Thomas Savy:バスクラ・ピアノレス・トリオへの挑戦は大成功
"French Suite" Thomas Savy (Plus Loin Music)
某ショップからのメルマガで認識して,ちょっと気になっていたアルバムである。よくよくショップでジャケを見たら,ブログのお知り合い,crissさんが既に取り上げられていたアルバムではないか。さすがにお仲間の皆さんは感度が鋭い。
このアルバムがなぜ気になったかといえば,リズム・セクションを担うColley~Stewartのコンビにほかならないが,更にバスクラのワンホーン・トリオで一枚というのはかなり珍しいということもあった。私の記憶にはアルバム一枚をバスクラで通すという事例は思い浮かばないが,いずれにしても,リーダーのSavyにとってはかなりチャレンジングなセッティングである。しかも,実は私,何を隠そうバスクラの音が結構好きなのである(別に隠していたわけではないが...)。また,もう一方の主役と言ってもよいリズム隊は,クリポタのブート音源でも強烈なところを聞かせていた二人であるから,期待が高まるのは当然である。
それでもって,これがまた期待を上回るというか,これがかなりよい。リズムが強烈にプッシュする中,リーダーは一部フリーに近い展開を聞かせつつもかなりいけているフレージングを展開している。私の中ではバスクラと言えばEric Dolphyだが,SavyはDolphy同様,調性の枠内にかろうじて留まりながらも,かなり自由度の高い演奏をしていると言ってはほめ過ぎか。「フランス組曲」というタイトルからはもう少し柔な印象を受けるが,出てくる音楽はハードボイルドそのもので私は嬉しくなってしまった。こういう展開なら私は大歓迎である。
Bill Stewartの凶暴な煽りにもめげず,よくぞここまで吹き倒したThomas Savyを聞くのは初めてだが,世の中には色々な人がいるものだと思わざるをえない。彼の経歴はcrissさんのブログに詳しいので,そちらをご参照願いたいが,それでもこういう演奏を聞かせるというのは,それなりの覚悟があった上で,かつそれを乗り越えたということで,評価しなければならないと思う。最後は渋く,Coltraneの"Lonnie's Lament"で締めるというプロダクションもよい。ということで,私にとっては初物のミュージシャンであったが,私の好みにもフィットしていることもあり,星★★★★☆としたい。たいへんよくできました。
Recorded on June 23 & 24, 2009
Personnel: Thomas Savy(b-cl), Scott Colley(b), Bill Stewart(ds)
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Thomas Savy ( bcl )
Scott Colley ( b )
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Thomas Savy (bcl)[[attached(1,left)]]
Bill Stewart (ds)
Scott Colley (b)
Rel:2009 Plus Loin Music
blogの諸先輩方で大絶賛の作品がこれ。聴いてみたかったんだよなぁ。
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Thomas Savy盤は、リリース当初聴いてみたいなぁとは思っていたのですが、諸々あって結局入手に至らなかった盤でした。
が、年末になって多くのblog仲間の人達が本年のbestに掲げて気になっていたら、ちょうど中古を見つけたのでそのままお持ち帰りしてきました。
リーダーのバスクラの音色の期待感はもとより、他のメンツが強力ですねぇ。
Thomas Savy(bcl) Scott Colley(b) Bill Stewart(ds)
演奏曲は、エリントン、コルトレーンの作品を..... [続きを読む]
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私にも、、来た。
なんだか、度々、って、くる予定で。。お手上げです。ハイ。
投稿: すずっく | 2010年3月21日 (日) 10時56分
すずっくさん,こんにちは。
お手上げって,もちろんほめ言葉ですよね。予想外のよさってのはこれのことです。いやいやこれはよかったです。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年3月21日 (日) 11時21分
記事を拝見したところ、「バスクラ・ピアノレス・トリオ」のように思えますが。
投稿: ぬぬぬ | 2010年3月24日 (水) 23時26分
ぬぬぬさん,ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通り,私の凡ミスです。早速訂正させて頂きました。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年3月24日 (水) 23時56分
中年音楽狂さんの「よくできました」のお言葉につられてゲットしましたが、ほんとよくできた作品だと感動してます。ビルスチュとスコットコリーに挑むサヴィと1曲目・ラストでの男の生き様を感じるフレージングがとてもかぶっていいです。
それではTBさせていただきます。
投稿: とっつぁん | 2010年4月30日 (金) 20時03分
TB不調のため、ひとまずURLをお伝えします。これまで音楽狂さんのblogへは失敗したことはなかったのですが・・
http://blogs.yahoo.co.jp/najponk/14002308.html
投稿: とっつぁん | 2010年4月30日 (金) 20時14分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。なぜか,スパムTBとして認識されていましたが,こちらの方で公開手続きを行いました。不思議ですねぇ。
私の褒め言葉につられてなんてのは恐縮ですが,お気に召せば幸いです。でもこれって記事にも書いたとおりハードボイルドですよねぇ。こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年4月30日 (金) 21時26分
スパムTBとなってましたか!!アドレスの字の並びかなにかですかね?手続きお手数をおかけしました。ありがとうございます。
ハードボイルド・・まさにこの作品の形容にピッタリですね。
投稿: とっつぁん | 2010年4月30日 (金) 21時43分
今度は私のTBが入らなくなってしまいました。なんでなんでしょうねぇ。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年4月30日 (金) 21時46分
おかしいですねぇ。YahooのほうはなぜTBはいらないかわからないので、恐縮ですが僕の記事の最後の方に、音楽狂さんの記事URLを掲載することで代用させていただきますね。
後日今一度トライいただければ幸いです。(一時的な何かの悪さだと思いますので・・)
投稿: とっつぁん | 2010年4月30日 (金) 22時02分
お手数をお掛けしました。本日リトライしてみたら,うまくいきました。原因は全く不明ですが,ご報告まで。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月 1日 (土) 09時56分
感動もののアルバムでしたね。
で、メンバーみんなすごいんだけど、やっぱ、ビルスチュすごいです。
つうか、かっこよかった。
こんな風に押されて燃え上がらないホーン奏者は演奏やめた方が良いよねぇ。。
トラバしました。
わたしのは、、届いたかな。
投稿: すずっく | 2010年5月 1日 (土) 12時14分
すずっくさん,こんにちは。TBありがとうございます。なぜか,今回もスパム・フィルターに引っ掛かっていましたが,公開しておきました。
まぁねぇ。これだけ煽られれば,誰でも燃えますよね。いくらフランス人でもね(笑)。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月 1日 (土) 14時28分
こんにちは。
確かにTBいただきました。ありがとうございました。
ほんとシステムってわからないものですよね
投稿: とっつぁん | 2010年5月 1日 (土) 18時17分
こんばんは。はい。それがシステムってものです。完璧なプログラムってのはなかなかないというのが実感ですね,IT業界人の...(苦笑)。
いろいろご面倒お掛けしました。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年5月 1日 (土) 19時39分
皆さんの評判を見てからの購入なので演奏への事前の不安感ってのはなかったのですが、ちょいと取っつきに手こずってしまいました。
が、1ホーンアルバムとしてかなりのテンションの高さにはまるとはまってしまうとても魅力的な作品でありました。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2011年1月22日 (土) 15時21分
oza。さん,TBありがとうございます。
まぁ,このリズムですからねぇ。成功はそこで半分約束されたようなものですが,こちらの期待をはるかに上回ったのは誠に立派でした。久しぶりに聞きたくなりました。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年1月22日 (土) 16時04分