本年を回顧する(その4):ジャズ編
いよいよ今年も大詰めである。最後の最後は今年聞いて気に入ったジャズ・アルバムについてである。
今年もいろいろなアルバムを購入したが,ブログのお知り合いの皆さんからの情報が本当に役に立った。自分だけでは出会うことができないアルバム群(特に欧州系)に出会うチャンスを頂けたのはやはり皆さんのおかげである。
欧州系で言えば,Peter Asplundの"As Knights Conquer"やDaniele Scannapiecoの"Lifetime",更にはEnrico PieranunziとKenny Wheelerの共演が素晴らしかった"As Never Before"等が記憶に残る。
欧州系と言うことでは,私が愛するECMレーベルでのMarcin Wasilewskiの"January"が最高だったが,今年後半に出たArild Andersenのライブ盤も楽しめた。やはりECMレーベルは私の嗜好と合致している。
モダン/コンテンポラリー系では,JOC Featuring Jesse van Rulerの"Silk Rush"にはワクワクさせられた。あそこまでギターを弾きまくってくれたら爽快である。また,Brian Blade Fellowshipの久々の新作も期待を裏切らない出来だったし,Pat Methenyの"Day Trip","Tokyo Day Trip"の両方も捨て難い作品であった。
ヴォーカルもので最高だったのが吉田美奈子と渡辺香津美の"Nowadays"である。ジャズの範疇を軽く超越した非常によくできたデュオ・アルバムである。その他ではLizz Wrightの"The Orchard"がCassandra Wilson的な魅力を強く放っていた。Cassandraも優れた新作を出したが,私としては今年はLizz Wrightの方を推したい。
発掘音源としてはSteve Khanの"Suitcase"にとどめを刺す。これは燃えるライブ盤であり,こんな音源が埋もれていたこと自体が信じ難い。Paul Desmondのライブ盤もよかったが,どっちを取れと言われれば,躊躇なくSteve Khanを選ぶ。それぐらい素晴らしいアルバムである。
そうした中で今年の事件はDave Liebmanの"Pendulum"が大量の未発表音源を含めてボックス化されたことであろう。これは本当に事件であった。一部で本作に関して大いに盛り上がったことも懐かしい。Liebmanについてはブート盤"Bremen 1974"も強烈であったが,やはりこの"Pendulum"ボックス再発は強烈なインパクトを残した。
では今年を代表する「新作」は何だろうかと聞かれるとちょっと悩んでしまうが,ここはMarcin Wasilewskiにしておこう。ECMの透徹な美学を強く感じさせる演奏として,私の心をとらえて離さない傑作であった。
ということで,今年も1年間何とかこのブログを続けることができた。まさか一日も休まず続くとは思わなかったが,これも偏に皆さんのアクセスがあるからこそである。これからも中年のボケ防止の戯言にお付き合い頂ければ幸いである。
では皆さん,よいお年をお迎え下さい。
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