コレクターはつらいよ(8):MehldauほかによるMachautのインタープリテーション
"Art of Love: Music of Machaut" Robert Sadin(Deutsche Grammophone)
Brad Mehldauのコレクターとしては,こういうアルバムは踏絵のようなものである。このアルバムは14世紀バロック期のフランスの作曲家,Guillaume de Machautの音楽を,さまざまな現代の音楽形態でインタープリテーションを施したものであるが,ここにMehldauがRhodesとピアノで参加しているのである。
ここにどうしてMehldauが参加することになったかは,プロデューサーを兼ねるRobert Sadinに聞いてみるしかないが,どのようなフォーマットでも,エレクトリックだろうが,アコースティックだろうが,Mehldauのカラーを感じさせるのは,贔屓目もあろうがさすがと言っておこう。しかし,そうは言っても,バロック,しかもMachautをどうしてブラジルやアフリカ風味を交えて翻案する必要があるのかは私のような凡人の理解は越えている。もちろん,ゆったりとした時の流れを感じることができるような音楽とも言えるし,十分鑑賞にも耐えるものだが,それでも,これを積極的に何回も聞くかと言えば,それはクエスチョン・マークだろう。
参加しているメンツも,結構知った名前も多いし,これは新手の異種混合音楽だということもできるが,う~む,それでもこれは微妙である。私はMehldauのコレクターだから買ったようなものだが,どういう人がこのアルバムを購入するのかは興味があるところではある。いずれにしても暫くしてから再聴して,改めて記事をアップできればいいかなぁと思っている。どうでもいいことだが,これがドイツ・グラモフォンから出るというのも不思議だよなぁ...。
Personnel: Robert Sadin(key, org), Milton Nascimento(vo), Natalie Merchant(vo), Madeline Peiroux(vo), Lionel Louike(vo), Hassan Hakmoun(vo), Jasmie Thomas(vo), Celena Shafer(vo), Brad Mehldau(p, el-p), Charles Curtis(g, cello), Romero Lubambo(g), Graham Haynes(cor), Matt Shulman(tb), Seamus Blake(ts, ss), John Ellis(ts), Anthony Burr(b-cl), Mark Feldman(vln)
« Jim Hall的と言ってもよいRosenwinkelのバラッド集 | トップページ | フランスが苦手な私も納得のMoutin Reunion Quartet »
「ポップス」カテゴリの記事
- 久しぶりに聞いたPedro Aznarのアルバム。2枚目がカヴァー集だったってすっかり忘れていた。(2025.02.20)
- 笠井紀美子の"TOKYO SPECIAL":昨今ならシティ・ポップって言われるのか...。(2025.01.31)
- 今年最初のライブはCatpack@Blue Note東京。(2025.01.25)
- これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。(2025.01.23)
「Brad Mehldau」カテゴリの記事
- Brad Mehldauのブート聞きはこれが最後:ロンドンのBarbicanにおけるMehliana。(2025.01.18)
- 更に続くBrad Mehldauのブート聞き:今度はMehliana+ジョンスコ!(2025.01.16)
- またもBrad Mehldauのブートの話。今度はChick Coreaとのデュオ@Blue Note(2025.01.14)
- 新譜が届かない中でBrad Mehldauの珍しいトリオによるブート音源。(2025.01.12)
- 現物はまだ届いていないが,M.T.B.の30年ぶりの新譜。(2024.12.15)
「ブラジル」カテゴリの記事
- GRP時代のブラジルに傾斜していた頃のLee Ritenourのアルバム。(2025.02.18)
- 師走にボサ・ノヴァでくつろぐ。(2024.12.25)
- Lee Ritenour and Dave Grusin with Brasilian Friends Featuring Ivan Lins@Blue Note東京参戦記(2024.11.21)
- 追悼,Sergio Mendes。(2024.09.08)
- Michael FranksらしいJobimトリビュート。(2024.08.21)
「クラシック」カテゴリの記事
- 人生初の声楽リサイタルを聞きに,お馴染みイタリア文化会館に出向く。(2025.02.02)
- またもブート(まがい)の話:今度はBernsteinのマーラー5番。(2025.01.22)
- Martha Argerichが弾くリスト。強烈としか言いようがない。(2025.01.20)
- 今年最後の音楽記事は,残念ながら来日できなかったHilary Hahnの無伴奏ヴァイオリン。(2024.12.30)
- 2024年の回顧:ライブ編(2024.12.17)
「ジャズ(2009年の記事)」カテゴリの記事
- 燃えるFreddie Hubbardのライブ。(2009.02.01)
- 予想よりはるかによかったBobby Watson参加作(2009.12.27)
- 2009年を回顧する(最終回):ジャズ編(2009.12.31)
- まだあるWayne Krantz参加作:でもゆるいFive Elementsみたいだ。(2009.12.26)
- Freddie Hubbard対Lee Morgan:暑苦しいのは当然だが...(2009.12.15)
« Jim Hall的と言ってもよいRosenwinkelのバラッド集 | トップページ | フランスが苦手な私も納得のMoutin Reunion Quartet »
コメント