やっと来たStefano Bollaniの新作
"Stone in the Water" Stefano Bollani (ECM)
注文のタイミングが悪く,なかなかデリバリーされないでやきもきさせられたStefano BollaniのECMでの新譜がようやく届いた。ブログのお知り合い,すずっくさんによれば,私の嗜好にバッチリ合っているはずだとのお言葉を事前に頂いており,期待値が異様に高まっていた私である。しかもメンツはベースのBodilsenトリオ名義で出た"Mi Ritorni in Mente"と同じではないか。あれも甘い感覚を残しながらも結構好きな作品だったので,これはやはり期待できるだろう。更に,メンバーのオリジナルに加えて,Caetano Veloso,JobimになんとPoulencなんていうレパートリーを並べられては,こりゃ~聞く前からたまらん。
それでもって聞いてみたら,すずっくさんのおっしゃる通りである。どうして私の趣味がそこまでわかるのか?さすが師匠,エスパーのようである。これはよい。ECMらしいと言えばECMらしい音である。基本的には美的で静謐な音に,若干のダイナミズムをまぶすという感じであろうか。私がECMでピアノ・トリオを聞いてまいったと思ったのがMarcin Wasilewskiであったが,本作はそれに勝るとも劣らないと評価してよい傑作。どちらかを取れと言われれば,正直なところ,私としてはWasilewskiを取るかもしれないが,それでもこのBollaniの世界観はECMにぴったりで驚かされる。とても生粋のラテン系とは思えぬ美的センスである。こうしたBollaniの資質を見事なまでに見抜くManfred Eicher,やはりあなたは大したものである。
また,Wasilewskiの"January"と本作が同じNYCのAvatar StudioでJames Farberの手によって録音されたことも偶然ではあるまい。音が生みだすケミストリーは同じなのだということを物語っているではないか。いやはやさすがECM,40年も続くだけのことはある。OsloでもNYCでもサウンド・カラーが変わらないということこそ,Eicherの美学の裏返しである。
いずれにしてもこれから秋から冬にかけて,このアルバムを何度もプレイバックすることになるであろうことを確信させる一作。星★★★★☆。
Recorded in October, 2008
Personnel: Stefano Bollani(p), Jesper Bodilsen(b), Morten Lund(ds)
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音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
またヨーロッパですか、大変ですね。ゆっくりと当地のよいものを探せるといいと思うのに、悲しいかなですか。このアルバム、聞く人によって受け取り方が変わるかもしれませんが、底に流れる音楽性がしっかりしていて、人気よりも時間をかけて評価が上がっていくような気がします。
TBさせていただきました。
投稿: monaka | 2009年9月28日 (月) 21時50分
monakaさん、こんばんは。TBありがとうございます。本日はエジンバラよりコメント・バック差し上げます。
ECMレーベルの音楽については好き嫌いがあるのは仕方ないところだと思いますが、私の嗜好にはばっちり合ってしまったのが本盤ということになると思います。まさしく一聴した瞬間から「ツボにはまった」って感じでした。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年9月29日 (火) 03時06分
ステファノ・ボラーニは私はECM盤でしか聴いたことがないのですが、このアルバム、バッチリですね。他レーベルだと別の面のサウンドがおもてに出るようですけど、ちょっと興味あるものの、とりあえずこの盤をおさえておけば、ECMファンの私としては満足です。珍しく何度も聴き返しています。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2009年9月29日 (火) 17時49分
910さん、こんばんは。TBありがとうございます。オーストリアよりコメント・バックです。
私はなんだかんだで結構Bollani関係盤を保有しています。記事に書いたStunt盤もよかったのですが、これはもっと好きですねぇ。Ravaとの共演盤もいいですし、ECMと相性がいいんでしょうね。
これからもこの線で出して欲しいものです。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年9月30日 (水) 06時21分
すみません。
トラバしっぱなし。。で・・。
いやいや、、これはよかったですよ。
最初のワンフレーズで、嬉しくなってしまいました。
で、音狂閣下もお好きだろうなぁ。。って、思ったのです。
そう、工藤さまもお気に召してたし、わたくしの単なる好きだけではとどまらないお勧めアルバムだよなぁ。。って。
雪景色も似合うだろうなぁ。。
もう一個、、あったな。
投稿: エスパーすずっく参上 | 2009年9月30日 (水) 17時33分
エスパーすずっく師匠、こんばんは。今日はミュンヘンに移動しました。
いやいや本当にご明察というか、性格読まれとんちゃうかぁと思ってしまいました。それにしてもラテン系なのに冬景色が似合いそうな音楽を奏でるBollani、いいですねぇ。しばらくはこれで楽しめそうです。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年10月 1日 (木) 05時16分
こんばんは.奥手なので皆様から1年以上遅れて聴いています.それにしても,Label Bleuと比べて随分違いますよね.変化自在の器用さがとてもプラスな現在のBollaniですが,いつまでもそうであればいいなあ,と思ってます.器用さだけが残る,なんてならないように.
投稿: ken | 2010年10月28日 (木) 22時56分
kenさん,こんばんは。TBありがとうございます。
Bollaniにはいくつか顔があるように思えますが,Rava等の参加作含めて,ECMでは私はこのアルバムが一番好きです。全然ラテン系って感じはしませんけどね(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年10月28日 (木) 23時11分
秋から冬にかけて、、、ですか。同感。夏が終わると「自分対象盤」が3倍くらい増える気がしたのは気のせいではないですね(笑)。これは集中力がある時に聴くと深いインタープレーに気付けるので今からが聴き時と思っています。そういやMarcin Wasilewskiも大好きです。「Trio」しかもってませんが「January」も良さそうですね。参った(Herschで金がありません(笑))。
投稿: ki-ma | 2010年10月29日 (金) 00時55分
ki-maさん,こんばんは。TBありがとうございます。去年の秋口から冬にかけてはこのアルバムの世話になりましたねぇ。"January"もいいですよ~(きっぱり。完全煽りモード)。
金は天下の回り物なんちゃって。失礼しました。こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年10月29日 (金) 21時40分