Jack Wilkinsファン必聴のアルバム
"The Bob Brookmeyer Small Band" Bob Brookmeyer(Gryphon)
バルブ・トロンボーン奏者,Bob Brookmeyerの1978年発表のライブ盤である。リーダーの楽器も地味だし,演奏も別に華々しいわけではない。しかし何ともくつろげるアルバムではある。
このアルバム,なかなかのメンツ(ベース,ドラムスはBill Evans系列プレイヤーである)を揃えて,スタンダードにリーダーのオリジナルを交えるという構成でかなり楽しめる。しかしながら,本盤に私が注目したのは,リーダーのBrookmeyerには悪いが,全てはJack Wilkinsによるところ大である。一体日本にJack Wilkinsファンがどれぐらいいるのかはわからないが,ChiaroscuroやCTIへの吹き込みを通じて一時注目を浴びたことはあるが,結局はBrecker Brothersつながりでの注目という要素が強く,ご本人自体は決してメジャーになれない人である。これだけのテクニックを持っているのになぜなのかよくわからないのだが,私の感覚では,プロデューサーにあまり恵まれていないというのが正直なところである。上述のレーベルでの吹き込みはそれなりにしっかりとした制作が行われているが,その他のアルバムの中には???なものがあるのが辛い。それでも,私は彼の新作が出るとつい買ってしまうから,やっぱり私はWilkinsファンなのだろう。
本作はGryphonというマイナーながら良心的なレーベルのオーナー・プロデューサー,Norman Schwarzプロデュースで作品としてよく出来ているし,Wilkinsのギターが私にはリーダーのバルブ・トロンボーン以上に魅力的である。バックにしろ,ソロにしろ,これは大したギタリストだと思わせる演奏の数々である。
ただ,何と言ってもこの作品も存在は極めて地味であるから,世間の注目を集めるまでは至っていない。せっかくのよい作品なのに惜しい限りだが,CDで再発されただけでも喜ぶべきかもしれない。
評価としてはJack Wilkinsに対して星★★★★★(ファン心理込み)。作品としては星★★★★ぐらいだろうか。
Recorded Live at the Sandy's Jazz Revival, Beverly, Massachusetts, on July 28 and 29, 1978
Personnel: Bob Brookmeyer(v-tb), Jack Wilkins(g), Michael Moore(b), Joe LaBarbera(ds)
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