またもMarc Coplandである
"Time within Time" Marc Copland(Hat Hut)
先日もこのブログでCoplandのソロ・アルバム,"Poetic Motion"を取り上げた(記事はこちら)ばかりだが,私の期待を裏切らない美的世界にうっとりしてしまって,もっとソロが聞きたいなぁと思っていた。私はこのHatologyでのソロ・アルバムの存在も知ってはいたのだが,なかなか入手が容易ではなさそうだったので,米国のとあるルートから直接仕入れたものである。
Coplandは同じ曲を何度か同一アルバムに収録することをよくやるわけだが,ここで選ばれているのが"Some Other Time"である。何と3つのキーで演奏をし,4回も入っている。いつも思うのだが,Coplandのこうしたパターンは選ばれた曲をプレリュード,インタールードそしてクロージングとして使っているというものだろうが,一般のリスナーには何じゃそりゃの世界も,ファンにはOKという超贔屓目モードの私である。
それにしてもこのアルバムも,ネクラの私には非常に素晴らしく響く。現在,こういうピアノが弾けるのはCoplandとFred Hersch(余談だが,Herschの新作はソロでボサノバをやるらしい。興味津々だが,ちょっと不安。)だけだと思うが,やっぱりいいわぁ。こういう音楽をいつ聞けばいいのかとも思うが,やはり夜中に「膝を抱えながら」聞くと最高だろうと思う私はやはりネクラである。
2曲目の"River's Run"はニューヨーク・トリオの第2弾でも聞かれたが,まさしくたゆたうような「川の流れ」のような曲で,トリオもよかったが,このソロもよい。そのほかにもCoplandのオリジナルと有名ジャズ曲を交えているが,彼の書くオリジナル曲は私の心の琴線に触れる。"Some Love Songs"(これもよかったなぁ。記事はこちら。)にも収録の"Time Was"やら"Round She Goes"なんてソロでもたまらん。ジャズ曲は極めて著名な曲と言える"Footprints"にしろ,"Django"にしろ,"All Blues"にしろすっかりCopland色に染めてしまうのがこの人の凄いところである。更にラストの"Some Other Time(4回目)"の前を締めるがDon Sebesky作の"You Can't Go Home Again"という選曲に私は完全にまいってしまった。この世界にはまった人間はやはり抜け出すのに苦労するのである。やっぱり私はCoplandには点数が甘いとは思いつつこの麻薬的な響きに星★★★★☆。たまらん。
Recorded on July 28 & 29,2004
Personnel: Marc Copland(p)
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コメント
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大分の中年狂さま、おはようございます。

"You Can't Go Home Again"わたしも好きです。
いつか、このアルバムも買わなくちゃなぁ。。
この世のものとは思えない美メロですよね。。(わたくしも根暗か。。?)
Don Sebesky作の"You Can't Go Home Again"は、ビタースィートの名前もありますよね。タイトル的には、ビタースィートがあってる。
ブレッカーも演奏してます。個人的には、でっかいの音色の方がぐっと来るだろうなぁ。。って、思うのですが。
で、これって、ご存じかと思いますが。。あのロマン派、、ラフマニノフが作ったメロディなんですよね。
ハーシュのアルバムはわたくしもチェック済みですが。。
やっぱ、悩んでます。きっと、買うんだろうけど。。夏だし。。。
投稿: すずっく | 2009年6月16日 (火) 08時52分
すずっくさん、こんばんは。今日も大分で飲んだくれていました。
"You Can't..."ってラフマニノフだって言われるとなるほど、そうだったのかと思わせる美メロです。でもこの曲をアダプテーションしたDon Sebeskyって大したもんですよね。溶けそうな名曲ですわ。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年6月17日 (水) 00時15分