Sonny Rollinsの芸風とマッチした"Isn't She Lovely"
"Easy Living" Sonny Rollins (Milestone)
何と言っても冒頭のStevie Wonder作"Isn't She Lovely"に思わず笑みがもれる。Sonny Rollinsは確かにジャズ界の巨人だが,彼のミュージシャンとしてのピークは50年代であって,60年代以降のアルバムには傑出したものはないと私は思う。そうした中でも,Rollins特有の非常に太いトーンで豪快にブローし続けてきたわけだが,アルバム単位で見れば超弩級の傑作は生んでいない。しかし,ジャズの楽しさのある意味で「伝道師」のような役割を果たしているのも事実であり,そうした特性と極めてマッチしているのがその"Isn't She Lovely"である。
はっきり言ってしまえば,バックの乗りはかなり軽い。George Dukeのキーボードも軽いが,ギターのCharles Icarus Johnsonからはジャズ的なトーンは全く聞くことはできない。しかし,Johnsonはもともとポップ畑の人だから仕方ないのである。ついでにBill Summersのコンガが更に軽さに輪をかけている。このアルバムではTony Williamsが全編でドラムスを叩いているのだが,"Isn't She Lovely"ではそのTonyさえも軽く聞こえる。しかし,それでもいいのである。曲自体が軽快なのだから,多少軽薄と言ってもよい伴奏でもOKである。Rollinsはそうしたバックに乗って,相変わらずのブローイングぶりである。2曲目の"Down the Line"になると,Tonyのドラムスがそれらしくなってきて,Rollinsを煽るような展開を示すのに呼応してここでもRollinsは好調である。ただ,この曲や終曲でのテナーのオーバーダビングが本当に必要なのかとややプロデュースに疑問も残る。また,2曲でソプラノ・サックスを吹いているが,Rollinsのソプラノはそれなりの味わいはあるのだが,やはりRollinsはテナー1本で行った方がいいようにも思える。
と言うように,何かと文句は結構つけているのだが,全体を見るとこのアルバムは佳作ぐらいには位置付けてよいように思える。やはり冒頭の"Isn't She Lovely"がアルバム全体のトーンを決定付けたということである。全6曲中4曲がミディアム以上のテンポであることも,このアルバムの乗りをよくしていると言えるだろう。このアルバムは決して腕組みなどしてシリアスぶって聞くようなものではなく,この楽しさ,軽快さに身を委ねればいいのだと思う。星★★★☆。
偉人Rollinsについて初めて書くのがこのアルバムというのはどうなのよという気もするが,それでもたまに聞きたくなるアルバムである。
Recorded on August 3-6, 1977
Personnel: Sonny Rollins(ts, ss), George Duke(key), Charles Icarus Johnson(g), Paul Jackson(b), Byron Miller(b), Tony Willimas(ds), Bill Summers(perc)
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