多くのギタリストにチャンスを与えたECMレーベル
"Dawn Dance" Steve Eliovson(ECM)
今や多数のカタログを擁するECMレーベルであるが,その歴史を振り返れば,多くのギタリストにチャンスを与えてきたレーベルだと思う。その中で今や最もメジャーになったのはもちろんPat Methenyであるが,そのほかにも多くのギタリストがECMレーベルを去来した。Steve Eliovsonもその一人である。
本作はEliovsonのECMレーベルにおける唯一の作品であり,全編をアコースティック・ギターで通したアルバムで,Colin Walcottが共演している。Colin Walcottと言えばOregonであるから,当然,このアルバムでもRalph Towner的な響きを想定することもできるが,雰囲気はかなり違う。これはEliovsonが全編でスチール弦を使っていることもある(Townerはスチール弦は12弦専門である)が,この多重録音を多用したアルバムにおいて,伴奏のアルペジオは指弾きと思われるのに対し,メロディ・ラインの演奏にはピックを使用した単音フレーズで対応していることがTownerとの雰囲気の違いであるように思える。また,メロディアスと言えばメロディアスなラインを紡いではいるものの,Townerのリリシズムの域には及ばないような気がする。
Eliovsonのギターは時に速弾き的フレーズも交えているが,基本的にはかなり落ち着いたトーンで美しい音楽を全編で聞かせており,フォークとエスニック・ミュージックとヒーリングが交じりあったような典型的ECMレーベルのサウンドになっていると言ってもよいだろう。ややハーモニクスの多用が気になると言えば気になるが,Walcottとの相性もよく,ECMレーベルの音楽を愛好するリスナーは必ずや気に入るタイプの音楽である。
但し,EliovsonによるECMレーベルでの作品が本作一作で終ってしまったこともあり,なかなか注目を浴びる機会の少ないアルバムではある。あまり目立つことはないとは言え,埋もれさせるには惜しい作品である。ジャケットはご覧のとおりの素晴らしさ。星★★★★。
Recorded in January, 1981
Personnel: Steve Eliovson(g), Colin Walcott(perc)
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