ケルン・コンサート:これが本当に即興なのか...
"The Köln Concert" Keith Jarrett (ECM)
Keith Jarrettにとっても,ECMレーベルにとっても最大のヒット作と言ってよい作品である。"Facing You"以来,前人未到のソロ・ピアノの世界へと歩み出したKeithが1975年に吹き込んだライブ盤だが,この美的感覚は録音以来30年以上を経過した今でも不変である。
あまりにもジャズ喫茶でのリクエストが頻発し,このアルバムに食傷してしまったリスナーが多いのも事実であるが,好き嫌いは別に,この演奏の持つ美しさは真っ当に評価せざるをえないだろう。ここではもちろんKeithのピアノが主役なのだが,一方でこの美的感覚を支えているのがMartin Wielandのエコー処理を含めたエンジニアリングと言える。ピアノの響きだけでは多分こうはならない。
いずれにしても,あまりによく出来た演奏ゆえにこれが本当に完全即興で演奏されているのかという声もあるし,特にアンコールで弾かれるPart IIcは作曲されたものと言っても通じるぐらいである。非常に有名なPart Iも途中からはフォーク/ゴスペル・タッチなどが即興的に出てきているのをうかがわせるが,冒頭の4音は本当に即興ですかと言いたくなるほど決まりすぎである。
このアルバムはその後のECMレーベルのカラーを決定付けたと言っても過言ではないし,レーベル活動を支える資金源となったという点で,ECMレーベルのファンとしてはこのアルバムに感謝せざるをえないだろう。そういった意味で星★★★★★とする。
告白してしまえば,若い頃は実は私はKeith嫌いのChick Corea好きで通っていたが,今や私にとってはKeithの方がはるかに重要なピアニストとなっている。その契機となったのは決してこのアルバムではないのだが,今でもたまにこのアルバムを聴くとやはり心地よい。万人に受け入れられうる美的音楽として推薦する。
Recorded on January 24, 1975, in Köln, Germany
Keith Jarrett (p)
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Kouml;ln Concert はボクがはじめて買ったジャズのLPレコード。忘れもしない1979年6月に京都河原町の駸々堂(もうないよね)の隣りの清水 レコード(だったかなあ,これもない)。三条の十字屋で売り切れだったから。梅雨の中。爾来31年以上ジャズを聴いているのだから...... [続きを読む]

































































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