Lee KonitzのAfter Hoursはやっぱり渋い
"After Hours" Lee Konitz (Go Jazz)
このブログでも以前,同じシリーズのBill Carrothers,Bob Malachのアルバムを取り上げたことがある。Ben Sidran主宰のGo Jazzから出たシリーズ第7弾は何とLee Konitzだった。これも先日のセールまとめ買い大量購入の折に見つけたものだが,あまり見かけないアルバム(と言っても,そんな高値でなくネットでは手に入るが...)という点と,曲につられて買ってみた。基本的にはスタンダードをピアノレスでやっているのだが,Konitzだけに吹きっぷりが気になったからである。
聞いてもらえばわかるとおり,どこから聞いてもKonitzらしい演奏である。私はKonitzのファンというわけではないので,彼の音源は大して聞いているわけではない。しかし,Brad Mehldau~Charlie Hadenと組んだ2枚:"Alone Together"と"Another Shade of Blue"が渋くて好きなので,あの路線でやってくれないかと思っていたのだが,ほぼ「あの」路線の音が聞こえてくるではないか。う~む。これはよい。
このアルバムはミネソタ州セント・ポール(ミネアポリスとのツイン・シティとして知られる綺麗な町である)にあるクラブのレギュラー・ギグが終わった後に,ごく限られた聴衆を前に演奏が行われた時のドキュメントである。Konitzはこの時の演奏を気に入って,「レコーディングしてればなぁ...」等と言っていたらしく,プロデューサーを兼ねるベースのBilly Petersonから録音されていたことを聞いたKonitzは大喜びしたとの記述がSidranのライナーにあるから,本人としても楽しめたライブだったということになるのだろう。レギュラーの時間がはねた後のミュージシャンは適度にリラックスして,いい演奏を聞かせるというのを,私はNYC時代に体感していたのは事実だが,Lee Konitzも同様ということだろう。このライブは朝5時まで続いたらしいが,録音時はKonitzは73歳だったはずである。このかくしゃくとした演奏は大したものではないか。
Lee Konitzというのは不思議なフレージングを展開する人なので,万人に受ける人ではないと思うし,このアルバムも録音も素晴らしいというわけではないが,それでもKonitzが持つ魅力を十分に認識できることができる隠れた好盤ということができるのではないかと思う。星★★★★。見つけたら買っても損はしないが,癖はあるので,念のため。例えば変だが,私にとってはここでのKonitzは酒が進む珍味って感じかなぁ。これで中古でも1,000円なら文句はない。
Recorded Live at the Artists' Quarter in St. Paul on January 12, 2001
Personnel: Lee Konitz(as), Billy Peterson(b), Kenny Horst(ds)
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