豪華なメンバーで録音されたAndy Summersのフュージョン作
"World Gone Strange" Andy Summers (Private Music)
Policeのギタリスト,Andy Summersのアルバムをジャズのカテゴリーに入れるのもどうかという話もあるが,これは1991年にリリースされた完全なフュージョン・アルバムなので,ジャズに分類することにする。
Police解散後はRobert Frippとの共演や,ジャズへの傾斜("Green Chimneys"というThelonious Monk集まで作ってしまった!)等,完全に趣味の世界を突っ走るAndy Summersであるが,最もフュージョン色が強まったのが本作及びこの前作である"Charming Snakes"だろう。Herbie Hancock,Bill Evans(saxの方)やMark Isham等が参加した"Charming Snakes"も捨て難いが,Mike Mainieriがプロデュースに当たった本作にはその筋の強者が集まっており,より完成度が高いように思える。
本作でSummers(g)を支えるリズム・セクションはMitchel Forman(key),Tony Levin(b),Chad Wackerman(ds)とかなり強力である。更にゲストとして,Eliane Elias,Victor Bailey,Nana Vasconselos,その他を迎えており,Mainieri(あるいはSteps Ahead)人脈を活かした豪華な布陣である。前作と異なり(1曲を除いて)ホーンが入っていない分,Summersのソロ・スペースが豊富になっており,Summersファンには嬉しいところである。
本作では全曲Summersが作曲しているが,一般のフュージョンよりもウェットな感覚が強く,その辺りがSummersらしいとも言える。本作を歴史的な名作とは言わないが,凡百のスムーズ・ジャズとは一線を画した快作であり,より多くのリスナーに注目して欲しい作品である。星★★★★。ただし,このアルバムはもはや廃盤となり,マーケットからは姿を消してしまったようだが,心配することはない。しょっちゅう中古盤でお目に掛かるので,入手はそれほど困難ではない。
ところで,余談だがこのアルバムが出た当時,私はAndy Summersのライブをニューヨークのタウンホールで見たことがある。そのときはMichael Brecker Bandとのダブルビルだったのだが,どちらかと言うとオーディエンスはジャズ寄りの人たちが多かったようで,一部でBreckerが引っ込んで,休憩後Summersがかなりロック・タッチの演奏を展開するや,ぞろぞろと客が帰っていったのが妙に印象に残っている(最初ほぼ満員だったのが,最後まで残ったのは3割ぐらいしかいなかったように記憶している)。決して悪い演奏だったとは思わないので,このアルバムのような演奏をすれば,もう少し聴衆に受けたのではないかと思うのだが,ややロック度が強すぎたかもしれない。こうした逸話からしても,Police解散後,ある意味日陰の道を歩み続けたSummersが,Police再結成に向かうのも致し方ない話なのかもしれない。
Recorded between May 21 and June 14, 1991
Personnel: Andy Summers(g), Mitchel Forman(key), Tony Levin(b), Chad Wackerman(ds), Eliane Elias(p, vo), Victor Bailey(b), Nana Vasconcelos(perc), Manolo Badrena(perc), Mino Cinelu(perc), Mike Mainieri(marimba), Bendik(ss)
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