Meshell Ndegeocello色濃厚なJason Lindnerのファンク作
"Jason Lindner Gives You Now Vs Now" Jason Lindner (Anzic)
私の中ではJason LindnerってのはSmalls等を拠点としてビッグバンドで活動しているっていうイメージが強いのだが、音源についてはこれまで聞くチャンスがなかった。しかし、LindnerのWebサイトを見ると、このバンドもレギュラーでやっていそうなことは見て取れる。それでもそれだけでは私の購入意欲は刺激しなかったはずである。
しかし、本作は私が結構ひいきにしているMeshell Ndegeocello(今でも彼女の"Peace Beyond Passion"は最高だと思っている私である)がプロデュースということで購入となったわけだが、本質的なLindnerの音楽がどういうものかわからない中で、これは相当にNdegeocello色が濃厚に出ているように思うのはきっと私だけではないはずである。そもそもこのNow Vs Nowというバンドがキーボード、エレキ・ベース、ドラムスという編成だから、ある程度ファンク色が強くても当然とも言えるのだが、これは私の予想をはるかに越えるファンク度を持つアルバムであった。それでもって、Jason Lindnerに対する思い入れや、予備知識がない私にとっては、これはかなりいけているアルバムとなった。
正直言ってしまえば、これをジャズにカテゴライズするにはかなり無理があるのではないかと思うし、そのあたりが評価のわかれ目になるような気もするのだが、それでもこれをライブの場で聞いたら、相当興奮してしまうのではないかと思わせる。敢えてラップと言わず、ポエトリー&ライムというクレジットでの参加もあるが、それもやはりファンク度を高めている要因のように思えるし、ゲストで参加するプレイヤーもかなりカッコいいのである。一曲で参加しているKurt Rosenwinkelはそんなに目立ってないように思うが、Avishai Cohen(トランペットの方)は、鋭いフレーズを聞かせて、このアルバムの魅力向上に貢献度大である。
いずれにしても、私にとっては聞いていて高揚感を覚える音楽として評価したいのだが、それでもやはりこれはジャズというよりファンクだなぁ。そういう音楽が好きなリスナー、あるいはMeshell Ndegeocelloのファンには確実に受けるのではないかと思う。やっぱりライブで体感してみたいバンドである。星★★★★。
尚、11/23にはNYCでこのバンドのライブが予定されているようである。Avenue AにあるDromって場所らしいが、Avenue Aってのが渋いねぇ。やはりイースト・ヴィレッジの音ってことになるのかなぁと思うが、それが私を刺激する理由かもしれない。
Recorded in August & September, 2008
Personnel: Jason Lindner(p, key, vo), Panagiotis Andreou(b, vo), Mark Guiliana(ds), Kurt Rosenwinkel(g), Meshell Ndegeocello(b, vo), Danielle Negon(vo), Baba Israel(poetry), Frances Velasquez Guevara(poetry), Claudia Acuna(vo), Yosvany Terry(chekere), Avishai Cohen(tp), Anat Cohen(ts, pandeiro), Pedito Martinez(perc, vo)
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