ちょっと微妙なCorea~Burton最新盤
"New Crystal Silence" Chick Corea & Gary Burton (Concord)
最近のChick Coreaは何が起こったのかと言いたくなるぐらい精力的な活動をしており,CDも濫作と言ってもよいぐらいの点数が発表されている。でもって今回は盟友Gary Burtonとの久々のデュオである。しかもタイトルは"New Crystal Silence"と大きく出た。値段は手頃ながら2枚組の大作でもあり,ファンとしては期待が高まるのは当然である。
私はこのコンビが昔から好きで,このブログでも開設間もなくチューリッヒでのライブ盤を「チューリッヒの奇跡:Corea / Burtonデュオの最高傑作」として取り上げたことがある。そのライブ盤が,今でも彼らの最高作であるということに対する私の確信にはいささかの揺るぎもないところだが,今回の作品はどうだろうか。一聴して私はこの作品は彼らが弦楽クァルテットと共演した"Lyric Suite for Sextet゛同様に私にとって踏み絵のような作品だと感じてしまった。特にSydney Symphony Orchestraと共演したディスク1がそれに相当する。
私はこのデュオ・チームのかなりのファンではあるが,同じConcordレーベルから出た"Native Sense"がピンとこなかったこともあり,そろそろ2人の演奏にも限界があるのかなぁと思っていた。本作はそれ以来だから,随分と久し振りのデュオ・レコーディングではあるが,上記のとおり,ディスク1はオーケストラとの共演である。"Crystal Silence"が発表されたのが1972年だから,発表35周年記念の大イベントということなのだろう。それは誠にめでたい限りなのだが,このオケとの共演はさすがにやり過ぎのように感じるのである。オーケストレーションを担当したTim Garlandは健闘しているとは思うが,それでも私には"Too Much"なのである。同系楽器のデュオという最小ユニットが生み出す「編成最小,美的音楽性最大」のような点を魅力と感じる私にとっては,残念ながらこのオケとの共演の持つ意味は小さい。そういう意味でまるで武満徹の作品のような「抒情組曲」と同じような感覚をおぼえてしまったのである。
その点,ディスク2はデュエットによる演奏を収めたものだから,私にとってははるかにこちらのディスクの方が好ましいものである。それでも昔日の演奏にはもっと緊張感があったと思うが,ここで感じられるのは再会を喜ぶ姿であり,安心感のようなものである。悪く言えば手練れの演奏と言い換えてもよい。よって,私がチューリッヒ盤でもらしたような感嘆の吐息が出るとは言えないのである。
そうした点を踏まえれば,私にとってはChick Corea盤としては先日発売された上原ひろみとのデュエット盤の方がはるかに楽しめてしまったというのが正直なところである。ということで,悪くはないんだけど星★★★☆。まぁ好き嫌いの問題もあるが...。でもやっぱり微妙である。
Recorded Live at the Sydney Opera House Concert Hall on May 10 & 12, 2007(Disk 1) and Live in Molde, Norway on July 17, 2007 and in Canary Islands on July 13. 2007(Disk 2)
Personnel: Chick Corea(p), Gary Burton(vib), Sydney Symphony Orchestra conducted by Jonathan Stockhammer
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チック・コリアをあまり聴かないと書いておいて、UEHARA・HIROMIに続いてコリアのDUETを買いました。その相手はGARY BURTON、アルバムタイトルが「THE NEW CRYSTAL SILENCE」では、まあしょうがないか。
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このアルバムを手に入れられる日が来ようとは、ついぞ思わなかった幾年月。
御大のHP(http://www.chickcorea.com/)でだけ拝めた赤いジャケット。
何度、夢枕に現れた事だろう(0回です。)
まさか、直接買うほどのこともなかろうにと思いつつ、でも気になる存在で片時も忘れることが出来なかったアルバムを、ユニオンのサイト(http://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ080208-06)で見つけたときの衝撃度合いと言ったら・・・
こうなると..... [続きを読む]
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音楽狂さん、こんにちは、monakaです。
もちろん、あのコンサートのアルバムは凄いですね。緊張感と、浮かび上がるフレーズにはただただおどろきですが、今度のアルバムそのところを比較しません。私としては“ポーギーとべス”の演奏が別の一面で好きになりました。
投稿: monaka | 2008年3月 4日 (火) 20時51分
monakaさん,コメント,TBありがとうございます。
あのライブ盤からも30年近くが経過してしまっていますから,確かに比較してはいけないのかもしれません。しかし,チューリッヒのライブこそがと思っているのは全く変わらないので,やはりついつい辛口になってしまいます。
彼らの演奏は円熟しても,私自身はちっとも円熟とは縁遠い世界にいるなぁと考えてしまいました。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年3月 4日 (火) 22時18分
いつも楽しく読ませてもらっています。チューリッヒ盤は、正しくあのジャケットそのもののアルバムで(ハットフィールドみたい!)、僕も一番に好きです。今回の盤は買おうと思っていたのですが、それよりも、皆さん、上原盤勧めてますよね、、。どうしよ?!
投稿: billevanz | 2008年3月 5日 (水) 00時00分
こんにちは。
やっぱり、ECMのライブ盤と比較してしまいました。
やはり、このフォーマットでは、あれ以上を期待するのは難しかったようです。
それにしても、チックは相変わらず精力的ですね。
昔とさっぱり変わらない。
ある意味、見習わなければなりません。
投稿: jazz_power_of _3 | 2008年3月 5日 (水) 17時05分
僕もチューリッヒへの思い入れ強いですよ。感受性がまだ鋭かった若き日にリアルタイムで聴いているのでなおさらです。
Disc1に関しては、中年音楽狂さんのような感想を抱く方って多いと、私も思いました。個人的には、年をとるにつれて、シンフォニックな音の響きに興奮するようになってきましたので、こういうオーケストラ物にはすぐに飛びついてしまいます。ビッグバンドも昔はほとんど聴きませんでしたが、最近はめちゃくちゃ好きですし。
もともと、シンフォニックなプログレが好きだったので、、、。
Disc1好き と Disc2 好き。
同じジャズファンでも好みの分かれるところですね。
投稿: criss | 2008年3月 5日 (水) 23時14分
billevanzさん,
これはこれで悪くはありません。上原盤を選ぶか,こちらを選ぶかは趣味/嗜好の世界ですから,billevanzさんの直感でどちらが聞きたいかを優先していいと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年3月 6日 (木) 00時07分
jazz_power_of_3さん,コメントありがとうございます。
見習うべきはChickの精力的活動でしょう。私のような中年には無理と思いつつ,Chickの方が年上じゃん!やっぱ凄いわということになるんでしょうねぇ。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年3月 6日 (木) 00時10分
crissさん,コメントありがとうございます。
私も年をとるにつれ,オーケストラルな響きに回帰しているという気もします。一時期バロックや宗教音楽に走ったのが嘘のように,例えばショスタコやチャイコに燃えてしまうというようなことがあります。
でもこのアルバムに関しては求めるものの違いというのが出ても仕方がないと思います。まぁ人それぞれに感慨ありというところでしょう。でもあの年で頑張るChick Coreaは大したものだとは思います。RTFはやり過ぎのような気もしますがね。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年3月 6日 (木) 00時15分
上原盤と、burton盤のどちらかを選べというのは個人的には結構酷な感じがします。(究極の選択とは言いませんが..)
どちらも、それぞれにそれぞれの良さがあって◎でした。
しいてどちらかを選べと言われれば・・・禁を犯して両方選んじゃいます(笑)
TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2008年3月26日 (水) 21時28分
oza。さん,究極の選択,必要ありません。Burton盤も決して悪いとは思いませんから。ただ,私の趣味ではないだけです。
oza。さんが取り上げられているChickのアルバム,ユニオンの値付けは人の足元見てますねぇ。私は自分で仕入れたクチです。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年3月26日 (水) 22時19分