インド人ミュージシャンを迎えたJohn McLaughlinの新作はインド色薄め
"Floating Point" John McLaughlin(Abstract Logix)
John McLaughlinの新作がインド人ミュージシャンを迎えた作品であることは承知していたのだが,もっとShakti的なインド・フレイバーの強い音楽だと思っていたら,予想と完全に異なる音楽が聞こえてきた。
このアルバムは,2007年の4月にインドで録音されたもので,McLauglinとベースのHadrien Feraud,サックスのGeorge Brooks以外は全てインドのミュージシャンであるが,サウンドはかなりコンテンポラリーなものとなっている。どこから聞いても,いつものMcLaughlin節が炸裂しており,それはそれでOKなのだが,このアルバムには決定的な欠点がある。それはドラマーである。
何とも平板というか,叩けばいいと思っているらしい,センスのないドラミングはうるさいだけで,はっきり言って私は聞くたびに不愉快になっていくのである。確かにリズムに破綻はないだろうが,ドラミングにメリハリがなく,とにかく一本調子で聞いていて疲れること甚だしい。McLaughlinも参加した"Miles from India"に参加していたGino Banksなるドラマーは優秀だと思ったが,ここでドラムスを叩いているRanjit Barotははっきり言ってイモである。もちろん,パーカッショニストもうるさ過ぎるように思えるので,彼だけの責任とも言い切れないが,それでも私はこのドラマーのせいでこのアルバムを全く評価する気がなくなってしまった。
McLaughlinのような豪腕ギタリストには,それなりのリズムでないと埋没すると思ったのか,あるいは単にミキシングのせいなのかはわからないが,とにかくこれほど辟易とさせられるドラミングを聞かされるのは珍しい。Billy Cobhamなら絶対こうは叩かないはずである。ということで,McLaughlinは本作を相当の自信作と思っているようだが,ファンとしてはミュージシャンの選択を間違えたとしか思えない。McLaughlin節がいつも通りだけに惜しい。ドラマーの方の意見も聞いてみたいところだが,私にとって,このドラマーは全く評価に値しない。McLaughlinに免じて星★★☆。
Recorded in April 2007
Personnel: John McLaughlin (g, g-synth), Hadrien Feraud (el-b), Loiuz Banks(key), Ranjit Barot(ds); Niladri Kumar(el-sitar); Shashank Sivamani(perc), Shankar Mahadevan(vo), U.Rajesh(el-mandolin), Debashish Bhattacharya (Hindustani slide guitar), Naveen Kumar(bamboo-fl), George Brooks(ss)
« 待望のBrian Bladeの新作 | トップページ | 隠し砦の三悪人(オリジナル)は痛快無比 »
「新譜」カテゴリの記事
- Walter Smith IIIのピアノレス・トリオ盤をストリーミングで聞いた。(2026.03.13)
- またもAlice Sara Ottが放つ超美的ピアノ音楽。(2026.03.11)
- クリポタの新譜への期待が高まる。(2026.03.08)
- Jeremy Peltの新作をストリーミングで聞く。タイトルに込めた意図ほどは激しくはないがいい出来だ。(2026.03.05)
「ジャズ(2008年の記事)」カテゴリの記事
- 追悼:Freddie Hubbard(2008.12.30)
- 本年を回顧する(その4):ジャズ編(2008.12.31)
- 今年一番聞いたCD(2008.12.27)
- 耳より情報:Enrico Pieranunziのノルウェイ録音!(2008.12.26)
- Stanley Clarke:これ1枚でOKよ(2008.12.19)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: インド人ミュージシャンを迎えたJohn McLaughlinの新作はインド色薄め:
» John Mclaughlin Floating Point [JAZZとAUDIOが出会うと...]
思いがけないタイミングで、思いがけずJohn Mclaughlinの新譜がリリースされました。
昨年2月にこんな(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/archive/2007/02/13)ことを書いていました。
と、言うことで彼の新作を聴けることは、あってもだいぶ先だろうと諦めていたのですが、こんなに早くにリリースされるとはと、驚き半分、喜び半分といった感じです。
が、録音が2007年4月だそうで。。。上のコメントは何だったんだ???ガセ?
※こうなると、..... [続きを読む]
» Floating Point/John McLaughlin [ジャズCDの個人ページBlog]
もうだいぶ前に発売されているアルバムをやっと聴いていくことにします。これももう、 [続きを読む]




































































この録音のDVD盤を観た、ある方の情報によると、ベースのアドリアン・フェローはインドに行ってなくて、オーヴァーダブだったようですね。そうとは考えられないくらい一体感があって、かなり自然に絡んでいる感じです。
遅れて聴きましたけど、この暑い季節にこのアルバムを聴くと、暑さがぶっ飛びます。ドラムスもパーカッションの一種として叩いているように感じました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2008年8月16日 (土) 11時42分
910さん,こんにちは。毎日暑いですねぇ(こればっかり言っています)。
コメント,TBありがとうございました。私はこのアルバムに関してはMcLaghlinにもHadrien Feraudも文句はないのですが,記事にも書きましたとおり,うるさいだけのドラムスとパーカッションが駄目なんです。ということで,CD,DVD整理をしていたら,メイン・ラックからは当然はずれてしまいました。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年8月16日 (土) 11時48分