RavelにインスパイアされたJacob Karlzonのピアノ・ソロ集
"Improvisational Three" Jacob Karlzon(Caprice)
私が2008年度のベスト・アルバムの一つにも上げたPeter Asplundの"As Knights Conquer"はスウェーデン・ジャズの実力を見せつけてくれた傑作(記事はこちら)だったが,そこでピアノを弾いていたのがJacob Karlzonである。そこで私はKarlzonのピアノを切れ味鋭いと評したわけだが,今回は一転してピアノ・ソロである。しかもMaurice Ravelにインスパイアされたとあり,完全インプロヴィゼーションの3曲を除いて,Ravel作曲となっている。これはどういうことになるのかと期待と不安が交錯する。Ravelはその「左手のためのピアノ協奏曲」等にジャズの影響があると言われているが,それをジャズ・フィールドのKarlzonが弾くというのも何とも面白いと言えば面白い。
確かに曲を聞いていくと,Ravelのフレーズが出てくるが,それはあくまでもモチーフと考えればよく,素材としてRavelを使ったタイトル通りの"Improvisational"というのが実態であろう。全体としては静謐なムードによる即興が続くが,例外は「道化師の朝の歌(Alborada del gracioso)」 である。ここでのKarlzonの左手は低音域を連打し,これは相当に激しい。この曲に限ってはほかの演奏との違いがかなり大きいので,戸惑うリスナーも出てくるかもしれない。
しかし,全編を通して聞いてみれば,心地よい中に時間が流れていくような佳品と言ってよい。私は一聴して,Chick Coreaの"Piano Improvisation"に近いかなという印象を持ったが,ここでのKarlzonは切れ味というよりも,美的なセンスを打ち出しているから,彼にどういう音楽を求めるかによって,好みがわかれるのは仕方ないところではあろう。
私はKarlzonの音楽はAsplund盤に続いてこれが2枚目なので,これが本質かどうかを語る資格はない。それでもピアノ・ソロでこれだけ聞かせる技量はやはり只者ではないということはすぐにわかると思う。星★★★★。一点だけ,ケチをつけるとすれば,曲の力が強過ぎる(あまりに有名で手が加えにくいと言ってもよい)"Bolero"はやらない方がよかったのではないか(と言っても,それが出てくるのは冒頭だけだが...)と思う。「夜のガスパール」とかもあるわけだからねぇ。
Recorded on May 16-18, 2007
Personnel: Jacob Karlzon(p)
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コメント
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適度な暗さがあって、中年音楽狂様の好みだなぁ、って思いました。
文章の中で、リンクしちゃいました。
やっぱ、冬空が似合う気がしました。。
投稿: Suzuck | 2009年2月 2日 (月) 17時28分
すずっくさん,こんばんは。私って耽美主義とは思いませんが,やっぱりこういうの好きってバレバレですかねぇ。冬空が似合うというのもそうですが,ネクラ親父にぴったりですわ。
リンクありがとうございました。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年2月 3日 (火) 00時24分
おぉ。。これこれ。
カールソン名義のアルバムなので、トラバしちゃおう。
共演しているKarl-Martin Almqvist は、実は一度アルバム買って痛い目に遭っているのですが。。今回は、露出度が低かったしバンドサウンドに貢献してました。。
あ、、カールソン、、最近、Mads Vindingの「Bubbles & Ballads」にも居るんですよねぇ。
つうことで、トラバしちゃいます。
投稿: Suzuck | 2009年3月26日 (木) 08時46分
すずっくさん,続けてこんばんは。
Karl-Martin Almqvistのアルバムって,私も取り上げたことがありますが,まぁまぁって感じですねぇ。西山瞳とも共演していましたね。
Madsのアルバムも注文しているのですが,なかなか入ってこないんです。早く聞きたい!
ところでトラバが入っていないようです。リトライお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年3月26日 (木) 20時42分