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2019年おすすめ作

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2021年10月18日 (月)

Marc Johnsonのベース・ソロ・アルバム。ジャズ的な響きがあって実によい。

_20211017 "Overpass" Marc Johnson(ECM)

ECMレーベルにはベーシストによるソロ・アルバムというのが結構存在する。これは総帥Manfred Eicherが元々ベーシストだからというところもあるとは思うが,これだけベース・ソロ・アルバムを作っているレーベルというのはECMをおいてほかにあるまい。私のようなECMレーベル好きにとってはそれほど抵抗はないとは言え,一般的なジャズのリスナーにとってはベース・ソロのアルバムは多少なりとも敷居が高いことは間違いないと思う。かく言う私だって,少なからずビビる(爆)。

だが,このMarc Johnsonのベース・ソロ・アルバムはそこかしこにジャズ的な響きが感じられ,小難しいところがないので,比較的受け入れやすいはずである。そもそも本作の制作はMarc Johnson本人と奥方のEliane Elias,そして録音はサンパウロである。Manfred EicherはExecutive Producerとクレジットされているので,持ち込み音源,もしくはMarc Johnsonにお任せでEicherが作らせたものって感じか。しかもミキシング・エンジニアは何とPat Metheny GroupのSteve Rodbyである。

このアルバムがジャズ的だと思わせるのは冒頭から"Freedom Jazz Dance",そして"Nardis"と続いて敷居が下がるところもあるが,3曲目にアルコとピチカートの多重録音で演じられる"Samurai Fly"は,懐かしや"Bass Desires"で演じられた"Samurai Hee-Haw"ではないか。これだけで嬉しくなってしまうリスナーも結構多いと思える。更にそれに続くのが「スパルタカス 愛のテーマ」ときては,ちゃんとジャズのリスナーを意識して作っているということがはっきりすると言ってもよい。

前半4曲が比較的馴染み深い曲を並べ,後半4曲はそれほど認知されていないであろうMarc Johnsonのオリジナル(新曲?)を並べるという構成だが,選曲はさておき,全編を通してMarc Johnsonのベースの音が実に魅力的に捉えられているのが素晴らしい。Marc Johnsonのベースはテクニック云々を越えて,この音でリスナーを魅了するのだと言いたくなるような音である。演奏だけでなく,音そのものも評価すべきアルバム。繰り返しのプレイバックに耐えるのはこの魅力的なベース音ゆえだと言いたい。星★★★★☆。

Recorded in January and February, 2018

Personnel: Marc Johnson(b)

2021年10月17日 (日)

またもブートの話。今日はBob Bergの放送音源。

_20211016 "More Standard" Bob Berg(Bootleg)

私はBob Bergが相当好きなので,ブートでも出来がよければ聞いてみたいと思ってしまう。このブートは,アルバム"Another Standard"のコンセプトでライブを行った時の放送音源だが,"Another Standard"のハードボイルドな世界に痺れた人間としては,やはりこれは注目するのが当然である。

放送音源なので,フランス語の放送でのコメントが重なるが,まぁそれはよしとしよう。なきゃないに越したことはないが,ここはこの演奏を聴けることの方が嬉しい。そして,これが"Another Standard"同様,超ハードボイルドである。Beatlesの"Michell"だろうが,お馴染みのスタンダードだろうが全くお構いなしで,Bob Berg節が炸裂である。はっきり言ってこれはエグい。私から言わせれば,Bob Bergはこうでなくてはいかん(きっぱり)。

上述の通り,一部曲の途中に喋りは入るし,最後の"I Could Write a Book"はインコンプリートではあるが,そんな瑕疵を上回る興奮を感じさせるBob Bergの強烈ブロウである。今にして思えば,Bob BergとDavid Kikoskiというのはこういうブイブイ言わせる演奏では本当に相性がよかったと思えるので,レギュラーでの活動も聞いてみたかった。

まぁ,ブートレッグなので,大手を振って推奨という訳にはいかないが,Bob Bergのファンの方なら間違いなく興奮するはずだ。やっぱりこの人が事故で早逝したのは惜しかったと言わざるをえない。

Recorded Live at Cully Jazz Festival on March 24, 1999

Personnel: Bob Berg(ts, ss), David Kikoski(p), Ed Howard(b), Victor Lewis(ds)

2021年10月16日 (土)

Ketil BjørnstadとDavid Darlingに触発されてGouldの「バード/ギボンズ集」を聴く。

_20211015 "A Consort of Musicke bye William Byrde and Orland Gibbons" Glenn Gould(Columbia)

昨日取り上げたKetil BjørnstadとDavid Darlingの"The River"のライナーには,一部の曲はバードとギボンズの音楽に触発されて書いたという記述があった。バードとギボンズの音楽については,私はこのGouldのアルバムと,Simon Prestonの"Early English Organ Music"の一部としてしか音源を保持していないから,正直言って馴染みは薄いのだが,Gouldのアルバムはそのバードとギボンズの曲だけで構成されていて,ついつい聞きたくなってしまったのであった。

もともとはヴァージナル(チェンバロ)のための音楽として書かれたこれらの曲をGouldのピアノで聴くということは実に感慨深い。そもそもGouldが残したレコーディングにおいて,バッハ以前の音楽はこれだけだというのだから,ますます貴重ということになるが,実に淡々と弾いている感覚が強い。

そもそも,現在私が保有しているGouldの音源はこれ以外は全てバッハなのだが,どうしてもこのアルバムだけは手放すことができないと言ってよいぐらい好きなアルバムである。とは言っても,これを聴くのも実に久しぶりだが(爆)。常に才気を感じさせるGouldのバッハに比べると,上述の通り,あっさり感すら覚えるが,これが実に味わい深いのである。バッハの演奏とは比べるべきではないと思うが,それでも十分に星★★★★☆には相当するだろう。

Ketil Bjørnstadがバードとギボンズのどこにインスパイアされたかはさておき,改めてこのアルバムを聴く機会を与えてくれたことはよかったと思う。

Personnel: Glenn Gould(p)

Recorded on May 26, June 14, 15,1967, on August 1, 1968 and April 17 & 18, 1971

2021年10月15日 (金)

Ketil BjørnstadとDavid Darlingによる超美的なデュオ。たまりまへん。

_20211013-2"The River" Ketil Bjørnstad and David Darling(ECM)

今年の1月にDavid Darlingが亡くなった際に書いた追悼記事で,私は彼の音楽が「心の平安をもたらすのに役立つ」と書いた。David DarlingがKetil Bjørnstadとのデュオで作り上げたこのアルバムも例外ではない。実に静謐にして美しい。ささくれ立った心さえ落ち着かせるであろう音楽である。本作は全曲Ketil Bjørnstadの作曲によるものなので,主体はKetil Bjørnstadであることは間違いないのだが,David Darlingの貢献は極めて大きいとまず言っておく。

ライナーにKetil Bjørnstadが一部の曲は,後期ルネッサンスの音楽を研究,演奏しながら,Byrd,Gibbonsという英国ルネッサンス期の作曲家にインスパイアされたと書いているのが面白い。確かにそういう感じはない訳ではないとも思えるが,そういうことはあまり気にしなくても,この美しい音楽に没入すればいいと思える。あるいは没入しなくても,そこに流れているだけで環境と一体化するアンビエント・ミュージック的なところも感じることもできる。

この音楽は集中して聞くこともできれば,仕事をしていようが,読書をしていようが,勉強をしていようが,ながら聞きをしていても全く邪魔にならないという音楽である。これをジャズと呼ぶかと言うと微妙なところはあるが,ECM的な美学が表出したアルバムとして,これを聞いたのも実は久しぶりだったのだが,大いに楽しんだ私であった。星★★★★☆。

ByrdとかGibbonsという名前が出てきてしまっては,Glenn Gouldが弾いたByrd/Gibbons集を聞かずにはいられないな(笑)。

Recorded in June, 1996

Personnel: Ketil Bjørnstad(p), David Darling(cello)

2021年10月14日 (木)

実に懐かしいFlying Diskレーベル期のフュージョン音源を集めたナベサダのベスト盤。

_20211013 ”The Best" 渡辺貞夫(Flying Disk/JVC)

私がジャズを聞き始めたのが1977年頃であったが,所謂モダン・ジャズの超名盤と並行して,当時流行し始めていたフュージョン,当時の言葉で言えばクロスオーバーでジャズの世界に入っていったと言ってもよい。クロスオーバー音源で言えば,最初期に買ったアルバムがナベサダの"My Dear Life"であり,Al Di Meolaの"Elegant Gypsy"であり,そしてLee Ritenourの"Gentle Thoughts"あたりであった。そうした音楽はやはり何とも懐かしい響きを持つものだ。

そしてこのベスト盤は,当時のFlying Diskレーベルから出たナベサダのクロスオーバー系音源だけを集めたコンピレーション。私の年代のリスナーならばおそらくは相当数の人が聞いた音に違いない。収められているのはアルバム"California Shower","Morning Island","Autumn Blow","My Dear Life"からのセレクション,そして当時のベスト盤に新曲として収められた"Nice Shot"である。

どれもが懐かしい音源であるが,今,改めてこれらの音源を聞いてみると,ナベサダとDave Grusinというのはいいコンビだったなぁと思う。バックを支えるメンツも魅力的で,私がバックのミュージシャンの名前をチェックするなんてのは,この頃から始まっていたなぁと感じてしまう。それにしても,これらの音源から40年以上経過しても,ナベサダがいまだ現役というのは誠に凄いことである。

今にしてみれば,そんなに凄い音楽だとは思わないとしても,同時代を過ごした人間にとっての「ナツメロ」と言ってもよく,「ナツメロ」には「ナツメロ」のよさがあるのだと言いたくなってしまう。しかし,時間を経過してもそんなに古臭いって感じがしないのは大したもんだと思うが,それは同時代人の贔屓目かもなぁ...(笑)。いずれにしても,企画がはっきりしたいいコンピレーションだと思う。星★★★★。

Personnel: 渡辺貞夫(as, sn, fl), Dave Grusin(key, perc), Patrice Rushen(key), Don Grusin(key), Lee Ritenour(g), Jeff Mironov(g), Eric Gale(g), Bobby Bloom(g), Chuck Rainey(b), Francisco Centeno(b), Anthony Jackson(b), Marcus Miller(b), Harvey Mason(ds), Steve Gadd(ds), Buddy Williams(ds), Paulinho Da Costa(perc), Rubens Bassini(perc), Steve Forman(perc), Roger Squitero(perc), Ernie Watts(ts), Marvin Stamm(tp), Alan Rubin(tp), Oscar Brasher(tp), 福村博(tb),George Bohanon(tb), Tony Studd(tb), George Young(as), Michael Brecker(ts), Ronnie Cuber(bs) with strings

2021年10月13日 (水)

典型的なECM的響きと言ってよい"Dis"。

_20211012 "Dis" Jan Garbarek(ECM)

久しぶりにこのアルバムを聞いた。いかにもあの頃のECMの響きである。Jan Garbarekのサックスに加わるのが,Ralph Townerというのが私にとっては実に魅力的な組合せな訳だが,そこから出てくる音は,当時のレーベル・カラーそのものみたいな音と言ってよい。

そこに加わるWindharpってのがまたECMらしい。自然に吹く風によって弦を鳴らすというこの楽器を,Jan Garbarekの音楽に絶妙にミックスしてしまうところに,ECMの美学炸裂って感じである。このWindharp,またの名をエオリアン・ハープとも言うらしいが,ここに絡むRalph Townerの12絃ギターの響きが,Ralph Towner好きにはたまらないものである。ある意味,Ralph Townerのリーダー作と言っても通用する。

私としては音楽としてどうのこうの以前に,こういう響きを聞かせてもらうだけで星★★★★★である。もちろん,これは典型的なジャズではないから,聞く人によっては???な音楽だろうが,実にユニークかつ美しい音楽であることは保証したい。たまらん。

Recorded in December, 1976

Personnel: Jan Garbarek(ts, ss, w-fl), Ralph Towner(g), Den Norske Messingsekstett(brass) with windharp

2021年10月12日 (火)

「あけてくれ!」は名エピソードであった。

Photo_20211012000801

BSで放送していた4Kリストア版の「ウルトラQ」の放送は先日終了したが,その最終回のエピソードが「あけてくれ!」であった。今となってはよく知られているが,そのストーリーの特異性,と言うよりも,全く子供を相手にしていないストーリーゆえに,本放送では結局放送を見送られ,再放送で初めて世に出たというエピソードである。

脚本は小山内美江子,演出は円谷一によるこのエピソード,中年の悲哀みたいなものすら感じさせてしまうなんて,年齢を重ねればわかるだろうが,子供にはわかる訳がない(きっぱり)。子供が喜ぶのはロマンスカーが空を飛び,電車や車が飛び交う地下世界の描写ぐらいのものだろう。だが,大人になって見返すと,ケムール人のエピソード「2020年の挑戦」で刑事を演じた柳谷寛が再登場なんてことにも気づいて嬉しくなってしまうが,「あけれくれ!」は子供番組と言うより,完全に「トワイライト・ゾーン」のノリであった。

「ウルトラQ」という番組は怪獣モノもあれば,ファンタジーもある一方,私を含めて当時の子供を震え上がらせた「悪魔っ子」や,この「あけてくれ!」のようなエピソードが混じりあって,実にユニークな番組だったなぁなんて改めて思ってしまった。4Kにリストアされて,結構画像は綺麗になっていたと思うが,こうなったらブルーレイの「総天然色ウルトラQ」でまた見直すかなんてことも考えた私である。「このあけてくれ!」もブルーレイの着色版はまだ見たことがない(苦笑)。まぁ,好みのエピソードとそうでもないエピソードは確実にわかれるのだが,今回,全エピソードを見直したら,やっぱり面白い番組であった。本放送を見ていた世代ということで懐かしいのもあるが,時代を象徴する番組だったんだなぁと改めて思った次第。「あけてくれ!」は当初予定されていたという番組タイトル,「アンバランス」の名のもとに放送された方がしっくりくるな。

2021年10月11日 (月)

Michael Hedges:素晴らしい音と響きである。

_20211008-2 "Aerial Boundaries" Michael Hedges(Windham Hill)

Michael Hedgesである。この音楽はカテゴライズするならば,ニューエイジなんだろうなぁと思いつつ,私のブログにはニューエイジのカテゴリーはないので,違和感はありつつもジャズと分類してしまおう。まぁ,Wihdham Hillレーベルのアルバムもスウィング・ジャーナルに取り上げられていたのだから,まぁそれもよかろう。

Michael Hedgesはテクニシャンである。変則チューニングにタッピングを交えて,どうやったらこう弾けるのなんて思ったのも随分前のことだが,このアルバムに関してはそうしたテクニック的なところよりも,比較的穏やかにさえ思えるMichael Hedgesのギターに耳をすますべきアルバムだと思える。テクニシャンであることを忘れさせるような響きがとにかく心地よい。凄いことをやっているのだろうが,テクニックを感じさせずに聞かせるところにこのアルバムのよさがあるのだ。

私のような年代のリスナーは,Neil Youngの"After the Gold Rush"が出てきた瞬間,もろ手を挙げてよしとせざるをえない。そしてここで,Mike Manringのフレットレス・ベースにメロディ・ラインを弾かせるという演出には,嬉しさとともに何とも言えぬ落ち着きを感じさせられて,これがまたいいと思ってしまうのだ。ライブ盤では歌も歌ってしまうMichael Hedgesだが,私は歌なしの方がいいかな(笑)。

いずれにしても,これを至高の名盤とか言うつもりはないのだが,人生にある種の潤いを与えてくれるものの一つとして評価したい。星★★★★☆。これを聞くにつけ,Michael Hedgesの早逝はもったいなかった。

Personnel: Michael Hedges(g), Mike Manring(b), Mindy Rosenfeld(fl)

2021年10月10日 (日)

「タワーリング・インフェルノ」を何十年かぶりで観た。

Towering-inferno 「タワーリング・インフェルノ(”The Towering Inferno”)」('74,米,Fox/Warner Brothers)

監督:John Guillermin

出演:Steve McQueen,Paul Newman,William Holden,Faye Danaway,Fred Astair,Jennifer Jones,Susan Blakely, Robert Vaghn,Robert Wagner

私が映画館通いを一番していたのは中学生時代のことであったが,当時2大スターの共演ということで大きな話題になったのがこの作品である。しかもFoxとWarnerというメジャー2社が組んでの作品ということもあったし,当時多かったパニック映画の一本である。それを先日BSで放送されていたのを録画しておいて,久しぶりに再見となった。私は劇場でこの映画を一回はロードショーで,二回目は二本立てで観たはずだ。その後,ビデオで1回は再見していると思うが,それ以来なので,少なくとも30年近くぶりぐらいで観たって感じか。

何せPaul NewmanとSteve McQueenという二枚看板であるから,クレジットにおける名前の出し方にも苦労が感じられるのも懐かしかったが,今見ると,やっぱり顔見世的な要素が強いと言うか,脚本には苦労したんだろうなぁと思わせる部分がある。まぁ,こういう映画なので小難しいことを考えずに見ていればいいと思いつつ,2大スターには見せ場を設けつつ,カッコよさげなのはSteve McQueenの方だったなぁと今更ながら思ってしまった。

オールスター・キャストなので,所謂「グランドホテル」形式的人間模様を織り込むがゆえに,尺も長くなり2時間45分になってしまったが,もっとコンパクトに作ろうと思えばできただろうっていうところはある。まぁそれでもFred Astairってこの映画でも軽妙だったなぁと思わせる部分もあって,そういうところはちゃんと評価する必要はあると思う。それでも今にして思えば,次から次へとハラハラさせるシーンを挿入しようという意図が見えてしまっているのがStirling Silliphantの脚本の弱さと言わざるをえない。「ポセイドン・アドベンチャー」と同じ線っていうのがはっきりしてしまっているのが難点なのだ。

子供の頃はワクワクして見た映画も,こうして年齢を重ねて見ると,大したことはなかったなと思いつつ,ほとんどのシークエンスは覚えていたのは劇場で二回見たせいだろうな。でもまぁ今となっては星★★★☆ってところが妥当だろう。少なくともPaul Newmanにしても,Steve McQueenにしてもこれよりいい映画は確実に存在するからねぇ。まぁ,悪くはないんだけどね。

2021年10月 9日 (土)

全くもって素晴らしいDavid Bowieのライブ・アルバム。

_20211007"Welcome to the Blackout(Live London '78)" David Bowie(Parlophone)

このアルバムがリリースされて,3年以上経過しているが,私が入手したのは結構後になってからのことである。私はそれなりにDavid Bowieのアルバムは保有しているが,リリースされた頃は別に買わなくてもいいかなんて思っていた。しかし,ストリーミングでこのアルバムを聞いて,あまりのカッコよさにこれは保有すべきだと思って購入に至ったはずである。遅ぇ~よと言われればその通りだが,見逃すにはあまりに惜しいと思えた。

本作は1978年のライブ音源なので,"Heroes"と"Lodger"の間ぐらいのタイミングである。ある意味,David Bowieが最も尖っていた時期と言ってもよいかもしれない。本作もいきなり"Low"からの"Warszawa"でスタートである。このミステリアスな感じのスタートから"Heroes"になだれ込む興奮はロックならではの高揚感。この時,David Bowieは31歳ということで,ロッカーとしては丁度いい年齢ということもあるが,麻薬禍からも立ち直ったDavid Bowieの姿をヴィヴィッドに捉えた実に素晴らしいライブ・アルバムである。

私は一度だけDavid Bowieのライブを観る機会に恵まれたが,あの時は「戦場のメリークリスマス」の頃で,全くDavid Bowieに興味になさそうな聴衆もいたように記憶している。チケットを取るのに大いに苦労した"Serious Moonlight Tour"と題された”Let's Dance"期のライブであったが,あれはあれでカッコよかったとしても,ロッカーとしての魅力はこのライブ・アルバムの方がより示しているように思う。UtopiaのRoger Powellも入ったバック・バンドはタイトそのもので,そっちも聞きどころ十分と言ってよい。星★★★★★。

Recorded Live at Earl’s Court on June 30 and July 1, 1978

Personell: David Bowie(vo, chamberlain), Carlos Alomer(g, vo), Adrian Belew(g, vo), Sean Mayes(p, key, vo), Roger Powell(key, synth, vo), Simon House(vln), George Murray(b, vo), Dennis Davis(ds, perc) 

2021年10月 8日 (金)

Dave Brubeckの「日本の印象」:日本人にとってはこのジャケがハードルを高くする...(笑)。

_20211006-2 "Jazz Impressions of Japan" Dave Brubeck Quartet(Columbia)

再三再四書いているが,私はPaul Desmondは心底好きだが,Dave Brubeckへの思い入れが一切ない人間である(きっぱり)。そうは言いながらColumbiaのDave Brubeckのボックス・セットはPaul Desmond聞きたさで保有している。このボックスにも何枚か入っているが,彼らには「XXXの印象」ってアルバムがあるが,これもその一枚。Dave Brubeck Quartetが来日した時の印象を曲としてまとめたものである(1曲を除く)。

正直言って思い込みみたいなところがあるのは承知の上で,やっぱりこのジャケットを見ると,それだけで買おう,あるいは聞こうと思わなくなってしまうリスナーが多いのではなかろうか。

しかしながら,そうした印象は音楽を聞けば,「ほぼ」思い込みだってことがはっきりする。まぁパーカッションの使い方には,誤ったオリエンタリズムを感じる部分がない訳ではない。しかし,メロディ・ラインについてはジャケから想像するような誤った感覚はほとんど感じられない。まぁ,Brubeckのピアノが琴の音色にならったと思わせる"Koto Song"のような曲もあるが,これはオリエンタリズムと言うより,琴という楽器に対する印象の強さって感じがする。

なので,このアルバムは別に変に意識せずに聞けばいいと思える出来だし,何よりも曲ごとのエピソードを記したライナー・ノーツを見ていると楽しめるって感じである。もちろん,敢えてこのアルバムから聞く必要は全くないとしても,無用な思い込みはなしに聞いてみてもよいと思う。言うまでもなくPaul Desmondはいつもながらの心地よさである。星★★★☆。

Recorded on June 16 & 17,1964 and on January 30, 1960

Personnel: Dave Brubeck(p), Paul Desmond(as), Eugene Wright(b), Joe Morello(ds)

2021年10月 7日 (木)

好調時のStan Getzのブートレッグ。

_20211006 "Umbria Jazz 1987" Stan Getz(Bootleg)

Kenny Barronを従えたStan Getzのアルバムは大概の場合,出来がいいと思っている。このブログには書いていないが,"Voyage"しかり,"Serenity"しかり,そして"Anniversary"しかりである。80年代の中盤から後半に向けてのStan Getzは実に好調であったと言うしかない,ならば,そうしたオフィシャルなアルバムを取り上げるのが筋だが,今日は反則技のブートレッグである。

はっきり言ってしまえば,上述のアルバムと同じような時期の演奏なので,レパートリーに劇的な変化はない。しかし,Stan Getzに求めるものは変化ではなく,安定感と歌心に溢れながら,見事としか言うしかないそのアドリブ・ラインにあると思えば,こういう好調時の演奏が聴けるだけでよしとすべきだと思いたくなる。

ここでも全く破綻のないいかにもStan Getzらしい演奏が全編iに渡って楽しめる。今となってはStan Getzの生演奏に触れる機会がなかったのは私にとっては痛恨事ではあるが,若い頃はStan Getzの魅力をわかっていなかったのだから仕方がない。今にして思えば,ある程度年齢を重ねたからこそStan Getzの音楽に更に惹かれるのだと開き直ってしまおう。

このUmbria Jazzに出演した時のGetzも好調そのものであり,演奏にはケチのつけようがないって感じである。まぁ,おそらくは放送音源をソースとするブートレッグなので,イコライザーを掛けるとか,エコーとかも音にはもう少し工夫があってもいいようにも思うが,そこはブートである。そういう文句があるなら,自分で音をいじればいいのである。

とにかく公式だろうが,非公式だろうが,安定度抜群のStan Getzということで,聞いていて嬉しくなってしまった私である。Stan Getzが好きなリスナーであれば聞いて損はないブートレッグだとは思うが,そこは好き者だけの世界ってことで(爆)。あくまでもオフィシャル音源を聞いてから...。

Recorded Live at Umbria Jazz on July 18, 1987

Personnel: Stan Getz(ts), Kenny Barron(p), Rufus Reid(b), Victor Lewis(ds)

2021年10月 6日 (水)

ボックス・セットについて考える。

Classic-quartet世の中,CDの売り上げがどんどん落ち込んで,ストリーミングが主流になる中,それでもフィジカルな媒体にこだわる高齢者及びマニアを狙ったボックス・セットってのが次々と出てくる。まぁ,これは今に始まったことではなく,前々からそうな訳で,私も随分と多数のボックス・セットを保有するに至っている。

しかしである。不完全テイクをありがたがって聞くかと言えばそんなことはないし,ブートを焼き直したような劣悪な音源を聞く気にもならないというのが,一般的なリスナーの姿だろう。正直言って私もそうなのだ。なんで,突然こんなことを言いだしたかというと,John Coltraneの"The Classic Quartet: Complete Impulse! Studio Recordings"を聴いていて,このボックスの編集方針ってどうなのよって思ったことがある。

このアルバム,演奏がセッション順に収めらているものだから,オリジナルのアルバムとは必ずしも曲順が一致しないし,その辺りに違和感を覚えだすと,どうにも気になってしまうのだ。Quartetとしての成長過程を辿ると言えば聞こえはいいが,そういう聞き方をする人は,学究肌の人かマニアだと思う。まぁ,私としては,リッピングしてオリジナル・アルバムのように曲を並べ替えればいい訳だが,それもかなり面倒くさい。だから,ついつい聞かずに置いておいてしまうということになるのだ。買ったときは,結構喜び勇んで聞いても,その後のプレイバック頻度は明らかに落ちていくのが常である。

私はJohn Coltraneのアルバムは相応に保有はしているものの,このボックスに入っている"Coltrane"や"Crescent"は結局買わずじまいで済ませてきたのだが,やっぱりどうしても納得がいかなくなり,結局,オリジナル・アルバムのフォーマットでCDを購入するという無駄使いをしてしまった。

そもそもこのボックス,金属製のカバーがついているが,それは錆びるし,格納用のブックレット付きのケースは色落ちするしという欠点があることも問題だったのだが,やっぱりアルバムはオリジナルで聞いた方がいいわってところである。もちろん,このボックスに収められた演奏そのものにはケチのつけようもない訳だが,敢えてスタジオ録音にこだわる理由があったのかと思わせるよう編集方針や,パッケージングには問題があったと言ってよいだろう。これに比べれば,Vanguardのライブのボックスははるかに出来が良かったと思っている。

どうせならColumbiaのMilesのボックスのように,オリジナル・アルバムは全部入れて,ボートラも入れる,あるいは新規で音源を追加するという編集方針の方がずっと親切のような気がする。98年のリリース以来,このボックスをまともに聞いたとは言えないというのはやっぱり問題だよなぁ(苦笑)。

逆に言えば,こういう音源は,オリジナル・フォーマットをちゃんと聞いてから手を出すべきなのだということを改めて痛感。

2021年10月 5日 (火)

昨今の楽しみ:「黄金の日日」の再放送。

Photo_20211004221201

毎週,日曜日の早朝に大河ドラマ「黄金の日日」がBSで再放送されているのだが,これを録画して見るのが昨今の楽しみの一つとなっている私である。暫く大河ドラマなんて見たこともなかったが,「麒麟が来る」で戦国時代の面白さを改めて感じてしまい,そこへ再放送が始まったのがこの「黄金の日日」であった。

今となっては実にユニークなキャスティングと言ってよかった川谷拓三とか李礼仙みたいな役者も面白いし,夏目雅子はこの頃から綺麗だったとかつくづく回顧モードに入っている私である。実を言えば,私はこの「黄金の日日」を本放送の時も見ていた。それは当時竹下景子のファンであった私の彼女の出番見たさゆえであったが,彼女が二役でドラマの前半と後半に出てくることは覚えていたし,信長はやっぱり高橋幸司だよなぁなんて思っていたのも事実である。

しかし,今回,再放送を見ていて私がはまってしまったのが,栗原小巻の美しさなのだ。私は長年のサユリストだが,「黄金の日日」を見て,コマキストも兼ねてしまおうなんて思ってしまうのだからいい加減なものである。しかし,このドラマは私にそう思わせても仕方がないくらいの凛とした魅力を栗原小巻が放っているのだ。正直言って市川染五郎(現松本白鸚)のバタ臭い演技はそれはそれでいいとしても,私が毎週観続けるのは栗原小巻が見たいからと言っても過言ではない。先日の放送が本能寺のタイミングであったが,これでまだ半分ぐらいということで,これからも見続けること確実である。それは間違いなく栗原小巻ゆえである。前回はルソン島で過ごす栗原小巻のシーンがあったが,現地の衣装をまとう栗原小巻の姿にまじで萌え~となった私...(爆)。

NHKのBSはウルトラセブンだの,ウルトラQだのを放送していて,高齢者を喜ばせているが,大河は以前から再放送していたようなので,次はどの大河を再放送してくれるのかと実は楽しみな私である。でも古いのはテープが残っていないらしい。「新平家物語」とか「天と地と」とか「国盗り物語」とかは何とか見たいものだが,それはかなわぬ夢か。

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