懐メロ的に響く"L'Image":ユル過ぎてさすがにこれは...
"2.0" L'Image(Video Arts/L'Image)
このバンドのメンツを見れば,フュージョン好きは反応せざるをえないだろう。メンバーとしては"Love Play"と"Blue Montreux"の折衷のようであり,ある程度,そこから出てくるサウンドは予想できるのだが,それでも聞いてみたくなるのが音楽好きの「性」である。
L'Imageというバンドは70年代の一時期に実際に存在していたユニットらしい(ブックレットにはTony Levinを除く4人が揃って,いかにもその時代の衣装をまとっている写真が掲載されていて結構笑える)が,正式な音源は残されていないものの,上記のように似たようなメンツでのレコーディングはないわけではない。だが,彼らとしてはバンドに対する思いもあったであろうことから,このアルバムが"2.0"と題されているのであろう。とは言え,Web2.0を模したタイトルの割には目新しいサウンドが登場するわけではないのがやや微妙である。
私はMike Mainieriのこれまでの活動を評価していて,Steps,Steps Aheadその他もろもろのアルバムを保有しているし,結構好きなアルバムも多い。しかし,よくよく見てみると,Mainieriも1938年生まれ(Bernhardtも同い年である)で,もう70歳を過ぎていることを考えれば,そんなにクリエイティブなサウンドが出てくると期待してはいけないのだろうし,本質的にはこのアルバムに聞かれるような予定調和的で懐メロ的で安心感のあるサウンドに身を委ねればいいのかもしれない。
冒頭の"Praise"からしてBernhardtらしい美しいメロディが出てきて嬉しくなるのも事実だが,そのキーボードのサウンドには意図的なまでにRichard Teeのような響きが顕著であり,まるで"Love Play"とStuffの中間のようにも聞こえてしまうのである。その後も平均年齢の極めて高いバンドはそれなりのサウンドを聞かせるわけだが,タイトな演奏というよりも,メロディやリラクゼーション("Gadd-Ddagit!"の4ビート部分等に顕著である)を重視しているようにも思える。
それはそれで悪くないのだが,リスナーというのはわがままなものであり,"2.0"を名乗る以上,それなりには目新しいこともやって欲しいという欲求が出てくるのは仕方がないのである。高齢者バンドにハード・フュージョンは求めないとしても,いくらなんでもこれはユル過ぎやしないか?現在の彼らにこれ以上を求めるのは苦しいのかもしれないが,Mike Mainieriに限って言えば,北欧のミュージシャンと共演した"Northern Lights"はまだまだいけてると思わせただけに,ちょっと残念である。この「同窓会」的なノリの甘さが音楽にも出てしまったということだろうか。"Love Play"を再演するのもいいが,これまたユルいテンポで演奏されるとイメージが崩れるだけである。これでは高い評価はできないということで星★★と点数も辛くなってしまった。まぁフュージョン好きにはある程度楽しめるだろうが,このメンツならもっと頑張れたはずだ。そこが納得がいかない。爺さんたちにはちょいと手厳しいが...。
ところで,このメンツで今年の東京JAZZにやって来るらしいが,対バンが上原ひろみではオーディエンスはバンド間のギャップに頭がおかしくなってしまうのではないかと感じるのは私だけではあるまい。
Recorded between September 28 and October 4, 2008
Personnel: Mike Mainieri(vib), Warren Bernhardt(key), David Spinozza(g), Tony Levin(b, chapman stick), Steve Gadd(ds)
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