硬質なピアノの響きが美しいPaul Bley
"Open, to Love" Paul Bley (ECM)
Paul Bleyが耽美派と呼ばれるのはこのアルバムゆえではないかと思わせる美しいアルバムである。何ともピアノの音が硬質に捉えられているが,その響きの美しさはやはりECM的と言ってよいだろう。たまに挿入されるピアノ弦のはじきがまた何とも言えない雰囲気を作り出しているのがECM好きにはたまらない。
収録されているのはPaul Bleyのオリジナルが2曲,前妻Carla Bleyが3曲,後妻(実際結婚したかどうかはしらんが...。大体このアルバムを吹きこんだ頃にはもう別れていた)Annette Peacockが3曲,なおかつPaul Bleyのオリジナルには"Harlem"なんて曲があるという一体この人たちの人間関係はどないなってんねんと突っ込みを入れたくなるような選曲である。あるいはPaul Bley版「別れても好きな人」か。
そんなことはさておき,非常に音数が少なく,ある意味明瞭なメロディ・ラインを示すのは前出の"Harlem"ぐらいだと言っても過言ではない。ほかの曲はテンポ設定もあろうが,どういうメロディなのか,あるいはどこまでが書かれたメロディで,どこからがアドリブなのか凡人の私には掴み難いのである。ある意味現代音楽的な響きとも言えるが,それでもここで紡ぎ出されるピアノ・サウンドが美しいということは理解できる。この音楽をどう評価するのかは非常に難しいところであるが,私としては星★★★☆ぐらいだろうか。
いずれにしても,この音楽を聞いていて,どういうシチュエーションで聞くのが最適なのかは悩むところである。酒を飲みながらって感じではないし,食事のBGMにはなりそうにもない。しかし,真っ当に対峙すれば気分が落ち込みそうな予感もあるし,うーむ,なかなか難しい。ということで,私にとってはこれはしょっちゅう聞きたくなるようなアルバムではないのだが,必ず特定の頻度で聞きたくなるという点では,Peter Serkinが弾いた武満徹の音楽のようなものかもしれない。
それにしても,こういう演奏をしながら唸るPaul Bleyには困ったものだが,一時のKeith Jarrettほどの唸りではないので,それほど演奏を聞く妨げにはならない。あ~よかった。
Recorded on September 11, 1972
Personnel: Paul Bley (p)
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