何とも穏やかなKeith JarrettとCharlie Hadenデュオ
"Jasmine" Kieth Jarrett / Charlie Haden (ECM)
この二人が共演するのは31年振りだそうである。また,Keithにとってもスタジオ録音は12年振りとのこと。アメリカン・クァルテットの崩壊とともに,二人の縁は切れたと思われたが,思わぬところで共演アルバムが発売になった。ECMから届いたニュースレターの主題は"If you buy only one album this year..."となっていたが,まさにそれぐらいの期待をかけてもよいと思われる作品と言えるだろう。
そして出てくるのが,非常に穏やかなバラードの数々である。一言で言うならば「穏やかさ」あるいは「落ち着き」に満ちた音楽である。ここにはベテラン・ミュージシャンが楽しげに美しい曲を奏でる姿が素のままに捉えられているという感じである。少なくともLiberation Music Orchestraにおけるような闘士としてのHadenの姿はないし,KeithはKeithで病気からの復帰作,"Melody at Night, with You"のような感じなのである。これはおそらくホーム・レコーディングという要素も多分にあるかとは思うが,雰囲気は"Melody..."にかなり近いように感じる。
この作品には陶然とするような美学あるいは耽美性というよりも,とにかく音楽を丁寧に,かつ端正に弾くという姿勢が強く感じられ,かつメロディ・ラインの扱い方が極めて美しいという感じであろうか。演奏される数々のスタンダードの中でJoe Sample作"One Day, I'll Fly Away"が極めて異色には響くが,この選曲も原曲の持つ美しいメロディを買ってのものだろうと思う。Keithとは全然個性は違うものの,Joe Sampleも美しいタッチのピアニストということで,相通ずる部分を感じたのかもしれないというのは考え過ぎかもしれないが,やはりこの選曲は異色ながら,結構よかった。
この名人二人の奏でる音楽であるから,極めてレベルは高い。だが,その一方で,こんなに穏やかでいいのかという疑問がないわけでもない。老成するにはまだ早いという話もある。しかし,ここではこの名人同士の対話を楽しむことを優先すればいいのではないかと思うのも事実である。少なくとも,何度かリピートして聞いたのだが,全然飽きるということがなかったのは,やはりこの作品が優れていることを実証しているものと思う。今年のベスト作とはならないかもしれないが,確実に記憶に残る作品だと思う。いずれにしても,私にとっては近年のKeithのトリオ作やソロ作よりもはるかにプレイバックの回数は多いものになるだろうと予感させる一作である。星★★★★☆。
Recorded in March, 2007
Personnel: Keith Jarrett(p), Charlie Haden(b)
追伸:ブログのお知り合い,ki-maさんからTBを頂いているが,うまくいかないようなので,URLを添付させて頂きます。ki-maさんの記事はこちら。
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こちらはまだ手にとっていなかったのですが、どんな風に音がでてくるか、こんなんだろうという思いがあたり前のように出来ました。
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Keith Jarrett (p)[[attached(1,left)]]
Charlie Haden (b)
Rec:2007/3/24,25
Rel:2010 ECM
今の僕にはとても染みいる作品。
録音は2007年でいい味がでるように寝がしていたようです。ECMレーベルなんですがピィーンと張り詰めたクリスタルな音じゃなくて、Keith宅録のせいかやけにレンジが狭い丸い音です。
演奏はどれも暖かみのあるもので、違うところにいってしまうKeithはここにはいません。
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2010 ECM
Keith Jarrett (p)
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[[attached(0,class=popup_img_300_300 width=300 height=300)]]
とても穏やかです。
心に染み入ってくるような演奏。
キースとヘイデンとの対話のようにも聞こえるしキースの語りかけを静かに聴いて
サポートしているようにも。
キースのきらびやかで鋭いフレーズが散りばめられたかってのいろんな名アルバム。
それを思うと、ここにきて明らかにある境地..... [続きを読む]
» Keith Jarrett / Charlie Haden Jasmine [JAZZとAUDIOが出会うと。。。]
抱き合わせの関係で、リリースから遅れに遅れて到着しました。
この辺のメジャー盤は入荷が遅れても途中で途切れて、入荷が滞ることはありませんので、安心して待っていられます。
内容的にもおおざっぱには想像できそうなので、すぐ聴きたい今聴きたいなんとしても聴きたいと言うような事態にもならないですし。。
ということで、Charlie Hadenの14枚目?のDUO盤となります。今回のお相手はKeith Jarrettです。
Keith Jarrett(P)、Charlie Haden(B)
..... [続きを読む]
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良かったですよね。さすが、大御所(もう彼らもそう言われる歳ですか)のデュオ、リラックスしながらも彼らだけでしか表現できない世界が広がっています。バラード中心で聴かせるし、少し4ビートの曲も混ざっているし、バラードだけでもいいのですが、少し幅が広がる感じで。
今日、もう一度聴こうかと思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2010年5月11日 (火) 18時26分
これ、、やはり、賛否両論なんでしょうか?
>老成するにはまだ早いという話もある。
まぁ、、ある程度、年齢を重ねないとこの味わいは出てこないかもしれませんが、、
やはり、、彼らみたいな人達って、自分の気持ちを表現することに秀でてます。心の襞というか、、
この時、2人にはこういう穏やかな感情が溢れていたんだと思います。ちょっと、普通の人なら恥ずかしくなってしまうような可愛らしい表現も出せちゃうのが、すごいんだなぁ。
逆の時も有りますけどねぇ。。
って、なんだか、これから抜けられなくて。。
って、John Mayerなのですか。。
羨ましい。。
投稿: すずっく | 2010年5月11日 (火) 18時33分
今晩は!このアルバムあちらこちらで注目アルバムになっていますね?しかもすでに聞いておられると言うのは流石ですね!いずれ聞いてみたいです
ところで本日初めて行ったレコード店にジョニの逃避行があったので買ってきましたよ
投稿: takeot | 2010年5月11日 (火) 21時23分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。何度も聞きたくなるアルバムだと思います。私も何回も聞いちゃいました。これって珍しいことだと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月12日 (水) 00時31分
すずっくさん,こんばんは。「心の襞」っていいこと言いますねぇ。さすがすずっく師匠。
暫くはこればかり聞いていても全然問題ないですね。私は100%支持はしませんが,やっぱりはまってます。
John Mayerは別途ご報告します。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月12日 (水) 00時33分
takeotさん,こんばんは。このアルバムはすぐれものですから,買っても損はしませんと保証します。
しかし,「逃避行」と言われると,そっちがいいって言っちゃうかもしれません。本当にあれは最高ですから。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月12日 (水) 00時35分
音楽狂さん、こんにちは,monakaです。
このアルバム、私にとってはヘイデンとジャレットという2人のデュオ、最重要アルバムになっているのです。
ところが内容は予想がついて、それはそれで素晴らしい、という事になります。でもこのアルバムはとても重いものになると思います。
投稿: monaka | 2010年5月12日 (水) 22時29分
monakaさん,こんばんは。TBありがとうございます。Keithのコアなファンでいらっしゃるmonakaさんにとっての本作の重要性はよく理解できます。
内容は予想がついても,これが実に深い。この二人ならではの演奏と言ってもよいと思います。聞けば聞くほど味わい深くなるって感じです。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月12日 (水) 22時47分
こんばんは。ちょっと出遅れましたが私もアップしました。って結構似たような記事になってしまってごめんなさいという感じなのですが、まさに書いたままです。keithって内容云々より姿勢で聴衆に音楽を伝えようとしているのかなどと考えてしまいました。いずれにしても味の薄まった感の近年のトリオ(実際は少し前の物で最新ですが)よりすっかり気に入ってしまいました。
投稿: ki-ma | 2010年5月16日 (日) 20時57分
こんばんは。
まだ起きたくない朝やまだ眠りにつきたくない夜というシチュエーションに最適な"BGM"となってます。KeithをBGMっていうのは恐れ多いのですが、それだけ丸い演奏なので仕方ないかな?
ともあれ愛聴盤となってきてます。
それではTBさせていただきます。
投稿: とっつぁん | 2010年5月18日 (火) 21時02分
ki-maさん,こんばんは。出張で返事が遅くなってしまいました。
私も近年のソロやトリオには若干食傷気味だったこともあるかもしれませんが,今回は本当にしみました。この路線ばかりというのはありえないでしょうが,たまにはこういうのもいいですよね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月18日 (火) 23時48分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。
この「丸さ」が多くの人に支持される理由ではないでしょうか。Keithはストイックなイメージが強いからこそ,こういうアルバムが愛されるのではないかと思います。ストイシズムはそれはそれで認めなければなりませんが,オーディエンスは疲れちゃうこともしばしばですからね。ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月18日 (火) 23時53分
中国出張、ご苦労様でした。
中年音楽狂さんはホント、タフですね。
尊敬しちゃいます。
で、これですが、みなさんキース好きという点では
共通しているものの、微妙に好みがバラけますね。
そこが面白いのですが、僕は今作はいまのことろBGMとしてしか聴けない作品だと思っています。
今後、いくらでも聴く時間はあると思うので、
もしかすると感じ方も時間とともに変化するかも
しれません。
基本的にヘイデン嫌い。デュオ嫌いの僕ですので、
スズックさんとは対極にありますから、
本盤への評価も真っ向から対決してます。
そうそう、中年音楽狂さんに刺激されて
なんかとっても懐かしいです。
ジョン・メイヤーのデビュー作を買ってきちゃいました。
新譜も買いたくなっちゃいました。
ということで、TBさせていただきます。
中年音楽狂さんのTBは今回も駄目でしたので、本文最後にリンクを貼らせてもらいますね。
では、また。
投稿: criss | 2010年5月19日 (水) 23時40分
crissさん,こんばんは。今日は松江にいます。中国から帰ったら国内出張です。結構きついですね。
このアルバム,感じ方はいろいろあるでしょうから,それはそれでいいと思います。でもなぜKeithがJoe Sampleなのかってのは私の中ではくすぶっているんですよね。事情はわかっているんですが,それでもやはり消し去れない違和感がをおぼえる私です。
John Mayerはライブはよかったです。こういうどちらかというとコンベンショナルなロッカーの方が我々にはいいのかなぁなんて思ってしまう今日この頃です。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月21日 (金) 00時39分
こんにちは.
Closenessの耽美的な内容,あるいは,ばらつきが大きく部分的にしか楽しめなかったVortex.Atlanticのトリオでの録音をECMで濾過した内容を勝手に期待した自分としては,多いに裏切られた.
>こんなに穏やかでいいのかという疑問がないわけでもない。
そうなのですね.
が,美しき裏切りであるのも事実で,あれあれと云いながら何回聴いたことか.今までと聴き方の距離感を変えると,とめどもなく親しみが沸く,不思議なアルバムでもありますね.気がつくと,最多再生賞なんですが,未だ素晴らしいと,素直には思えない不思議な感情で一杯であります.
投稿: ken | 2010年5月23日 (日) 14時01分
kenさん,こんにちは。このアルバムの受けとめ方は人それぞれで,それが賛否両論になってしまうのではないかとも思えます。それでもkenさん同様,繰り返し聞いてしまう方も多いわけで,非常にアンビバレントな感覚をリスナーに覚えさせるものなのかもしれません。
まぁでも私は何だかんだ言いながらも結構好きですけどね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月23日 (日) 16時45分
いやいや、追伸でお知らせまでして頂いて大恐縮です。すみません。J worksさんへのトラックバックも文字化けで失敗でしたが、そういう際はお手間ですが消去を、とお伝えしました。前は上手くいったので行かなかったときはそのままで全く構いません。人様の文章末尾に影響を与えてしまうのが申し訳なく思いますので、、、。ありがとうございました。
Ken様はじめまして。その複雑な想い、というか感情的確だなぁと思いました。そちらにもお邪魔しますね。この場をお借りして、、、。
投稿: ki-ma | 2010年5月24日 (月) 12時53分
ki-maさん,こんばんは。いえいえ,全然問題ありませんです。悪いのはプロバイダーの相性ですから。
これに懲りず,またTBして下さいね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月24日 (月) 21時58分
これは心に沁み入ってくる素晴らしい演奏だと思います。
老成、というよりもむしろ二人の今現在の素のまま、ありのままの音が静かに奏でられている、という感じです。
TBさせていただきます。
投稿: madame | 2010年5月30日 (日) 20時29分
madameさん,こんばんは。TBありがとうございます。はい。「素のまま」というのはその通りだと思いますし,これはこれで私は好きです。
その一方で,この二人ならではの刺激には乏しいのも事実で,そのあたりがややアンビバレントな感覚を残しちゃうんですよねぇ。まぁでも,ブログ界での盛り上がり方を考えれば,今年一番の話題作でしょうね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月30日 (日) 20時37分
charlie hadenのDUO作としては、おおよそ予想の範疇な内容でしたが、それでもしっかりじっくりゆったり聴きたい良い作品だと思いました。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2010年6月24日 (木) 06時33分
oza。さん,こんにちは。TBありがとうございました。
本当にHadenのデュオ作は多いですよねぇ。全部が全部はおさえられませんが,結構持っている私って感じでしょうか。一番好きなのはKenny Barron盤かなぁなんて思っています。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年6月24日 (木) 09時04分