Charles LloydがJason Moran(!)を迎えたライブ作
"Rabo de Nube" Charles Lloyd Quartet(ECM)
リリース・ラッシュが続くECMレーベルから大ベテランCharles Lloyd(間もなく70歳である)がJason Moranを迎えてスイス,バーゼルで録音したライブ盤が出た。私はJason Moranの名前はずっと聞いていたが,音源はChristian McBrideのTonicでのライブ盤以外はまともに聞いた記憶がないし,日本ではメジャーにならない人だなぁ~ぐらいの意識しかない。しかし,本国では堂々たるBlue Note専属アーチストであるし,マンハッタン音楽院でも教鞭を取る人物である。だがMoranのピアノの師匠がJaki Byard,さらにはMuhal Richard Abrams,Andrew Hillにもピアノを習ったとあっては,「そういう」音楽性を受け継いでいると仮定すれば確かにメジャーにはなりにくそうではある。
そのMoranとCharles Lloydがいかなる理由で共演に至ったかはよくわからないのだが,そのMoran効果か冒頭からLloydが年齢を感じさせない演奏を聞かせている。Lloydは以前にもBrad Mehldauを共演に迎えたりして,世代の違うミュージシャンとの共演にも積極的であるが,今回もそうした共演がポジティブに機能していることを感じさせる演奏である。このスリリングな響きは明らかにMoranが持ち込んだものと評価できると思うが,これがかなりよい。リズムの2人もこれまた若いが,年齢差をものともしないLloydの挑戦心あるいはバイタリティは大したものである。そうは言いつつもLloydはいつも通りマイペースでソフトでゆったりと吹いているように聞こえるが,バックのリズム隊は結構激しく演奏している。Jason Moran,確かにAndrew Hill的にも響いており,フリーにはならないが,フリー一歩手前と言ってもよい瞬間も現れている。聴衆もかなり熱く反応しているのがビビッドに捉えられたライブ・アルバムと言えよう。
アルバムとしてはECM的な響きとは言えないが,これは優れたコンテンポラリー・ジャズ・アルバムとして評価してよい佳作だと思う。恐るべき老人,Lloydである。星★★★★。
尚,Charles LloydはMoran,Harlandを帯同し,4月に来日しBlue Noteに出演するようである。今のところはベースレスの編成で来ることになっているようだが,このアルバムを聞いた後ではかなり気になるところではある。
ところでこのアルバムの一部でLloydが吹いているTarogatoというのはソプラノ・サックスのような音を出すハンガリーを起源とするクラリネットの仲間の木管楽器だそうである。ブログをやっていると,いろいろ雑学も増えますな。
Recorded Live at Theater Basel on April 24, 2007
Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl, tarogato), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Harland(ds, perc)
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コメント
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Charles Lloydも好き☆
このアルバムも楽しみにしてました。
投稿: すずっく | 2008年3月15日 (土) 08時51分