藤原伊織:今度こそ最後か
5月に藤原伊織が亡くなって,当ブログでも「ダナエ」,「遊戯」の2作を紹介してきたが,今般,最後(今度こそ本当に最後だろう)の長編として,本作が発売になった。
タイトルにもあるとおり,「てのひらの闇」の主人公,堀江が約8年ぶりに再登場し,典型的なハードボイルドの世界を展開している。前掲の2作が短編集であり,藤原の長編への渇望感が強かった私であるから,この作品は大いに楽しめた。
最近の藤原伊織の作品に共通するパターンだが,業界ネタを使いつつ,かなりありえない展開を示すという感覚は本作でも強いし,やや説明不足の記述も残っている(特に殺人実行者の心の動きが掘り下げ不足である)。しかし,本作の推敲中に藤原が逝去したそうであるから,ある意味,不完全性には目をつぶらなければならないだろう。
それにしても相変わらずのストーリーテリングの妙と言うべきであろう。私はあっという間に読了してしまったが,ここまで読者を引き込む力はやはり立派である。うまい人は短編でも長編でもうまいのである。本作を読んでいて,「てのひらの闇」を再読したくなるのは私だけではないと思う。ここでも追悼の意味を込めて半星オマケして星★★★★☆。
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