素のMilesバンドみたいな音がするブート盤
"Barcelona 1984" Miles Davis(MegaDisc)
これはタイトル通り,1984年にバルセロナで吹き込まれたコンサート音源のブートレッグである。1984年と言えば,アルバムで言えば,"Decoy"と"You're Under Arrest"の間ぐらいで,バンドもジョンスコとBob Bergを迎え,タイトなまとまりを示し,Milesも比較的好調な時期である。試聴した限り,結構音もいい感じだったので購入したものだが,最終的に私の購入の後押しをしたのが,Tina Turnerの"What's Love Got to Do with It"が収められていることであった。ちなみにこの音源,「Milesを聴け!Version 8」にも入っていないから,新発見の音源ということであろう。
既にこの段階で,レパートリーには"Time After Time"が入っているが,それよりも"What's Love"である。この曲もスタジオ録音されていながら,お蔵入りしたという話もあるが,さもありなんである。Milesは好調のはずなのに,肝腎の「あの」フレーズで真っ当に音が出ないのである。これはまずいと思ったのか,この曲を演奏したのはごく短期間だったようだから,まぁこの音源の貴重度はそこにつきるということにはなる。
加えてもう一つ面白い点はDisc 1の特に前半が,何のエフェクトも施さないような,ほぼ原音ではないのかと思わせるような音で収められていることである。エコーもディレイもほとんど感じられないのだ。これが何とも不思議な感覚を呼び起こす。これが「素」のMilesバンドの音なのか。しかしである。この音源,バランスが悪かったり,フェイド・アウトがあったり,更には編集がなぁ~と思わせる部分もあって,名作ブートに比べれば,やはり今イチ感がぬぐえない。そもそもこの年のバンドのライブを聴くなら,モントルーのコンプリート・ボックスの演奏を聞いているのが本来の正しい姿であって,"What's Love"に釣られて買ってしまった私の選択は正しいものだったとは言えないなぁ。まぁ,こういうことも経験してみないとわからない世界であるから,まずは反省,反省。ここでの演奏は悪くないが,そんな暇があるなら,ちゃんとモントルーを聞かねば。
Recorded Live at Montjuich, Barcelona on November 8, 1984
Personnel: Miles Davis(tp, key), Bob Berg(ts, ss), John Scofield(g), Robert Irving III(key), Darryl Jones(b), Al Foster(ds), Steve Thornton(perc)
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