これが本当の婦唱夫随?
"San Francisco" Fleurine(Sunnyside)
Brad Mehldauの奥方,Fleurineのアルバムが出た。今回も旦那のMehldauが3曲のみながら参加しているので,早速聞いてみた。今回のアルバムはブラジリアン・テイスト溢れるものであり,ある意味Fleurineにとっては新機軸と言ってもよいだろう。要はブラジルの曲に,Fleurineが英詞を付けて歌うというのが今回のコンセプトである。それもかなり編成を絞ったブラジリアン・アルバムなので,リズム的な興奮を求めると肩透かしを食うが,そんな編成でもブラジルのフレイバーが出てくるところが,ブラジル音楽の凄いところである。
Fleurineには申し訳ないのだが,正直なところ,私の関心はあくまでもBrad Mehldauのプレイということになってしまっていたのだが,Mehldau参加の3曲が一番ブラジルっぽくないというのがこのアルバムの特徴と言えるかもしれない。ある意味,ここでの演奏はまさにMehldauぽいのであるが,"The Roses"以外の2曲はブラジルと全然関係ないかのように響くのはやや問題があるようにも思える。Mehldauとブラジルと言えば,Vinicius Cantuariaのアルバムにも参加していたが,そこでも確かにブラジル風味は乏しかったようにも思えるしなぁ。ということで,Brad Mehldauはブラジル音楽(あるいはリズム)の演奏が苦手なのではないかという仮説も成り立つのであるが,まぁ何でも器用にこなす万能プレイヤーよりも,際立つ個性を見せる方がいいかということにしておこう。こういうのをファンの贔屓目と言う(と開き直る)。
むしろ,このアルバムではFleurineがちゃんとブラジル音楽と向き合っていることに好感をおぼえてしまい,これをまさしく「婦唱夫随」と呼びたくなってしまったのである。Fleurineの頑張りを評価して星★★★★。プロデューサーと渋いバッキングを見せたChico Pinheiroにも拍手。
Recorded on February 12-14, 2007
Personnel: Fleurine(vo), Brad Mehldau(p), Chris Potter (sax, a-fl), Freddie Bryant(g), Chico Pinheiro (vo, g), Doug Weiss(b), Gilad (perc), Erik Friedlander (cello)
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Fleurine (vo)[[attached(1,left)]]
Chris Potter (Sax & Woodwind)
Brad Mehldau (p)
Chico Pinheiro (g)
Freddie Bryant (g)
Doug Weiss (b)
GILAD (per)
Rel:2008
今晩はPete Malinverniの奥さんに続いてBrad Mehldauの奥さんの作品です。奥さんとは知らずにChris PotterとBrad Mehldau、Do..... [続きを読む]




































































お久しぶりです。6月29日、リスボンで行われたBrad Mehldau and Chico Pinheiro invite Fleurine and Luciana Alvesを見に行きました。この4人に、bassのDoug Weiss、drumsのEdu RibeiroというFleurineのSan FranciscoとChicoのソロアルバムのメンバーを混成した6人編成。ステージ上では、この6人が出たり入ったりでいろいろなデュエット、トリオ、カルテット、クインテットそして全員での演奏を繰り広げバラエティーに富んだ内容。曲は上記二人のアルバムからの曲中心ながらもボサノバの名曲なども披露。Bradを見るのはNHKホールでのMetheny Mehldau以来久々ですが、バンド形式なので非常にリラックスした演奏、且つホールの影響もあるのでしょうが以前よりも軽やかな音色。但し、表現力は格段に上がった気がしました。ChicoとLuciana Alvesの実力には驚きました。掘出し物、注目株です。
投稿: カビゴン | 2009年7月 2日 (木) 07時21分
カビゴンさん,返事が遅くなってすみません。
リスボンはご出張でしょうか。ポルトガル行ってみたいですねぇ。それにしても素晴らしいライブに遭遇されたようで羨ましいです。こういう企画ライブって,日本ではありえませんから。
Chico Pinheiroは記事を書いた時もなかなかのものだと思ったのですが,やはりという感じで,ちょっと嬉しかったです。ありがとうございました。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年7月 4日 (土) 09時59分
リスボンは出張のついでです。但し、現在、住まいも欧州ですが、、、。これは、企画ものにするには惜しいバンドでした。Chico、LucianaそしてFleurineを売り出すためにも、このメンバーでCDを出すと必ず売れると思いますけどね。Nonsuchは興味ないのかなあ?Brad、きちんとボサノバしてましたよ。
投稿: カビゴン | 2009年7月 8日 (水) 03時21分
カビゴンさん,こんにちは。そうですか。欧州にお住まいですか。それにしても羨ましいです。
記事にしたFleurineのアルバムが売れたという話は聞きませんが,Brad Mehldau名義で出せば,確かにセールスはアップする可能性はありますね。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年7月 8日 (水) 09時22分
中年音楽狂さん、こんばんは。(今日はこの挨拶で良いですか?)
僕はメンバー見てやっぱり違うモンを期待してしまいました。ボサノバとして聴いてみてもやや鬱なメロディ構成で今のところ聴きどころがつかめていません。。Pinheiroからいってみるのがコツとのご教示、再チャレンジしてみます。(笑)
TBありがとうございました。お返しさせてください。
投稿: とっつぁん | 2009年11月29日 (日) 20時02分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。出張も若干落ち着いており,現在は日本にいます。と言っても,また12月に出張の可能性ありですが...。
このアルバム,メンツがメンツだけに,期待も高まるのは仕方がないですが,Potter~Mehldauを聞くならJoe Martinの方がずっといいですよね。私もMehldauのコレクターなら買ってませんもの(苦笑)。でもこのアルバム,意外とよかったと思いますよ。再度のお試しの結果をお待ちしています。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年11月29日 (日) 21時56分