Wayne KrantzがCriss Cross?
"Aliso" David Binney (Criss Cross)
Wayne Krantzが日頃やっている音楽を考えれば,Criss Crossレーベルとは全く結びつかないって感じなのだが,今回,日頃から付き合いのあるらしいDavid Binneyのリーダー・アルバムに客演となった。このブログでもBinney/KrantzのコンビについてはBinneyのリーダー作"Balance"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,そちらもACTというKrantzとはあまり結び付きそうにないレーベルだったが,Criss Crossはそれ以上に意外である。まぁそうは言っても,私がこのアルバムの購入に至ったのはKrantzのせいであるから,Criss Crossの売り上げにもKrantzは貢献したってことになる。
そうは言っても,このアルバム,Krantzは全曲で参加しているわけではない。しかし,Krantz参加曲と不参加曲でかなりイメージが異なるのが面白い。むしろ,BinneyがKrantzを立てて,Krantzが参加する曲はそれっぽいものを選んだという感じだろうか。Krantzがいないだけで,演奏はコンベンショナルな響きが増しており,逆にKrantz参加曲はコンテンポラリーな響きが強いのである。Krantzがソロを取らない"Strata"だけは例外と言ってもよいが,Krantz参加曲の基本は,Binneyとユニゾンでテーマを奏でて,その後Krantzが激しくソロを取るというパターンである。これがまたまたえげつないというか,かなり凶暴なソロを取るので,場面をかっさらっていくという感じである。特に冒頭のタイトル・トラックなんてまさにそれが顕著である。ユニゾンをやっている間はおとなしい感じなのだが,ソロになった段階でキレまくりである。まぁ私なんかに言わせれば,ギタリストはこれぐらいでよろしい。もっとやれっと思わず言いたくなるぐらいであったが。
選曲はShorterが2曲,Sam Riversが1曲,Monkが1曲,Coltraneが1曲に加えてBinneyのオリジナルが4曲というのはなかなかバランスが取れているが,特にSam Riversの"Fuchsia Swing Song"がスインギーな演奏で,Binneyの快調なアルトを聞いていると,おぉ,これはCriss Crossらしいなぁと思わせる。こういう曲にはKrantzが入っていないのは言うまでもないような話だが,こういう曲ならKrantzはどういう演奏をしたのかというのもちょっと興味があるところではある。
ということで,何だかんだと言ってKrantzのことばかり書いているが,演奏はそれなりに楽しめる。しかし,David Binneyという人の本質はどの辺にあるのかは,このアルバムでは見えてこないというべきかもしれない。私はコンベンショナルな演奏をするよりも,Krantz入りの凶暴な演奏で通した方がよかったのではないかと思う。あるいは全体的にもう少しパワーで押してもらってもよかった。Shorterの曲などは,かなり曲でごまかしがきくかもしれないが,例えば,"Think of One"なんて,どうにも軽く響いてしまうのである。そのあたりはちょっと惜しい気がする。ということで,星★★★☆。
Recorded on November 2, 2009
Personnel: David Binney(as), Wayne Krantz(g), Jocob Sacks(p), John Escreet(p), Eivind Opsvik(b), Dan Weiss(ds)
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Criss Crossレーベル新譜聴き3日目。デヴィッド・ビニーのリーダー作は、 [続きを読む]
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Criss Cross盤は概ね全部買いしても安心なレーベルと言えると思いますが、他にもいろいろ聴きたいという欲求が勝り、発売予定のリストの中からこれは!!というものを数枚選んで買っています。
今回は、Lage LundとこのDavid Binney盤の2枚を選びました。
Lage Lund盤は、メンツもさることながらリーダーの成長が興味の一部にあるわけでありますが、こちらのDavid Binney盤は純粋にメンツ買いです。しかもたった1人(笑)
そのメンツは以下..... [続きを読む]




































































げげ。。
確かに、クランツには、、ACTレーベルもCriss Crossも似合わない。
でもACTの方は、中古でゲットしたのですが、まだ聴いてないです。(爆)
なのに、、今度は、Criss Crossって、それはないでしょう。。。。
うむ。。。
投稿: すずっく | 2010年3月 7日 (日) 01時13分
すずっくさん,おはようございます。
「げげ。。」と言われましても...私のプロデュースではないので(笑)。それにしても,ここに入っているColtraneの曲は"Africa"ですよ。そこにKrantzが入っているってのも尋常ではないですねぇ。
うむ。。。(真似)
投稿: 中年音楽狂 | 2010年3月 7日 (日) 09時10分
ウェイン・クランツは意識し始めたのは最近なのですが、全曲には出ていないにしても、けっこういいですねえ。
デヴィッド・ビニーも吹きまくりの場面にはブチ切れている感じで、16ビートと4ビートの混合でも、割とすんなり聴けてしまいました。どうせなら16ビートだけで、とは思っても、このあたりがCriss Crossとしては境目なのでしょうね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2010年3月15日 (月) 12時37分
910さん,こんばんは。
「どうせなら16ビートだけで、とは思っても」Criss Crossでは無理ですね(笑)。まぁでも私にとってはほかのBinneyのアルバムよりは楽しめました。それは偏にKrantzが切れているからですが,それにつられてBinneyも切れるって感じですね。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年3月16日 (火) 00時19分
>Wayne KrantzがCriss Cross?
というタイトル通りの作品ですね。
水と油とまでは言いませんが、それでも乖離感は感じちゃいます。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2010年4月13日 (火) 21時26分
oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。
Criss Crossにしてはこの作品は異色というか,かなり凶暴ではありますが,それでももっと凶暴にやってくれいと思っているのは私だけではないかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年4月13日 (火) 21時30分