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2022年7月 5日 (火)

Tedeschi Trucks Bandの”I Am the Moon”4部作の2枚目が到着。 #TedeschiTrucksBand

_20220703 "I am the Moon: II. Ascention" Tedeschi Trucks Band(Fantasy)

Tedeschi Trucks Bandが4部作としてほぼ1か月に1枚のペースでリリースする野心作,"I am the Moon"の2枚目がデリバリーされたので,早速聴いている。1枚目の"Crescent"の記事にも書いたが,評価は全部聴いてからということにするが,2枚目の本作を聴いていて,私はついついDerek Trucksのギターに耳が行ってしまうのは仕方がないと思ってしまった。

Derek TrucksとSusan Tedeschiは「世界一ギターのうまい夫婦」とか言われることもあるが,本作でこの二人が夫婦でソロ交換をすると,正直言ってその技量の違いは歴然としている。Susan Tedeschiだって十分うまいとは思うのだが,結局のところレベルが違うのである。こうした構成を取ることはある意味微笑ましいし,仲良きことは美しきことなりとも思うのだが,そこはバンド内での役割分担をはっきりさせてもいいのではないかと思ってしまうのだ。

その辺りが4枚を聞き通した時にどう感じるかというところもありそうな気がする。ということで,3枚目以降がどうなるか期待して待つこととしよう。

2022年7月 4日 (月)

「ライト・スタッフ」を改めて劇場で観る喜び。

The-right-stuff 「ライト・スタッフ("The Right Stuff")」(’83,米,Ladd/Warner Brothers)

監督:Philip Kaufman

出演:Sam Shepard, Scott Glenn, Ed Harris, Dennis Quaid, Fred Ward, Barbara Harshey, Kim Stanley, Veronica Cartwright, Pamela Reed, Levon Helm

私の人生で観た映画の中でも,トップ5とは言わずとも,トップ10には入れたくなるほど好きなのがこの映画である。それが「午前十時の映画祭」において劇場で観られるとなれば,観に行くしかない。

この映画はSam Shepard演じるChuck Yeagerと,マーキュリー計画で有人宇宙飛行に挑む飛行士たちの物語が並行して描かれるが,誰が何と言おうが一番カッコいいのはSam Shepardであることに疑いがない。それにしても,改めてこの映画を観て,実にキャスティングが素晴らしかったと思ってしまった私である。男優陣,女優陣とも実に感じが出ていて,役柄にぴったりなのである。ついでに言うと,脇とナレーターでThe BandのLevon Helmも担ぎ出しているところも実に渋い。

私が最初にこの映画を観たのは,短縮版の日本公開版だったのか,今回観たオリジナル版だったのかの記憶は定かではないのだが,記憶に残っていないシーンもあったので,短縮版を観ていたのではないか。しかし,それも大昔に遡るので,正直自信はない。その後購入したレーザーディスクがどうだったかも,ソフトをすべて処分してしまった今となってはわからないが,現在販売されているBlu-ray等はオリジナル版のようだ。DVDは購入しているはずだが,老後に見ればいいやと思って放置しているしなぁ(爆)。

しかし,改めてスクリーンでこの映画を観て,この映画のよさってのを感じながらも,若干冗長に流れた感もあったというのが正直なところである。特にテキサスの民主党大会みたいなところに出てくるSally Randなんていう踊り子のシーンなんて,全く要らんだろうと思ってしまえるのも事実だ。それでも,やはりSam Shepard演じるChuck Yeagerのカッコよさというのには若かりし頃の私は痺れたし,今回もこの映画の真の主役はSam Shepardだと思えた。最高なのである。

今回,改めてデータを紐解いてみると,Chuck Yeager本人もチラッと出演していたのねぇなんてことに気がついたのだが,そうしたリスペクトを示されて当然の男の中の男,Chuck Yeagerである。とにかく,この映画は実にドラマとしてもよく出来ているし,群像劇としても面白い。監督,シナリオを兼ねたPhilip Kaufmanにとっての畢生の傑作。星★★★★★。でも「存在の耐えられない軽さ」は観てないんだよなぁ。

3時間13分という上映時間には,一回休憩を入れて欲しいと思ったのは私だけではなかろうが,朝のコーヒーも飲まずに臨んで乗り切った私であった。それでもそんな時間を感じさせない映画であることは間違いないし,大スクリーンにこそフィットする映画だと言っておきたい。そうは言っても家でもまた見たいので,値段も安いし,Blu-rayでも買うか(笑)。

2022年7月 3日 (日)

懐かしい~!ナベサダのワーナー時代の自選ベスト盤。 #渡辺貞夫

_20220702 "Selected" 渡辺貞夫(Elektra)

これは確か私がNYに在住中に購入したと記憶している。もはやそれも30年以上前のこととなったが,本作はWarner時代のナベサダのアルバムから曲を自選し,そこに未発表音源を加えた一種のベスト盤である。Warner時代のナベサダはアメリカのマーケットを意識した音作りとなっていて,その辺は好みが分かれるところかもしれない。

そもそも日本のジャズ・ミュージシャンが米国のメジャー・レーベルと契約して,アルバムをリリースするってのも快挙だが,チャート・アクションも結構よかったというのは今にして思えば凄いことである。ではあるのだが,ここに収められた音を聞いていると,アレンジメントがいかにも売れ筋みたいに聞こえたり,ややオーバー・プロデュース的に感じる部分もあるのも事実。特にRalph McDonaladがプロデュースした"Fill up the Night"と"Randevouz"はバックのメンツがGrover Washinton, Jr.の"Winelight"と同じというのは力が入っているのはわかるが,ちょっとやり過ぎな気がする。私としてはフュージョン系のアルバムということであれば,以前記事にしたFlying Disk時代のベスト盤の方が好きだなぁ(記事はこちら)。

まぁ,そうは言っても高いレベルのミュージシャンを揃えた演奏は結構楽しめてしまうし,何曲か入っているそもそものナベサダのよく知られたオリジナル("Pastorale"とか"Round Trip"とか)のリメイク具合を楽しむって聞き方もあると思えるアルバム。星★★★☆。

尚,国内盤には"My Dear Life"のヴォーカル版とインスト版が収録されているが,私が保有するアメリカ盤ではインスト版のみ。また,アナログ時代に収録されていた"I Love to Say Your Name"がCDではオミットされている。

Personnel: 渡辺貞夫(as, sn, vo), Robbie Buchanan(key), Richard Tee(key), Paul Griffin(synth), Don Grusin(key), Ancel "Doouble Burrell" Collina(key), Russell Ferrante(key), Cesar Camargo Mariano(key), 野力奏一(key), Paul Jackson, Jr.(g), Eric Gale(g), Carlos Rios(g), Earl "Chinna" Smith(g), Radcliff "Doggie"Bryan(g), Dan Huff(g), Toquinho(g, vo), Heitor Teixeira Pereira(g), Steve Erquiaga(g), Abraham Laboriel(b), Marcus Miller(b, synth), Nathan East(b), Jimmy Johnson(b), Bertram "Ranchie" McLean(b), Nico Assumpcao(b), Keith Jones(b), Chester Thompson(ds), Steve Gadd(ds), Harvey Mason(ds), Carton "Santa" Davis(ds), Vinnie Colaiuta(ds), Carlos Vega(ds), William Kennedy(ds), Andy Narrell(steel-ds), Alex Acuna(perc), Ralph McDonald(perc), Paulinho Da Costa(perc, vo), Sydney Wolf(perc), Jimmy Cliff(perc), Paulinho Braga(perc), Papeti(perc), Kenneth Nash(perc), 淵野繁雄(ts), 西山健治(tb), Brenda Russell(vo), Carl Carwell(vo), Maria Leporace(vo), Lynn Davis(vo), Alexandria(vo)

2022年7月 2日 (土)

これは知らなかった!Toots Thielemansの未発表音源3枚組。今日はその1枚目。 #TootsThielemans

Toots-meets-franken "Toots Thielemans Meets Rob Franken: Studio Sessions 1973-1983" (Nederlands Jazz Archief)

最近は新譜のチェックも十分ではないこともあって,ついつい見逃してしまうこともあるのだが,本作もそんなアルバムの一つ。国内盤でも出たらしいのだが,なぜか早くも入手困難になっており,仕方なく,値段が高い輸入盤を発注したのであった。

なんでこのアルバムに惹かれたかと言えば,Toots Thielemansが好きなこともあるが,ここではすべてのセッションでRob FrankenがRhodesを弾いているということがある。前にも書いたことがあると思うが,私は結構Rhodesの音が好きなのだ。Rhodesに乗って,Tootsがどういう演奏をするのか?それが一番の関心であり,更に3枚組,全59曲というヴォリュームとあっては,これは買わぬわけには行かないのだ。

ということで,届いたばかりの3枚組から今日はDisc 1の81~82年のセッションを聞いてみた。このDisc 1だけで全20曲,75分越えという聴き応えたっぷりの構成であるが,冒頭の”What Is This Thing Called Love?"からいきなりのロック・タッチの出だしにびっくりしてしまう。もはやフュージョンと言ってもよいが,Toots Thielemansのハーモニカは誰がどう聞いてもTootsであり,どのような演奏でもその個性は際立っている。スタンダード,ジャズ・オリジナル,シャンソン,ブラジル,映画音楽と何でもありで,Toots Thielemansという人の間口の広さというものを感じざるをえない。

それが基本的にフュージョン・タッチのバックに乗せて演奏される訳だが,Tootsの場合,Quincy Jonesにも重宝されたということもあり,何でもできてしまうのが素晴らしいことはわかっていても,このフィット感が実にたまらん。フェイド・アウトが多いのはちょっと惜しい気がするが,それでも十分にRhodesに乗ったToots Thielemansのメロウなグルーブは楽しめる。晩年のTootsとはちょっと違う感じではあるが,こういうの好きだなぁ。全部聴くのが楽しみになってきた。続きはまた改めて。

Recorded on January 30, 1981 and on November 2, 1982

Personnel: Jean 'Toots' Thielemans(hca), Rob Franken(rhodes), Peter Tiehuis(g), Theo de Jong(b), Bruno Castellucci(ds)

2022年7月 1日 (金)

Stanley Clarkeの”I Wanna Play for You”:バラエティに富んでいるとも言えるが,はっきり言って駄盤(苦笑)。 #StanleyClarke

_20220630 "I Wanna Play for You" Stanley Clarke(Columbia)

本作はアナログでリリースされた時は2枚組だったはずである。スタジオ音源とライブ音源が組み合わされたアルバムはいろいろなタイプの音楽が収められていて,バラエティに富んでいると言えば聞こえはいいが,私から言わせればまとまりのない駄盤である。

スタジオ音源にはStan GetzやらFreddie HubbardやらJeff Beckやらを迎えているが,どうにも一貫性がないし,こうしたゲストを迎えただけの効果があったと言えば大いに疑問なのは困る。例えばStan Getzは3曲目の"The Streets of Philadelphia"に登場するが,Stan Getzにとってはこんなソロならお茶の子さいさい(死語?)のものだし,その次の"Together Again"のFreddie Hubbardも存在感薄いって感じである。であるならばJeff Beck期待ってところだが,"Jamaican Boy"はJeff Beckならではのスリリングな感覚に欠けるということで,何のためのゲスト陣と言いたくなる。

更に輪を掛けて面白くないのがライブ音源である。ホーン・セクションを入れた結構な大所帯バンドであるが,聞いていて大型化した第3期RTFはStanley Clarkeの趣味だったのか?と言いたくなる。オリジナルではJeff Beckとやった"Rock 'n' Roll Jelly"はカッコいいロック・フレイヴァー溢れる曲だったが,ここでホーンが入るとその必要性はあったのかと首を傾げたくなるような演奏。曲も手慣れた人気曲なのはいいとしても,ベーシストがリーダーのワンマン・バンド感が強過ぎて,特にライブ音源が多いアルバムの後半は聞いていて飽きる。

そういうことだから,このアルバムがクロゼットの奥に隠れていたというのも納得がいってしまう。もはや私にとって保有する意義はあまりないアルバムとなったというのがはっきりした。星★★。

Personnel: Stanley Clarke(b, synth, org, vo), George Duke(el-p), Ronnie Foster(p), Michael Garson(p, el-p, synth), Bayeté Todd Cochran(p, org, synth), Phil Jost(org), Peter Robinson(synth), Lee Ritenour(g), Raymond Gomez(g), David DeLeon(b), Darryl Brown(ds), Gerry Brown(ds), James Tinsley(tp), Al Harrison(tp), Bob Malach(ts), Al Williams(ss, bs), Dee Dee Bridgewater(vo), Gwen Owens(vo), Cathy Carson(vo), Juanita Curiel(vo)

2022年6月30日 (木)

Richard Teeの”Natural Ingredients”:”Strokin’”と同じようなメンツなんだが,随分軽いなぁ。

Natural-ingredients "Natural Ingredients" Richard Tee(Tappan Zee)

以前,このブログでRichard Teeの"Strokin'"について書いたことがあるが,本作はそれに続くRichard TeeのTappan Zeeレーベル第2弾。前作とほぼ同じようなメンツを集めているのだが,雰囲気は随分と違って,かなり軽く感じる。"Strokin'"には「A列車」というキラー・チューンがあったが,本作にはそういう曲がないのが決定的な弱点だと思う。

雰囲気の違いはRichard Teeのヴォーカル曲が多いこともあると思うが,フュージョンと言っても,ソウル/R&B色が強いこともあるだろう。全編に渡ってRichard Teeらしいピアノの音はしているのだが,もっと弾いてもいいんじゃない?って感じるレベルである。まぁ,アルバムの最後は前作の「A列車」的に,メンデルスゾーンの「無言歌集」から「紡ぎ歌」をアダプテーションしているが,スピード感からしても全然「A列車」には及ばないというのが実感である。

まぁ,これがRichard Teeがやりたかったことなのかもしれないが,アルバムとして聴くと,イマイチ感はぬぐえないところ。これを聞くなら"Strokin'"とかStuffのアルバムを聞いた方がずっと楽しめる。星★★★。そうは言っても,私が現在保有しているのは"Strokin'"との2in1なので,もれなく"Strokin'"にはこれも付いてくるのだが(笑)。

アルバムとしてはイマイチでも,Richard Teeにしても,Eric Galeにしても,Steve Gaddにしても,彼らにしか出せない音ってあるねぇと思わせるのは立派だと思う。個性は大事である。

Personnel: Richard Tee(p, key, vo), Eric Gale(g, b), Matthew Bragg(b), Steve Gadd(ds), Ralph McDonald(perc), Hugh McCracken(hca), Tom Scott(sax), Lani Groves(vo), Ullanda McCullough(vo), Seldon Powell(vo) with horn and strings

2022年6月29日 (水)

懐かしのPedro Aznarのアルバム。ハイライトは誰が何と言おうが,Pat Metheny,Lyle Mays参加の”23”。 #PedroAznar

_20220628"Contemplacion" Pedro Aznar(Tabriz Music)

これは懐かしいアルバムである。そもそもPedro AznarはECMの"First Circle"でPat Metheny Groupに参加して,一躍その名を知られることになった訳だが,参加の契機となったのがこのアルバムでのPat Methenyとの共演であったと考えられる。とは言いつつ,このアルバムのリリースは"First Circle"より後のはずだが,結構多くのリスナーが,ここでのPat Methenyとの共演につられてこのアルバムを入手したことは間違いないだろう。私が入手したのも随分後になってからのことではあるが,本作のオリジナル・リリースから40年近いというのも恐ろしい。

正直言って,出だしの"La Noche Suena el Dia"は打ち込みがきつくて,何じゃこれはと思ってしまう。Pedro Aznarの声にも合っていると思えなくてがっくりきてしまう。だが,それで諦めてはいけない。3曲目の"Verano en Nueva Inglaterra"でのいかにもPat Metheny的なソロ,そしてそれに続く"Para Acunar a Leila"におけるもろにPat Methenyの影響が顕著なPedro Aznarのギター・シンセのソロが出てきてかくあるべしと思えるまで我慢する必要がある(笑)。しかし,本作の本当のハイライトは主題の通り,5曲目の"23"である。冒頭のPedro Aznarの歌声も素晴らしいが,それに続くLyle Maysのソロが何とも素晴らしく,更にそれに続くPat Methenyのソロを聞くと,もはやこれはPat Metheny Groupの曲と言っても過言ではない響きを持っている。はっきり言ってしまえば,このアルバムの存在意義は"23"にこそあって,そのほかの曲についてはどうでもいいとさえ感じている私である。

その後のPedro AnzarのPat Metheny Groupへの貢献は大きかったし,後のソロ・アルバムについても私は結構評価したつもりだが,このアルバムはまだまだ青いと言うか,特に打ち込み系の曲については魅力を感じられないというのが正直なところ。やっぱりこのアルバムは"23"に尽きるのだ。星★★★☆(半星は"23"に免じてのもの)。

Recorded on December 20, 1982, between December 1983 and January, 1984 and between May and June, 1984

Personnel: Pedro Aznar(vo, b, g, g-synth, p, synth, ds), Pat Metheny(g), Lyle Mays(p), Danny Gottlieb(ds), Osvaldo Fattorsumo(perc), Pomo(perc)

2022年6月28日 (火)

酔っぱらっていて入手したのをすっかり忘れていた矢堀孝一+岡田治郎の「弦問答」

_20220627「弦問答」矢堀孝一+岡田治郎(Uprize)

先日,赤坂のVirtuosoにてMike Stern Nightなるライブに参戦したことは既にこのブログにも書いた(記事はこちら)。その時のライブは大いに盛り上がった訳だが,聴衆としての我々は調子に乗って,3人でウイスキーのボトルを2本空けるというやらかしぶりだったので,家に帰った後の記憶はない(爆)。そして,数日後,現地に持って行った鞄の中にこのCDが入っているのを発見したのだが,どのように入手したのかこれまた記憶が定かではない。いずれにしても,当日のギター,かつ店のオーナーである矢堀孝一の新譜である。岡田治郎とのプロジェクトには一部にパーカッションの岡部洋一が加わる編成だが,「弦問答」とはよく言ったものだと思えるアルバムであった。

ギター+エレクトリック・ベース+パーカッションと言えば,私はついついJohn McLaughlinが"Que Alegria"やロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブでのトリオ編成と同じだなぁと思ってしまうのだが,同じテクニシャン揃いのアルバムとしては共通ながら,受ける感触はかなり違うのが面白い。McLaughlinトリオはパーカッションのTrilok Gurtuの露出が大きく,3者対等と言ってもよいのに対し,こちらは岡部洋一のパーカッションが控えめなサポートをしており,「弦問答」というタイトルに偽りなしの演奏に彩りを添えるって感じになっているのが実に奥ゆかしい。

そして,ここでは矢堀孝一はアコースティック・ギターを中心に弾いているが,演奏のタイプは違っても,John McLaughlinもそうなのだが,ユニゾンが決まった時の快感を覚えるところは同様と言ってもよい。冒頭は昨年惜しくも世を去った手数王,菅沼孝三と矢堀孝一の共作"VaizaraNa"で幕を開けるが,ここからもはや掴みはOKである。実にスリリングな展開はライブでも観たくなること必定。アルバム全編,大いに楽しめる演奏なのだが,中でも私が一番感心してしまったのが,矢堀孝一の奥方,大高清美作の”Full Moon”であった。これが実にいい曲で,Ralph Townerに弾いて欲しいとさえ思ってしまうような佳曲であり,前後に据えられた"Night in Tunisia"と"Teen Town"という強烈な2曲の間に咲く美しい花のような曲だと言いたい。

酔っぱらって当日の最後の記憶は曖昧だし,そう言えば最後は自分も呂律が回ってなかったなぁなんて思ってしまうが,このアルバム,ギター,ベース好きには見逃すのが惜しいとアルバムである。Mike Stern Nightにおけるマイキーになり切ったギターと,全く違うサウンドを生む矢堀孝一の多才ぶりにはまじでびっくりしてしまった私であった。

Recorded on November 9, 2021, etc.

Personnel: 矢堀孝一(g), 岡田治郎(b),岡部洋一(perc)

2022年6月27日 (月)

The Orbの"Metallic Spheres":David Gilmourがテクノにどうマージするかだが,なかなか面白い。

_20220625 "Metallic Spheres" The Orb Featuring David Gilmour(Columbia)

テクノやハウスってのはほとんど聞かない私であるし,The Orbなんてユニットについても全く聞いたこともなかったのだが,このアルバムを購入したのは,ひとえにDavid Gilmourのせいである(笑)。

これは多分ショップで買ったと思うが,テクノとDavid Gilmourがどう融合するのかというところに関心は集中したはずである。だが,テクノとかハウスってのは私にとっては鑑賞音楽と言うより,むしろアンビエント,バックグラウンドで流しておけばよいって感じの感覚で捉えている音楽である。このアルバムもそういう聞き方をしていればいいと思うが,David Gilmourのギターはやっぱり気になるところではあるものの,確かにDavid Gilmourっぽいなぁと思うところはありつつも,集中して聴くって感じではなかったし,今回久々に聞いてみても,その感覚は変わらなかった。そういう意味ではDavid Gilmourに期待し過ぎないで,聞き流せばいいのだというのが結論。

そうした中で,私が一瞬そうした感覚から脱却する瞬間がこのアルバムにはある。それはGraham Nashの"Chicago"のフレーズが飛び出す瞬間である。なんでこんなところにあの曲がという感覚になるが,”Hymns to the Sun"と"Chicago Dub"と題されたそのパートで,馴染みのフレージングが出てくると,おいおい,なんでやねんとなるのが常なのだ。そもそも私が"Chicago"を聴いたのは,私のアメリカ音楽好きに決定的な影響を与えたCSN&Yの"4Way Street"が最初のことであり,私にとっては極めて重要な音楽体験の一部として,反応してしまうのが当たり前なのだ。

そういう意外性もあって,実はこのアルバムは結構好きなのだが,結局はアンビエントみたいなものなので,決してしょっちゅうプレイバックするものではない。だが結局,"Chicago"のフレーズ登場の瞬間を待っているってのが実態なのかもなぁと思っている。星★★★☆。

The OrbにはRobert Frippとの共演作もあるらしいから,今度ストリーミングで聞いてみることにしよう。

Personnel: David Gilmour(g, vo), Alex Paterson(key, turntable, manipulator), Youth(b, key, prog), Tim Bran(key, prog), Marcia Mello(g), Dominique Le Vac(vo)

2022年6月26日 (日)

Amazon Primeで観た「キャッシュ・トラック」:フランス映画のリメイク,Tarantino風。

Wrath-of-man 「キャッシュ・トラック("Wrath of Man")」(’21,英/米,Miramax)

監督:Guy Ritchie

出演:Jason Statham, Holt McCallany, Josh Hartnett, Rocci Williams, Jeffery Donovan, Scott Eastwood, Andy Garcia

フランス映画"Le Convoyeur"のリメイクだそうである。その映画の邦題は「ブルー・レクイエム」で,米国での公開時が"Cash Truck",一方この映画の現代は"Wrath of Man"で,邦題が「キャッシュ・トラック」ってのはよくわからん(笑)。

それはさておきである。見ていて思ったのが,時間軸が前後したり,映画をチャプターに分けているところや,結構エグイ描写など,Quentin Tarantino風だなぁってことだが,相変わらずJason Stathamを強く見せるというところは,あくまでもJason Stathamあっての映画。激しいドンパチもあり,「内通者」のくだりとか,さすがにこれは...と思うような展開ではあるが,役者も揃っていて,それなりには見られる映画であったとは思う。星★★★☆。

しかし,このポスターはなんやねん?と思ってしまうのは,劇中でJason Stathamはこうしたスーツ姿で登場するシーンはないし,全然ストーリーと関係ないじゃんということである。まぁJason Stathamをカッコよく見せればそれでよしってことだろうが,Jason Stathamは,昔だったらCharles Bronson的なペースで映画を作っているし,似たような感じの映画が多いのもBronson的であり,Charles Bronsonの「メカニック」をリメイクしていることからしても,やっぱりそういう位置づけだよなぁと思ってしまう。結構見ちゃうのもBronsonと同じだ(笑)。

2022年6月25日 (土)

早いものでLaura Nyroが亡くなって25年か...。久々に聴いたライブ音源。 #LauraNyro

_20220623"Live from Mountain Stage" Laura Nyro(Blue Plate Music)

早いもので,Laura Nyroが1997年に亡くなって25年である。私はどちらかと言えばLaura Nyroの後追いファンだと言ってよく,多分初めて買ったアルバムは”Mother's Spiritual"だと思う。それから結構な枚数のアルバムを買ったが,全部揃えたという訳ではないとしても,結構好きな歌手であることは間違いない。このアルバムは彼女の死後にリリースされたもともとはラジオの放送音源である。収録時間も30分弱と短いものだが,Laura Nyroのソロ・パフォーマンスはやはり味わい深いと言わざるをえないし,彼女の声は魅力的だったとつくづく感じてしまった。

ピアノの音はシャビーだし,完璧を求めてはいけないが,こうして生前の彼女の演奏に触れられるだけでよしと思うのはきっと私だけではないはずだ。やっぱりLaura Nyroが好きな私である。星★★★★。

因みに制作したのはアメリカの「田舎」と言ってよいWest Virginiaの公共放送で,NPRを通じて全米で放送されており,現在も放送が続いているという長寿番組。

Recorded Live on November 11, 1990

Personnel: Laura Nyro(vo,p)

2022年6月24日 (金)

クリポタとビッグバンドの共演作:冒頭6曲は「春の祭典」からインスパイアって...。でもこれは強烈だわ。 #JimMcNeely #ChrisPotter

_20220622 "Rituals" Jim McNeely with Frankfurt Radio Big Band Featuring Chris Potter(Double Moon)

ブログのお知り合いのoza。さんが紹介されていて,これは気になるということで慌てて発注したアルバムである。ビッグバンドにクリポタが客演してソロを吹きまくるというパターンはこれまでもあったが,それに加えてこのアルバムが猛烈に気になったのは,前半がJim McNeelyがストラヴィンスキーの「春の祭典」にインスパイアされて書いた曲を自らアレンジした6曲,後半4曲がChris PotterのオリジナルをMcNeelyがアレンジしたものという構成にある。

冒頭6曲には確かに「春の祭典」に近いようなメロディ・ラインやリズム・パターンが出てきて,なるほどと思わせる。まぁストラヴィンスキーは米国移住後にはジャズにはまっていたという逸話もあるが,「春の祭典」にはジャズ・アダプテーションもあるぐらいだから,曲そのものにJim McNeelyがインスピレーションを得るというのは不思議なことではない。それだけジャズ・ミュージシャンを刺激するような要素が「春の祭典」にはあるということだが,確かに「春の祭典」の持つ激烈モードはジャズにおける興奮と近しいものを感じる。

ここでの演奏は曲としての面白さもあるが,やはり私の耳はクリポタのソロに向かってしまう。何せ冒頭6曲においてはソロイストはクリポタ一人なのだ。ということはJim McNeelyとしてはクリポタを意識して書いたと言ってもいいかもしれないし,クリポタも「春の祭典」を"One of my favorite compositions"と言っているから相思相愛ってところだろうが,とにかくクリポタの吹きっぷりは聞いている方も熱くなる。くぅ~って感じである。

更にクリポタ・オリジナルとして選ばれているのは,"The Sirens"に入っていた"Dawn"に"Wine Dark Sea"の2曲に,"Underground"から"The Wheel",そして"Lift"にも入っていた"Okinawa"というチョイスで,どれもいい演奏だが,やはり"The Wheel"が燃える。これらの4曲にはビッグバンドのプレイヤーたちのソロも交えていて,メンバーの実力の高さも実証されている。

Jim McNeelyは昔はStan Getzとかともやっていたが,近年はビッグバンドの世界が活動の中心となっていることもあって,実にチャレンジングな取り組みである。そこにクリポタという素晴らしいソロイストを迎えて,実によいアルバムを出してくれたと思う。星★★★★☆。

尚,このアルバムのレコーディングそのものは2015年に行われていたものだが,リリースは今年になってからのようである。しかし,oza。さんのブログの記事なかりせば,私のレーダー・スクリーンには全く引っ掛からなかっただろう。ショップに行く機会が激減する現在,やはりブログのお知り合いの情報は貴重なのだ。oza。さん,ご紹介ありがとうございました。

Recorded on Feburuary 10-13,2015

Personnel: Jim McNeely(comp, arr), Chris Potter(ts), Frankfurt Radio Big Band<Heinz-Dieter Sauerborn(as, ss, ts, fl, cl, picc), Oliver Leicht(as ss, ts, fl, cl, picc), Tony Lakatos(ts, fl), Stefan Weber(ts, ss, bs, fl, cl), Rainer Heute(bs, b-cl), FFrank Wellert(tp, fl-h), Thomas Vogel(tp, fl-h), Martin Auer(tp, fl-h), Axel Schlosser(tp, fl-h), Gunter Bollman(tb), Peter Feil(tb), Christian Jaksjo(tb), Manfred Honetschlager(b-tb), Peter Reiter(p), Martin Scales(g), Thomas Heidepriem(b), Jean Paul Hochstadter(ds), Christine Chapaman(fr-h), Miroslava Stareychinska(harp), Claus Kiesselbach(perc)

2022年6月23日 (木)

先日のChristian McBrideのアルバムからの流れでPeter Martinのトリオ・アルバム。 #PeterMartin

_20220621"Parabola" Peter Martin(M&I/Alfa)

先日,このブログで取り上げたChristian McBrideのInside Straightのライブ・アルバムでピアノを弾いていたのがPeter Martinである。Inside StraightのオリジナルのピアニストはEric Reedだったが,現在はPeter Martinに交代しており,上述のアルバムでもPeter Martinは好演していたので,そう言えばPeter Martinのアルバムも持っていたなぁってことで,取り出してきた。このアルバムは一軍半みたいな場所にあって,見つけるのは容易だったので,それなりに評価はしているってことだと思うが,聞くのは実に久しぶりであった(苦笑)。

このアルバムは,95年に出たJoshua RedmanのVillage Vanguardでのライブ・アルバムにおけるリズム・セクションそのままである。Joshua Redmanがバンドに引き入れているのだから,実力は保証されているようなものだが,このトリオとしての共演歴もある中での演奏なので,演奏のバランスはいいし,音もいい。そして何よりも結構ソリッドな感覚のピアノ・トリオは聞いていて実に楽しい。オリジナルとスタンダードを組み合わせたプログラムはそれなりってところであるが,Stevie Wonderの"The Secret Life of Plants"なんかをやっているのは珍しい。選ばれたスタンダードは"Stella","Just One of Those Things",そして"Invitation"というところで,まぁいいところだって思うが,実はPeter Martinのオリジナルもなかなか魅力的なので,作曲能力も侮れない。

今回はChristian McBrideのアルバムが契機となったが,これは聴き直してもなかなかの好アルバムであった。手持ちのアルバムはちゃんと聞かないといかんねというところ。星★★★★☆には十分に値すると思える佳品であった。しかし,Amazonの中古CDはとんでもない値段がついていてびっくりしてしまう。中古盤屋では多分簡単に見つかりそうだが...。そうでもないのかな。因みに私は中古でゲットしたはずだ。

Recorded on June 26 & 27, 1997

Personnel: Peter Martin(p), Christopher Thomas(b), Brian Blade(ds)

2022年6月22日 (水)

久しぶりに聞いたJing Chiのライブ・アルバム。 #JingChi

_20220618-4 "Live!" Jing Chi(Tone Center)

このアルバムがレコーディングされたのが2002年の12月ということなので,もう20年近い時間が経過していることに驚いてしまった。歳を取るわけだ(爆)。いずれにしてもこれを聴くのも久しぶりのことである。

Jing Chiというバンド名称はなかなかユニークなものであるが,その意味するところはよくわからないが,Robben Ford,Jimmy Haslip,そしてVinnie Colaiutaというメンツからすれば,ハードなブルーズ・ロック的フュージョンの世界だろうと想像するし,まさにそういう音が出てくる。オークランドの"Yoshi's"でのライブの模様を収めたこのライブ盤では,こういう演奏をすれば聴衆も燃えるよねぇという感じの演奏となっていて,聞き終わるとお腹いっぱいって感じにもなってしまう。

歌えるRobben Fordがいるだけに,歌入りの曲も2曲入っていて,そのうちの1曲はBob Dylanの"Cold Irons Bound"というのには驚く。超有名曲というよりも,97年のアルバム,"Time Out of Mind"からの選曲というところに意外性を感じてしまう。それでもBob Dylanはこの曲でグラミーを獲っているから,私の認識が薄いだけで,曲としてはメジャーなのかもしれないが。むしろ,ちゃんとBob Dylanのアルバムを聴き直そうというモチベーションは高まったな(爆)。

まぁ,それでも基本的に繰り広げられるのは,この人たちらしいタイトさを持ちつつ,ロック・フィーリング,ブルーズ・フィーリングが横溢した演奏で,ジャズ・ファンよりはロック好きに受ける音楽だろうと思う。やっている音楽の性格上,強烈なスピード感というよりもブルージーな感覚が強く,決してメカニカルな音楽ではないところには,若干リスナーの好みは分かれそうな気がするが,私のような雑食系のリスナーには全く問題ないし,そういうバンドだと思って聞けばいいのである。星★★★★。

尚,ラストの"Blues MD"には,懐かしや元YellowjacketsのMarc Russoが客演しているが,これが本当のYellowjacketsつながりである。この曲,Jing Chiの3人とOtmaro Ruizの共作となっているから,即興のブルーズと考えていいだろうが,こういうブルーズなら彼らなら普通にやれちゃうよねぇ。一瞬"Jean Pierre"のフレーズが出てくるから,"Blues MD"ってことで。

Jing Chiはこのアルバムから十数年後,"Supremo"というアルバムを久々にリリースして,その後来日もしたはずだが,私は出張日程と重なって見に行けなかったは,今となっては残念なことである。その"Supremo"は聞いたことがないので,ストリーミングで探してみることにしよう。この人たちのことだから,そんなに大きく変わりはしないだろうが...(笑)。

Recorded Live at Yoshi’s on December 12, 13 & 14, 2002

Personnel: Robben Ford(g, vo), Jimmy Haslip(b), Vinnie Colaiuta(ds) with Otmaro Ruiz(key), Mark Russo(as)

2022年6月21日 (火)

ESPと言ってもMiles Davisではない。まぁ,関係者は入っているが,期待すると裏切られる。

_20220618-3 "ESP" ESP(Glass House)

私はGlass Houseレーベルのアルバムは何枚か保有しているが,基本的には硬派な音作りが特徴だったと思える。本作は,そんな私が保有していなかったアルバムながら,メンツ的にはMiles Davisのバンドに所属していたRobert Irving IIIとDarryl Jonesが参加しているから,気になっていたものである。ということで,中古で値段を気にしないでいいレベルで出ていたものを入手した。

結論から言えば,こちらが期待したほど面白くない。もっとはっきり言ってしまえばつまらないアルバムである。メロディ・ラインはむしろ軟派と言った方がよいし,リズムはDarryl Jonesのスラップはカッコいいと思えるものの,スピード感にもタイトさにも欠けるのはどうにも痛い。つまりレーベルが打ち出した硬派のサウンドではないところからして,イメージが違うのである。そこが全く気に入らない。

Robert Irving IIIとDarryl Jonesが参加していることから,こちらはやはりMiles Davisとやっていた音楽の延長線上のサウンドを求めてしまうというのは致し方ないところである。しかし,Milesという大親分抜きで,彼らがやりたい音楽はこういうものだったのかと思うと,それはそれでよかろうが,あまりのMilesバンドとの落差に愕然としてしまうのである。これではスムーズ・ジャズに若干のソウル+ファンク・フレイヴァーをまぶしただけに過ぎない演奏には正直がっくりくる。

レーベルとして硬派を指向するなら,ちゃんと筋を通してもらいたいと思うのは私だけではないはずだ。マーケットに日和ったとしか思えないユルユルダラダラの駄盤。星★。次にCDを売る機会には売却対象となること必定(きっぱり)。

Recorded between February and March, 1992

Personnel: Robert Irving III(p, synth, org), Bobby Bloom(g), Darryl Jones(b, key, ds, perc, prog), Toby Williams(ds, perc, vo, key, prog) with Kirk Whalum(sax), Theresa Davis(vo), Mae Oneita Koen(vo), Dianne Madison(vo)

2022年6月20日 (月)

今更ながらのLou Reed:”Transformer”。 #LouReed

_20220618-2 "Transformer" Lou Reed(RCA)

主題の通り,今更ながらのこのアルバムである。正直言って私はLou Reedのそんなに良い聴き手だとは思っていない。保有しているソロ・アルバムは"New York"以降のものに限られているし,Velvet Undergroundだって「バナナ」のアルバムのデラックス・ヴァージョンしか持っていない。だからLou Reedの音楽の聴き方としては相当偏ったものであったと感じている。だが,"The Raven"とか"Lulu"とかのアルバムは本当にいいと思っていて,だったらもっと聞いていても不思議ではなかったのだが,縁がなかったと言ってもよいかもしれない。

そんな私が何を今更と言われるのを承知で,この誉れ高いアルバムを恥ずかしながらまともに聞いたのは初めてなのである。正直言ってしまうと,David BowieとMick Ronsonがプロデュースだったというのを知って,「へぇ~」と思っているのだから,無知もここまで行けば許してもらわないといけないレベルである。

今から50年前にリリースされたアルバムだから,現代の音と比べてはならないと思うが,このアルバムを聞いて思うのは,曲のクォリティが高いということである。まさに粒よりの曲群って感じである。"Walking on the Wild Side"はもちろんいい曲だが,"Perfect Day"なんて更にそれを凌駕する魅力を持った曲ではないか。そんなことは当たり前だろうと言われると返す言葉はないが,まじでそう思うのだ。

一方で,今にして思えば,このアルバムを「グラム・ロック」っ言ってしまうのはどうなのかねぇと思うのも事実である。ジャケのイメージだけで捉えればそういう部分がないとも言えないが,Lou Reedがやっている音楽って見た目でどうこうの世界ではないと思うんだけどねぇ。

だからと言って,今後Lou Reedのアルバムを買い揃えることはないだろうが,ストリーミングで聞いてみるのはありだと思わせるに十分なアルバムであった。それより手持ちのアルバムを聴き直すべきかもしれないな。このアルバムについては,”New York Telephone Conversation"みたいな曲が必要だった?って気もするので星★★★★☆とするが,大体において曲のクォリティは十分に堪能できる秀作。

Personnel: Lou Reed(vo, g), Mick Ronson(g, p, recorder, vo), Klaus Voorman(b), Herbie Flowers(b, tuba), John Halzey(ds), Barry Desouza(ds), Richie Dharma(ds), Ronnie Ross(bs)

2022年6月19日 (日)

現在のジャズ界で最もスリルとエンタテインメント性を両立させられるのはChristian McBrideだと思う。 #ChristianMcBride

_20220618 "Live at the Village Vanguard" Christian McBride & Inside Straight(Mack Avenue)

このブログにも何度か書いたことがあるが,私が初めてChristian McBrideの演奏を聴いたのは今から30年以上前のNYC在住中のことであった。まだ湾岸戦争が開戦前のことなので,90年の暮れか,91年初頭のことのはずだ。場所は今はなきBradley’sであったが,当時まだティーンエイジャーとは思えないそのベース・プレイに,驚愕させられたことは今でも忘れることができない。でもピアノが誰だったかがどうしても思い出せない(爆)。

そのChristian McBrideも今年で50歳となり,ベーシストとしての素晴らしいキャリアを積み上げるだけでなく,今や堂々たるリーダーとしてアルバムをリリースしていることは誠に感慨深い。Christian McBrideは現在もいろいろなフォーマットでのバンドを率いているが,その中でもエンタテインメント性とジャズのスリルを両立させていると思わせるのがこのInside Straightというバンドではないか。なんせ「内角直球」である。下手すりゃブラッシュ・ボールだが,ズバッと決まると快感なのだ。

本作は2014年12月のレコーディングなので,そこからは暫く時間が経過しているが,この時にはトリオでもレコーディングを残していて,それも非常に楽しいアルバムだった。本作はトリオの前にVanguardに出演していたInside Straightとしてのライブ・アルバムで,昨年になってリリースされたのであった。何で今頃?って気がしないでもなかったので,私は本作はストリーミングで聞いていた。だが何度かストリーミングで聞いてもついつい興奮してしまうので,やはり媒体でも欲しくなって,遅ればせながら購入に至った訳だが,これがまた実によいのだ。エンタテインメント性はトリオの方が上かもしれないが,それを補って余りあるモダン・ジャズ的なスリルは本作の方に感じる。しかし,自然に身体が反応してしまうようなグルーブ感もあって,聞いていて本当に「楽しい」のである。ジャズ好きならば,こういう演奏を聞いて嫌いだという人間はいなかろうとさえ思ってしまう。

メンバーも各々がリーダー作を持っているような実力者揃いだが,曲もリーダーだけでなく,メンバーの曲も交えたバランスを考えるところにも,Christian McBrideのリーダーとしての資質を感じさせるし,アルバムのどこから聞いても十分に楽しめる。今頃になって記事をアップしている自分への反省も込めて星★★★★★。一つのジャズの王道である(きっぱり)。

Recorded Live at the Village Vangurad on December 5, 6 &7, 2014

Personnel: Christian McBride(b), Steve Wilson(as, ss), Warren Wolf(vib), Peter Martin(p), Carl Allen(ds)

2022年6月18日 (土)

久々のライブはMike Stern Night@Virtuoso Akasaka。でもマイキーはいない(笑)。

Mike-stern-night

サラリーマン界の最強サックス奏者,八木くんのお誘いを受けて久しぶりにライブに行ってきた。場所は赤坂Virtuoso。Mike Stern Nightと言いながら,マイキーがいる訳ではなく,マイキーのトリビュート・バンド。Steely Danには有名トリビュート・バンド,スティーリー初段があるが,そのマイキー版と言っては,このバンドのリーダーであるプロの矢堀孝一氏に失礼に当たるが,マイキーの曲をまさにそれっぽく演奏するというバンドのライブであった。

私はかなりのMike Sternのファンと言っていいだけに,どんな演奏になるのか興味津々で現地にお邪魔してきた。

演奏の具合は貼り付けたYouTubeの画像を見て頂ければわかると思うが,音と言い,フレージングと言い,乗りと言い,ブラインドで聞いてもまさにMike Sternのバンドと思ってしまうような演奏であった。マイキーの演奏と言えば,必ず途中で「踏む」という行為が発生するが,ここでの矢堀氏の演奏もそれは踏襲。ついでに膝の動きも踏襲である(笑)。そしてテナーとEWIを吹くスウェーデン出身のBjörn Arköは,現在札幌在住とのことだが,まだ結構若いのにMichael Breckerばりの演奏,フレージングは見事なもので,実に大したものと言わざるをえない。世の中には隠れた才能と言うか,いろんな人がいるのねぇというのが正直なところだが,Björn Arköの吹くEWIで,1986年,東京五反田でのSteps AheadライブにおけるMichael Breckerの演奏を思い出してしまったのであった。Michael Breckerは晩年はEWIを吹くことはなかったと思うが,マイキーも来ていたSteps Aheadでのライブの頃はバリバリにEWIを吹いていたのも懐かしく,その映像を改めて見たくなってしまったのであった(音源だけでもよいが...)。

いずれにしても,Mike Stern Nightというタイトルに偽りなしのハード・フュージョンを堪能したのであった。調子に乗って飲み過ぎたが(爆)。

Live at Virtuoso Akasaka on June 16,2022

Personnel: 矢堀孝一(g), Björn Arkö(ts, EWI), 横田健斗(b), 北澤ひろき(ds)

2022年6月17日 (金)

実にReichらしい響きに満ちた新作:”Reich/Richter” #SteveReich

Reichrichter”Steve Reich: Reich/Richter" Ensemble Intercontemporain / George Jackson(Nonesuch)

Steve Reichが2019年に書いた,Gerhard RichterとCorinna Belzによる映像作品"Moving Pictures"とともに演奏されるための曲だそうだ。即ち,映像は視覚に訴え,Reichの音楽は聴覚に訴えることで,鑑賞者の感覚を刺激するということだろうが,音楽を聴いているだけでも十分に満足できる。

この音楽を聴いていて,いかにもSteve Reich的な響きが続いて,それこそ初めて"Music for 18 Musicians"を聴いた時のような感覚を想起させるところが実に心地よい。そして,これがライブ・レコーディングだっていうのが信じがたいのだが,それをきっちりこなしてしまうEnsemble Intercontemporainの素晴らしさってところだろう。

とにかく,Steve Reichの音楽が好きならば,間違いなく気に入るであろう作品であり,今年の10月で86歳になろうとしているSteve Reichがまだまだ現役で行けることを実証した作品としか言いようがない。ジャケットはGerhard Richterの2021年の作品だが,こちらも今年90歳ということで,年齢はこういう風に重ねたいと思ってしまうねぇ。星★★★★★。

偶然とも言うべきだろうが,現在,東京国立近代美術館でGerhard Richterの展覧会が開催中である。これを聴きながら,作品鑑賞ってのもよさそうだな。行こうっと(笑)。

Recorded Live at Philharmonie Paris-Cite de la musique, Grand salle Pierre Boulez on March 7, 2020

Personnel: George Jackson(cond), Ensemble Intercontemporain(performance)

2022年6月16日 (木)

Rudresh Mahanthappa:インド風味のFive Elementsみたいな...。

_20220615"Gamak" Rudresh Mahanthappa(Act)

このアルバムがリリースされたのが2013年なので,既に10年近くの時間が経過しているが,このアルバム,クロゼットにしまい込まれて,これまでちゃんと聞いた記憶がない(爆)。しかし,先日クロゼットを漁っていて,おぉ,こんなのもあったなぁということで取り出してきたのだが,このメンツ,実に気になるところであった。何てったって,変態ギタリスト,David Fiuczynski が目を引くが,ベースはFrançois Moutin,ドラムスはChris Potter UndergroundにNate Smithのトラで入ることもあるDan Weissである。 

リーダー,Rudresh MahanthappaはDownBeat誌の国際批評家投票では常に高く評価されている人だが,日本での知名度はちっとも上がっていないってところではないか。このブログでも”Who Is Rudresh Mahanthappa???”なんて記事をアップしたのが2011年(記事はこちら)だが,それ以降,日本での認知度が上がったって話は聞いたことがない(笑)。だが,その時取り上げた"APEX"も優れたアルバムであったし,このアルバムも改めて聴いてみると,Steve Coleman & Five Elementsにインドのフレイヴァーをまぶした感じのファンク色の強いアルバムだったのが面白かった。

アメリカの批評家に受けるのは,この尖った感じなんだろうなぁと思いつつ,そこに加わるのがDavid Fiuczynskiというのが何とも言えない変態的な感覚を加えているのも,その尖り感を増幅させている。ウネウネした感じはまさにDavid Fiuczynskiってところだ。David Fiuczynskiは上原ひろみのアルバムでも弾いていたことがあるが,変態度はこっちの方が上。星★★★★。

Recorded on April 2 & 3, 2012

Personnel: Rudresh Mahanthappa(as),David Fiuczynski(g),François Moutin(b),Dan Weiss(ds)

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