"Already Free" The Derek Trucks Band (Victor/Sony)
私はDerek Trucksを相当に評価してきたと思っている。前作"Songlines"が出た時も,彼のサイトからTシャツを仕入れてしまったぐらいである。残念ながら前回の来日公演は日程の調整がつかず見逃したが,今後のアメリカン・ロックにおいて彼が極めて重要な地位を占めるであろうことには疑問の余地はない。そのDerek Trucksのバンドによる新作が出たが,これがまた嬉しくなる快作である。
バンドとしてのまとまりは前作"Songlines"でも強く感じられたが,ここでは更にタイトさを増したバンド・サウンドを聞かせるとともに,誰もが期待するTrucks本人によるスライドが爆発している。スライドはエレクトリックだろうが,アコースティックだろうが,これが抜群の切れ味である。
曲はバラエティに富んでいるものの,基本的には渋いアメリカン・ロック路線の王道とも言うべき音楽ばかりである。この「渋さ」を増幅させているのは,Trucksのギターはもちろんだが,Mike Mattisonのスモーキー・ヴォイスと言ってよいと思う。これが何とも魅力的な声なのである。このバンドは,アメリカン・ロックの体裁は取っているものの,実はそのバックグラウンドの広さは,これまでのアルバムでも実証済みである。しかし,全編を通して聞けば,これほどアメリカン・ロックらしいアメリカン・ロックはなかなか聞けないと思わせてしまうところが,このバンドの素晴らしいところである。
いずれにしても,一曲目のDylanのカバー,"Down in the Flood"からリスナーは釘付けであろう。やや曲にバラつきが感じられるのは減点対象だが,それでも星★★★★☆に値する優れた作品である。
尚,このアルバムでナイスな声を聞かせるSusan TedeschiはDerek Trucksの奥方だそうである。何と渋い夫婦なのだ。彼らの息子はDerekさえも抜いてしまう天賦の才能を得るのか?末恐ろしい。
また,よくよくライナーを見てみると,John Snyderが一文を寄せているが,彼はDerek Trucksの最初の3枚のプロデューサーだったそうである。Horizon,Artist House等で数々の傑作(売れなかったが...)をものにしたJohn Snyderの名前をこんなところで見るとは思わなかった。世の中狭いねぇ。
The Derek Trucks Band: Derek Trucks(g, b, ds, vo), Todd Smallie(b, vo), Yonrico Scott(ds, perc), Kofi Burbridge(p, key, org, vo), Mike Mattison(vo), Count M'Butu(perc, vo)
Additonal Personnel: Susan Tedeschi(vo), Doyle Baramhall II(g, vo), Ted Pacchio(b), Oteil Bubridge(b), Tyler Greenwell(ds), Duane Trucks(perc), Bobby Tis(perc), Chris Shaw(drainage pipe, cinder block), Paul Garrett(tp), Mace Hibbard(ts), Kevin Hyde(tb)
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