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2009年8月 5日 (水)

HerschとFrisellによる穏やかな会話

Songs_we_know "Songs We Know" Fred Hersch + Bill Frisell (Nonesuch)

これぞタイトルに偽りなしである。誰もが知っているスタンダード曲ばかりを演奏したアルバムである。違うのはHerschとFrisellのデュオだという点に尽きる。このアルバム,Nonesuchのカタログには載っているのだが,CDは米国のみデリバリー可能という不思議な状態になっているし,ネット・ショップでも結構入手困難になっていて,私は前々から興味はありつつも,なかなか入手できずにいた。しかし,先日ふらっと立ち寄った中古盤屋で本作を発見し,即購入である。聞くにあたっては,Herschがスタンダードを弾くことにはそれほど違和感はないものの,日頃はアンビエントなFrisellがこういう曲を弾くとどうなってしまうのかに私の興味は集中したことは言うまでもない。

一聴して,ここではいつものアンビエントなFrisellというよりも,ややクリーンなトーンで楚々とした演奏を展開していて,あぁ,この人もJim Hallの影響下にあるのだなぁと強く感じさせる演奏になっている。敢えて言うとすれば,音数を少なくしたJim Hallのようである。そう言えば,HallとFrisellは共演アルバムも出していたし,このブログでも記事を書いたのだった。それを考えれば,私がJim Hallっぽいと感じてもそれは当り前のことである。

それでもってHerschとFrisellというのは,音楽的な指向は多分近いのではないかと思っているのだが,そのせいもあってか,ここでは丁々発止というよりも,二人が穏やかな対話を繰り広げるという感じになっている。よって,ジャズ的なスリルとか高揚感というようなものは感じられないが,話し上手な二人の会話を楽しむというような感覚と言えばいいだろうか。時に山下洋輔の音楽も取り上げる私が,こんなアルバムも聞いているというのは分裂症のように思えないわけではないが,多くの人に見破られているとおり,結構ネクラな私にはこういう音楽も必要な瞬間があるのである。こういう音楽はやはり夜中に膝を抱えながら聞きたいものである。決して通勤途上で聞いてはならんタイプの音楽。いずれにしても,この二人の対話はなかなかにユニークかつ面白いものであり,ファンは聞いて損はない。だが,この二人ならではの相乗効果が出ているかというと若干疑問もあるし,"My Little Suede Shoes"は選曲としてはちょっと余計だったということで,半星減点して星★★★。一番気に入ったのは"Wave"だろうか。いずれにしても,私がHerschを聞くならば,このアルバムではなく,別のものをチョイスするだろうなぁ。

Personnel: Fred Hersch(p), Bill Frisell(g)

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ジャズ(2009年の記事)」カテゴリの記事

コメント

同じく。。根暗でもあるわたくしはこれが好きです。
つうか、、根暗の音楽だと、、思ってもいなかったので、、
わたくしの方が、、致命的に重症かも。。


音楽狂さん、こんにちは、monakaです。
フリぜールを選んで聴くことはないのですが、どこかに入っていてうまく合わせているといいなと、最近も思いました。
このアルバム、少し地味なのと、長いところが欠点で、短くいいものだけを選んだら評判上がったと思います。
TBさせていただきます。

すずっくさん、続けてコメント・バックです。
すずっくさんがネクラとは思いませんが、私はそれを隠そうとするから、更に重症ですね〜。

monakaさん、こんにちは。コメント、TBありがとうございました。

このアルバム、確かに地味ではありますね。私も"Undercurrent"的なところを感じましたが、あれも今は手元にないので何年も聞いてません。久し振りに聞いてみますかね。

こんばんは。先日はFred HerschのCDご紹介ありがとうございました。注文しました。今日はPlays JobimとSongs without wordsが着いて、後者には非常に痺れました!

Songs We Knowhで、改めてHerschの良さを知りました。Frisellは?なのですけど。だから10年位,放置していたのですけどね。

TBさせて頂きます。

kenさん,こんばんは。"Plays Jobim"はすずっくさんが,奇数曲だけだか偶数曲だけだかがいいとおっしゃっているのとかぶるかもしれませんね。

しかし,"Songs..."は3枚組という敷居の高さがあるものの,私はHerschのソロを楽しむには相当いい作品だと思っています。

私は気まぐれのようにHerschの来日公演を見に行ったのですが,そこで完全にはまってしまったということは,今にして思えば凄く幸せだったのではないかなぁなんて感慨にふけっております。

こんばんは。最近のはまだ聴いてないんですが、Rodgers & Hammerstein集を聴きながらそのsolo公演の至福ってこれのことかなぁなどと勘ぐっております。例の3枚組はもっと良いとしたらそら買わないとですね(最近amazonで値段が上がってきていて後悔していますよ)。
わたしはこのデュオも好きです。最初は全然でしたがほったらかし気味に流しているうちに掴まれてしまったという変わった盤です。というわけでトラバさせて頂きますね。

ki-maさん,こんにちは。TBありがとうございます。

私は,このアルバムはそんなに高く評価していませんが,主題にも書きました通り,穏やかな対話は楽しめますよね。実は"Rogers & Hammerstein"も今イチかなぁなんて思っているので,ki-maさんと私の嗜好は必ずしも一致していないかもしれません。

しかし,"Songs..."でもアムステルダムのライブでもいいので,そちらも是非お試しを。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

トラバありがとうございます。基本的にピアニストについてはソロが好きなのでこの人はソロから落としていこうと思います。Rogers&、、、は最近新たに向き合うと凄みが増してきました。Loneliness Of EveningとI Have Dreamedは特にたまりません。
Plays JobimとIn Amsterdamは聴き始めてます。今楽しくて仕方ないです(笑)。

ki-maさん,こんばんは。好みはそれぞれってことですが,Herschってソロ・アルバムが結構多いんですよねぇ。追っかけるのも大変ですが,ご同慶の至りということで,中古でも新品でも見つけたら買いましょうね(私もそうします)。

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