Marc Coplandの初リーダー作(のはず)
"My Foolish Heart" Marc Cohen (Jazz City)
私がひそかに(それほど大袈裟なことでもないが...)「新耽美派」と呼んでいるMarc Coplandであるが,その昔はMarc Cohenと名乗っていたことは結構よく知られている事実である。このアルバムは,旧名のCohen名義で日本のJazz Cityレーベルに吹き込まれた作品であるが,Jazz Cityというのはミュージシャンのセレクションからしても,結構ファンの多いレーベルである。本作はCoplandにとっての初リーダー作のはずだが,Coplandにそうしたチャンスを与えたことは,このレーベルの手柄として認識すべき事実である。
このレーベルの作品のよいところは,結構日本人好みのする制作姿勢が貫かれているところだが,この作品もBill Evans的なリリシズムに溢れているところが,我々の心の琴線をくすぐる。しかし,所謂Evans派に留まらない世界を聞かせているのが立派である。冒頭の"Snow Fall"から極めてリリカルな演奏で嬉しくなるが,それを助長させているのがJohn Abercrombieのギターである。Abercrombieは本作では4曲に客演しているが,Pat Metheny的な音色(Ornette Coleman作"When Will the Blues Leave"ではフレージング含め,顕著化する)を聞かせがら,リリカルに攻めている。
全体を通して,Coplandの資質は既にこの段階で開花していることがよくわかるアルバムである一方,スインギーに飛ばす"Walkin"や前述のColemanの曲なども弾けるところをちゃんとアピールしている。しかし,やはり私にとっては美しいタッチを聞かせる曲の方が楽しめることは事実である。やや甘さに流れ過ぎのようにも感じさせる部分もあるし,"Haunted Heart & Other Ballads"のようなストイックな響きには欠けるが,初リーダー作としては十分よくできた作品である。リズム隊も好演。星★★★★。
Recorded in June 1988
Personnel: Marc Cohen(p), Gary Peacock(b), Jeff Hirshfield(ds), John Abercrombie(g)
« 山中千尋の新作はやや欲張ったつくり | トップページ | "Thelonious Himself":この訥弁の魅力 »
「ジャズ」カテゴリの記事
- アルバムを聞いて,彼らのライブへの期待値が異常に高まるMessthetics & James Brandon Lewis。(2026.10.05)
- コレクターはつらいよ(3)(2007.12.30)
- 追悼,Oscar Peterson(2007.12.25)
- Dave Douglas:年末になって現れた素晴らしい作品(2007.12.26)
- 私も今年のベスト盤を...(2007.12.31)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: Marc Coplandの初リーダー作(のはず):
» My Foolish Heart/Marc Cohen (Copland) [ジャズCDの個人ページBlog(含むECM)]
ジョン・アバークロンビーのサイド参加作3日目。今回はマーク・コープランド(旧名マ [続きを読む]
« 山中千尋の新作はやや欲張ったつくり | トップページ | "Thelonious Himself":この訥弁の魅力 »













































































今、そろそろホームページの方も残りの過去盤聴きが少し減ってきたので、新譜がない時に聴いている最中です。マーク・コープランドのまとめて過去盤聴きもそのうちやる予定ですが、やはり初リーダー作にはいろいろ詰まってますねえ。いいメンバーで録音できたのも良かったのだな、と思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2015年1月12日 (月) 08時40分
910さん,おはようございます。TBありがとうございます。
確かにいいメンツですよね。Fred Herschに近い感覚で,私はMarc Coplandのホーン入りは苦手なんですが,このフォーマットであれば,彼の美的な感覚は十分感じられると思いました。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年1月12日 (月) 09時12分