"Thelonious Himself":この訥弁の魅力
"Thelonious Himself" Thelonious Monk(Riverside)
ジャズを聞き始めた頃,Thelonious Monkというミュージシャンは私にとっては結構敷居の高い人であった。背伸びをしてジャズを聞いている高校生にとっては,とにかくよくわからん人であった。そうした中で,最初に買ったMonkのレコードが"Monk's Music"だったのはまだ幸いで,これが"Brilliant Corners"だったら,敷居はもっと高くなっていただろう。
それはさておき,Bill EvansにRiverside4部作があるように,私は勝手に前述の2作とこの"Himself"を合わせて,"Riverside Trilogy"と呼んでいる。世の中でもMonkを代表する傑作群として挙げられるこれらのアルバムであるが,今その中でどのアルバムを選ぶかと言えば,私はこの"Himself"を挙げる。
Monkのピアノ・タッチはそれこそスタイリストと言うべきであって,その特性を理解するにはコンボよりもソロの方がいいという説もある。私にとっては,そうした難しいことを言う以前に,この「訥弁」とも言うべきピアノが感覚的に非常にしっくりくるのである。これは好みあるいは趣味の問題と言ってもよいが,とにかくこれが私にはフィットしている。よって,このアルバムをプレイバックする回数はほかの2枚に比べて圧倒的に多くなっている。もちろん,このアルバムを白昼に聴きたいとは思わない。あくまでも酒と一緒でなければならない。
ところで,私はかつてのMonkのピアノを聞いたとき,エリック・サティの書く曲のようだと思ったことがある。サティも癖のある曲を書く人だと思うが,Monkとの同質性を見出したのは,私がもっと純粋だった頃である。そのときの感想がそうだったのだから仕方がない。もちろんMonkがサティの影響を受けているとは思わないので,これはあくまでも感覚的なものに過ぎないが,どう感じようがリスナーの勝手である。若い頃はそう聞こえたのである。意見が違ってもその場合は"Leave Me Alone!"である。
閑話休題。Monkのピアノの訥弁の魅力に加え,このアルバムの魅力を更に大きくしたのが,最後に収められた"Monk's Mood"におけるJohn Coltraneとの共演であろう。この相性,確かに素晴らしい。Monkにここまで寄り添えるのはColtraneしかいない。この曲がエピローグのように,何とも言えない余韻を残すのである。ということで,私はLP時代はこのアルバムはほとんどB面しか聞いたことがないと今にして思う。
いずれにしても,どこから聞いてもMonkの個性に溢れたこのアルバムは傑作であり,100% Theloniousな作品である。星★★★★★。
Recorded on April 5 and 16, 1957
Personnel: Thelonious Monk(p) with John Coltrane(ts) and Wilbur Ware(b) on "Monk's Mood" only
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