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2020年11月28日 (土)

バルトークの弦四を聞いて思ったこと。

_20201127 "Bartok: String Quartets Nos.1-6" Alban Berg Quartet(EMI)

在宅勤務が続いて,気まぐれでクラシックを聞く機会も増えた私だが,今日はバルトークの弦四である。私がこのアルバムを聞いていつも思うのはバルトークの音楽の「スリリングな響き」ってところか。

私は真っ当なクラシック音楽のリスナーではないので,普通の人の感じ方とは合致しない部分があるという前提で言うが,感覚的に言ってしまうと,大概の場合,バルトークを聞いていると私は何とも言えない高揚感をおぼえるのだ。それは今回聞いている弦四でもそうだし,管弦楽曲曲でもP協でもそうなのだ。私の中の血をたぎらせるという感覚がバルトークの音楽にはついて回る。

それは私が変態な証拠だと言われれば反論の余地はないのだが,モーツァルトやベートーヴェンと異なる感覚を私にいつももたらしてくれると言っても過言ではないのだ。いつ聞いてもバルトークの音楽に反応してしまうのは,バルトークのヴァイオリン・コンチェルトが異常なまでに好きだった父の「血」なのかもしれないが,好みは遺伝するってのを強く感じてしまう。せっかくなので,明日は東京クァルテットで全集を聞いてみようかな(笑)。あるいは同じAlban Berg Quartetで「ハイドン・セット」にするか...。

今回は全集全部を聞いてないので星はつけないが,やっぱり好きだわ,バルトーク。と思いつつ,こういう機会ってなかなかなかったなぁってところで,在宅勤務に感謝だな(爆)。

2020年11月27日 (金)

Karrin AllysonがJohn Coltraneの”Ballads”にトリビュートしたアルバム。

_20201123-4"Ballads: Remembering John Coltrane" Karrin Allyson(Concord)

これは実にユニークな企画アルバムである。このアルバムが出たのは2001年のことなので,これももう20年近くが経過しているのだが,この企画性にはびっくりさせられたのも懐かしい。なぜならば,このアルバムの最初の8曲はJohn Coltraneの"Ballads"通りの順番で歌われ,そこにもう3曲,Coltrane関連の曲が加わるというタイトルに偽りなきトリビュート・アルバムなのだ。

そういうアルバムであるから,11曲中8曲にサックス奏者が加わる。それがBob Berg,James Carter,そしてSteve Wilsonなのだからこれまたユニークなメンツと言ってもよいかもしれない。それを支えるリズム・セクションがJames Williams,John Patitucci,そしてLewis Nashという布陣はかなり魅力的である。

歌手にとってはバラッドばかりを歌うというのはかなりチャレンジングなことだと思うのだが,ここでのKarrin Allysonは健闘している。クセのない声は私でもOKって感じだが,ここでやっぱり気になるのはサックス・プレイヤーの吹きっぷりってことになってしまうのは仕方ないところ。Bob Bergは”You Don't Know What Love Is"と"What's New"でソロを取るが,いかにもBob Berg的なプレイで,抑え気味の演奏を聞かせて実にいい感じである。James Carterは実力者ではあるのだが,ここでのプレイぶりには,個性が出過ぎて,私にはやり過ぎのように思えたのは残念。先の二人がテナーを吹くのに対し,Steve Wilsonはソプラノでの参加である。Steve Wilsonは実に控えめに,ヴォーカルのバックにはこれぐらいがいいのかもと思わせる吹きっぷりである。

正直言って,これは企画アルバムであるがゆえの難しさもあり,まぁこれを聞くならColtraneの"Ballads"聞いてりゃいいじゃんと思うのも筋である。だが,こうした企画に敢えて取り組んだことを評価すべきものだと思う。面白い取り組みであることも評価して星★★★☆。もう少し,Bob Bergのテナーの活躍の余地を増やしてくれたら,私個人としてはもっとよかったかもしれない。

Recorded on November 6, 7, 8 & 12, 2000

Personnel: Karrin Allyson(vo, p), James Willissams(p), John Paritucci(b), Lewis Nash(ds), Bob Berg(ts), James Carter(ts), Steve Wilson(ss)

2020年11月26日 (木)

心地よく時が流れていくDiana Krall

_20201123-3 "When I Look in Your Eyes" Diana Krall(Verve)

このブログには何度も書いているが,私はあまりジャズ・ヴォーカルを聞かない。なので,Diana Krallがいくら人気があるからと言って,彼女のアルバムが出ても,必ず買うということはしていない。だが,現代において,誰しもが納得するような歌唱を聞かせるジャズ・ヴォーカリストはDiana Krallをおいてほかにないと私は思っている。とにかくこの人の声も魅力的なら,歌唱も心地よいのである。本作はリリースから20年以上経過しているものの,その間に私が何度プレイバックしたかは疑問なのだが,久しぶりに聞いてもこのアルバムはいいと思えた。

その要因は,ほぼ半数の曲で入るJohnny Mandelがアレンジしたストリングスが実に素晴らしいのと,コンボだけで演奏したものはそういう曲だと思えるように,実にうまくプロデュースされているのだ。グラミー賞ってのはどういう選出基準?って思わせることもあるのだが,ここでの演奏,歌唱を聞けば,ベスト・ジャズ・ヴォーカルに選出されるのはうなずける話である。主題にも書いたように,このアルバムをプレイバックしていれば,心地よく時間は流れていくこと必定。"I've Got You under My Skin"のような曲におけるDiana Krallの歌唱と,Johnny Mandelのストリングスの混ざり具合なんて,極上のイージー・リスニングと呼んでもよいかもしれない。それに続く"I Can't Give You Anything But Love"の小粋さなんて実に大したものである。このバランス感覚がいいのである。そしてボートラとして最後に入っている映画"True Crime"の主題歌,"Why Should I Care"が全く違和感ないのも凄いことである。

Diana Krallのような歌い方は,本当に実力がないとできないだろうと思うが,彼女にはギミックなんて一切不要だとつくづく思ってしまった。あまりにも心地よかったので,今後はプレイバック頻度が上がるかもなぁ。こういうアルバムを日頃放置していることへの反省も込めて,星★★★★★としてしまおう。

Personnel: Diana Krall(vo, p), Russell Malone(g), John Clayton(b), Ben Wolfe(b), Jeff Hamilton(ds), Lewis Nash(ds), Larry Bunker(vib), Peter Christlieb(ts), Alan Broadbent(p), Chuck Berghoffer(b)

2020年11月25日 (水)

増尾好秋の"Sailing Wonder":これまた懐かしいねぇ。

_20201123-2 "Sailing Wonder" 増尾好秋(Electric Bird)

キング・レコードがフュージョンのアルバムを制作すべく立ち上げたのがElectric Birdレーベルだったが,ライナーにも書かれている通り,これがその第1作。レーベルの立ち上げを祝うべく,結構豪華なミュージシャンが参加したアルバムである。時は1978年。私は高校生か~(笑)。

私はこのアルバムを購入したのは後付けのことであるが,最後に収められているSonny Rollinsに捧げて書かれた"Viento Fresco"は,増尾好秋が渡辺貞夫のFM番組「マイ・ディア・ライフ」でセッションしていて,エア・チェック(死語!)したあテープをプレイバックしながら,それをギターでコピーしていたような記憶がある。と言っても,その頃私が持っていたのはヤマハのアコギ一本で,アコギでそれをコピーするのは手こずったはずだなぁ。

それはさておきである。これは典型的なフュージョン・アルバムであるが,曲ごとにミュージシャンo入れ替えはあるものの,そのゲスト陣はかなり豪華。Dave GrusinやStuffの面々はわかるとして,ここになぜかMike Nockの名前を見つけるのは意外な気がする。しかも弾いているのはシンセサイザーってのが,Mike NockというとECMの"Ondas"を思い出してしまう私には意外感が強いのだ。

そしてタイトルやカヴァー写真からも想像されように,テーマは「海」のコンセプト・アルバムと言ってもよいかもしれないが,あまり難しいことは考えなくても,結構楽しめる。曲調もさまざまな増尾オリジナルであるが,1曲,ベースのT.M. Stevensと共作となっている"Kirk Out"がファンク風味が強い。これは私の想像ではベースのリフがT.M. Stevensによるものではないかと思えるが,そうしたファンク度合いが生まれたのはT.M. Stevensゆえってところだろう。

まぁ,リリースから40年以上経っているので,時の流れは感じさせる音ではあるが,私としては同時代の音として楽しんでいる。星★★★★。私はアルバムとしては次作の"Sunshine Avenue"の方がまとまっていると思うが,そっちもそのうちアップすることにしよう。

Personnel: 増尾好秋(g, synth, perc),Eric Gale(g), Dave Grusin(synth), Richard Tee(p, org, key), Mike Nock(synth), Gordon Edwards(b), T.M. Stevens(b), Steve Gadd(ds), Howard King(ds), Al Mack(ds), Bachiri(perc), Warren Smith(perc), Shirley Masuo(vo), Judy Anton(vo)

2020年11月24日 (火)

Eurythmics:私にしては珍しいかもなぁ。

_20201123 "Ultimate Collection" Eurythmics(RCA/Sony)

ロックに関しては私の音楽的な嗜好はアメリカに偏っているが,ブリティッシュも全然聞かない訳ではない。ビッグネームは当然として,Scritti Pollittiなんてかなりのファンであるし,このブログにもたまにブリティッシュ・ロックは登場している。それでも,80年代以降のブリティッシュ・ロックについては,一部を除いて積極的なリスナーとは言えないのだ。特にパンクやシンセ・ポップみたいなのはあまり聞かないので,Eurythmicsについても記事を書いたことはない。それでも,Annie Lenoxの声は魅力的だと思えるし,Dave Stewartのアルバムも取り上げたことがあるが,気まぐれ的にごく稀にしか聞かないってのが実態である。

まぁ,それでも80年代を駆け抜けたって感じの彼らの活動はFMを通じて聞いていたが,アルバムはこのベスト盤しか持っていない。このアルバムは2005年にリリースされたものだが,よくあるパターンとして,(当時の)新曲を2曲追加したセレクションである。だが,私が積極的な彼らの音楽のリスナーではないこともあり,知っている曲は限定的。反応できるのは”Sweet Dreams (Are Made of This)"と"Here Comes the Rain Again"ぐらいではないか。しかも,この2曲,実に曲調が似ていて,私にとってのEurythmicsってのはこういうイメージで出来上がっているって感じだろう。あとはいろいろなところで,イントロや冒頭部が使われていた"There Must Be an Angel (Playing with My Heart)"か。ここではStevie Wonderがハーモニカを吹いていたのねぇ。誰が聞いても一発でStevie Wonderとわかるのも認識していなかったんだから,このアルバムも大して聞いていないことがバレバレ。

改めてこのアルバムを聞いて,彼らの音楽性はより幅広いものだということはわかるし,Annie Lenoxの声はやはり魅力的だったと思える。だが,私の中でのポジションが上がらないのは偏に私の音楽的な好みによるもの。私はシンセ・ポップ的なノリよりも,ビートを強調した曲に魅力を感じてしまう。Aretha Franklinを迎えた"Sisters Are Doin' It for Themselves"なんかいいねぇ。それはAretha Franklinの磁力なのかもしれないし...。ということで,私は決して彼らのよいリスナーではないが,それでも楽しめるアルバム。星★★★★。

2020年11月23日 (月)

Boz Scaggsの懐かしのベスト盤のリメイク・ヴァージョン

_20201121_20201123002101 "Hits!" Boz Scaggs (Columbia)

もともと1980年にリリースされたBoz Scaggsのベスト盤に5曲追加した新ヴァージョンである。私の場合,"Silk Degrees"を最初の出会いに,Boz Scaggsの音楽には結構はまったクチであるが,こうして改めてベスト盤を聞いていると,粒よりの曲揃いであり,懐かしさがこみ上げてくると言わざるをえない。

人生,何年も生きていると,その時々の記憶と音楽が重なることも出てくる訳だが,私にとっては,陳腐な言い方を承知で,苦い思い出も,甘い思い出もBoz Scaggsの音楽と連動することがあるのだ。だからと言って,今回,このアルバムを聞きながら回顧モードに入った訳ではないが,それでもやっぱりそういう風に思ってしまうことがある。

ここで新たに追加されたのは"Hard Times","Slow Dancer","Harbor Lights","It's Over",そしてオリジナルが出た1980年にはまだリリースされていなかった"Herart of Mine"の5曲。私にとって,Boz Scaggsの最高の名曲は”Harbor Lights"だと思っているので,この追加は当然と思えた。やっぱりいい曲である。また,"Silk Degrees"以前の"Slow Dancer"や"Dinah Flo"も改めていいねぇと思わせてくれた。

改めて,Boz Scaggsは私の中での重要ミュージシャンだったのだと感じさせられたひと時であった。そうした位置づけも踏まえ,星★★★★★。

2020年11月21日 (土)

夜になるとSamson Françoisのショパンを聞き続ける私...(笑)。

Samson-franois "The Chopin Recordings" Samson François(EMI)

在宅勤務中の昼間は結構なボリュームで音楽をプレイバックしている私だが,家人が帰宅した夜になると,比較的おとなしく音楽を聞いている(笑)。そんな私がここのところ,夜になると続けざまに聞いているのがこの10枚組。Samson Françoisによるショパンのレコーディングをほぼ網羅したボックスを,私は相当お買い得価格でゲットしたと記憶している。

そもそも私は真っ当なショパンの音楽のリスナーではない(きっぱり)。ArgerichやPolliniが弾いたショパンのアルバムは保有しているが,それ以外はほとんど保有していない(更には聞いていない)ぐらいのものである。あとはPeter Serkinがあったか。だから私がショパンの音楽について語る資格は正直ないのだが,私にとってショパンの音楽に接するにはこのボックスが最適と言ってもよいというか,それしか手段がない。もちろん,ストリーミングでもいろいろなショパンの音楽は聞けるだろうが,クラシック音楽をストリーミングで聞く気にはならないってのが正直なところだし,それほどショパンの音楽に対する思い入れもないのだ。そういうこともあって,邪道と言われるかもしれないし,それはいくら何でも...と言われるかもしれないが,私にとってはショパンの「標準」はこのSamson Françoisの演奏なのだ(笑)。

古い録音だけに音がどうのこうのという話もあるが,私は全然気にならない。どこから聞いても実に素晴らしい演奏集であることに間違いはあるまい。どう考えても星★★★★★である。

これを聞いていると,Samson Françoisが弾いたシューマンってどうったんだろうと猛烈に気になっている,実は意外にも結構シューマン好きの私(爆)。

Personnel: Samson François(p)

2020年11月20日 (金)

Deacon Blueの新譜が出ていたのを全く知らなかった...。

_20201118 "City of Love" Deacon Blue (ear Music)

昨今は音楽に関する情報収集があまりちゃんとできていなくて,Deacon Blueが新作を出したことさえ気づいていなかった。ショップに行く機会もあまりないし,ネットでもDeacon Blueを取り上げた記事にはとんと出会ったことがないから仕方がないとは言え,結構私としては贔屓にしてきたバンドの動静はちゃんとフォローすべきだった。ということで,遅ればせながら彼らの新作をゲットした。

私はこのブログで,彼らの近年の作品を非常に高く評価してきた。2012年("The Hipsters",14年("A New House"),16年(”Believers")と彼らのアルバムを私は年間ベストに選んでいることからすれば,私が彼らにどれほどまいっているかはおわかり頂けるだろう。私の乏しい表現力では「瑞々しい」としか言いようのない彼らのポップ・センスは実に素晴らしく,今回の新作にも期待するのが当然なのである。とか言いながら,彼らのライブ・アルバムをブログにアップしていないのはなんでやねん?と言われれば抗弁の余地はないが...。

それはさておきである。この新譜においても,冒頭のタイトル・トラックから彼ららしい音楽センスが出ていて,今回も期待したくなってしまった。しかし,徐々にそうした感覚が薄れていった感じがするのはなぜだろうか。一言で言ってしまえば,曲の魅力がイマイチって感じなのだ。今回,この記事を書くために,何回かプレイバックしたのだが,上述の3作に感じたような高揚感に乏しい。もろ手を挙げて「最高~っ!」とは言えないのである。

実はこのアルバムを聞く前に,リーダー,Ricky Rossのソロ・アルバム,"Pale Rider"や,Deacon Blueのベスト盤をCDやストリーミングで聞いていたのだが,そっちは実にいい感じだったところの反動が大きかったようにも思える。だが,私にとっては期待値が異常に高いバンドであるだけに,本作はちょっと残念というのが正直なところである。星★★★☆。でも好きなんだけどね。

Personnel: Ricky Ross(vo, p, key), Lorraine McIntosh(vo, perc), James Prime(key, vo), Dougie Vipond(ds, perc), Gregor Philp(g, key, vo), Lewis Gordon(b, g, vo), The Pumpkinseeds(strings), Colin Smith(pedal steel), Andrew Mitchell(g, b)

2020年11月19日 (木)

リリースから40年を経過しても鮮烈なArgerichのバッハ。

_20201116"J.S. Bach: Toccata In C Minor BWV 911; Partita No.2 In C Minor, BWV 826; English Suite No.2 In A Minor, BWV 807” Martha Argerich(Deutsche Grammophon)

私がクラシック音楽を聴き始めたのは高校に入ってからだと思うが,このアルバムが出たのは1980年だから私の浪人中のことである。実際に買ったのは大学に入ってからかもしれないが,今でもこのアルバムは私の中で,数あるMartha Argerichのアルバムの中でも屈指のものと思っている。

一方で,彼女の弾くバッハは聞く人によってはこんなのはバッハじゃないと思われるかもしれない。確かにこの躍動感はバッハの一般的な響きとはちょっと印象が異なるかもしれないのだが,それでもこの鮮烈さにまいったと思ったことは,それからどれだけの年月が流れようとも,私の中では変わらない。私はGlenn GouldやSviatoslav Richter,あるいはAndrás Schiff の弾くバッハだって好んで聞いている訳だが,彼らとは明らかに違う個性を打ち出しているところを感じてしまうと,これはやはり強烈な演奏だったのだと思う。

躍動的で完璧なアーティキュレーションという意味で,こんなバッハは二度と出てこないのではないかとさえ思ってしまえる傑作。今聞いても実に素晴らしい。星★★★★★。昔,私はこれをドイツ盤のアナログで保有していたのだが,今はCDである。しかし,改めてアナログで聞いてみたくなってしまった私である(無駄遣いの予感:爆)。

Recorded in February, 1979

Personnel: Martha Argerich(p)

2020年11月18日 (水)

Wilson Bros.: AORの極みみたいな...。

_20201115-2"Another Night" Wilson Bros.(Atco)

兄弟デュオによるAORというと,私なんかはついついAlessiとなってしまうのだが,これまた典型的というか,定冠詞付きのAORみたいなアルバムである。ジャケットもその雰囲気満点である。

もともとはソングライター・チームらしいこのWilson兄弟だが,この所謂AOR的なサウンドに痺れた私の世代は多いのではないかと思う。私の場合はこのアルバムが出た1979年頃は,ジャズか,典型的なアメリカン・ロックもしくはシンガー・ソングライター系の音を好んで聞いていた頃なので,本作に関しては結局は後追いで聞いたものだが,これは万人受けするAORって感じで,こういうのが嫌いだって人はそんなにいないだろう。

このアルバム,何かというとSteve Lukatherのギター・プレイがどうのこうのと言われることが多いのだが,Lukatherのプレイがこのアルバムに付加価値をもたらしたことは否定しないとしても,そればかり言われるのはWilson兄弟にとってはどうかなって思ってしまう。歌唱,演奏,そして曲としてはちゃんとできているのだから,Lukather抜きでも評価してもよいはずである。そうは言っても,Boz Scaggsno"Middle Man"でさえ,Steve Lukather抜きでは語れないことを考えれば,それも仕方がないのも事実なのだが,それにしてもこれはよくできたAORである。

リリースから40年以上経ってもこういう音楽は古びた感じがしないと思うのは,私が同時代人だからなのかもしれない。確かに現代の音作りとは違うものかもしれないが,テクノロジーに依存しなくてもちゃんと音楽は生き残るってことを感じさせるナイスなアルバム。星★★★★。それにしても,こういうアルバムにKenneth Buttereyの名前を見つけるのは意外な気もするが,結局何でもできるドラマーだったってことである。

Personnel: Steve Wilson(vo, g),Kelly Wilson(vo, g, key), Steve Lukather(g), Jon "Git" Goin(g), Steve Gibson(g),Shane Keister(key),Bob Wray(b), Jack Williams(b), Kenneth Buttrey(ds), Farrell Morris(perc), Ernie Watts(ts, ss), Denny Henson(vo), Diane Tidwell(vo), Donna Sheridon(vo), Lisa Silver(vo), Sherri Kramer(vo)with the Shelly Kurland Strings, Billy Puett(ts, bs, fl, recorder), Dennis Good(tb), Don Sheffield(tp)

2020年11月17日 (火)

Rickie Lee Jonesの内省的な響きもありながら,ナイスなアルバム。

_20201115 "Traffic from Paradise" Rickie Lee Jones(Geffen)

私は最新作"Kicks"以外は,ほぼ全てのRicke Lee Jonesのアルバムを保有しているはずである。それぐらい好きというか,彼女が"Pop Pop"の頃に来日した時には,確か中野サンプラザだか五反田の簡易保険ホールだかに見に行ったように思う。ただ,私の中では長年聞いていても,結局はWarner時代が好きだってことになってしまう。もちろん,その後のアルバムも悪くないのだが,特に最初の2作が良過ぎたって気がしている。私がライブを見に行った時も,もう少しバンド・サウンドを強調してもいいのではないかと思ったように記憶していて,その辺りからは,アルバムは買うものの,積極的に聞くって感じは薄れていったように思う。

だが,このアルバムを久しぶりに聞いて,このアルバム,こんなによかったかと思ってしまった私である。このアルバムを買った頃,私はLeo Kottkeの参加に驚いたものである。Leo Kottkeの名前に反応する好き者も減っているのではないかと思うが,私は若い頃,彼のアルバム,"My Feet Are Smilin'"を聞いてぶっ飛んだ記憶も生々しい。このブログを始めて間もない頃,そのアルバムも取り上げている(記事はこちら)が,まさにショッキングな音だったのである。

そんなLeo KottkeとRickie Lee Jonesは簡単に結びつかない訳だが,ここではLeo Kottkeは伴奏に徹するって感じである。だが,このアルバムの翌年,Rickie Lee JonesはLeo Kottkeの”"Peculiaroso"を返礼的にプロデュースしているから,おそらくは頼み込んで演奏してもらったってところではないか。しかし,そうしたバックの演奏にも注目しようがしまいが,このアルバムは結構いい出来である。

冒頭の"Pink Flamingo"は内省的なスタートであるが,徐々にシンガー・ソングライター的な魅力を感じさせるものとなっていて,今の私にとって,フィット感にあふれるものとなっていた。私のCDラックにはこういう音楽がまだまだいくらでもあるのだろうと感じさせたということで,反省も込めて星★★★★☆。まぁ,サウンドとしては相当渋いので,全米チャート111位が最高ってのも仕方ないかなって気もするが,売れりゃいいってものではないのだ(きっぱり)。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, g, key, mandolin, dulcimer), Alex Acuna(ds, perc), David Baerwald(g), Sal Bernardi(g, vo), Bobby Bruce(vln), Brad Dutz(perc), David Hidalgo(g, vo), Jim Keltner(ds), Leo Kottke(g, vo), John Leftwich(b, cello, g, vo), Lyle Lovett(vo), Doug Lyons(fr-h), Dean Parks(g), Brian Setzer(g, vo), Syd Straw(vo), Efrain Toro(perc), Teresa Tudury(vo)

2020年11月16日 (月)

私にとっての今井美樹の原点

_20201112 "Ivory II" 今井美樹(For Life)

私がこのブログで取り上げる日本のポップス・シンガーは極めて限定的なのは読者の皆さんならご存じのはずであるが,数少ない例外が今井美樹であることは間違いない。今でも今井美樹が歌ったYuming集や"I Love Piano",そしてこのアルバムは私のCDラックの中でも優遇された位置に置かれているのだ(笑)。

私が今井美樹がいいねぇと思ったのは多分NYC在住中の頃である。友人の家に今井美樹が出ていた「あしたがあるから」のビデオがあって,それを見ていて思ったのが主題歌である"Piece of My Wish"のよさだったのだ。それがずっと記憶に残っていて,帰国後,このベスト盤が出た時に購入したのが1993年のはずである。その頃はまだ,今や今井美樹を象徴する曲となった"Pride"のリリース前であるが,そんなことは関係なく,私はこのアルバムに痺れてしまったのであった。

私が今井美樹に魅力を感じてしまうのは,彼女の声や歌唱はもちろんだが,イメージにフィットした曲を選んでいるということだと思う。このポップな感覚は万人受けすると思うが,私にとっても極めて高い訴求力で迫ってくる。加えてかまやつひろしが書いた"Tea for Two"のボサ・ノヴァ・タッチにだってピッタリなんだから,全く文句の言いようがないのだ。

今でも今井美樹のアルバムが出ると買ってしまう私だが,全部が全部いいとは思わないとしても,今でも魅力的な歌手だと思う。特にレア・グルーブ的なノリは特にいいと思っている。いずれにしても,私にとってラッキーだったと思うのは,彼女の音楽との出会いが本作だったということだろう。これは実によくできたベスト・アルバムであり,今でも十分魅力的に響く。久しぶりに聞いたが,現在でも十分通用するナイスなアルバムである。星★★★★★。

やっぱり原初的な体験は重要だよねぇとつくづく思った私である。そして上田知華の書く曲はよかったなぁと改めて感じた。

2020年11月15日 (日)

久々に聞いた”Barry Harris in Spain”。渋いねぇ。

_20200903 ”Barry Harris in Spain" Barry Harris(Nuba)

ベテラン,Barry Harrisは現在も存命で,12月には91歳になるそうである。そんなBarry Harrisが還暦の頃吹き込んだのが本作である。実はこのアルバムも聞くのはかなり久しぶりって気がするが,このアルバムを聞いていて,ピアノのエコーの掛かり具合が結構いいのかなぁなんて感じていた私である。穏やかな感じなのだ。

音はさておき,全7曲中,5曲をBarry Harrisのオリジナルが占めるが,この人の書く曲がなかなかに魅力的。そして演奏は冒頭の”Sweat Pea"からして渋い。Barry Harrisはバッパーとして捉えられていると思うが,いかにもバップ的になるのは3曲目の”Line of Fire"になってからであり,それまでは実に落ち着いたトーンでありながら,魅力的なフレーズを聞かせる。こういうアルバムを聞いていると,ついつい酒の量も増えるって感じである。この"Line of Fire"がいかにもBud Powell的なのがBarry Harrisの出自をうかがわせるが,まさにバップの世界である。

そうした中で,私はスタンダードのうちの1曲である”Strike up the Band"って曲があまり好きではないのだ。別に悪い曲だというつもりはないのだが,これはJudy GarlandとMickey Rooneyの元気な歌にフィットするものであって,私はジャズ的な響きを持つメロディだと思えない。結構この曲を演奏しているアルバムはあるものの,いつもなんでこの曲を入れるんだと思ってしまうのだ(爆)。しかし,ここでの演奏は不思議と許せる。これはやはりBarry Harrisの落ち着いたピアノのトーンゆえってところで,正直これはいいと思えた。この曲はこういう風に弾けばいいのねって感じと言っては言い過ぎ化もしれないが,本当にそう思ったのだから仕方がない。

ということで,バックの面々も好演で,これは悪くない。まぁ,ジャズっぽいゴリゴリ感はないので,そこが評価の分かれ目って気もするが,私はリピートに耐えうる佳作と評価したい。星★★★★。

Recorded on December 5, 1991

Personnel: Barry Harris(p), Chuck Israeks(b), Leroy Williams(ds)

2020年11月14日 (土)

Chuck Mangione:売れたよねぇ(笑)。

_20201107-2 "Greatest Hits" Chuck Mangione(A&M)

Chuck Mangione,懐かしい名前である。非常に長いキャリアを持つChuck Mangioneであるが,かつてはJazz Messengersにも在籍していたというのには笑ってしまうが,当時出したアルバム"Buttercorn Lady"のピアノはKeith Jarrettだったというのだから,これまたおかしい。私は"Buttercorn Lady"は聞いたことはないはずだが,ストリーミングで聞いてみるのも一興だろう。

そうは言いながら,Chuck Mangioneのキャリアで最も輝いていたのはA&M時代,そしてこのベスト盤に収められている曲がリリースされた75年から81年ということになるが,その中でもやはり"Feels So Good"の大ヒットが大きかった。シングルもアルバムもチャート・アクションはよかったから,この曲がChuck Mangione最大のヒットであることに異論をはさむ余地はない。売れたシングルは大幅に短縮編集されているが,ここに収められたアルバム・ヴァージョンは9分35秒もあり,プレイヤーのソロも収められていて,私はこっちの方がはるかに好きである。それに次ぐのがほぼ"Feels So Good"の路線を踏襲しながら,やや哀愁度を高めた”Give It All You Got"ってところか。

このベスト盤を聞いていると,Chuck Mangioneの音楽は実に聞きやすいものであり,それなりに人気が出るのも理解できる訳だが,その一方で,これはジャズってよりも映画音楽的な響きもあるなぁって感じである。実際,映画「キャノンボール」のテーマ曲もあるしねぇ。そして聞いていて,私は心地よい眠りに落ちたことは書いておかねばなるまい。まぁそういう音楽として楽しめばいいのであって,この人の音楽には小難しいことを言っても仕方がないってところだろう。

このベスト盤は結構な佳曲揃いであることを評価して星★★★★。個別のアルバムに手を出す気はないが,これは持っていても損はないと思っている。

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