Chick Corea 5 Trios(ディスク4):注目はAirtoとの共演だが...
"Five Trios: Boston Three Party" Chick Corea(Stretch)
Chick CoreaのFive Trioシリーズ。今回はディスク4である。Bill Evansへのトリビュート盤という記述があるが,Bill Evans色が濃厚な訳ではない。Bill Evansというのはあくまでもセールス上の惹句にすぎないだろう。それよりもこのアルバムはChickとAirtoの久々の共演というところに注目すべきなのではないかと思う。ライブの場ではどうかわからないが,レコーディングとしては"Tap Step"以来になるのではないだろうか(訂正 as of 01/2008:と思っていたら,"The Ultimate Adventure"にも入っていました)。ある意味,この共演はまずは郷愁を誘うというのが正直なところである。
まず,冒頭の"With a Song in My Heart"から好調で,美しいChickのタッチが楽しめて嬉しくなってしまい,その後の演奏に期待が高まる。しかも2曲目は懐かしの"500 Miles High"である。ライブらしく,Airtoに大きくソロ・スペースを割いているが,音だけだとこれはやや冗長に感じてしまうのは仕方がないところである。Airtoの後にGomezのアルコ・ソロまで出てくる長~い(本当に長いのだ)導入部が終わって,曲メロが出てくる瞬間を待つこと約10分半,はっきり言って待ちくたびれる。肝腎のChickもシンセのソロの響きがしょぼいのが難点で,ここはRhodesだけで演奏した方がよかったように思える。
3曲目では何と"Waltz for Debbie"を演奏している。ここではChickがソフトなピアノ・タッチを聞かせて意外によいのだが,バックのAirtoのパーカッションが邪魔。曲が曲なので,ドラムスやパーカッションはもっと控えめにしてもらって,美しいピアノを楽しみたかったところである。こういう演奏を聞くと,元祖"Waltz for Debbie"におけるPaul Motianの偉さ(あの控え目さこそ美徳である)が痛感される。
次の"Desafinado"でもAirtoの訳のわからん喋りというか冗長なイントロに辟易とさせられるが,本編に入ればボサノバだけあって,これならAirtoも許せるという感じである。ボサノバといっても,結構ピアノとベースのユニゾンなどの「決め」もあって,ちょっと変わった"Desafinado"ではあるが,Airtoが歌い出すと途端にボサっぽくなるのが不思議なところである。それに続くのが"Sweet And Lovely"であるが,これは可もなく不可もなくという演奏。私にはこのアレンジは曲の魅力を落としているだけで全然いいとは思えないのが残念。
そして最後は本盤のハイライトとなるべき"Sometime Ago ~ La Fiesta"の黄金メドレーであるが,またまたここでAirtoのパーカッション/ヴォーカルによるイントロから入るのである。私にはここまでAirtoを立てる理由は見つからないし,演奏上,これが最善の選択だとは到底思えないのだ。はっきり言って,こんなパートはアルバム化する段階で,編集で省略するという選択肢もあったはずである。しかもここでの"La Fiesta"は昂揚感に乏しく,大した出来ではない。やはりこの黄金メドレーは本家"Return to Forever"の演奏でなければならないと強く感じるものである。
繰り返しになるが,この演奏はAirtoに花を持たせ過ぎた結果,冗長な部分が生まれてしまった(少なくともこの演奏で74分は過剰)という感が強いのは何とも残念である。ChickとGomezの相性は結構いいと思えるだけに,Airtoにドラムスまでやらせてしまったこの人選ミスは痛い。第1期RTFとはもう時代が違うのであって,Airtoはパーカッションに専念し,ドラマーはもっと優秀な人材を迎えた方がよかったのではないか。また,ライブの場での演奏が,繰り返し聞かれるCDで優れた演奏になるとは限らないのである。演奏は決して悪くないが,この演奏をリピートして聞くかと言えば,私に関して言えば「否」である。
期待が大きかっただけに評価が厳しくなるが,星★★★がぎりぎりである。
Recorded Live at the Berklee Performing Center on April 28, 2007
Personnel: Chick Corea(p, key), Eddie Gomez(b), Airto Moreira(ds, perc, vo)
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» Chick Corea Boston Three Party [JAZZとAUDIOが出会うと...]
チックコリアのトリオ連作シリーズの4枚目です。
しかし、ここのところのチックコリアの多作振りには、呆れるものがあります。
中略
それでも、チックコリアの作品となれば買わねばならぬ、聴かねばならぬと、律儀に箱を購入してくるんですから私も良いお客だなぁと呆れてしまいます(笑)
4枚目のこのアルバムは、メンツが
Chick Corea(P)、Airto Moreira(Ds)、Eddie Gomez(B)
で、ボストンでのライブです。演奏曲は以下の通りで、Bill Evans..... [続きを読む]
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TBありがとうございます。
こちらかもらTBさせていただきます。
あれだけ前面に出ているとアイアートをどう聞いたかで、評価がだいぶ変わりますよね
当初、「チックコリアのアルバムだーっ」と聞いていたら、私もかなり違和感ありました。
投稿: oza。 | 2008年1月27日 (日) 15時16分
oza。さん,コメントありがとうございます。
いろいろな方がこのアルバムのAirtoには違和感をおぼえているというのを拝見して,自分だけじゃなくてよかったと思いますが,何ごともやり過ぎはいかんということで...。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年1月27日 (日) 16時41分