"Aja" Steely Dan (ABC)
Steely Danの”Aja"を制作した頃はもはやバンド形式を停止し,Donald FagenとWalter Beckerだけになっていたわけだが,バンドを維持しなくても,ここまで一貫して洗練されたアルバムを作り上げてしまうことにまずは驚かされるアルバムである。
この洗練度を支えているのが,適材適所のミュージシャンの選択であろう。何と言っても,全7曲のアルバムに6人のドラマーが参加しているのが凄いが,全曲を通して聞けば,なぜこのドラマーでなければならないのかがわかるし,ドラマーの個性の違いを聞くだけでも楽しめる。
また,このアルバムを語るときに常に引合いに出されるのが,タイトル・トラックにおけるWayne Shorterのテナー・サックス・ソロであるが,まさにこれもWayneにしか吹けないものだろう。しかもソプラノに傾斜していたWayneにここまで凄いテナー・ソロを取らせてしまうのがすばらしい。
更に,彼らのこだわりがよくわかるのが,”Deacon Blue"におけるLee Ritenourのコンプレッサーを聞かせたバッキングである。あの音は当時のRitenourの代名詞のようなものであるが,それだけのためにRitenourを呼んでいるとしか思えないのである。こうなると完全に「オタク」的なこだわりと言われても仕方がないが,出来がいいのだから誰も文句はつけられない。
また,あまり語られることはないかもしれないが,このアルバムの洗練度を上げた功労者として,Tom Scottのホーン・アレンジメントが挙げられる。私が聞いたロック・アルバムでこれほど粋なホーン・セクションはほかにない。
ということで,このアルバムは様々なミュージシャンがそれぞれの特性を活かし,アルバムに最適な貢献を示すことによって,歴史に残る粋なアルバムとなった。ある意味で究極のレコーディング芸術として星★★★★★である。
Personnel: Donald Fagen(vo, key). Walter Becker(b, g) with Larry Carlton(g),. Lee Ritenour(g), Jay Graydon(g), Steve Khan(g), Dean Parks(g), Chuck Rainey(b), Joe Sample(key), Victor Feldman(key, perc), Michael Omertian(key), Paul Griffin(key), Don Grolnick(key), Paul Hamphrey(ds), Steve Gadd(ds), Bernard Purdie(ds), Rick Marotta(ds), Ed Greene(ds), Jim Keltner(ds), Wayne Shorter(ts), Tom Scott(sax), Peter Christlieb(ts), Tim Schmit(vo), Michael McDonald(vo) and others
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