Sonny Rollins:このアルバムは初めて聞いたが...
"Freedom Suite" Sonny Rollins
(Riverside)
唐突だが,振り返ってみれば私はSonny Rollinsの音楽にはあまりちゃんと接していないのではないかと思う。もちろん,「サキコロ」や「ヴァンガード」等は聞いているし,その他のアルバムもそこそこ保有しているが,キャリアを通じて彼の音楽をフォローしてきたとは言い難い。だいたいRollinsって結構多作だから,全部を押さえるのはなかなか大変なことだと思うのだ。それでも"Way Out West"も聞いたことがないわ,インパルス・レーベルの作品も聞いたことがないわという状態で真っ当に評価できるのかというお叱りも受けそうである。まぁそれでも地元の中規模ホールでライブが奇跡的に開催されたとき(なんでうちの地元で開催なのだと本当に不思議に思ったが...)は,家人共々出掛けたりしているから,決して無視をしているのではないというかなり中途半端なリスナーぶりである。
そんな私がなんでこのアルバムなのかと言うと,本作は実は父の遺品の一枚であり,たまたま実家に帰ったときに聞いてみたものなのである。一聴してみて,正直言ってこれは悪くはないとしても,Rollinsの代表作とは言えないなぁと感じてしまった。もちろん,58年と言えば,Rollinsの全盛期に近いということもあり,フレージングは極めて魅力的である。しかし,私が感じたのは,Pettiford~Roachというリズムを有効に活用していないという点である。この3人ならば,もっと激しくやれたはずだと思うし,より強い昂揚感を生み出せたのではないだろうか。Roachは「サキコロ」ではもっと凄いドラミングを聞かせていたし,同じピアノレス・トリオという編成ならば,私は「ヴァンガード」の方が圧倒的に好きである。自由度が高い編成であるがゆえに,もっとハード・ドライビングな演奏を期待してしまうというのが人情である。
また,このアルバムが,よく言われるようにRollinsがポリティカルなメッセージを込めたものであれば,体制に対する「怒り」がもっと発露されていてもいいように思うのだが,そうしたメッセージ性もあまり感じられない。タイトル・トラックは敢えて"Suite"と称さなくとも,4曲の独立した曲として捉えればいいのではないかと思えるぐらいのものである。その辺に私は中途半端さを感じるし,また,LPで言えばB面に相当する小唄のような曲とタイトル・トラックとのバランスもどうなのかなぁと思ってしまうのである。ラストの"Shadow Waltz"なんて全然Rollinsらしくないし。
もちろん,私としても音楽に政治的なメッセージを持ち込むことに全く異議がないわけではない。しかし,表現手段としてそうした意思の発露に使ったっていいし,それをポジティブな力に変えられるならば,うまく使えばいいのである。結局,本来はRollinsにはそんな意図がないところに,オリジナルLPのライナーに余計なメッセージを書いてしまったからいらぬ誤解を受ける結果になったのではないかとも思えるのである。こうした見方はうがち過ぎなのかもしれないが,なんだか本当に意味が感じられないのである。
そうした作品とは言え,これだけの実力者の演奏である。彼らの実力は垣間見える瞬間は多々あるとしても,彼らの力はこの程度ではないはずなのだ。このアルバムをお好きな方もいらっしゃるかもしれないが,私にとってはあまり評価できないというのが正直なところである。星★★★が精一杯。まぁこれを聞く前に,いくらでも聞くべきRollinsのアルバムはあるでしょうって感じである。
Recorded on February 11 and March 7, 1958
Personnel: Sonny Rollins(ts), Oscar Pettiford(b), Max Roach(ds)
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