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2026年4月12日 (日)

リリースからひと月半を経て,ようやく現物が到着したPat Methenyの新作。

_20260410_0001 "Side-Eye III+" Pat Metheny(Green Hill)

本作がリリースされたのが2月末だったはずだが,現物が待てど暮らせど届かない。そのためストリーミングで聞いていた私だが,ようやく今頃になって現物が到着である。最近はこういうことが多くて結構イライラさせられることも多い某ショップだが,まぁ届いたからよしとしよう。Side-Eyeの第1作からおよそ5年弱の年月を経ての第2作である。

Side-Eyeのプロジェクトはギター~キーボード~ドラムスの編成を基本としていることは本作でも変わりはないのだが,ゲストも迎えた拡大版であるから単純なIIIではなく,III+ということだろう。

冒頭の"In on It"からしておぉっ,Pat Metheny Group的サウンドと思ってしまうが,久しぶりにこういう感じを聞いたなぁという感慨をおぼえる。しかし,2曲目以降はいつものPat Metheny的な感じに戻るが,控えめながらも仰々しいのコーラス隊が入ったり,"Urban And Western"ではゴスペル風味を感じさせたりと,これまでのPat Metheny的なものとは異なる感覚も持ち合わせている。ヴォーカルのアレンジはMetheny本人と本作にも参加のTake 6のMark Kibbleというのは意外な組み合わせ。

トリオに加えて明確にアコースティック・ベースの音も聞こえてくるが,てっきりDarryl Jonesが弾いているのかと思っていたら,Daryl Johnsという人で,とんだ勘違いであった(笑)。本作リリース後のライブにもベースは帯同しているようなので,このサウンドにはベースを必要としているということだろう。

アルバム中最も興奮を呼ぶのが5曲目の"SE-O"でのChris Fishmanによるオルガン・プレイ。これを聞いていると,ライブではこの人の活躍の場面が増えるかもと思わせるような出来。もっとソロを聞いてみたくなること必定。

まぁアルバム全体を聞いた場合,Pat Methenyのやることなので,レベルは十分に高く,私としても不満のない出来ではあるが,あの超大作"From This Place"のような感動までは至らないというのが正直なところ。あとはJoe Dysonのドラムスが少々うるさく感じるのは私だけだろうか?それでも星★★★★☆にはしてしまうのだが...。いずれにしてもPat Methenyの現在形として楽しめばよいアルバム。

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth, sounds), Joe Dyson(ds), Chris Fishman(key, p, org) with Daryl Johns(b), Brandy Younger(harp), Luis Conte(perc), Vincent Peirani(accor), Mark Kibble(vo), Natalie Litza(vo), Kim Fleming(vo), Kim Mont(vo), Sam Franklin(vo), Stephanie Hall(vo), Joel Kibble(vo), Terry White(vo), Armand Hutton(vo), Leonard Putton(vo), James Francies(org)

本作へのリンクはこちら。 

2026年4月11日 (土)

オリジナル"Somewhere in England"の内容を収めたアナログ盤はブートレッグらしい。

Somewhere-in-england "Somewhere in England" George Harrison(Bootleg?)

私がこのLPを入手したのは随分前のことだ。George Harrisonの"Somewhere in England"は元々の音源があったのだが,販売元のWarner Brothersから却下されて,曲を差し替えたバージョンが正規盤ということになっている。しかし,George Harrisonのファンたるもの,差し替え前のバージョンも聞きたいに決まっているということで,これを入手した時は嬉しかった。

ジャケを見る限り正規のプロモ盤のようにも見えるぐらいしっかり作ってあるのだが,実はこれはブートレッグだったらしい。しかし,これぐらい真っ当な作りなら,本物だと思ってしまっても仕方がない。違いがあるとすれば,レーベルが偽物臭いこと,裏ジャケの曲順が無茶苦茶なこと,クレジットがないという3点ぐらいだが,ファンとしてはお蔵入りした4曲,即ち"Flying Hour","Lay His Head","Sat Singing","Tears of the World"が聞けるだけで価値があると言い切ってしまおう。

Somewhere-in-england-2nd このアルバムは,元々の正規盤のジャケは別のもの(→)に差し替えられているが,現在流通しているものは上の写真に近いものに変えられるという紆余曲折を辿っている。ジャケはさておき,音楽としてはどっちがいいのかって話もあるが,差し替え前のバージョンでのA面冒頭の"Hong Kong Blues"の銅鑼からのスタートはどうなのよ?って感じがしてしまうのは仕方ないな。あとは差し替え後はPaulとRingoも参加した"All Those Years Ago"の存在意義が大きいので,まぁどっちも保有すべきってところ(笑)。

2026年4月10日 (金)

いかにもECM的な音:Marilyn CrispellとAnders Jorminのデュオ作。

Memento_ecm "Memento" Marilyn Crispell & Anders Jormin(ECM)

静謐にして内省的と言ってよいアルバム。ECMと言えば「沈黙の次に美しい音」という惹句が出てくるが,まさにそれを体現するかのようなアルバムである。

Marilyn Crispellは結構な数のアルバムをECMに残しており,私もそこそこの数は保有しているのだが,正直言ってプレイバック頻度は高くない。それは彼女のアルバムに関するこのブログの扱いにも表れていて,私がこれまで取り上げたアルバムは"Storyteller"の一枚だけ(その時の記事はこちら)だ。そこにも似たいようなことを書いていて,私の印象が変わっていないことが笑える。

本作はこちらもECMにリーダー・アルバムを残すAnders Jorminとのデュオ作だが,Anders JorminについてもBobo Stensonのアルバムは取り上げても,リーダー作は"Ad Lucem"しか保有していないし,記事化もしていない。そんな二人のアルバムなので,積極的には聞こうと思っていなかった。しかし,ブログのお知り合いであるSuzuckさんが「まさにECM的美学の一枚」,風呂井戸さんは「ECM的な世界の極み」とおっしゃっているので,これは聞かねばということになってストリーミングで聞いたのであった。

主題の通り,いかにもECM的なデュオ演奏であるが,全編を通じてこの筋の音楽が好みであれば一発で気に入るであろう演奏だ。私も例外ではないが,冒頭の"For the Children"の美的なサウンドからこれにははまる。そしてアルバムの中で私に最も訴求してきたのが,Marilyn Crispellが複数の共演盤を残している今は亡きGary Peacockに捧げ,アルバムの最後に収めた"Dragonfly"であった。この曲のリリカルなメロディ・ラインと美しさがこのアルバムの白眉と言ってもよいが,最後にこの曲を置くことで私の印象は更によくなったと言ってもよい。

ここにはアブストラクトな展開はほぼ皆無と言ってよく,ピアノとベースの静かな対話が続くが,Anders Jorminのベースもピチカートとアルコの双方でこの音楽を支えているが,リアルに響く音がストリーミングで聞いても優秀な録音と感じさせるのも素晴らしい。多少なりとも好みは分かれる音楽とは思うが,ECM好きには何の問題もなしである。星★★★★☆。

Recorded in July 2025

Personnel: Marilyn Crispell(p), Anders Jormin(b)

本作へのリンクはこちら

2026年4月 9日 (木)

John Taylorの未発表音源をストリーミングで聞いた。美しいソロ・ピアノだ。

John-taylor-bauer-session "The Bauer Session" John Taylor(CAM Jazz)

早いものでJohn Taylorがこの世を去ってもう11年近くになる。John Taylorの死後,ECMからもアルバムがリリースされたが,ストリーミングでもそちらはずっと未聴のままだ。しかし,今回,2014年のソロ・レコーディングがストリーミングで公開されたので,早速聞いてみた。

私はJohn Taylorのアルバムは結構保有しているのだが,このブログで記事化したものは比較的少ない。だが,自身のアルバムに加えて,Peter Erskineの欧州トリオやAzimuthも含めたアルバム群は魅力的なものが多い。ソロ作も暫く聞いていないが"Phases"のようなアルバムもあった。そこにこの音源が加わったということだが,主題の通り,実に美しい響きに満ちている。

元々はかなりハードな演奏も聞かせたJohn Taylorであったが,私が意識して聞くようになったJohn Taylorは抒情的な響きを聞かせる人という印象が強かった。晩年の演奏と言ってよいこのアルバムも後者の路線である。冒頭の"Sophie"から実に静謐で美しい演奏が続き,あっという間に37分間が経過する。ある意味枯れた味わいすら感じさせる演奏だが,こういう音源が発掘されることは誠にめでたいと言いたくなる演奏であった。星★★★★☆。

Recorded in September 2014

Personnel: John Taylor(p)

本作へのリンクはこちら

2026年4月 8日 (水)

Sakata Orchestraのライブ盤を改めて聞く。

Berlin-28 "Berlin 28" Sakata Orchestra(Better Days)

このレコードもリリースされた当時保有していたが,手放したのが随分前のことながら,坂田明のアナログ盤マイブームの頃に再度入手したもの。今にしてみれば和楽器も交えながらフリーとファンクを同居させたような面白い音楽であった。

1980年代の前半にこういう音楽をベルリンでライブでやっていたということは結構凄い事実だと思うが,編成も相当ユニークである。何てたってホーン2人にツイン・キーボード,ツイン・ベース,ツイン・ドラムス,そしてパーカッションが3人である。しかも錚々たるメンツが揃っているのだ。

坂田明によれば,これはライブ音源でありながらリミックスされたアルバムだということだが,ライブ感は維持されていて,そうなのかなぁなんて思ってしまう。1980年代の前半というタイミングにおいて,この音楽がどう捉えられていたかは私の記憶からは飛んでしまっているが,上述の通り,その面白さが変わらないというのは立派だと思う。特にB面後半で盛り上がりを示すグルーブには,思わず身体が揺れてしまった(笑)。星★★★★。

そして今や傘寿を過ぎた坂田明が,まだ現役でフリーをやっていることも考えてみれば凄いことである。

Recorded Live at Berlin Philharmonic on November 6, 1981

Personnel: 坂田明(as),向井滋春(tb),橋本一子(p, vo),千野秀一(org, synth),川端民生(b),吉野弘志(b),村上"ポンタ"秀一(ds),藤井信雄(ds),仙波清彦(perc, vo),堅田啓輝(perc, vo),仙波元章(perc, vo)

2026年4月 7日 (火)

Keith Jarrett入りCharles Lloyd Quartetによる欧州楽旅のライブ。

Charles-lloyd-in-europe "In Europe" Charles Lloyd (Atlantic)

今年で88歳となったCharles Lloydのレコーディング歴は1960年代から始まるが,結構な数のリーダー作を残している。現在でも素晴らしいアルバムを連発しているCharles Lloydではあるが,やはり名声を高めたのはKeith JarrettやJack DeJohnetteを擁したアルバムをリリースしてからだろう。このアルバムもそのメンツによるノルウェーでのライブ音源である。

私がCharles LloydにはまったのはECM時代であって,Atlanticレーベル時代の音源はほぼ後付けで聞いたものだが,本作は今はなき高田馬場のMilestoneでレコードや本の販売を始めた際にゲットしたもの。私の場合,Charles LloydのアルバムはBlue Noteに移籍してからのアルバムを聞くことが多いので,本作をプレイバックしたのも実に久しぶりであった。これも廉価盤CDでリリースされたことがあるので,入手は全然難しくないと思うが,往時のCharles Lloydを振り返るには丁度いい感じの演奏と言ってもよい。

アルバムA面の3曲中2曲ではフルートを吹いているので,かなり軽い感じの演奏と言ってもよいが,本作での一番の聞きものはB面トップの"Manhattan Carousel"のスリリングな響きだと思う。Jack DeJohnetteらしいドラミングはこういう曲にこそフィットするし,Keith Jarrettのピアノ・ソロもいいと思う。アルバム全体ではところどころにフリー的なアプローチを示しつつも,ややおとなしめの演奏と言ってよいが,それでも十分楽しめるとは思う。まぁ,最後の"Hej Da!"はオマケ的な不思議な曲だが。星★★★★。いい機会だから,久しぶりに"Forest Flower"でも聞いてみるかねぇ(笑)。ECMのアルバムも久しく聞いていないので,一度それらを振り返るのも一興かもしれない。

Recorded Live at Aulaen Hall,Oslo on October 29, 1966

Personnel: Charles Lloyd(ts, fl), Keith Jarrett(p), Cevil McBee(b), Jack DeJohnette(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年4月 6日 (月)

暇つぶしに見た「豹/ジャガー」。本当に暇つぶしにしかならなかったが...(笑)。

Il-mercenario 「豹/ジャガー("Il Mercenario")」(’68,伊/西/米)

監督:Sergio Corbucci

出演:Franco Nero, Tony Musante, Jack Palance, Giovanna Ralli, Eduardo Fajardo

これは少し前にストリーミングでの見放題が終了間近ということで見たマカロニ・ウェスタン。原題は「傭兵」の意味だが,この邦題は全く意味不明。Franco Nero演じる主人公の名前はSergei Kowalskiだが,ほとんど"Polack"(ポーランド人という意味らしい)というニックネームで呼ばれている。ポーランド人という意味が分かっていれば,突然Franco Neroがショパンの曲を歌い出すというのもわかるのだが,それを後付けで知った私であるから,見ている時には唐突感があった。

まぁこの映画,メキシコの革命を舞台にしているのだが,もう一人の主役と言ってよいTony Musante演じるPacoとPolackとの関係性がよくわからないまま進んでいく。いずれにしても派手なドンパチはあるし,爆破シーンやセットにも結構予算は掛かっていそうなのに,見ていても間延びした感じしかしない。

先日取り上げた「西部悪人伝」では結構重要な悪役で出ていたFranco Ressellが,序盤であっさり殺される端役のような感じなのはご愛嬌だが,本当の悪役はJack Palance。こういう役はやっぱり似合うねぇと改めて思うものの,映画があまりにしょうもないものだったので,正直もったいない気もする。まぁ暇つぶしにはなったが,西部劇好きが高じて,こういう映画までついついチョイスしてしまうのも私の悪い癖だな(爆)。星★★☆。

だが,Quentin Turrantinoが選ぶ「スパゲッティ・ウェスタン トップ20」において本作が第4位ってどういうこと?としか思えないレベルの映画。人それぞれってことだな。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら。しかしこの程度の作品をBlu-rayにする意味あるのかねぇ(笑)。

2026年4月 5日 (日)

George HarrisonがプロデュースしたSplinterのアルバム。

Splinter "The Place I Love" Splinter(Dark Horse)

何ともいなたいジャケットである。このアルバムはGeorge Harrisonが主宰したDark Horseレーベルからリリースされた最初のアルバムというだけでなく,プロデュースもGeorge Harrison自身が務め,演奏にもHari Georgeson及びJai Raj Harisein, 更にはP. Roducerという変名で参加ということで,George Harrison好きとしては保有必須のアルバムである。

今やCDでもアナログでも再発されて,入手は容易になったが,私がこのアルバムを中古で購入した頃は入手が結構難しかったものだ。私はオークション・サイトで購入したように記憶しているが,ジャケットはそこそこ傷んだ感じはあるし,盤の状態も決して綺麗なものではなかった。しかし,再生してみると全くノイズが出ないという不思議な現物であった。

それはさておき,このアルバム,ジャケの見た目だけだと,フォーク・デュオみたいな感じもするが,実際はよりロック的,あるいはソフト・ロック的と言ってもよいサウンド。音楽的に聞けば,まぁそれなりって感じだが,George Harrisonのアルバムにも通じるサウンド・プロダクションって感じがする。バックを固めるメンツもGeorge Harrison人脈と言ってよい人たちが揃っているからそうなるのも当然だ。

曲は基本的にBob Purvisが書いているが,George Harrisonがプロデュースしていなかったらだいぶ違う感じになっていたかもしれないなぁと改めて聞いて思った私であった。それぐらいいかにもGeorge Harrisonって感じの音なのだ。それがSplinterにとってよかったかどうかはわからないが,一般的な認知度を高めたのはやはりGeorge Harrisonゆえってところだろう。それでもこのアルバムが売れたって話は聞いたことがないが...(爆)。星★★★★。

Personnel: Bob Purvis(vo), Bill Elliot(vo), George Harrison(g, b, mandolin, harmonium, synth, perc, jew's harp, vo), Alvin Lee(g), Gary Wright(p, el-p), Billy Preston(org, p), Klaus Voorman(b),Graham Maitland(accor), Willie Weeks(b), Mark Kelly(ds), Jim Keltner(ds), Mel Collins(horn arr)

本作へのリンクはこちら

2026年4月 4日 (土)

Al Di Meolaの初リーダー作を今更ながら。

Land-of-the-midnight-sun "Land of Midnight Sun" Al Di Meola (Columbia)

私が初めてAl Di Meolaの音楽に触れたのは"Elegant Gypsy"で,まだ多少はギターも弾く高校生の私にはショッキングなギター・アルバムであったが,それ以前のアルバムはReturn to Forever(RTF)にしろ本作にしろ全て後付けで聞いたのであった。

「白夜の大地」ってそのまんまの邦題がついた本作はAl Di Meolaの記念すべき1stリーダー・アルバムだが,"Elegant Gypsy"で聞かせた技術は,既にここでも披露されていた。メンツも"Elegant Gypsy"に近いところもあるが,RTFのメンバー全員が個別でゲストとして加わりつつも,Jan Hammerはまだ不在だし,Paco De Luciaもいない。その代わりと言っては何だが,Jaco Pastoriusの参加が目を引くってところだ。

結局やっている音楽は変わらないし,プロダクションについても"Elegant Gypsy"との同質性が感じられるアルバムである。スリリングさという意味では"Elegant Gypsy"こそAl Di Meolaの最高傑作だと思っている私には少々物足りない部分があるのも事実で,リズム・セクションも少々もっさりした感覚を覚える。そうは言っても,Al Di MeolaはどうやってもAl Di Meolaだと思わせるし,レコーディング当時21歳になるかならないかぐらいだったことを考えれば,やはり恐るべきギタリストであったなぁというのが実感。初リーダー作としては十分星★★★★は与えられる佳作。

Recorded in July and August, 1975

Personnel: Al Di Meola(g), Barry Miles(key), Chick Corea(p, marimba), Anthony Jackson(b), Stanley Clarke(b, vo), Jaco Pastorius(b), Steve Gadd(ds), Lenny White(ds), Alphonse Mouzon(ds), Mingo Lewis(perc), Patty Buyukas(vo)

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2026年4月 3日 (金)

思えばThe Band関連の記事はほとんど書いていないところで,今日はRick Dankoのアルバム。

Rick-danko "Rick Danko"(Arista)

長年ブログを運営していても,そしていかにアメリカン・ロックが好きだと言っても,私がThe Band関連の記事を書く回数は何とも限定的なものになっている。The Bandについては"Big Pink"と"The Last Waltz"の映像版について記事にしただけだし,メンバーのソロにしてもLevon Helm関係しか記事にしていない。結局何を今更という感じがしてしまって,非常に記事化しにくいというのが本音なのだ。

しかし,そこは気まぐれな私なので,今日はAristaから出たRick Dankoのソロ名義による唯一のスタジオ・アルバムを取り上げることにした。このアルバムは"The Last Waltz"の翌年に出たものだが,やはりThe Bandのメンバー全員がゲストで揃っていることもあり,The Band的なサウンドが濃厚である。またゲストにはEric ClaptonやRonnie Woodも加わっており,Rick Dankoのソロ・キャリアのスタートを賑々しく彩ったってところだ。自らもド渋いアルバムをリリースしたKen Lauberの名前も見られる。

曲はロック風味もファンク風味もSSW風味もあって,ヴァラエティに富んでいる。名曲"Small Town Talk"はBobby CharlesとRick Dankoの共作だったのねぇなんてことに今更気づくのだが,私にとってはBobby Charles盤の方が圧倒的にいいと思える。いずれにしても,本作もリリースから半世紀近く経って,こういう音楽が現代の人々にどのように捉えられるのかが興味深い半ば高齢者の私である(笑)。私にとっては端的にGood Old Musicと感じればいいじゃないかと思えるアルバムではあるが,まぁそれは私の年相応の感じ方だな。まぁこのメンツであれば,これぐらいは行けるって感じで,甘めの星★★★★ってところ。

Personnel: Rick Danko(vo, b, g), Michael De Temple(g), Doug Sahm(g), Jim Atkinson(g), Ronnie Wood(g), Blondie Chaplin(g, vo), Eric Clapton(g), Robbie Robertson(g), Gerry Beckley(g, vo), Walt Richmond(p), Ken Lauber(p), Richard Manuel(el-p), Garth Hudson(accor), David Paich(synth), Jim Gordon(org, horn), George Weber(org), Tim Drummond(b), Denny Sewell(ds), Terry Danko(ds), Joe Lala(perc), Rob Fraboni(vibraslap, tamborine, vo), Levon Helm(vo), Wayne Neuendorf(vo)

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2026年4月 2日 (木)

Tedeschi Trucks Bandの新作”Future Soul”をストリーミングで聞く。

Future-soul "Future Soul" Tedeschi Trucks Band (Fantasy)

私はDerek Trucksのギタリストとしての腕を高く評価しているから,カミさんであるSusan Tedeschiとの双頭バンドであるTedeschi Trucks Bandのアルバムもこれまで全てCDで購入してきた。ただ,以前にも書いた通り,そろそろ私自身がSusan Tedeschiの声に飽きてきた感じもあった上に,今回のジャケを見て,購入を躊躇してしまった。以前なら速攻で買っているはずだが,昨今のCD価格の高騰もあって,購入するものは限定的になっているからそれも仕方がない。

昨年リリースされた"Mad Dogs & Englishmen Revisited Live at Lockin’"は昨年のベスト作の一枚に選んでいるから,彼らへの評価は相変わらずだとは思っているものの,あれは10年以上前の録音だし,Leon Russellあってこそのアルバムだったと言ってもよい。ということで,今回はストリーミングで本作を聞いた。

従来のアルバムと基本線は同じだとしても,このアルバムには今までのTedeschi Trucks Bandには感じられなかったポップさが感じられるのは,幅広いプロデュース歴を持つMike Elizondoが関わっていることの影響が大きいように思える。逆に言えば,Tedeschi Trucks Bandとしても新機軸が必要な時期に来ていると感じていたことの裏返しではないか。今回も決して悪い出来だとは思わないが,これならストリーミングでいいかなというところ。星★★★★。

私はこの人たちのライブ・バンドとしての魅力が強いと思っているし,ライブ盤も多いことからも本人たちもそういう意識のはずだ。なので,私としてはこの人たちの演奏はCDよりもライブで見たいという思いの方が強い。しかし,23年のライブ時にはホーン・セクションをけなしている私なので,全面的に支持とは行かずとも,やっぱりDerek Trucksが見たいという思いが勝って,来日したら行っちゃうんだろうなぁ。

Personnel: Susan Tedschi(vo, g), Derek Trucks(g, el-perc), Mike Mattison(g, vo), Gabe Dixon(p, org, key, vo), Brandon Boone(b), Tyler Greenwell(ds, perc), Isaac Eady(ds, perc), Kebbi Williams(sax, fl), Emmanuel Echem (tp), Elizabeth Lea(tb), Mark Rivers(vo, shaker), Alecia Chakour(vo) with Mike Elizond(key, g, b), Abe Rounds(perc), Austin Hoke(cello) 

本作へのリンクはこちら

2026年4月 1日 (水)

Human Elementの2ndアルバムをようやくアップ。

_20260326_0001 "You Are in You" Human Element(Kinesthetic Music)

このアルバムについては彼らの1stアルバムの記事をアップした時に触れている(記事はこちら)が,それからもはや2年近くの時間が経過してようやく取り上げることとなった。入手は随分前にしていたのだが,本で言えば積んどくみたいな状態はいかんなぁとまずは反省だ。

Human Elementと言えば,Weather ReportあるいはZawinul Syndicate的なワールド・ミュージック的フレイヴァーも持つタイトなフュージョン・バンドであるが,この2ndアルバムを初めて聞いた時にはいきなりScott Kinseyの静謐なピアノ・ソロ,”Prelude"で始まり,あれ~?と思ったものだが,久しぶりに聞いてもその印象は変わらない。だが,2曲目からはちゃんと彼ららしい演奏に転じるので心配なしである。

管もギターもいない4人編成のバンドにもかかわらず,出てくる音が分厚く感じられるのはScott Kinseyのシンセの効果とも言えるだろうが,前作でも顕著だったArto Tunçboyacıyanのパーカッションとヴォイスによる色付けの貢献度も高く感じる。まぁいずれにしても全員手数が多いのは確かだが(笑)。

この2ndがリリースされたのが2018年で,このバンドのその後の活動状況はわからないが,今聞いても結構刺激的なグループだと思う。星★★★★。ストリーミングでも公開されていないようだし,入手の方法はScott KinseyのWebサイト経由(こちら)のみで,送料も掛かってしまうことを考えると財布にはちょいと厳しいが,好き者の皆さんはどうぞ(笑)。

Personnel: Scott Kinsey(synth, p), Matthew Garrison(b), Gary Novak(ds), Arto Tunçboyacıyan(perc, vo)

2026年3月31日 (火)

先日のライブを振り返りつつ,Steve Smith & Vital Informationの”New Perspective”を聞く。

New-perspective "New Perspective" Steve Smith & Vital Information(Drum Legacy)

先日のBlue Note東京でのライブは,グルーブを感じさせる演奏で非常に楽しめた。ライブの予習のためストリーミングで聞いていた本作を,アナログ・レコードで入手したことはその時の記事にも書いたが,そのアルバムを改めて部屋で再生している。

基本的にライブで感じられたのと同様の感覚をこのアルバムでも得られるが,改めてクレジットを見ると,多くの曲におけるアレンジメントにおいて,キーボードのManuel Valeraが果たした役割が大きかったということを認識する。"New Perspective"というタイトルはJourneyの曲を含め,Steve Smithが過去に演奏したレパートリーを新たなアレンジメントで演奏するというコンセプトによるものであるから,Manuel Valeraの貢献なくしては成り立たないアルバムだったと言える。

Journeyについては"Don’t Stop Believin'","Open Arms",そして"Who’s Crying Now"の3曲であるが,どれもが原曲のイメージを希薄化させているのが面白い。そのほかには今回のライブでも演奏したMichael Breckerの"Sumo"もやっている。この曲はSteps Aheadの東京(今はなき五反田ゆうぽうと)でのライブでやっていたのも懐かしい。私はそのライブ盤も保有しているが,Mike SternやDarryl Jonesもいるという強烈なメンツであったが,これもオリジナルからは随分と印象が違う。そこにVital Informationのレパートリーをリアレンジした曲も加わって,まさに"New Perspective"である。最後をおそらくManuel Valeraの新曲"Three of a Kind"で締めるという構成も面白い。

例えばJourneyの曲の再演に期待すると,ある意味梯子を外されるような感じと言っても過言ではないが,これはこれとして,そう来るか~って感じで楽しめばよいのだ。何よりも古希を過ぎても衰えを一切感じさせないSteve Smithのドラミングと,それを支えるManuel ValeraとJanek Gwizdalaのタイトな演奏は,ライブの場でのグルーブを彷彿とさせるに十分だ。星★★★★。

Recorded on June 29, 2023, and on April 10-11, 2024

Personnel: Steve Smith(ds, konnakol), Manuel Valera(p, key, synth), Janek Gwizdala(b)

現物情報が見当たらないので,本作のストリーミングへのリンクはこちら。ついでにFBに上がっていたBlue Note東京でのSteve Smithの写真も貼り付けておこう。

Steve-smith-at-bnt

2026年3月30日 (月)

録りだめしたビデオから,懐かしの「マラソンマン」。

Marathon-man_20260321082101 「マラソンマン("Marahon Man")」('76,米,Paramount)

監督:John Schlesinger

出演:Dustin Hoffman, Lawrence Olivier, Roy Scheider, William Devane, Marthe Keller

私の人生を振り返れば,レコードを買い始めたのは中学に入った頃ではあったが,本当に音楽一辺倒に近いかたちになったのは高校に入ってからぐらいで,それまでは映画を観る方が主な趣味だったと言ってもよい。この映画は丁度私が中学3年の頃の1976年の映画である。もはや半世紀か!と思ってしまったが,この映画,記憶が正しければ,試写会に当たって見に行ったはずだ。それでもって,映画が面白かったので,本作のシナリオも兼ねたWilliam Goldmanが書いた原作小説も読んだのも懐かしい。その後2本立てでもう一回見に行ったような気もする。

ポスターに"A thriller"とある通りの,冒頭から謎に満ちながら,スリリングな展開が続く映画で,結構テンションが高い映画である。この映画で最も私の印象に残っていたのはLawrence Olivier演じるSzell博士がDustin Hoffman演じるBabeの歯の神経をいたぶる拷問シーン。あれを見て歯医者に行きたくなくなる人は多数いたのではないかと思えるインパクトであった。

まぁDustin Hoffmanが適役だったかどうかはあるが,William Goldmanのシナリオ・ライターとしての才能はこの頃まではまだまだいけていたと思わせる展開で,ついつい映画に引き込まれた記憶はあったし,今回改めて再見してもその感覚は変わらなかった。

監督のJohn SchlesingerとDustin Hoffmanと言えば「真夜中のカーボーイ」のコンビだが,映画としては全然趣が違っているのも面白かった。星★★★★。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年3月29日 (日)

András Schiff@住友生命いずみホール。素晴らしい演奏を堪能し,感動した!

Schiff-at

András Schiffは私がCDで保有する枚数が最も多いピアニストだ。それはECMのベートーヴェンのソナタのボックスや,Deccaのバッハのボックスがあるからということもあるが,それ以外にも結構保有している。そのAndrás Schiffの生演奏は聞いたことがなく,一度は...と思っていたので,今回は訳あって大阪でのリサイタルに赴いたのであった。当日の演奏曲目は事前には発表されておらず,1曲毎にAndrás Schiffが日本語で曲目を述べるというスタイル。そして演奏された曲目が次の通りである(KajimotoのWebサイトより拝借)。

J.S.バッハ:カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570
ハイドン:アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.XVII: 6
ベートーヴェン:6つのバガテル op.126
        ***
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 op.27-1
シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D894 「幻想」
【アンコール】
ブラームス:インテルメッツォ 変ホ長調 op.117-1
シューベルト:即興曲 変イ長調 D935-2
シューマン:アラベスク op.18
メンデルスゾーン:無言歌集第6巻 op.67から 「紡ぎ歌」
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 へ長調 BWV971から 第2、3楽章
ショパン:ノクターン 嬰へ長調 op.15-2

最初のバッハこそ曲のせいが大きいと思うが,少々面白みに欠けた感覚はあったものの,それ以外の演奏の素晴らしさには完全に脱帽であった。特にベートーヴェンの2曲がよかったのに加え,ハイドンの「アンダンテと変奏曲」は初めて聞いたと思うが,これがまた素晴らしい演奏であった。静と動を完全にコントロールし,名器ベーゼンドルファーで奏でられるAndrás Schiffの音楽を聞いて,感動しない人間はいないと思った。どのような曲でも弾きこなすのはまさに匠の技としか言いようがない。本番の最後をシューベルトというのは集中力が続くのかと思ったが,全く問題にしない,まさに万能のピアニストという思いであった。

そしてアンコールは何と7回(イタリア協奏曲は楽章を2回に分けて演奏),リサイタルがはねたのは開演時間から3時間を超えた21:30過ぎという長丁場であった。会場には辻井伸行の姿もある中,最後は万雷のカーテン・コールとスタンディング・オヴェーションに応えたAndrás Schiff。その集中力と体力には感嘆の声を漏らさずにはおれなかった私である。

甚だ余談だが,終了後,私はタクシーで某所へ移動したのだが,乗せてもらったタクシーの運転手の方の話によれば,たまたま前日も終演後に同じように聴衆を乗せたらしい。前日も同じような時間までやっていて,東京から来ていた聴衆は最終の新幹線に乗りそこなったという話を聞いて,私は最初から宿泊にしておいてよかったと思ったのであった。

いずれにしても,わざわざ大阪に出向いてでも聞く価値は十分あったと思える一夜であった。

Live at 住友生命いずみホール on March 27, 2026

Personnel: András Schiff(p)

2026年3月28日 (土)

改めてU.K.の1stアルバムを聞く。

_20260325_0001 "U.K." (EG)

邦題「憂国の四士」とはよく付けたものだが,一種プログレの鑑みたいなアルバムだ。このバンドが結成される前に,John WettonとBill BrufordはRick Wakemanとバンド結成をすべく,リハーサルをしていたらしいが頓挫。私は結果的に頓挫してよかったと思える。Rick Wakemanだったら,これほどハイブラウな響きは期待できなかったはずだ。

かく言う私をプログレの世界に導いたのはRick Wakemanの"The Six Wives of Henry VIII"だったので,あまりRick Wakemanのことは悪く言いたくはないが,Rick Wakemanはギミックが過ぎて,こういうハイ・テンションなロックの響きを期待できなかっただろうと思うのだ。その布陣の演奏も興味深いことは興味深いが,こうはなりそうにはない。そのRick Wakemanに代わって入ったのがAllan HoldsworthとEddie Jobsonというのは今にして思えば鉄壁の布陣であった。

しかし,Allan Holdsworthが方向性の違いから解雇され,Bill Brufordがバンドを去って,このフォーメーションは極めて短命に終わってしまったのは残念なことではあるが,このメンツでのアルバムが残っていただけでもよしとすべきだろうし,ここで聞かれるテンションの高い演奏は,プログレにおける「スリル」面を体現しているというのが実感だ。"Time to Kill"なんて今聞いてもぞくぞくする。

このアルバムがリリースされてもはや半世紀近い時間が経過しているが,私はこの演奏には古さを感じることはない。プログレ界にはこれより優れたアルバムもあるので,星★★★★☆とするが,Eddie Jobsonが繰り返し再演にこだわりたくなるのも理解できる。

Personnel: Eddie Jobson(vln, key, electronics), John Wetton(b, vo), Allan Holdsworth(g), Bill Bruford(ds, perc)

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2026年3月27日 (金)

先日のライブを振り返るべく,Lisa Loebのメジャー・デビュー・アルバムを聞く。

_20260324_0001"Tails" Lisa Loeb & Nine Stories(Geffen)

先日のBlue Note東京でのライブは本当にいいパフォーマンスだと思えたLisa Loeb。その時の記事にも書いたが,私が保有しているアルバムは彼女のメジャー・デビュー作となったこの"Tails"のみだ。当時からこのアルバムには非常にいい印象を持っていたが,その後のアルバムは追い掛けるところまではいっていなかった。しかし,ライブの印象がすこぶるよかったので,改めてこのアルバムを聞いてみた。ライブ前にもベスト盤をストリーミングで聞いたり,本作も予習のために聞いていたが,いい機会なのでブログにもアップすることにした。

本作を聞くと,メジャー・デビュー作から佳曲が多いことに改めて気づく。ライブでもやった"Do You Sleep"も含めていい曲が多いねぇと思う。本人もライブで言っていたが,"Do You Sleep"は既に80年代には書いていたそうだし,ソングライターとしての高い資質が明らかなメジャー・デビュー作であったと思える。そしてここではバックバンドとしてのNine Storiesを従えてはいるが,ライブでもよくわかった彼女自身のギターの腕もおそらくこのアルバムには十分反映されているはずだ。

ライブでの再演が多かったことからしても,やはりLisa Loebにとっても重要かつ自信作だったんだろうと思えるアルバム。ロック・タッチと弾き語り的な曲を交えた構成にも優れたいいアルバムだったと,リリースから30年以上経過した今になって思う私であった。星★★★★☆。

Personnel: Lisa Loeb(vo, g), Tim Bright(g), Jonathan Feinberg(ds, perc, g), Joe Quigley(b) with Juan Patiño(vo, p), Dan Seiden(g), Jesse Harris(g), Ben Loeb(arr), Dan Coleman(arr), Eric Gaensslen(cello), Jennifer Frautschi(vln), Joseph Lin(vln)

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2026年3月26日 (木)

またもブートの話。今日はJeff Lorber Fusion。

_20260323_0002 "Reseda 1981" Jeff Lorber Fusion(Bootleg)

CDの購入枚数が減少する中,アナログ・レコードに加えて数が増えるのがブートレッグだ。昨日もBrad Mehldauのビッグバンド共演作をアップしたばかりだが,今度はそれと一緒にゲットしたJeff Lorber Fusion(JLF)のブートレッグである。

JLFというバンドはつくづく所謂フュージョンを典型的な形で体現するバンドだと思える。前回の来日時はスケジュールが合わず見逃したのは痛かったが,来れば見たくなるバンドである。しかし,私が本当に彼らのよさに気づいたのは随分後になってから(少なくとも今世紀に入ってから)のことなのは認めなければならない。

この音源はそんなJLFがアルバム"Galaxian"をリリースした1981年当時のものだ。サウンドボード・レコーディングだとしても,どうしても音の細さは仕方がない。だって,45年も前の演奏であり,非公式レコーディングなのだ。文句は言ってはいかん(笑)。

まぁそうは言っても十分雰囲気はつかめる音源だし,当時から充実したライブ演奏をしていたことがよくわかるブートレッグだと言える。ディスクに収められたMCによれば,ギターとヴォーカルのMarlon McClainは「新メンバー」だと言っているが,アルバム"Galaxian"で一旦解散するJLFなので,この編成での活動は短かったと考えてよい。このMarlon McClainというギターはアルバム"Galaxian"にも参加しているが,ここでもなかなかのソロを展開し,しかも歌まで聞かせて非常に興味深いプレイヤーであった。しかもサックスは軟弱化する前のKenny Gだ(笑)。ここではまだまだタイトなサックスとフルートを聞かせる。この路線を継続していたなら支持したかもなぁ。

演奏はいかにもJLF的なもので決して裏切られることはない。やっぱり好きだぜ,JLF。因みにこの音源がレコーディングされたWolf and Rissmiller’s Country Clubはゴルフ場ではない。もともとカントリー・ミュージックを中心にやっていたらしいキャパ1,000人ぐらいのヴェニューなのでこの名前らしい。へぇ~。

Recorded Live at Wolf and Rissmiller’s Country Club, Reseda, California on May 21, 1981

Personnel: Jeff Lorber(key), Kenny Gorelick(ts, ss, fl), Marlon McClain(g, vo), Danny Wilson(b), Dennis Bradford(ds)

2026年3月25日 (水)

Brad Mehldauとビッグバンドの共演を収めたブートレッグを入手。

_20260323_0001 "Frankfurt 2026" Brad Mehldau & HR Big Band(Bootleg)

ブートショップからのメールでこの音源を知った。去る3月6日に収録されたばかりのホヤホヤの音源である。しかもBrad Mehldauがビッグバンドと共演するとあってはこれは聞きたいということで,早速入手である。HR Big Bandとはこのブログにも何度か登場したことがあるFrankfurt Radio Big Bandである。John BeasleyとのChick Corea集然り,クリポタことChris Potterを迎えた"Rituals"然りで,このバンドには意欲的な演奏が多いので,今回も期待可能と思った。

今回の演奏がどういう経緯で行われたのかはわからないが,今回はDarcy James ArgueがBrad Mehldauのオリジナルをアレンジして演奏するもので,公演はフランクフルトとハンブルクのたったの2回だけで,日本で聞くチャンスはほぼゼロだろう。また,高校時代を除いてBrad Mehdauがビッグバンドと共演したという記憶はないし,少なくとも公式音源は残っていないはずだ。せいぜいAnthony Wilsonとのノネットでの演奏ぐらいで,ビッグバンドとは言えるものではない。だからこそ聞きたいという欲求が増す訳だ。

決してブートレッグを礼賛する訳ではないが,このブートは音もまともで,おそらくは放送音源がソースだろうが,こういう演奏が素早いタイミングで聞けるのは実にありがたい。

選曲はかなり渋いと言ってもよく,Brad Mehldauのアルバムから満遍なく選ばれているが,選曲にBrad Mehldau本人が関わったかどうかはわからない。まぁ,Brad Mehldauのオリジナルがビッグバンドにフィットするかは少々疑問がなかった訳ではないが,これはかなりうまくできたアレンジだと思えた。豪快と言うよりは理知的だが,"Aquaman"なんかは十分にダイナミックなビッグバンド演奏にも合っている。Brad Mehldauのソロに加え,バンド・メンバーにもソロの機会を与えて,メンバーも優れたソロを聞かせて期待に応えている。このバンド,元々レベルが高いと感じさせる。

この演奏が公式化されることはないと思われるが,これはBrad Mehldauファンに限らず,聞いておいて損はしないブートレッグである。例のピアノ・コンチェルトよりは100倍楽しめると言っておこう(きっぱり)。しかし,Brad MehldauはMCをドイツ語でやってしまうのが凄いねぇ。

Recorded Live at HR-Sendeesaal, Frankufurt on March 6, 2026

Personnel: Brad Mehldau(p), Darcy James Argue(arr), HR Big Band(Frankfurt Radio Big Band)

2026年3月24日 (火)

Lisa Loeb@Blue Note東京参戦記。

Lisa-loeb

Blue Note東京の会員をやっていると,7回ライブを観ると,1回招待券がもらえるという特典があることはこのブログにも書いた。ただ,この招待券,期限が短いのと,使える公演の上限金額が決まっているので,チョイスは限定的になるのだが,今回,それを使って観に行ったのがLisa Loebのソロ・ライブである。

Lisa-loeb-at-bnt Lisa Loebと言えば,映画「リアリティ・バイツ」にメジャー・デビュー前の"Stay (I Missed You)"が使われて一気に知名度を上げ,その後Geffenからアルバムをリリースしたのがもう30年以上前である。私はそのアルバム"Tails"も買ったものの,その後彼女を追い掛けてきた訳ではない。しかし,魅力的なシンガーであることは間違いないが,日本のマーケットでニーズがまだあるのかなぁなんて思いつつの参戦となった。

それでもミュージック・マガジンの最新号にはインタビュー記事も掲載されているし,根強い人気があるのかなぁとも思っていた。会場となったBlue Note東京はほぼフルハウスだったが,何となくいつもの聴衆と感じが違うと思えたのはそうした根強いファンが結構多かっただろうし,いつもはこのヴェニューに来そうにない女性客が多かったのも事実だろう。

そして始まったライブだが,完全弾き語りというシンプルなセッティングなので,ステージも地味と言えば地味。だからステージ上に花を添えるのも当然かという感じではあったが,演奏が始まってしまえば,Lisa Loebの歌が上手いのはもちろんなのだが,ギターが実に上手い。ゲージは細い弦を使っていたと思うが,ギター・プレイに全く破綻がない。そして歌も実に見事という完全プロな演奏を堪能したのであった。曲はメジャー・デビュー・アルバム"Tails"と"A Simple Trick to Happiness"からが中心という感じだったが,大いに満足ができるライブだったと思う。

途中でゲストとして平原綾香が出てきたのには驚いたが,"Stay"と"Truthfully"をデュエットというのは,東京最終日のお得感ってところか。ちゃんとLAでリハーサルしていたらしいが,聴衆としては間違いなく得した気分である。私は実は秦基博が出てくることを期待していたのだが,まぁそれはよしとしよう。いずれにしても,平原綾香のショッキング・ピンクのドレスも印象的だった。

Lisa Loebはおしゃべり好きなので通訳を付けるのよというのが微笑ましかったが,Lisa Loebの英語は実に聞き取りやすいものであったから,通訳なしでもOKのレベル。しかし,出てきた丸山京子の通訳ぶりは極めて適切だったなぁと別の意味で感心していた。わかっている人の通訳は心地よいのだ。

いずれにしても,たまにはこういうライブもいいねぇとつくづく思わされるとともに,Lisa Loebというミュージシャンのレベルの高さを改めて感じた一夜であった。改めてデビュー・アルバム以外もちゃんと聞き直すかといういい動機付けにはなったことは間違いない。ただねぇ,折角リクエストに応えるならば,聴衆側ももう少しマイナーな曲をリクエストしてもよかったようにも思う。だったら私が"All the Young Dudes"って叫べばよかったんだが...。老い先短いんだから,こういう時に控えめな高齢者ではいかんな(爆)。

トップの写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借(初日の模様)。

Live at Blue Note東京 on March 23, 2026 2ndセット

Personnel: Lisa Loab(vo, g), 平原綾香(vo)

«Anita O'Dayはやはりいいのだ。