Jon Hassell,25年ぶりのECM作
"Last Night the Moon Came Dropping Its Clothes in the Street" Jon Hassell(ECM)
私はこのブログでJon HassellのECMレーベル作"Power Point"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,そこではどちらかというと否定的なトーンで書きたい放題のことを書いている。そのJon Hassellが25年ぶりにECMレーベルからアルバムを発表したのには驚いた。"Power Spot"が私には微妙な出来だったので,それだけなら踏ん切りがついたかどうかはわからなかったが,今回はライブ音源が入っているということで,いったいどういうことになっているのだろうかということで購入である。
音楽的な観点では,今回もアンビエント的な色彩濃厚であり,相変わらずのJon Hassellである。しかし,この静謐な中にゆったり流れていくような音楽は,先日書いたRicardo Villalobosのミニマル・テクノと対極にあると言ってもよいかもしれない。ライブ音源は4曲収録されているが,ライブでも,スタジオでもそこには温度差はほとんどなく,変わらぬアンビエント・ミュージックが展開されているのには思わず笑ってしまう。一体ライブの聴衆ってどんな人たちだったんだろうと余計な詮索をしたくなってしまうが,ライブでこんな音楽を聞いていたら,心地よい眠りに落ちること必定(悪い意味ではない)である。
今回のアルバム,このゆったり感がかなり気持ちよく,私としては"Power Spot"よりも好きだなぁ。この心地よさの根源はおそらくはPeter Freemanのベース・サウンドのように思うが,これをBGMにしていれば,仕事がはかどる可能性も...(そんなわけないか)。ただ,一般的なECMレーベルのファンにこの音楽が受けるとはあまり思えないが。ある特定のジャンルにこだわりを持つ人々が聞くと,面喰うこと間違いなしである。しかし,ストレスフルな現代社会において,こうしたサウンドを求める人が出てきても全く不思議ではないような気がする。結構気持ちよかったので星★★★★。
Recorded in 2008
Personnel: Jon Hassell(tp, key), Peter Freeman(b, perc), Kheir Eddine M'Kachiche(vln), Jan Bang(sampling), Dino J. A. Deane(sampling), Rick Cox(g, strings), Eivind Aarset(g), Jamie Muhoberac(key), Peter Lockett(ds), Helge Norbakken(ds), Steve Shehan(perc), Thomas Newman(strings)
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ECM追っかけではありますけど、得意か苦手かとなると、こういうサウンド、あまり得意ではないほうでして(笑)。
ただ、アメリカのミュージシャンと北欧のミュージシャンの相性が抜群に良くて、一体感のあるサウンドが聴けるのが良かったです。確かにゆったり感、かなりありますね。
先行発売のUS盤を入手しましたが、LPのようには差はないですけど、EU盤を手に入れたかったです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2009年4月 8日 (水) 11時22分
910さん,こんにちは。出張中につき,返事が遅くなりました。
このアルバム,私は結構好きです。しかし,ECMも本当に間口が広いですよねぇ。時としてついていけないときもありますね。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年4月 9日 (木) 18時05分