Miles Davis:ほとんどフリージャズと化したLost Quintet
"Lost Quintet at Final" Miles Davis (Premier)
いつも言っていることだが,私はブートレッグを声高に推薦することはできるだけしたくないのだが,音源が結構貴重だったりする場合はその限りではないと思っている。本日紹介のCDも,明らかに英語として違和感のあるタイトルはいただけない(ブートレッグにはよくあることだが...)が,レコード会社が満たすことができない消費者の欲求を満たすものとして,敢えて紹介しよう。
今やMiles Davisのブートレッグはそれこそ山ほど(星の数ほどと言ってもよいだろう)出ているが,私の中では60年代後半から70年代の音源が興味の中心となっている。その中でも私を興奮させるのがMiles Davisの60年代後半のバンドだが,このバンドがLost Quintetと言われるのは公式のスタジオ録音が発表されていないことによる。はっきり言ってこれだけのバンドの音源が少ないというのはあまりにも惜しいことであるが,逆に言えば,スタジオ録音の枠にこのバンドをはめることが無理という気もする。それほど強烈なバンドである。
このブートレッグは既に発売されていた音源だが,ここで紹介しているPremier盤はCD-Rでなく,プレス盤というのが「売り」ながら,それは大したことではない(そもそもタイトルもそのままのCD-Rも既に流通している。ブートレッガーねずみ算である)。まずはこの音源を聞いてみればよい。冒頭の"Directions"から興奮の坩堝に叩きこまれること間違いなしである。Sonyからも"1969 Miles: Festiva De Juan Pins"等も発掘されているが,私はこのバンドをもっと聞きたいという欲求にかられる演奏である。バンド全員がよいのは当然だが,私は燃えるWayne Shorterの演奏というのはこのバンドでの演奏が白眉だと思う。Shorterが燃えれば,私も燃えてしまうのである。バックを支えるメンツもフロントの2人を煽りまくっている。CoreaもDeJohnetteももはやフリー・ジャズである。Milesはフリーから離れた位置にあったミュージシャンだと思うが,Milesのバンドが最もフリーに傾斜した瞬間がこのバンドのライブにあったと言ってよい。Sonyには音源が残っているはずだから,出し惜しみせずもっと出せと言っておこう。
しかしながら,このブートレッグの世界,一度はまると抜けられないアリ地獄のようなものである。くれぐれも真っ当な方々は,足を踏み入れる前に今一度よく考えた方がいい。私はこういうアリ地獄なら自分から身を投じてしまうが...。
Recorded Live in Rotterdam on November 9, 1969
Personnel: Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ts, ss), Chick Corea(el-p), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds)
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コメント
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中年音楽狂さん、こんにちは,monakaです。
このブート確かに凄いと想像します。1969が出たときの衝撃は私にとって凄いものでしたから、それを証明するか、上回るか、ただしやはり時代のあだ花みたいなもので、今の市場の常識に乗せられないので、話題には出来ないでしょうね。聞いてみたいけど。
投稿: monaka | 2007年8月29日 (水) 22時33分
monakaさん,こんばんは。コメントありがとうございます。私は1969音源よりもこちらの方が強烈だと思っています。疑問なのはソニーがなぜあの1969音源を優先したかです。これに比べれば,1969のMilestonesなんてゆるゆるに聞こえます。ご指摘のとおり,市場性という観点では疑問ですが,それを言ってしまえば,Tadd Dameronとのパリの1949年のライブだってどうなのよって話もありますよね。確かに微妙ですが。
投稿: 中年音楽狂 | 2007年8月29日 (水) 23時24分