Terence Blanchardによる映画音楽集
"Jazz in Film" Terence Blanchard (Sony Classical)
Jazz Messengers出身のと言っても最近はあまり意味がないようにも思うが,そのJM出身のTerence Blanchardが作り上げた映画音楽集である。映画音楽集と言っても,あくまでもジャズあるいはジャズ的な音楽が使われたものだけに限定されているので,「タラのテーマ」とか「エデンの東」とか「ジョーズ」とかをやっているわけではない(笑)。
収録されているのは「欲望という名の電車」,「チャイナタウン」,「地下街の住人」,「ある殺人」,「質屋」,「タクシードライバー」,「黄金の腕」に,Blanchardの自作「クロッカーズ」という渋いというか,なるほどというものばかり。一曲だけDuke Ellington作の"Degas' Racing World"というのは邦題のわからない(あるいは未公開か。いずれにしてもドガに関するドキュメンタリー・フィルムとライナーにはある。)ものを収めた全9曲である。演奏はかなりの長尺が多いが,アルバムを全体のトーンは相当ムーディと言ってよいだろう。これをジャズ・アルバムと言うことにはやや抵抗もあるが,このムード満点の演奏は評価してよい。私にとってこのアルバムはやはり夜の帳がおりてから,酒を飲みながら聞く音楽である。ややホーンのアンサンブルが分厚すぎるかな(あるいは過剰アレンジメント)と思わせる瞬間もあるが,それがまた映画音楽的と言えばそのとおりであり,おそらくはBlanchardはそうしたムードも重視したのではないかと思われる。トータルで言えば星★★★☆ぐらいと評価するが,繰り返すがムードは満点である。
尚,本作で注目されるのはメンツの豪華さである。詳しくは下記のPersonnelをご覧頂きたいが,このアルバムはKenny Kirklandにとって,最後期の演奏のはずである。Kirklandは98年の11月に亡くなったが,このアルバムは同年3月,4月の録音だからである。よってかどうかは別にして,このアルバムはKenny Kirklandに捧げられているのも当然である。Kirklandはここではほぼ助演に徹しているが,それにしても早逝が惜しまれるミュージシャンであると改めて感じざるをえない。
Recorded on March 17, 18 and April 7, 1998
Personnel: Terence Blanchard(tp), Joe Henderson(ts), Donald Harrison(as), Steve Turre(tb), Kenny Kirkland(p), Reginald Veal(b), Carl Allen(ds)
« ジャズの要素としてリラクゼーション | トップページ | 超豪華メンツによるFlora Purimのフュージョン作 »
「ジャズ」カテゴリの記事
- アルバムを聞いて,彼らのライブへの期待値が異常に高まるMessthetics & James Brandon Lewis。(2026.10.05)
- コレクターはつらいよ(3)(2007.12.30)
- 追悼,Oscar Peterson(2007.12.25)
- Dave Douglas:年末になって現れた素晴らしい作品(2007.12.26)
- 私も今年のベスト盤を...(2007.12.31)
「映画」カテゴリの記事
- 「ディスクロージャー・デイ」:少々陳腐なストーリーとも言えるが,それなりに見られる映画であった。(2026.10.10)
コメント
« ジャズの要素としてリラクゼーション | トップページ | 超豪華メンツによるFlora Purimのフュージョン作 »













































































以前、ヘンダーソン、タクシードライバー目当てにこのアルバムを買いました。(安かったのも手伝って)
お書きのように、メンバーは凄いですよね。
このメンバーで、この演奏。贅沢です。
投稿: 東信JAZZ研究所 | 2009年6月21日 (日) 14時10分
東信JAZZ研究所さん、こんばんは。先ほど、ロンドンに到着しました。外はさわやかですが、だる~い感じで、結構辛いです。年ですね。
この映画音楽集は確かに「タクシー・ドライバー」はよかったですね。もともとBernard Hermanが書いた曲が素晴らしかったっていう話もありますが、それにしてもナイスな選曲でした。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年6月22日 (月) 01時13分