感動的なMichael Breckerの遺作
"Pilgramage" Michael Brecker (WA/Emarcy)
去る1月に亡くなったMichael Breckerの遺作が発売された。メンツ的にはバラード・アルバム"Nearness of You"に近いが,それにしても豪華なメンバーが集ったものである。病魔と戦っていたBreckerを励まそう(あるいは鼓舞しよう)という美しいミュージシャンシップが感じられるではないか。
私がこのCDを聞いた環境にもよるのかもしれないが,Breckerのフレージングそのものには大きな変化はないように聞こえるものの,サックスの音圧がやや弱々しく聞こえるのは,Breckerの体調を考えれば致し方のないことかもしれない。また,これまでならBreckerのソロ・スペースがもっとあったであろうところに,共演者のソロが長くなっているのも仕方のないところである。しかしながら,死期の迫った人の音楽とは到底思えない出来を示しているのはさすがである。普通ならもっと「白鳥の歌」的な静謐な世界を演出してもよいようなものだが,敢えて急速調の曲を多くするところに私は強くBreckerの矜持(あるいは生への強い意思とでも言うべきか)を感じる。
いずれにしても,もう二度とBreckerのサックスを聞くことはできないと覚悟していたファンに,Breckerは命を削りながら大変大きな遺産を残したと言うこともできよう。そこに私は感動する。
バックを支えるメンバーもこれがBreckerとは最後かもしれないという気持ちがあったのだろう。相当気合の入った演奏を聞かせており,長尺曲の多いアルバム全体を盛り上げている。近年のJack DeJohnetteでは最も激しく叩いたのではないかと思わせるドラム,相変わらずのHancock,Mehldau,Methenyの強力なソロ,目立たないが素晴らしいバッキングを展開するPatitucciとどれもがBreckerに対するリスペクトを感じさせるものとして,ある意味音楽以上に感動を与える。
やや感情的になってしまったが,音楽に加えて,ミュージシャンたちが与えるくれる感動を含めてこのアルバムには星★★★★★を謹呈し,改めてMichael Breckerに対する哀悼の意を表したい。
尚,私はBrad Mehldauのコレクターなので,Mehldau参加アルバムは無条件に購入しているが,本アルバムへのMehldauの参加は,このアルバムのプロデューサーにMethenyが名を連ねていることから,おそらくはMethny/Mehldauプロジェクトの延長線上でのものではないかと想像している。BreckerとMehldauは既にCharlie Hadenの"American Dream"で共演経験はあるが,やはりここでは上記の経緯と考えるのが妥当のように思う。
Recorded in August, 2006
Personnel: Michael Brecker(ts), Herbie Hancock(p, key), Brad Mehldau(p), Pat Metheny(g), John Patitucci(b), Jack DeJohnette(ds)
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