久々の再発:Billy Harperのソーラン節
"Soran-Bushi, B.H." Billy Harper(Denon)
昔,私はこのアルバムをLPで保有していたが,こういう暑苦しさのよさってのがあまり理解できなかったため,随分前に手放してしまった。しかし,その後,いろいろな音楽を聞いてきて,この音源を実は猛烈に聞きたくなってしまっていたのだが,CDは長らく廃盤のままということで,「聞けないとますます聞きたくなる」状態がずっと続いていた。しかし,この度,DenonレーベルのHQCDシリーズでめでたく再発になったのを購入したものである。
私が初めてBilly Harperを聞いたのはMax Roachとの"Live in Japan"で,そちらもリーダーとHarperのバトルとも言うべき演奏を楽しんだ(記事はこちら)が,あちらも相当に暑苦しいHarperが聞けるが,本作でのHarperはその上を行っている。Max Roachの場合は,一人でもポリリズム的に聞こえるところはあるが,ここではそうした効果を狙ってドラマーを2人にしていることも暑苦しさを増幅させているようにも感じられる。
冒頭の"Trying to Get Ready"は確かに解説(オリジナルのLPからの再録)で油井正一が書いているとおり,ライブ盤にも収められていた"Calvery"と同曲のように聞こえるが,あちらでは"Traditional Arranged by Billy Harper"となっていたのが,こちらではHarperのオリジナルと書かれているのが不思議である。それはさておき,演奏はライブ盤よりもテンポを上げて,更に強烈な感覚を生み出す。これを暑苦しいと言わずに,何を暑苦しいと言うんじゃいというぐらいの激しさである。2曲目"Loverhood"はHarperの無伴奏ソロであるが,この曲と1曲目のテンポの緩急はなかなかよいし,Harperのサックスのエモーショナルな響きはかなりのものである。
しかし,このアルバムのハイライトは3曲目のタイトル・トラックということになるだろう。イントロのださい感じはCannonballの"Somethin' Else"の「枯葉」と双璧とも言いたいぐらいではあるが,その後に出てくるHarperによる「ソーラン節」のテーマ吹奏で聞かれるこぶしの回し方に見られる原曲の持つ響きの理解度が素晴らしいのである。これは凄い。ということでイントロを聞いてがっくりきてはならない。テーマが出てくるまでじっと我慢をすれば,その後はHarperらしい暑苦しさが全開となってくるのである。いずれにしても,これはもはやスピリチュアルな世界に入っていると言ってもいいし,Harperのソロの出だしなんて,Coltrane的なものが横溢している。ピアノのバックでのコンピングなんて"So What"みたいだしなぁ。演奏の中盤過ぎで,ドラムスとテナーのバトルになるというのも,フレーズはやや違えども,やはりColtrane的。いや~,これはええわ。Harperが相の手で入れる「ヤサエンヤ~サ~ノド~コイショ~」の部分のHarperの声も渋くてびっくりである。
ということで年明け早々聞く音楽としてはどうなのよって気がしないわけでもないが,たまにこういう音楽を聞くと自然に体が反応してしまう自分が怖い。久しぶりに聞いて燃えてしまった私である。星★★★★☆。
Recorded on December 15 & 17, 1977
Personnel: Billy Harper(ts), Everett Hollins(tp), Harold Mabern(p), Greg Maker(b), Horace Arnold(ds), Billy Hart(ds)
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コメント
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おはようございます。
コメントというより、年初のご挨拶でございます。
今年もよろしくお願いいたします。
最近めっきりJAZZを聴く機会が減っているように思います。JAZZのみならず、音楽そのものもあんまり聞いていないのかな。、、、といっても周りから見るとそれなりにきいているのでしょうね。
社会生活(会社生活)を送っていると色々いやなこともあり、音楽の力を借りて元気を出すのも必要かtロ思っています。
今年も様々な音楽を様々な視点から取り上げていかれんことを期待しております。
投稿: こうぞう | 2010年1月 5日 (火) 08時42分
こうぞうさん,本年もよろしくお願いします。
私は通勤時間に音楽を聞いていますので,こうぞうさんとはだいぶ事情が違うと思います。私なんぞは会社生活の憂さを晴らすには音楽しかないと思っています。
今年も駄文を垂れ流すだけですが,よろしくお付き合い下さい。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年1月 5日 (火) 23時54分