さまざまな顔を持つBobo Stensonの人気作
"Very Early" Bobo Stenson(Dragon)
ECMの諸作でも知られるBobo Stensonの「人気作」と言ってよい作品であろう。Bobo Stensonという人はJan Garbarekとフリーに近い演奏をしたと思えば,自身のトリオによるECM作品では透徹な美学を感じさせ,その一方でこのブログでも紹介したDave Liebmanとの共演作(David Liebman対スウェーデン人トリオ)やヴォーカルの伴奏(今更ながらスウェーデン・ジャズのレベルは高い)等,いろいろな活動をしていて,どれが彼の本質なのかよくわからないところがあるのも事実である。
私がこの作品を「人気作」と呼んだのは,その演奏のとっつき易さゆえというところがあるように思う。しかし,Bill Evans作"Very Early"を演奏しているからと言って,Bobo Stensonは決して所謂Evans派ではない。フレージングは全然違うし,タッチも違うのである。大体選曲だって本作のボーナス・トラックを見れば,かなり変わっていることもわかる(なんてたってフォーレのパヴァーヌにColtraneの"Satellite"までやっている)。しかし,それでもこの作品は非常に聞きやすいタイプのピアノ・トリオ作品に属するものであることには何ら変わりはないから,相応の人気は確保できるのである。
私にとってこのアルバムを聞くのも実は久し振りのことだったのだが,まぁこれはこれでいいんじゃないかという感じである。緊張感はあまり感じさせない音楽だが,だからと言ってリラクゼーション過剰でもないという,いかにも捉えどころのないStensonらしい作品と言うこともできるかもしれない。私としてはStensonの本質はこれよりややフリーなアプローチにあるように思っており,この作品よりはECMでの第1作"Underwear"の方がStensonの本来の姿に近いのではないかと感じている。ということで,この作品は私の中でのStensonのポジションに惑いを生じさせるものなのである。嫌いではないんだが,両手を上げて誉めることもできない。ということで,私までもがどっちつかずな感じになってしまうという不思議なアルバムである。星★★★☆。
Recorded on December 2 & 3, 1986
Personnel: Bobo Stenson(p), Anders Jormin(b), Rune Carlsson(ds)
« 私も便乗してEnrico Pieranunziである。 | トップページ | Dave Liebman + イタリア人トリオの続編 »
「ECM」カテゴリの記事
- 追悼,Ralph Towner。(2026.01.20)
- 2025年の回顧:音楽編(その2::ジャズ)(2025.12.29)
- Dino Saluzziの新作は哀愁度高く心に沁みるアルバムであった。(2025.12.17)
- "The Köln Concert: 50th Anniversary Special Edition"を入手。無駄遣いと言われればその通りだが。(2025.12.14)
- 全然ECMっぽくないのだが,音に痺れるジョンスコ~Dave Hollandデュオ。(2025.11.29)
「ジャズ(2008年の記事)」カテゴリの記事
- 追悼:Freddie Hubbard(2008.12.30)
- 本年を回顧する(その4):ジャズ編(2008.12.31)
- 今年一番聞いたCD(2008.12.27)
- 耳より情報:Enrico Pieranunziのノルウェイ録音!(2008.12.26)
- Stanley Clarke:これ1枚でOKよ(2008.12.19)
« 私も便乗してEnrico Pieranunziである。 | トップページ | Dave Liebman + イタリア人トリオの続編 »

































































コメント