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2020年11月24日 (火)

Eurythmics:私にしては珍しいかもなぁ。

_20201123 "Ultimate Collection" Eurythmics(RCA/Sony)

ロックに関しては私の音楽的な嗜好はアメリカに偏っているが,ブリティッシュも全然聞かない訳ではない。ビッグネームは当然として,Scritti Pollittiなんてかなりのファンであるし,このブログにもたまにブリティッシュ・ロックは登場している。それでも,80年代以降のブリティッシュ・ロックについては,一部を除いて積極的なリスナーとは言えないのだ。特にパンクやシンセ・ポップみたいなのはあまり聞かないので,Eurythmicsについても記事を書いたことはない。それでも,Annie Lenoxの声は魅力的だと思えるし,Dave Stewartのアルバムも取り上げたことがあるが,気まぐれ的にごく稀にしか聞かないってのが実態である。

まぁ,それでも80年代を駆け抜けたって感じの彼らの活動はFMを通じて聞いていたが,アルバムはこのベスト盤しか持っていない。このアルバムは2005年にリリースされたものだが,よくあるパターンとして,(当時の)新曲を2曲追加したセレクションである。だが,私が積極的な彼らの音楽のリスナーではないこともあり,知っている曲は限定的。反応できるのは”Sweet Dreams (Are Made of This)"と"Here Comes the Rain Again"ぐらいではないか。しかも,この2曲,実に曲調が似ていて,私にとってのEurythmicsってのはこういうイメージで出来上がっているって感じだろう。あとはいろいろなところで,イントロや冒頭部が使われていた"There Must Be an Angel (Playing with My Heart)"か。ここではStevie Wonderがハーモニカを吹いていたのねぇ。誰が聞いても一発でStevie Wonderとわかるのも認識していなかったんだから,このアルバムも大して聞いていないことがバレバレ。

改めてこのアルバムを聞いて,彼らの音楽性はより幅広いものだということはわかるし,Annie Lenoxの声はやはり魅力的だったと思える。だが,私の中でのポジションが上がらないのは偏に私の音楽的な好みによるもの。私はシンセ・ポップ的なノリよりも,ビートを強調した曲に魅力を感じてしまう。Aretha Franklinを迎えた"Sisters Are Doin' It for Themselves"なんかいいねぇ。それはAretha Franklinの磁力なのかもしれないし...。ということで,私は決して彼らのよいリスナーではないが,それでも楽しめるアルバム。星★★★★。

2020年11月23日 (月)

Boz Scaggsの懐かしのベスト盤のリメイク・ヴァージョン

_20201121_20201123002101 "Hits!" Boz Scaggs (Columbia)

もともと1980年にリリースされたBoz Scaggsのベスト盤に5曲追加した新ヴァージョンである。私の場合,"Silk Degrees"を最初の出会いに,Boz Scaggsの音楽には結構はまったクチであるが,こうして改めてベスト盤を聞いていると,粒よりの曲揃いであり,懐かしさがこみ上げてくると言わざるをえない。

人生,何年も生きていると,その時々の記憶と音楽が重なることも出てくる訳だが,私にとっては,陳腐な言い方を承知で,苦い思い出も,甘い思い出もBoz Scaggsの音楽と連動することがあるのだ。だからと言って,今回,このアルバムを聞きながら回顧モードに入った訳ではないが,それでもやっぱりそういう風に思ってしまうことがある。

ここで新たに追加されたのは"Hard Times","Slow Dancer","Harbor Lights","It's Over",そしてオリジナルが出た1980年にはまだリリースされていなかった"Herart of Mine"の5曲。私にとって,Boz Scaggsの最高の名曲は”Harbor Lights"だと思っているので,この追加は当然と思えた。やっぱりいい曲である。また,"Silk Degrees"以前の"Slow Dancer"や"Dinah Flo"も改めていいねぇと思わせてくれた。

改めて,Boz Scaggsは私の中での重要ミュージシャンだったのだと感じさせられたひと時であった。そうした位置づけも踏まえ,星★★★★★。

2020年11月21日 (土)

夜になるとSamson Françoisのショパンを聞き続ける私...(笑)。

Samson-franois "The Chopin Recordings" Samson François(EMI)

在宅勤務中の昼間は結構なボリュームで音楽をプレイバックしている私だが,家人が帰宅した夜になると,比較的おとなしく音楽を聞いている(笑)。そんな私がここのところ,夜になると続けざまに聞いているのがこの10枚組。Samson Françoisによるショパンのレコーディングをほぼ網羅したボックスを,私は相当お買い得価格でゲットしたと記憶している。

そもそも私は真っ当なショパンの音楽のリスナーではない(きっぱり)。ArgerichやPolliniが弾いたショパンのアルバムは保有しているが,それ以外はほとんど保有していない(更には聞いていない)ぐらいのものである。あとはPeter Serkinがあったか。だから私がショパンの音楽について語る資格は正直ないのだが,私にとってショパンの音楽に接するにはこのボックスが最適と言ってもよいというか,それしか手段がない。もちろん,ストリーミングでもいろいろなショパンの音楽は聞けるだろうが,クラシック音楽をストリーミングで聞く気にはならないってのが正直なところだし,それほどショパンの音楽に対する思い入れもないのだ。そういうこともあって,邪道と言われるかもしれないし,それはいくら何でも...と言われるかもしれないが,私にとってはショパンの「標準」はこのSamson Françoisの演奏なのだ(笑)。

古い録音だけに音がどうのこうのという話もあるが,私は全然気にならない。どこから聞いても実に素晴らしい演奏集であることに間違いはあるまい。どう考えても星★★★★★である。

これを聞いていると,Samson Françoisが弾いたシューマンってどうったんだろうと猛烈に気になっている,実は意外にも結構シューマン好きの私(爆)。

Personnel: Samson François(p)

2020年11月20日 (金)

Deacon Blueの新譜が出ていたのを全く知らなかった...。

_20201118 "City of Love" Deacon Blue (ear Music)

昨今は音楽に関する情報収集があまりちゃんとできていなくて,Deacon Blueが新作を出したことさえ気づいていなかった。ショップに行く機会もあまりないし,ネットでもDeacon Blueを取り上げた記事にはとんと出会ったことがないから仕方がないとは言え,結構私としては贔屓にしてきたバンドの動静はちゃんとフォローすべきだった。ということで,遅ればせながら彼らの新作をゲットした。

私はこのブログで,彼らの近年の作品を非常に高く評価してきた。2012年("The Hipsters",14年("A New House"),16年(”Believers")と彼らのアルバムを私は年間ベストに選んでいることからすれば,私が彼らにどれほどまいっているかはおわかり頂けるだろう。私の乏しい表現力では「瑞々しい」としか言いようのない彼らのポップ・センスは実に素晴らしく,今回の新作にも期待するのが当然なのである。とか言いながら,彼らのライブ・アルバムをブログにアップしていないのはなんでやねん?と言われれば抗弁の余地はないが...。

それはさておきである。この新譜においても,冒頭のタイトル・トラックから彼ららしい音楽センスが出ていて,今回も期待したくなってしまった。しかし,徐々にそうした感覚が薄れていった感じがするのはなぜだろうか。一言で言ってしまえば,曲の魅力がイマイチって感じなのだ。今回,この記事を書くために,何回かプレイバックしたのだが,上述の3作に感じたような高揚感に乏しい。もろ手を挙げて「最高~っ!」とは言えないのである。

実はこのアルバムを聞く前に,リーダー,Ricky Rossのソロ・アルバム,"Pale Rider"や,Deacon Blueのベスト盤をCDやストリーミングで聞いていたのだが,そっちは実にいい感じだったところの反動が大きかったようにも思える。だが,私にとっては期待値が異常に高いバンドであるだけに,本作はちょっと残念というのが正直なところである。星★★★☆。でも好きなんだけどね。

Personnel: Ricky Ross(vo, p, key), Lorraine McIntosh(vo, perc), James Prime(key, vo), Dougie Vipond(ds, perc), Gregor Philp(g, key, vo), Lewis Gordon(b, g, vo), The Pumpkinseeds(strings), Colin Smith(pedal steel), Andrew Mitchell(g, b)

2020年11月19日 (木)

リリースから40年を経過しても鮮烈なArgerichのバッハ。

_20201116"J.S. Bach: Toccata In C Minor BWV 911; Partita No.2 In C Minor, BWV 826; English Suite No.2 In A Minor, BWV 807” Martha Argerich(Deutsche Grammophon)

私がクラシック音楽を聴き始めたのは高校に入ってからだと思うが,このアルバムが出たのは1980年だから私の浪人中のことである。実際に買ったのは大学に入ってからかもしれないが,今でもこのアルバムは私の中で,数あるMartha Argerichのアルバムの中でも屈指のものと思っている。

一方で,彼女の弾くバッハは聞く人によってはこんなのはバッハじゃないと思われるかもしれない。確かにこの躍動感はバッハの一般的な響きとはちょっと印象が異なるかもしれないのだが,それでもこの鮮烈さにまいったと思ったことは,それからどれだけの年月が流れようとも,私の中では変わらない。私はGlenn GouldやSviatoslav Richter,あるいはAndrás Schiff の弾くバッハだって好んで聞いている訳だが,彼らとは明らかに違う個性を打ち出しているところを感じてしまうと,これはやはり強烈な演奏だったのだと思う。

躍動的で完璧なアーティキュレーションという意味で,こんなバッハは二度と出てこないのではないかとさえ思ってしまえる傑作。今聞いても実に素晴らしい。星★★★★★。昔,私はこれをドイツ盤のアナログで保有していたのだが,今はCDである。しかし,改めてアナログで聞いてみたくなってしまった私である(無駄遣いの予感:爆)。

Recorded in February, 1979

Personnel: Martha Argerich(p)

2020年11月18日 (水)

Wilson Bros.: AORの極みみたいな...。

_20201115-2"Another Night" Wilson Bros.(Atco)

兄弟デュオによるAORというと,私なんかはついついAlessiとなってしまうのだが,これまた典型的というか,定冠詞付きのAORみたいなアルバムである。ジャケットもその雰囲気満点である。

もともとはソングライター・チームらしいこのWilson兄弟だが,この所謂AOR的なサウンドに痺れた私の世代は多いのではないかと思う。私の場合はこのアルバムが出た1979年頃は,ジャズか,典型的なアメリカン・ロックもしくはシンガー・ソングライター系の音を好んで聞いていた頃なので,本作に関しては結局は後追いで聞いたものだが,これは万人受けするAORって感じで,こういうのが嫌いだって人はそんなにいないだろう。

このアルバム,何かというとSteve Lukatherのギター・プレイがどうのこうのと言われることが多いのだが,Lukatherのプレイがこのアルバムに付加価値をもたらしたことは否定しないとしても,そればかり言われるのはWilson兄弟にとってはどうかなって思ってしまう。歌唱,演奏,そして曲としてはちゃんとできているのだから,Lukather抜きでも評価してもよいはずである。そうは言っても,Boz Scaggsno"Middle Man"でさえ,Steve Lukather抜きでは語れないことを考えれば,それも仕方がないのも事実なのだが,それにしてもこれはよくできたAORである。

リリースから40年以上経ってもこういう音楽は古びた感じがしないと思うのは,私が同時代人だからなのかもしれない。確かに現代の音作りとは違うものかもしれないが,テクノロジーに依存しなくてもちゃんと音楽は生き残るってことを感じさせるナイスなアルバム。星★★★★。それにしても,こういうアルバムにKenneth Buttereyの名前を見つけるのは意外な気もするが,結局何でもできるドラマーだったってことである。

Personnel: Steve Wilson(vo, g),Kelly Wilson(vo, g, key), Steve Lukather(g), Jon "Git" Goin(g), Steve Gibson(g),Shane Keister(key),Bob Wray(b), Jack Williams(b), Kenneth Buttrey(ds), Farrell Morris(perc), Ernie Watts(ts, ss), Denny Henson(vo), Diane Tidwell(vo), Donna Sheridon(vo), Lisa Silver(vo), Sherri Kramer(vo)with the Shelly Kurland Strings, Billy Puett(ts, bs, fl, recorder), Dennis Good(tb), Don Sheffield(tp)

2020年11月17日 (火)

Rickie Lee Jonesの内省的な響きもありながら,ナイスなアルバム。

_20201115 "Traffic from Paradise" Rickie Lee Jones(Geffen)

私は最新作"Kicks"以外は,ほぼ全てのRicke Lee Jonesのアルバムを保有しているはずである。それぐらい好きというか,彼女が"Pop Pop"の頃に来日した時には,確か中野サンプラザだか五反田の簡易保険ホールだかに見に行ったように思う。ただ,私の中では長年聞いていても,結局はWarner時代が好きだってことになってしまう。もちろん,その後のアルバムも悪くないのだが,特に最初の2作が良過ぎたって気がしている。私がライブを見に行った時も,もう少しバンド・サウンドを強調してもいいのではないかと思ったように記憶していて,その辺りからは,アルバムは買うものの,積極的に聞くって感じは薄れていったように思う。

だが,このアルバムを久しぶりに聞いて,このアルバム,こんなによかったかと思ってしまった私である。このアルバムを買った頃,私はLeo Kottkeの参加に驚いたものである。Leo Kottkeの名前に反応する好き者も減っているのではないかと思うが,私は若い頃,彼のアルバム,"My Feet Are Smilin'"を聞いてぶっ飛んだ記憶も生々しい。このブログを始めて間もない頃,そのアルバムも取り上げている(記事はこちら)が,まさにショッキングな音だったのである。

そんなLeo KottkeとRickie Lee Jonesは簡単に結びつかない訳だが,ここではLeo Kottkeは伴奏に徹するって感じである。だが,このアルバムの翌年,Rickie Lee JonesはLeo Kottkeの”"Peculiaroso"を返礼的にプロデュースしているから,おそらくは頼み込んで演奏してもらったってところではないか。しかし,そうしたバックの演奏にも注目しようがしまいが,このアルバムは結構いい出来である。

冒頭の"Pink Flamingo"は内省的なスタートであるが,徐々にシンガー・ソングライター的な魅力を感じさせるものとなっていて,今の私にとって,フィット感にあふれるものとなっていた。私のCDラックにはこういう音楽がまだまだいくらでもあるのだろうと感じさせたということで,反省も込めて星★★★★☆。まぁ,サウンドとしては相当渋いので,全米チャート111位が最高ってのも仕方ないかなって気もするが,売れりゃいいってものではないのだ(きっぱり)。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, g, key, mandolin, dulcimer), Alex Acuna(ds, perc), David Baerwald(g), Sal Bernardi(g, vo), Bobby Bruce(vln), Brad Dutz(perc), David Hidalgo(g, vo), Jim Keltner(ds), Leo Kottke(g, vo), John Leftwich(b, cello, g, vo), Lyle Lovett(vo), Doug Lyons(fr-h), Dean Parks(g), Brian Setzer(g, vo), Syd Straw(vo), Efrain Toro(perc), Teresa Tudury(vo)

2020年11月16日 (月)

私にとっての今井美樹の原点

_20201112 "Ivory II" 今井美樹(For Life)

私がこのブログで取り上げる日本のポップス・シンガーは極めて限定的なのは読者の皆さんならご存じのはずであるが,数少ない例外が今井美樹であることは間違いない。今でも今井美樹が歌ったYuming集や"I Love Piano",そしてこのアルバムは私のCDラックの中でも優遇された位置に置かれているのだ(笑)。

私が今井美樹がいいねぇと思ったのは多分NYC在住中の頃である。友人の家に今井美樹が出ていた「あしたがあるから」のビデオがあって,それを見ていて思ったのが主題歌である"Piece of My Wish"のよさだったのだ。それがずっと記憶に残っていて,帰国後,このベスト盤が出た時に購入したのが1993年のはずである。その頃はまだ,今や今井美樹を象徴する曲となった"Pride"のリリース前であるが,そんなことは関係なく,私はこのアルバムに痺れてしまったのであった。

私が今井美樹に魅力を感じてしまうのは,彼女の声や歌唱はもちろんだが,イメージにフィットした曲を選んでいるということだと思う。このポップな感覚は万人受けすると思うが,私にとっても極めて高い訴求力で迫ってくる。加えてかまやつひろしが書いた"Tea for Two"のボサ・ノヴァ・タッチにだってピッタリなんだから,全く文句の言いようがないのだ。

今でも今井美樹のアルバムが出ると買ってしまう私だが,全部が全部いいとは思わないとしても,今でも魅力的な歌手だと思う。特にレア・グルーブ的なノリは特にいいと思っている。いずれにしても,私にとってラッキーだったと思うのは,彼女の音楽との出会いが本作だったということだろう。これは実によくできたベスト・アルバムであり,今でも十分魅力的に響く。久しぶりに聞いたが,現在でも十分通用するナイスなアルバムである。星★★★★★。

やっぱり原初的な体験は重要だよねぇとつくづく思った私である。そして上田知華の書く曲はよかったなぁと改めて感じた。

2020年11月15日 (日)

久々に聞いた”Barry Harris in Spain”。渋いねぇ。

_20200903 ”Barry Harris in Spain" Barry Harris(Nuba)

ベテラン,Barry Harrisは現在も存命で,12月には91歳になるそうである。そんなBarry Harrisが還暦の頃吹き込んだのが本作である。実はこのアルバムも聞くのはかなり久しぶりって気がするが,このアルバムを聞いていて,ピアノのエコーの掛かり具合が結構いいのかなぁなんて感じていた私である。穏やかな感じなのだ。

音はさておき,全7曲中,5曲をBarry Harrisのオリジナルが占めるが,この人の書く曲がなかなかに魅力的。そして演奏は冒頭の”Sweat Pea"からして渋い。Barry Harrisはバッパーとして捉えられていると思うが,いかにもバップ的になるのは3曲目の”Line of Fire"になってからであり,それまでは実に落ち着いたトーンでありながら,魅力的なフレーズを聞かせる。こういうアルバムを聞いていると,ついつい酒の量も増えるって感じである。この"Line of Fire"がいかにもBud Powell的なのがBarry Harrisの出自をうかがわせるが,まさにバップの世界である。

そうした中で,私はスタンダードのうちの1曲である”Strike up the Band"って曲があまり好きではないのだ。別に悪い曲だというつもりはないのだが,これはJudy GarlandとMickey Rooneyの元気な歌にフィットするものであって,私はジャズ的な響きを持つメロディだと思えない。結構この曲を演奏しているアルバムはあるものの,いつもなんでこの曲を入れるんだと思ってしまうのだ(爆)。しかし,ここでの演奏は不思議と許せる。これはやはりBarry Harrisの落ち着いたピアノのトーンゆえってところで,正直これはいいと思えた。この曲はこういう風に弾けばいいのねって感じと言っては言い過ぎ化もしれないが,本当にそう思ったのだから仕方がない。

ということで,バックの面々も好演で,これは悪くない。まぁ,ジャズっぽいゴリゴリ感はないので,そこが評価の分かれ目って気もするが,私はリピートに耐えうる佳作と評価したい。星★★★★。

Recorded on December 5, 1991

Personnel: Barry Harris(p), Chuck Israeks(b), Leroy Williams(ds)

2020年11月14日 (土)

Chuck Mangione:売れたよねぇ(笑)。

_20201107-2 "Greatest Hits" Chuck Mangione(A&M)

Chuck Mangione,懐かしい名前である。非常に長いキャリアを持つChuck Mangioneであるが,かつてはJazz Messengersにも在籍していたというのには笑ってしまうが,当時出したアルバム"Buttercorn Lady"のピアノはKeith Jarrettだったというのだから,これまたおかしい。私は"Buttercorn Lady"は聞いたことはないはずだが,ストリーミングで聞いてみるのも一興だろう。

そうは言いながら,Chuck Mangioneのキャリアで最も輝いていたのはA&M時代,そしてこのベスト盤に収められている曲がリリースされた75年から81年ということになるが,その中でもやはり"Feels So Good"の大ヒットが大きかった。シングルもアルバムもチャート・アクションはよかったから,この曲がChuck Mangione最大のヒットであることに異論をはさむ余地はない。売れたシングルは大幅に短縮編集されているが,ここに収められたアルバム・ヴァージョンは9分35秒もあり,プレイヤーのソロも収められていて,私はこっちの方がはるかに好きである。それに次ぐのがほぼ"Feels So Good"の路線を踏襲しながら,やや哀愁度を高めた”Give It All You Got"ってところか。

このベスト盤を聞いていると,Chuck Mangioneの音楽は実に聞きやすいものであり,それなりに人気が出るのも理解できる訳だが,その一方で,これはジャズってよりも映画音楽的な響きもあるなぁって感じである。実際,映画「キャノンボール」のテーマ曲もあるしねぇ。そして聞いていて,私は心地よい眠りに落ちたことは書いておかねばなるまい。まぁそういう音楽として楽しめばいいのであって,この人の音楽には小難しいことを言っても仕方がないってところだろう。

このベスト盤は結構な佳曲揃いであることを評価して星★★★★。個別のアルバムに手を出す気はないが,これは持っていても損はないと思っている。

2020年11月13日 (金)

Jackie McLeanがなんだかんだ言って好きなのだ。

_20201011-2"Demon's Dance" Jackie McLean(Blue Note)

いきなり唐突ではあるが,このアルバムが結構不幸だと思うのは,何かと言えばLPで言えばB面1曲目の"Sweet Love of Mine"のことばかりが取り上げられて,アルバム単位で話題になることが少ないことではないか。そうは言ってもこのジャケじゃ文句も言えないのは事実である(きっぱり)。

私は前にも書いたことがあるが,Jackie McLeanの音楽を聞いていると,そのちょっとフラット気味の音色に違和感をおぼえることが多々あるものの,全部が全部という訳ではないということは本作を聞いてもわかる。本作のトーンには日頃感じる違和感はないし,モーダルながらいかにも60年代後半って感じの演奏には嬉しくなるだけである。いかにも新主流派である。確かにWoody Shawが書いた"Sweet Love of Mine"は昭和歌謡みたいな感覚を覚えさせるいい曲である。だが,このアルバムの魅力をその1曲だけに帰結させていいのかと言われれば,それは違うだろうと言いたくなる。

アルバムを通して聞いてみれば,冒頭から,おぉっ,これはいいよねぇと思わせる快演揃いである。こういうのは我が家のしょぼいオーディオで聞くより,ジャズ喫茶で相応の音量で聞くべき音楽だと思える。小音量で聞いてもいい音楽もあると言えども,ヴォリュームを上げて聞いた方がいいに決まっている音楽は絶対あるのである。これなんか,家人のいぬ間にノブを右に回したいタイプの音楽だ(爆)。

そしてWoody Shawである。このアルバムが吹き込まれた頃はまだ20代前半だったはずのWoody Shawであるが,若き才能を炸裂させているのは先日取り上げたBarney Wilenと通じるところがある。若い人は,どんなに若くても凄いのである。ラッパで言えば,Clifford Brown然り,Lee Morgan然り,そしてRoy Hargrove然りである。そうした中ではWoody Shawは陽の当たり方が足りなかったなと思う,遅れてきたWoody Shawファンの私であるが,もっと早く彼の魅力を認識すべきだったと思っても,その時には彼は世を去っていた...。

いずれにしても,このアルバムは実にいいと思うし,もう少しプレイバックする頻度を上げねばと思ってしまった。星★★★★☆。

Recorded on December 22, 1967

Personnel: Jackie McLean(as), Woody Shaw(tp), LaMont Johnson(p), Scotty Holt(b), Jack DeJohnette(ds)

2020年11月12日 (木)

Dennis Chambersの"Outbreak"。これも久々だ。

_20201105-2 "Outbreak" Dennis Chambers (ESC)

Dennis Chambersってのは実に優れたドラマーで,リーダー・アルバムも何枚か出しているが,私はこの人はリーダーとしてよりも,バックからバンドを煽り,ドライブさせる方がいいのではないかと思える。そういう意味ではリーダー作より,誰かのバックで弾いている方がいいと思うことが多いMichael Landauと同じ印象を与える。

そんな中で,私がこの人のリーダー作で一番いいと思っているのは,初リーダー作である"Getting Even"なのだが,あれも久しく聞いていないので,その感触にはあまり自信がない(爆)。しかし,以前,このブログでも"Planet Earth"を辛辣に評価した(記事はこちら)ように「何でもあり」か感が出てしまうのは本作も同様。私から言わせれば,オーヴァー・プロデュースなのである。

ここでもいろいろな演奏が収められているが,もう少し一本筋を通した方がいいのではないかってのが正直なところである。私にとっては,Dennis Chambersは猛爆ドラマーとして叩いてくれればいいのである。だからこのアルバムでもジョンスコとやった2曲(ベースはなんとGary Willisである)は実にいいと思うし,Michael Breckerとのタイトル・トラックもいい(これもベースはGary Willisだ)。ホーン・セクションが入る分厚いアレンジよりも,少人数での演奏の方が魅力的に思えるのだ。

世の中の優秀なドラマーは作曲能力にも優れているが,デニチェンの場合はそうではない。だからこそアルバムはプロデューサーに依存してしまう部分が出てくる訳だが,魅力を活かそうとし過ぎるから,オーヴァー・プロデュースになってしまうのは致し方がない部分もあるだろう。しかし,私はタイコ叩きとしてのデニチェンの魅力を追求するならば,シンプルな演奏で十分だと思えるのだ。

そういう訳で,このアルバムもいいと思えるものと,イマイチだと思える部分が混在している作品で,実にもったいないと思ってしまった。星★★★。まぁ,それでも10分を超えるタイトル・トラックを聞いて燃えなければモグリと言われても仕方ないが(笑)。

Recorded in February and April, 2002

Personnel: Dennis Chambers(ds), Michale Brecker(ts), Bob Malach(ts, bass-sax), Randy Brecker(tp), John Scofield(g), Jon Herrington(g), Jim Beard(p, el-p, synth, org), Dean Brown(g, b), Nick Moroch(g), Will Lee(b), Gary Willis(b), Rodney "Skeet”Curtis(b), Matthew Garrison(b), Art Tuncboyaciyan(perc), Jim Hynes(tp), Jim Hynes(tp), Michael Davis(tb), Aaron Heick(as)

2020年11月11日 (水)

なんだか凄いメンツが揃っていたBilly HartのGramavision盤。

_20201107 "Oshmare" Billy Hart (Gramavision)

クロゼットを漁っていたら出てきたのがこのアルバムである(笑)。保有していたのは記憶していたし,メンツも結構豪華だったはずだという記憶はあったのだが,ここまでとは...って感じのメンツではないか。

私は,何だかんだと言って,Billy Hartが参加したアルバムは結構保有しているはずである。長年活動するQuestのアルバムなんかその最たるものであるし,そのほかにもありとあらゆるミュージシャンと共演しているのは,信頼の厚さの表れではないかと思える。

共演者としてだけでなく,今でもECMからリーダー作をリリースし続けるBilly Hartであるが,これはGramavisionレーベルということもあり,随分と感じが違う。メンツからも想像できる通り,かなりコンテンポラリーな響きの演奏である。だからと言って,決して先鋭的ではない,比較的な中庸な路線と言ってもよいが,どうやったらこういうメンツになるのかという不思議さを持ったものであることは間違いない。

サウンドを面白くしているのは,Bill Frisellであり,Didier Lockwoodではないかという感じだが,その一方で強力なホーン2人は思ったほどでもない。その辺はちょっともったいないという気がしないでもないが,どちらかと言えば,ソロイストと言うよりも,アンサンブルで聞かせるアルバムのような気がする。それこそいろいろなタイプの曲が揃っていて,捉えどころがないと言えばその通りだが,私としてはなかなか面白く聞けたアルバムであるが,星★★★☆ってところが妥当だと思う。

しかし,私は全然認識していなかったのだが,こんなものまで廉価盤で出ていたんだねぇ。日本ってやっぱり凄いわ(笑)。

Personnel: Jabali Billy Hart(ds), Steven Coleman(as), Brandford Marsalis(ts), Kevin Eubanks (g), Bill Frisell(g), Mark Grey(key), Kenny Kirkland(key), Dave Holland(b), Manolo Badrena(perc), Didier Lockwood(vln)

2020年11月10日 (火)

現物はこれからだが,Fred Herschの新作を聞いた。

Songs-from-home "Songs from Home" Fred Hersch(Palmetto)

近年,活動を活発にしているFred Herschであるが,このコロナ禍の中でも,ストリーミングでライブ演奏を聞かせたりして,厳しい状況の中でも音楽活動を継続している。本作はそんなFred Herschがタイトル通り「自宅(別宅らしいが...)で録音」したアルバムのようである。現物はまだ来ていないので,公開されているストリーミング音源で早速このアルバムを聞いてみた。

私はFred Herschのソロ・ピアノを聞いていると,素晴らしい美学を感じる訳だが,今回もFred Herschの魅力は十分に捉えられていると思う。冒頭の"Wouldn't It Be Loverly?"は"My Fair Lady"からの曲だが,元歌は軽くバウンスするような感覚の曲であるが,ここから静謐なタッチで,Fred Herschらしい美しさが感じられて,これで掴みはOKである。これに続いて,Jimmy Webbが書いて,Glen Campbellが歌った"Wichita Lineman"ってのがジャズ界では珍しい選曲だと思うが,これがまた泣かせる。もともと,素晴らしい曲であるが,このメロディ・ラインを実に楚々とした感覚で演奏していて,見事なインタープリテーションだと言ってよい。

正直言ってしまうと,ラストに収められた”When I'm Sixty Four"はほかの曲と並べると異色感が高まってしまうようなところもあり,Joni Mitchellの”All I Want"や,Duke Ellingtonの"Solitude"等に比べると印象が薄い(あるいは,最後がこの曲で適切だったのかって)気もするのだが,Fred Herschの心象風景としての選曲だったということと解釈しよう。

総体的には,いつも通りのFred Herschという感じで,改めてこの人のピアノには魅力的であり,ヒーリング効果があるなぁなんて思ってしまったが,やはりいいものはいいのだということで星★★★★☆。

Recorded in August, 2020

Personnel: Fred Hersch(p)

«Art Pepperの山形でのライブ盤を聞くのは何年振りか?

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