Dominique Di Piazzaつながりで購入したAntonio Farao盤
"Woman's Perfume" Antonio Farao (CAM)
先日John McLaughlinの"Que Alegria"を取り上げたときに,そこでベースを弾いているDominique Di Piazzaが気になり,いろいろ調べていたらこのアルバムに参加していることがわかって,本日取り上げるこのアルバムをようやく入手するに至った私である。ブロガーの皆さんがこのアルバムを結構取り上げていたから,もう少し早く入手していてもよかったのだが,輸入盤の発売を待っているうちに遅くなってしまった。相変わらずこのアルバムの輸入盤は見たことがないが,私が入手したのも結局は国内盤である。こんなことなら待つことなかった。私はDi Piazzaに興味を持って購入したので,ほかの皆さんとはちょいと事情が違っているとしても,ようやくという感じである。
私は通常,輸入盤でCDを購入しているクチだが,このアルバムは国内盤で良かったかもしれない。というのも,このアルバムは映画音楽家Armando Trovajoliへのトリビュート作なのだが,彼が作曲した映画のタイトルをイタリア語で示されても,さっぱりわからなかったであろうからである。Faraoの前作,"Takes on Pasolini"なら,Pasoliniの撮った映画のタイトルを考えれば,大体どの映画か想定できても,Trovajoliという名前は不勉強にして初耳だし,いちいち映画のことまで調べるわけにもいかない(逆にこのアルバムのライナーを書いている小沼純一なる人はDi PiazzaのこともCeccarelliのこともちっとも調べていないというかなりの手抜きぶり)。といっても,日本語で書かれた映画のタイトルを見ても,知っている映画はないし,別にどうでもいいのだが...。
それはさておき,演奏はどうか。冒頭から非常にクリアに録音されたピアノが聞こえてくるのだが,冒頭からストレート・アヘッドな演奏である。ここにエレクトリック・ベースっていうのはどうかなぁという感想は誰もが持つかもしれないし,確かにこうした演奏にはウッドの方がいいように思える。ただ,アルバム全体を通してみれば,4曲含まれるFaraoのオリジナルは美しいメロディ・ラインを持つ曲なので,これはエレクトリック・ベースでも問題ない,あるいはエレクトリック・ベースの方がいいぐらいであり,全体的な響きを踏まえてDi Piazzaを選択したのだろうと思えるのである。私にはエレクトリック・ベース・アレルギーはないので,これはこれで全く問題ない。
私のイメージではFaraoはもう少し強いタッチのピアニストというイメージがあったのだが,このアルバムを聞いていると誤解を恐れずに言えば,Joe Sampleの美しいタッチでもう少しストレートなジャズを弾くとこんな感じになるかもなぁと思わせる。久しく前作"Take on Pasolini"も聞いていないので,改めてそっちも聞いてみて,最近のFaraoの動きを確認すべきかもしれない。いずれにしても録音もいいし,三者三様の演奏も楽しめるので,十分評価してよい佳作だと思う。星★★★★。
Recorded on September 6-8, 2006
Personnel: Antonio Farao(p), Dominique Di Piazza(el-b), Andre Ceccarelli(ds)
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アントニオ・ファラオはEnja時代に聴いてガーンとなりましたけど、最近はややおとなしめの感じですね。
ここではエレクトリック・ベースが全体のサウンドに合わせてある感じで、良かったのですが、ずっとフレッテッドかフレットレスか、に神経が集中してしまいました。結果、フレッテッドだったようですが。(過去にエレキベースを弾いていたことがあるもので。)
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2008年4月19日 (土) 10時53分
910さん,こんにちは。コメントありがとうございます。確かにこのアルバム,Faraoのイメージとはちょっと違うかなと思います。
まぁでも私もDi Piazza目当てみたいなところがあったので,Faraoの演奏についての感想にあまりなっていませんね。こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年4月19日 (土) 11時20分