Gary Burton対6人のギタリスト
GRP時代のGary Burtonのアルバムは玉石混交っていう気がしないでもないが,これはBurtonと6人のギタリストが共演するという企画アルバムでそれなりに楽しめる。なんと言っても,共演しているのがB.B. King,John Scofield,Kevin Eubanks,Ralph Towner,Jim HallにKurt Rosenwinkelであるから相当バラエティに富んだつくりになるのは目に見えていた。
それはそれでいいとしても,どうも演奏のタイプが違い過ぎていて戸惑ってしまうというのも事実である。B.B. Kingとのブルース演奏がRalph Townerのデュオと同じアルバムに同居するというのはやはり私には違和感があるのである。演奏自体はどの曲も悪くないのだが,ギタリストのタイプが違い過ぎたというのが正直なところだろう。私はRalph Townerのファンであるから,どうせなら一枚デュオで作って欲しいぐらいに思っているだけに,ほかの曲とのアンバランスぶりは気になってしまう。また,Eubanks,HallとTowner参加曲以外でBob Bergがテナーを吹いているが,これがまたオーバー・ブローイングなのも気になるところである。私はBob Bergは決して嫌いではないのだが,Gary Burtonのアルバムにしては吹き過ぎなのである。Bergに関してはもう少し控え目でもよかった。
繰り返すが,演奏は決して悪くないのだが,プロダクションが行き過ぎというのが正直な感想である。いいメンツを揃えているだけに,惜しいアルバムである。ということで,私の注目は常にTownerとの2曲に向いてしまうという不幸なアルバム。もちろん,Jim Hallとの相性もよいことは補記しておくが,TownerとBurtonを聞きたいならECMの"Matchbook"を聞いていればいいわけで...。星★★★。
尚,2曲に参加しているKurt Rosenwinkelは,このアルバムが出た頃はまだまだ駆け出しだったと思うが,冒頭の"Anthem"なんてまるでPat Methenyのようで微笑ましい限りである。Patと言えば,このアルバムのB.B. King参加曲のプロデュースを行っているし,楽曲"Double Guatemala"も提供しているが,これは師匠Burtonへの恩返しって感じか。全然Methenyぽいところはないので念のため。
Recorded on December 28 & 29, 1991 and January 4, February 24 & April 25, 1992
Personnel: Gary Burton(vib), B.B. King(g), John Scofield(g), Kurt Rosenwinkel(g), Ralph Towner(g), Jim Hall(g), Kevin Eubanks(g), Larry Goldings(key), Malgrew Miller(p), Paul Schaffer(key), Steve Swallow(b), Will Lee(b), Jack DeJohnette(ds)
« Talちゃんに「遅くなってごめんね」と詫びたい | トップページ | Guilty:日米間の人気のギャップが激しいBarbra Streisandだが,これは特にタイトル・トラックがよい »
「ジャズ(2009年の記事)」カテゴリの記事
- 予想よりはるかによかったBobby Watson参加作(2009.12.27)
- 2009年を回顧する(最終回):ジャズ編(2009.12.31)
- まだあるWayne Krantz参加作:でもゆるいFive Elementsみたいだ。(2009.12.26)
- Freddie Hubbard対Lee Morgan:暑苦しいのは当然だが...(2009.12.15)
- "The Hard Fusion"って感じである(2009.12.11)
« Talちゃんに「遅くなってごめんね」と詫びたい | トップページ | Guilty:日米間の人気のギャップが激しいBarbra Streisandだが,これは特にタイトル・トラックがよい »
コメント