍重なイメージすらしてしまうというのが恐ろしいものです。
幻のライブ盤入手できた暁には私にもナニしてください(笑)。
あ、そういえば新潟方面からの業務連絡あり。来週お渡しします(謎)。
投稿: こやぎ@でかいほう | 2010年7月 3日 (土) 01時32分
こやぎさん,こんにちは。疲れましたです。仕事は大したことはないのに,いろいろねぇ...。
"Elegy for Bill Evans"は私も持ってますねぇ。全然聞いてないけど(爆)。今にしてみれば確かにトリオは頑張っていたけど,商売っ気がなさ過ぎだったかもしれませんな。
業務連絡って,今回は何だろう?気になります。よろしくどうぞ。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年7月 3日 (土) 13時03分
こんにちは。
このアルバム、今ではストリーミングにもなく、CDがLPよりも3曲追加しているおかげで肝心のCDも入手がかなり難しくなっているようですね。やはり権利関係か何かでしょうか。今回、まとめてスティーヴ・カーンの追っかけができて良かったです。やっぱりアイウィットネスの時期ですかねえ。その後もいいのですが、有名曲の演奏に比重が移ったり、ジャズのアルバムを作ったりしはじめたので...。
当方のブログアドレスは下記の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2021/09/post-99e2de.html
投稿: 910 | 2021年9月 9日 (木) 13時45分
910さん,こんばんは。リンクありがとうございます。
>このアルバム、今ではストリーミングにもなく、CDがLPよりも3曲追加しているおかげで肝心のCDも入手がかなり難しくなっているようですね。やはり権利関係か何かでしょうか。
はい。これは今となってはなかなかって感じだと思います。10年以上前に中古でゲットした段階から結構な値がついていましたからねぇ。ただ,昨今,CDは値崩れが激しいので,今はどうなのかなって思いますが。
今にして思えば,日本制作のアルバムもいい線言っていたなぁなんて思ってしまいますが,Steve KhanのEyewitness関連のアルバムを作ったことは本当に素晴らしい成果だったと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年9月 9日 (木) 21時57分