Peter Erskineのアメリカン・トリオの新作は完全スタンダード集
"Standards" Alan Pasqua/Dave Carpenter/Peter Erskine (Fuzzy Music)
既に異なったジャケット(まるでVenusレーベルのようなと言うべきか)で国内盤が発売されているPeter Erskineのアメリカン・トリオによる新作が輸入盤でもCDショップに入ってきた。発売元のFuzzy MusicはErskineのレーベルであるし,リーダーはErskineということだろうが,基本的には3人が同格のトリオと考えてよいだろう。本盤は,国内盤がジャケを変えた理由も納得できるような「何だかなー」なデザイン(そう言えば,このトリオによる2枚組ライブ,"Live at Rocco"のジャケも同じく「何だかなー」であったが...)であるが,音楽の質は高いので安心してよい。
私はErskineがECMレーベルでJohn Taylor,Palle Danielssonと組んだヨーロピアン・トリオも相当好きなのだが,このアメリカン・トリオも勝るとも劣らない魅力を持つバンドである。ヨーロピアン・トリオは時として,フリーなアプローチで迫ることもあるが,アメリカン・トリオはPasquaの美しいピアノを活かして,あくまでも美的な質感を打ち出したバンドである。
基本的にオリジナル指向であるはずのそうした彼らが,超有名曲(からそうでもない曲まで)を演奏することにまず注目するわけだが,確かにテーマはスタンダードでも,あとはいつもの彼らの演奏と言ってもよい。決して熱くなることはないが,クールで美しい質感に溢れたトリオである。Dizzy Gillespie作"Con Alma"なんて,全然"Con Alma"ぽくないし,最後の"I Could Have Danced All Night"はバラードにしてしまうしと,何とも一筋縄ではいかない。それでもピアノ・トリオ演奏として結構気楽に(聞き流しもOKである)楽しめてしまうのがこの人たちのいいところである。まぁ,どういうシチュエーションで聞くのが最適なのか迷うところもあるが,非常に美しい演奏の数々である。ただ,"Speak Low"という曲が好きな私にとっては,ここでのテーマ演奏はちょいとひねり過ぎて,今イチというところなのが残念。トータルでは星★★★★。
尚,本作は新しいテクノロジーを利用したマイクを使って録音されたらしく,妙に音がいいように感じるが,トリオのサウンドをバランスよく収録していて非常に好感度が高い。
Recorded on January 18 and 19, 2007
Personnel: Alan Pasqua(p), Dave Carpenter(b), Peter Erskine(ds)
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» 2つが引かれあって The Way You Look Tonight / Alan Paqua [JAZZ最中]
アラン・パスクアというかピーター・アースキンプレゼントとして出ているピアノ・トリオの新しいアルバムです。
このトリオ“Live at Rocco”と“BAdlands”という素晴らしいアルバムがあって、当然次が出れば買いでしょうが、なんかジャケは日本人のモデルさんの写真でスタンダード集、どこかの企画ものみたいだったらと心配になります。
しかし一番気になるピアノトリオですから、試聴すると最初の数フレーズで大丈夫そうです。
パスクアの本来の発音、アースキンの広がりのあるドラムス、カーペンターの安定したベ... [続きを読む]
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中年音楽狂さん、こんにちは、monakaです。こちらからもTBさせていただきます。
輸入盤ジャケが私のとまるで違うので、いつか間違えて購入しそうです。
投稿: monaka | 2007年9月17日 (月) 09時34分
ブラザー最中氏経由でやってきました。
>決して熱くなることはないが,クールで美しい質感に溢れたトリオである。
表面的に熱くなる感じではないのですが、アースキンの音を追いかけてるだけでも、結構、燃えますよね。
今更、秋深く、、もの想う私でした。
投稿: すずっく | 2008年11月 7日 (金) 16時49分
すずっくさん,こんにちは。コメントありがとうございます。
このアルバムもしばらく聞いていないので,Dave Carpenterを偲んで聞いてみます。確かに秋にぴったりかもしれません。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年11月 8日 (土) 11時04分