Gaucho:録音技術の粋
私の知人のサックス・プレイヤーが「Gauchoを演奏する会」というイベントでこのアルバムの全曲を演奏したそうである。あいにく私はその場には立ち会うことはできなかったが,どんな演奏をしたのだろうか。後期Steely Dan(復活前である)と言えば,レコーディング技術の粋をつくしたアルバム制作を行っていたので,ライブでこうした精緻な演奏を再現することは彼らにとってももはや不可能な世界のはずである。それに敢えて挑むミュージシャン魂は,私の知人とは言え見上げたものである(彼だけではないが...)。
実は私はこのアルバムを単体で聞いているわけではなく,4枚組のSteely Danのキャリア総括ボックス"Citizen Steely Dan"のディスク4の一部として聞いているので,一曲毎のパーソネルはわからない(コレクティブではわかっている)のだが,前作"Aja"とほぼ同様のプロダクション体制のようであり,おそらく"Aja"同様の適材適所のミュージシャン配置が行われているはずである。中ではMark KnopflerとRick Derringerの名前が意外である。
一聴して,このアルバムは"Aja"のレコーディング技術を更に進化させていると言えるほど音の粒立ちがクリアである。このアルバムの初出は1980年。とても今から四半世紀以上前の録音とは思えない。
私としてはこのアルバムのゆるいグルーブも捨て難いのだが,音楽全体としては"Aja"や"The Royal Scam"の方に軍配を上げる。それを決めている要因は「曲のクォリティ」ということになる。やはり曲がちょっと地味なように思えるのが一番の理由である。あとはメリハリがやや希薄なことだろうか。まぁこれは究極のアダルト・オリエンティッド・ロックだと言ってしまえばそれまでだが。曲の魅力は今イチでも,演奏と録音のクォリティは恐ろしく高い。星★★★★。
ところで,タイトル・トラック"Gaucho"はFagen/BeckerがKeith Jarrettに捧げることを意図したものらしいのだが,曲をKeithの"Long As You Know You're Living Yours"から借用したのにKeithが怒って訴訟沙汰になり,結局は作曲者としてKeithもクレジットされるようになったそうだ。最初はSteely DanとKeith Jarrettの共作かと思って驚いたが,そういう事情らしい。ちょっとしたトリビアだが,ファンの間では常識?
Personnel: Donald Fagen(vo, key), Walter Becker(b, g), Don Grolnick(el-p), Joe Sample(el-p), Patrick Rabillot(el-p), Rob Mounsey(p, synth), Steve Khan(g), Hirum Bullock(g), Hugh McCracken(g), Larry Carlton(g), Mark Knopfler(g), Rick Derringer(g), Anthony Jackson(b), Chuck Rainey(b), Steve Gadd(ds, perc), Rick Marotta(ds), Jeff Porcaro(ds), Bernard Purdie(ds), Crusher Bennett(perc), Victor Feldman(perc), Ralph McDonald(perc), Randy Brecker(tp, flh), Michael Brecker(ts), Tom Scott(ts, as, cl, lyricon), George Marge(b-cl), Walter Kane(b-cl), David Sanborn(as), Ronnie Cuber(bs), Wayne Andre(tb), Nicholas Marrero(timbales), Patti Austin(vo), Lani Groves(vo), Michael McDonald(vo), Leslie Miller(vo), Tonie Wine(vo) Diva Gray(vo), Gordon Grady(vo), Frank Floyd(vo), Zack Sanders(vo), Valerie Simpson(vo)
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コメント
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知人です(笑)
Gauchoって確かに演奏と録音のクオリティはもの凄い高いですが、いわゆる超絶技巧の演奏だったり、変なサウンドエフェクトを使ったりというわけでもないので、何となくはコピーできます。但し、例えばグラマープロフェッションの「グルーブ」だとか、マイライバルの「雰囲気」だとかっていうのを再現するというのは結構至難の業だったりします。
今回のメンバーは所詮アマチュアの集団なので限界はあるわけですが、数回の練習で、普通のアマチュアバンドがやらないような「音楽の構造」再現までチャレンジして、「グルーブ」とか「雰囲気」とかを含めて再現し、結構いい演奏ができたと思います。ガウチョの途中吹かないところでバンドの音聴いててゾクゾクしたもんなあ。実はPAもそれなりの機材でプロの方にやってもらって、非常にいいバランスで音が出てました。
というわけで、そのうち「Gaucho全曲! 驚愕のサウンドボード音源!!」とか、「こんな映像が存在した!伝説の日比谷公園ライブ!!」とかが入手できるはずなので、お試し下さい。10月から受け渡しも簡単そうだし(笑)。
投稿: やぎ | 2007年9月15日 (土) 10時58分