楽しいサッチモ,愉快なサッチモ(キャバレー・ロンドンかっ!)
"Satch Plays Fats:A Tribute to the Immortal Fats Waller" Louis Armstrong(Columbia)
正月早々しかつめらしい顔をして音楽ばかり聞いていてもなんなので,たまには滅多に聞かない楽しげな音楽についても書いてみることにしよう。タイトル通りサッチモことLouis ArmstrongがFats Wallerの曲ばかりを演奏したアルバムである。私がサッチモで聞いたことがあるのはElla Fitzgeraldと共演した"Ella And Louis"ぐらいのもので,ほかのソースはほとんど聞いたことがない。このアルバムも実は私の亡父の遺品の一つであって,通常は実家に置いてあるものだから私が耳にする機会はほとんどない。しかし,正月休みで帰省していると,こうした音源に触れる機会ができるのもいいことだろうと思う。
私の父は晩年は私の影響(一方,父は私にクラシック方面で影響を与えたが)でかなりモダン(あるいはコンテンポラリー)なジャズも聞くようにはなっていたが,本人が元来好きだったのはサッチモやシカゴ派のEddie Condonあたりではなかったかと思う。ここに収められた演奏を聞いていると,まさしく深刻さゼロというか,正月に相応しい楽しい雰囲気が味わえる。正月特有のお笑い番組の連続的な感覚と言っては言い過ぎか。
サッチモと言えば,一般的にはあのしわがれ声のヴォーカルがおなじみであるが,このアルバムを聞いていて,ヴォーカルは相変らずなのだが,むしろトランペットの朗々とした響きが印象に残る。父のCDはこのアルバムがまだ¥3,200もした頃なので,CDもかなり初期の頃に出たバージョンだろうが,ここでのサッチモのラッパの音を聞けば,多分,私がBruno Walterのハイドンなんかを聞いて,「おーっ,音が違う!」と驚いたのと同様の音質の改善があるのではないだろうか。本作のLPを聞いたわけではないのでもちろんそれは当たっていないかもしれないが,ピアノは相当シャビーな音なのに,ラッパが妙に心地よく響いているのである。ということで,CDが登場して間もない頃に思いをはせてしまったが,それがいまやボーナストラックを相当数追加して,値段はほぼ1/3になってしまったのだから,時の流れを感じざるをえない。
いずれにしても,このアルバムを聞いて結構ほのぼのした気分にさせてもらったし,少なくとも休み明けの出勤を前にブルーになりがちな気持ちを和らげる効果はあったと言える。冒頭の"Honeysuckle Rose"から最後の"Ain't Misbehavin'"まで全編を通して本当に楽しいアルバム。古きよき時代である。星★★★★。
しかし,この記事のタイトルを読んで「キャバレー・ロンドン」が理解できる人って結構お年でしょうなぁ。
Recorded on April 26, 27 and May 3, 1955
Personnel: Louis Armstrong(tp, vo), Trummy Young(tb), Barney Bigard(cl), Billy Kyle(p), Arvell Shaw(b), Barrett Deems(ds), Velma Middleton(vo)
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