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2009年10月20日 (火)

抑制された中にスリルを感じさせるJohn Patitucci

John_patitucci"Remembrance" John Patitucci Trio (Concord)

Chick Coreaのバンドでメジャーになって以来,結構な年月が経過して,今やJohn Patitucciも堂々たる中堅(表現が変?)である。しかし,リーダー・アルバムになるとちょっと評価が難しいかなぁなんて思っていたのも事実である。Concordに移籍してからはBrad Mehldauが参加しているからという理由だけで"Communion"を買っただけだし...。しかし,今回はメンツがメンツだけに躊躇することなく注文した私である。

正直に言ってしまうと,私はPatitucciのエレクトリック・ベースが好きで,GRPの初期3作なんてカッコいいもんだと今でも思っている。特に"Sketchbook"でのJohn Scofieldとのバトルは楽しかったので,あの路線が私の中では理想である。もちろん,アコースティック・ベースの腕も一流であることはよく承知しているが,Akoustic Bandでの弾きまくりのイメージが強過ぎて,どちらかと言えばエレクトリックの方が好みであることは間違いない。

しかし,今回は基本のフォーマットがピアノレス・サックス・トリオだからアコースティックに絞るのかと思ったら,あにはからんや,エレクトリックも何曲かで弾いているではないか。それがまずは意外だったが,このエレクトリックを弾いている曲がアルバムの中で違和感がないところがまずはよい。

Patitucciがリーダーなので,ベースのバランスが強いのは仕方ないとしても,まぁ邪魔にはならない程度だから気にすることはない。その上で,このアルバムの魅力を高めたのはJoe Lovanoその人だと言い切ってしまおう。Lovanoの音色というのは決してけばけばしいものではなく,どちらかというと地味目なトーンのように思えるのだが,ここでは何とも素晴らしいフレージングを連発して,Patitucciとやり合っている。それでも,Bladeもガンガン叩くこともないので,やはり全体としては非常に抑制されたサウンドであることは間違いないだろう。このメンツならもっと丁々発止でもいいように思うが,逆に彼ららしいと言えば彼ららしいのかもしれない。Lovanoも同じ編成で"Trio Fascination"というアルバムを吹き込んでいる(記事はこちら)が,そちらもHolland~Elvinという重量級リズムながら,結構淡々としていたように思えるから,Lovanoというのはそういう人なんだろう。

まぁ,それでもこれはなかなか魅力的な演奏集であり,静かな中にもジャズ的なスリルは十分に味わえると思う。星★★★★。尚,偶然の一致だろうが,録音日が上述したLovanoの"Trio Fascination: Edition One"と全く同じである。偶然にしては出来過ぎ?でもやっぱり偶然だろう。

Recorded on September 16 & 17, 2008

Personnel: John Patitucci(b), Joe Lovano(ts, a-cl), Brian Blade(ds), Rogerio Boccato(perc), Sachi Patitucci(cello)

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コメント

>このアルバムの魅力を高めたのはJoe Lovanoその人だと言い切ってしまおう。

わたくしもそうに思います。
次回は、これの予定です。

すずっくさん,続けてこんばんは。

Lovanoはやっぱり実力ありますよね。すずっくさんの記事も期待してます。アップされたらTBさせて頂きます。

ジョン・パティトゥッチのこのところのリーダー作では内省的な作品が多くて、このアルバムはどうだろうとちょっと心配だったのですが、基本的にサックス・トリオですがけっこういいじゃありませんか。ホッとするとともに、何度も聴き返してしまいました。

3人のバランスもいいし、ロバーノのいい(好みの)面を聴かせてもらったな、と思いました。

TBさせていただきます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

このアルバム,やはり皆さんの評価も高いのは,メンツのなせる技という気もしますが,やはりLovanoがいいですよね。もちろん,トリオとしてのバランスも大変結構でした。

こちらからもTBさせて頂きます。

最近のJohn Patitucciはかなり良いと思っているのですが、この盤はやっぱりJoe Lovanoですよね(^^)

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん、こんばんは。TBありがとうございます。

多くの人がこのアルバムを通じて、Joe Lovanoの魅力を再確認するのではないのかと思います。それ以前に、まずはこのアルバムが売れないといけませんが。

あぁ。。生きてますね!

つうことで、これも面白かったです。
仰るように、ロバくんもよかったけど、エレベのジョンくんもよかったです。

こういうアルバムは、売れ筋なのですか?
それとも、あまり売れないの?
なんだか、、あまり話題ににはならないね。。

すずっくさん、TBありがとうございます。無事に生きています。ようやく一日目の仕事が終わってブログにアクセスしています。日本はもう朝じゃん。眠いわけです。

このアルバムが売れ筋かどうかと言えば、私は「売れない」方に一票ですね。Patitucciのリーダー作(特にConcord移籍後)が売れたって話は聞きませんし、基本的にPatitucciのリーダー・アルバムって「華がない」っていうか地味な感じなんですよねぇ。

本作は出来がよいだけにもう少し話題になってもいいと思いますが、ブログのお知り合いの間では評価が高いから、まぁいいんじゃないでしょうか。それがトリガーになって多少は売れる可能性もありですからね。

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