Doobie Brothersの洗練の極致
"Livin' on the Fault Line" Doobie Brothers (Warner Brothers)
私はDoobiesの最高傑作は前期は"Stampede"で,後期は1977年にリリースされたこのアルバムだと思っていると書いたのは随分前のことだ。今日は後期(再編前)のDoobiesにとって,なぜこれが最高なのかを書いてみたい。
このアルバムには"What a Fool Believes"のような特大ヒットは含まれていない。"Little Darling"は結構ヒットしたが,彼らのキャリアの中ではやはり"Minute by Minute"の影に隠れてしまったアルバムという位置付けにあることは事実である。しかし,このアルバムの曲や演奏のクォリティは私は"Minute by Minute"より高いと感じる。
本作はMichael McDonald加入以降のロック,ソウルのミックス具合を極限まで高めたアルバムであり,そこにジャズ的なセンスも加わって,サウンドの洗練度が高いことは冒頭の"You're Made That Way"のMcDonaldによるフェンダー・ローズのイントロから明らかになる。その後に続く楽曲群においても,リズム・アプローチにしても,挿みこまれるソロにしても,とても"China Grove"や"Listen to the Music"を歌っていたバンドのものとは思えないほどのソフィスティケーションを示しているのである。
曲はどれを取ってもよい出来であるが,McDonaldとCarly Simonの共作"You Belong to Me"やタイトル・トラックなどしびれる出来である。特にこのタイトル・トラックのフュージョン的アプローチには驚かされるが,途中で出てくるVictor Feldmanによるヴァイブ・ソロとそのバックのリズム・フィギュアが最高である。このサウンドは西海岸的と言うよりも,ニューヨーク的と言った方がよいかもしれない。ジャケットにサンフランシスコのTransamerica Towerの写真が使われていることだけが,Doobiesを西海岸のバンドだと思わせると言っては言い過ぎか。
このアルバム,カントリー的な終曲"Larry the Logger Two-step"がアルバムとしてのバランスを崩してがっくり来るが,ほかがあまりによいので,ちょいと甘いが星★★★★★である。
こんなアルバムに「運命の掟」なんていう訳のわからぬ邦題をつけるセンスを疑うが,ある意味本作は真のアダルト・オリエンティッド・ロックであり,もはや前期Doobiesの豪快なアメリカン・ロックの世界ではない。一時病欠していたTom Johnstonが本作では全面的に復帰しているが,もはやこのバンドに彼のいる場所は全くなく,このアルバムでもほとんどその存在をアピールできていない。よって,本作を最後に正式に脱退したことは当然のことである。
Personnel: Patrick Simmons(g, vo), Tom Johnston(g, vo), Jeff Baxter(g), Michael McDonald(key, vo), Tyran Porter(b), Keith Knudsen(ds, vo), John Hartman(ds) with Bobby LaKinde(conga, vo), Dan Armstrong(el-sitar), Norton Buffalo(hca), Victor Feldman(vib), Rosemary Butler(vo), Maureen McDonald(vo)






























































































最近のコメント