High Five来日時の記録
"Live for Fun" High Five (Blue Note)
香港から戻ったので,音楽系の記事に戻りたい。
私もできることなら行ってみたかったHigh FiveのBlue Note東京におけるライブ盤である。ちょうどこのときはフロリダに出張していて見逃したのだが,こうして音源として追体験できるのは大変ありがたい。私も期待を持ってこのアルバムを聞いた。
結論から言えば,いつも通りのHigh Fiveのラテン系らしい熱っぽい演奏が楽しめることは間違いない。しかし,私はこのアルバムを聞いていて,何とも言えない「軽さ」に違和感を覚え続けていたのである。これはおそらく,冒頭の"Passion Dance"からして明らかだった。"Passion Dance"と言えば,"The Real McCoy"におけるMcCoy Tyner~Joe Henderson~Elvin Jonesという重量級の演奏こそが似合うわけであるが,それがヘビー級だとすれば,High Fiveの演奏はせいぜいウェルター級って感じなのである。
ラテン系のプレイヤーに黒人同様の情念的なプレイを求めることに無理があるのは承知しているが,それでもこの軽さはやはりちょっと気になってしまう。テクニックは十分だとしても,どうにも軽い。この違和感が,私がこのアルバムを評価するときの最大の問題となってしまったのである。
もちろん,Bossoはロング・トーンも炸裂させ,大向こうを唸らせる熱演を示してはいるが,彼らとしては,この軽さを補うだけの,もう一歩の「暑苦しさ」ぐらいが必要だったのではないかと思う。繰り返しになるが,演奏はそれなりには楽しめる。ただ,やはり私はライブよりもスタジオ盤での彼らの演奏を楽しむ方がいいのではないかと思えてしまったのも事実なので,星★★★☆。これは彼らへの期待の大きさの裏返しだとも言えるのだが,ラテン的な「熱さ」だけの演奏からの脱却を図らないと,彼らは飽きられてしまうおそれがあるように感じられてならない。
Recorded Live at Blue Note東京 on November 18 & 19, 2008
Personnel: Fabrizio Bosso(tp, fl-h), Daniele Scannapieco(ts), Luca Mannutza(p), Pietro Ciancaglini(b), Lorenzo Tucci(ds)
« 中年音楽狂 in 香港(2) | トップページ | 出張中に見た映画:09/03編 »
「新譜」カテゴリの記事
- またもAlice Sara Ottが放つ超美的ピアノ音楽。(2026.03.11)
- クリポタの新譜への期待が高まる。(2026.03.08)
- Jeremy Peltの新作をストリーミングで聞く。タイトルに込めた意図ほどは激しくはないがいい出来だ。(2026.03.05)
- Kris Davisによる越境型音楽。もはや現代音楽と言った方がよいだろう。(2026.02.24)
「ジャズ(2009年の記事)」カテゴリの記事
- 燃えるFreddie Hubbardのライブ。(2009.02.01)
- 予想よりはるかによかったBobby Watson参加作(2009.12.27)
- 2009年を回顧する(最終回):ジャズ編(2009.12.31)
- まだあるWayne Krantz参加作:でもゆるいFive Elementsみたいだ。(2009.12.26)
- Freddie Hubbard対Lee Morgan:暑苦しいのは当然だが...(2009.12.15)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: High Five来日時の記録:
» High Five Quintet Live For Fun [JAZZとAUDIOが出会うと。。。]
Five For Funで、異様な盛り上がりをHigh Five Quintetですが、凄いタイミングで来日も果たしていまして、そのときの演奏がタイミングを逃さずにリリースされました。
しかし、この商機を逃さないところは見事としか言いようがない。行方さんの功績なんでしょうか..
メンツは、前作と変わらず
Fabrizio Bosso(Tp,Flh)、Daniele Scannapieco(Ts)、Luca Mannutza(P)、Pietro Ciancagli..... [続きを読む]




































































素直でない自分は、このハイファイブの「軽さ」どうも歯がゆいのです。(笑)
演奏自体はすばらしいのですが、ありきたりと言うか、譜面どおりというか、物足りないのは否めないんです。
投稿: 東信JAZZ研究所 | 2009年3月14日 (土) 18時13分
東信JAZZ研究所さん,おそらくは私も同様の感覚と思います。私も相当な「天邪鬼」ですが,性格的なものだけではなく,実際そういう演奏なのではないかと思います。
私だけじゃなくってよかったと妙にほっとしています。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年3月15日 (日) 11時45分
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
元々のコンセプトが"4ビートのノリで勝負"だと思えば、まさにその通りの演奏であると思います。
素直に楽しめば、充分楽しめることは間違いありませんが、"とっても判りやすい"ところ(="軽さ"かもしれませんが)が。。ですかねぇ..
ということで(購入は)この辺までかなぁ。と思っている次第であります。
投稿: oza。 | 2009年4月 6日 (月) 07時46分
oza。さん,こんにちは。
やはり私の期待値が高いからこそ,ちょっと辛口になってしまうというところもあるのですが,そろそろ新機軸も必要ではないかなぁと思ったりします。
と思ったら,ScannapiecoをMax Ionataに代えたメンツで,Rosalia de Souzaという女性ボーカルのボサノバ・アルバムのバッキングをやってますねぇ。未聴ですが,気になります。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年4月 6日 (月) 17時42分