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2026年3月 9日 (月)

「暗殺者の家」:やっぱりこれも初見だった...。

The-man-who-knew-too-much-1934 「暗殺者の家("The Man Who Knew Too Much")」(’34,英)

監督:Alfred Hitchcock

出演:Leslie Banks, Edna Best, Peter Lorre, Frank Vosper, Hugh Wakefield, Nova Pilbeam

後にHitchcock自身が「知りすぎていた男」としてリメイクした元の作品がこの「暗殺者の家」である。この映画も見た気になっていたが,ストリーミングで見て,この映画も初見であったことに気づいた。結局私はイギリス時代のHitchcockの作品はほとんど見ていなかったということになる。しかし,前にも書いた通り,「映画術」を読んで見た気になっていただけであった。

それはさておき,「知りすぎていた男」とは細かい点に違いはあるが,かなりストーリーは近い部分がある。特にクライマックスのオーケストラ登場のシーンはカメラ・ワーク含めて,この2作には共通項があって,使われている音楽も2作とも同じ"Storm Clouds Cantata"で,思わずへぇ~となってしまった私であった。

The-man-who-knew-too-much-1934_alternate さすがに1934年の映画ということもあり,画像の粗さは仕方ないとしても,ストーリーとしてはリメイク同様相当に楽しめる。映画としては「知りすぎていた男」の方がよく出来たものではあるのだが,「暗殺者の家」にはPeter Lorreという悪役がいて,場をかっさらっている感が強い。"M"の演技も凄かったが,The性格俳優あるいはThe怪優としての本領発揮である。とにかく,この何を考えているのかわからない感を見ているだけでもこの映画は楽しめるとさえ言いたくなる。そのせいもあって,この映画のポスターの別バージョンではPeter Lorreこそ主役のようなビジュアルになっている。

冒頭のサンモリッツのシーンから,ラストの布石を打つシナリオもよく出来た映画だと思う。75分という尺でも大いに楽しんだ私である。「三十九夜」には及ばないかもしれないが,これは十分に星★★★★☆に値する。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら

2026年3月 8日 (日)

クリポタの新譜への期待が高まる。

Alive-with-ghosts-today クリポタことChris Potterは現代最強のテナー・プレイヤーの一人と断言できると思うが,アルバムについても様々なフォーマットでクォリティの高いものを出してくる人である。エレクトリックあり,アコースティックありの中で,リスナーの求める音楽をデリバリーしてくれるから,新譜が出るとなれば期待するのが当たり前だ。

そして次なる新譜はEdition Recordsから"Alive with Ghosts Today"と題するアルバムで5/8リリース予定。Bill Frisellとの共演が注目だろうが,ドラムスにNate Smithが復帰していることにも期待したい。

このアルバム,2曲追加されたアナログ2枚組のデラックス・エディション(250組限定!)もあるので,私がそちらを発注したことは言うまでもない(きっぱり)。

とにかく早く聞きたいと思う今日この頃である。

2026年3月 7日 (土)

Pino Palladino & Blake Mills@Blue Note東京参戦記

Pino-and-blake-at-bnt-stage

ベースのPino PalladinoがBlake Millsと組んだアルバムは世の中でも高く評価されたが,その二人が来日するというのはなかなかないだろうということで,Blue Note東京に行ってきた。実のねらいはドラムスのChris Daveというのも私らしいが,予約しようにもネットがつながりにくいという久しぶりの状態の中での参戦は,完全フルハウスであった。

Pino-and-blake-at-bnt_20260307211501 Pino PalladinoとBlake Mills名義の2枚のアルバムで予習して,一体どういうライブになるのかという思いも抱えながらの参戦となった。正直言って彼らのアルバムはハードにドライブするという感じではないので,ライブ向きの音楽とは思えないのだが,こういうのを聞いてみるのも修行である(笑)。まぁ2枚目の"That Wasn't a Dream"にはビートのきいた曲もない訳ではないから,そういう感じでやるのかなぁなんて想像しながらの参戦となったが,そこでChris Daveがどのようなドラミングを聞かせるのか。彼らの1stアルバム"Notes with Attachements"にはそれこそ"Chris Dave"なんて曲もあるしねぇ。

そしてこのライブ,面白かったのはメンバー4人が全員着座のままの演奏で,ライブらしい動きはゼロ,しかもMCもゼロというのが実に珍しかった。まぁ音楽だけ聞いてろや!ってところなのかもしれないが,聴衆に媚びたところがないのは逆に面白いという感じでもあった。まぁちょっと極端かなと思ったのも事実だが...。

演奏自体はアルバムに即した感じもあったものの,ライブではアルバム以上にダイナミズムを感じさせる演奏だったのはよかった。それでもミニマル的とも言うべき演奏もあったのだが,ミニマルな曲調であろうと,ヴィヴィッドな曲調であろうと,スティック,マレット,ブラシを使い分けながら繰り出されるChris Daveの小技の数々に魅了されていたと言うべきだろう。

Chris-dave-drums-set そして言っておきたいのは,ステージ右側に鎮座していたこのバンドのリーダー2人だけならば,極めて地味な演奏になるところを,左側の2人であるChris DaveとSam Gendelによって色彩感を増していたところに,バンドとしてのバランス感をおぼえていたのであった。私としてはChris Daveはもちろんとして,Sam GendelのEWIとソプラノがなければ,このライブは全然面白くなかったのではないかとさえ思っていたのである。

そういう意味では,プロデューサーとしてのBlake Millsはわかった上でこういう演奏にしたんだろうと思いながら見ていた私であった。いずれにしても,聴衆は想像以上に老若男女(特におっさんが多かったのは意外だった)が集い,演奏も昨今のBlue Noteには珍しく久々に90分越えという大盤振る舞い的なライブで,終演後の聴衆の引けの遅さも印象的なライブであった。正直言って,これよりずっと高揚感を得られるライブはいくらでもあるとは思うが,これはこれで面白かった。そしてこれからライブに行かれる方には2ndの方をお勧めしたいが,既に公演は完全フルハウスのようだから,2ndを予約している人の方がラッキーだと思った方がいいだろう。

上の写真はBlue Note東京のサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on March 6, 2026, 2ndセット

Personnel: Pino Palladino(b, g), Blake Mills(g), Sam Gendel(ss, EWI), Chris Dave(ds)

2026年3月 6日 (金)

今更ながらこれには驚いた:Dizzy Gillespieの"Closer to the Source"。

Closer-to-the-source "Closer to the Source" Dizzy Gillespie(Electric Bird)

ストリーミングで"Marcus Miller: Session Musician"というプレイリストを聞いていたら,いきなりメロウなラッパが聞こえてきて,何じゃこれは?と思って確認したらこのアルバムであった。そう言えば,こういうのもあったなぁと思い出すが,本作はこれまで聞いたことはなかったと思う。あるいは聞いたとしてもジャズ喫茶で聞き流したぐらいか。しかし,何に驚いたかと言えば,ビバップの代表みたいなDizzy Gillespieが完全にフュージョンに同化していたということだ。

結局,上手い人は何でもできるんだなぁという感心の仕方しかできないが,批評家筋からはボロクソに言われたアルバムでも,イージー・リスニングだと思えば腹も立たんというところだ。もちろんジャズ・ファンからすれば,こんな音楽を誰もDizzy Gillespieに求めていないという言い方もできるだろう。しかし,Dizzy Gillespieの芸域の広さを感じざるをえないここでの吹きっぷりには私は驚いたという方が大きかった。

もちろん,ありきたりのフュージョンだという言い方もできる訳だが,さすがに大御所のアルバムだけあって,バックのミュージシャンも粒揃いなので,梯子を外されることはない。むしろ,ここまでやってくれれば潔いってところだろう。別にそう思えば私としては腹も立たないってことで,星★★★。まぁ,毒にも薬にもならないが(笑)。

Personnel: Dizzy Gillespie(tp), Sonny Fortune(as), Branford Marsalis(ts), Stevie Wonder(hca, synth), Barry Eastwood(key), Kenny Kirkland(key), Hiram Bullock(g), Marcus Miller(b, synth), Tom Barney(b), Buddy Williams(ds), Tony Cintron, Jr.(ds), Angel Rogers(vo)

本作へのリンクはこちら

2026年3月 5日 (木)

Jeremy Peltの新作をストリーミングで聞く。タイトルに込めた意図ほどは激しくはないがいい出来だ。

Jeremy-pelt-our-community-will-not-be-er "Our Community Will Not Be Erased" Jeremy Pelt(HighNote)

毎年この季節になるとアルバムをリリースしているって感じのJeremy Peltであるが,今年も新作が届いたので早速聞いている。詳しいデータがないが,基本Jeremy Peltのワンホーン・クァルテットに,色彩付けとしてエレクトロニクス(シンセサイザー?)が加わるという感じのセッティングである。

アルバム・タイトルだけ見ていると,政治的なマニフェスト的なところも感じさせるのだが,出てくる音楽は主題の通り,それほど激しいものではなく,ある意味淡々と展開されるのだが,Jeremy Peltのラッパが非常に魅力的に響くアルバムとなった。少々ドラムスのLenny Whiteが叩き過ぎって気がしないでもないが,マニフェストを代弁しているとすれば,Lenny Whiteの方になってしまうのではないかと思わせるような叩きっぷりである。

私も以前ほどJeremy Peltの音楽をフォローしている訳ではないが,アルバムを出せば確実に一定以上のレベルを越えてくるので,信頼のおけるミュージシャンであることは間違いないが,今回のアルバムはトランぺッターとしてのJeremy Peltの魅力がよく表れているのではないかと思える作品で,このアルバムは近年のJeremy Peltのアルバムでも最も魅力的に響くと感じた。バラッド表現にせよ,バウンスする4ビート・ナンバーにせよ非常にいい感じのアルバムに仕上がった。ちょいと甘いと思いつつ,こういうのっていいねぇってことで星★★★★☆。

Personnel: Jeremy Pelt(tp), Orrin Evans(p), Buster Williams(b), Lenny White(ds), Lasse Corson(synth)

本作へのリンクはこちら

おすすめはストリーミング・サイトにしてある。

2026年3月 4日 (水)

長年音楽を聞いてはいても,聞いたことのないアルバムなんていくらでもあるってことで,今日はPaul Simon。

There-goes-rhymin-simon "There Goes Rhymin' Simon" Paul Simon (Columbia)

主題の通りだ。私も還暦を過ぎて幾星霜,自分の小遣いでレコードを買い始めて50年以上になる。なので聞いてきた音楽はそこそこの量だと思うが,こんなアルバムも聞いたことなかったなんてのもいくらでもある。本作もそんな感じのものだが,このアルバムには笑える逸話がある。私が1983年に初めて海外に行った(実は飛行機に乗ったのもその時が初であった)のだが,最大の目的地はNYC訪問であった。

NYCには今だったら絶対泊まらないような安宿(爆)に5泊ぐらいしたと思うが,ジャズ・クラブやら美術館やらレコード・ショップ巡りやら観光地巡りやらをしていたのも懐かしい。但し,今にして思えば全然NYCの本質になんて触れたうちには入らず,私がNYCの真の本質に触れるのは,1990年に渡米して2年弱を現地で過ごすまで待たなければならない。

その1983年の初NYC訪問時,実はこのアルバムを現地のレコード・ショップで購入したのだが,ホテルに帰って開封して見たら,中に入っていたのが何とEarth Wind & Fireのレコードではないか。さすがアメリカ的品質管理!と思っていたが,ショップに交換に行ったら在庫なしであえなく返金となったのであった。それ以来私はこのアルバムには全然縁がなかったのであった(笑)。

その時から40年以上の時を経て,このアルバムをストリーミングで初めて通しで聞いた。元々世評の高いアルバムであるが,私の場合,Paul Simonと言えば,"Still Crazy after All These Years"に一点集中のため,全然聞けていなかったのであった。まぁS&Gで言えば,私は完全にArt Garfunkel派であり,ソングライターとしてのPaul Simonはちゃんと評価しつつも,ソロ作はベスト盤を除けば"Still Crazy"しか保有していないのだ。まぁこういう偏りは誰にでもあるとしても,こういうアルバムを今まで一度も聞いたことがなかったというのも我ながらいけていないと思ってしまう。

改めて聞いてみると,シングル・ヒットした"Kodachrome"なんて子供の頃,深夜放送でよく聞いたなぁなんて思ってしまうが,いろいろなスタイルの音楽が含まれていて,やはりよく出来たアルバムだったと今更ながら感じている。そしてやはりPaul Simonのギターは素晴らしいと思えたし,この人にはエレピによるバッキングが似合うところにNYC的なフレイヴァーを感じるのであった。自分としてはどうしても"Still Crazy"の方を好んでしまう部分もあるが,これも優れたアルバムであり,これまた私にとっては温故知新となったのであった。星★★★★☆。

参加メンバー多数なので,Personnelは省略。

本作へのリンクはこちら

2026年3月 3日 (火)

ストリーミングでChris Cheekらによるライブ2部作を聞く。

Chris-cheek-et-al-at-jamboree

Chris Cheekに関しては,私はBrad Mehldauとの共演盤や,Seamus Blakeとの双頭作等を保有してはいるのだが,サックス・プレイヤーとしては今一つ個性が明確ではない部分があるように思っている。しかし,ストリーミング・サイトでなかなか魅力的なメンツによるアルバムが表示されたので聞いてみるかと思った私である。Chris CheekのほかがEthan Iverson,Ben Street,そしてJorge Rossyというのは私の関心を引くに十分であった。この4人がバルセロナのジャズ・クラブ,Jamboreeでのライブの模様を"Guilty","Lazy Afternoon"という2枚のアルバムとしてFresh Sound New Talentからリリースしていたことは今回聞くまで全く認識していなかった。

"Lazy Afternoon"はバラッド集という位置づけと考えてよいが,"Guilty"の方はバラッド集ではないものの,熱く燃え上がるって感じではないところは意外な感じもする。また,"Guilty"の"Autumn Leaves"に顕著だが,曲によってはオリジナルのメロディ・ラインが出てこないところには一筋縄では行かないと思わせる部分もある。まぁメンツはEthan Iversonだけがまだ20代で,そのほかが30代という年齢を考えれば,もう少し派手派手しくやってもよいと思えるが,この辺りはChris Cheekのソフトなテナーのトーンに合わせたってところか。

まぁ今まで聞いたこともなかったアルバムだったが,曲によっては編成を変えながら,発展途上だったと言ってもよい彼らが聞かせる演奏からは,その実力の高さは十分にうかがえる。アルバムとしての評価は星★★★☆~星★★★★ぐらいにしておこう。

Recorded Live at 'Jamboree Jazz Club' in Barcelona, March 24-24, 2000

Personnel: Chris Cheek(ts), Ethan Iverson(p), Ben Street(b), Jorge Rossy(ds)

これら2作へのリンクはこちらこちら

2026年3月 2日 (月)

"Sittin’ in":相当前に買ったまま放置されていたアルバム。

_20260213_0002 "Sittin’ in" Kenny Loggins with Jim Messina(Columbia→Mobile Fidelity)

主題の通り,これは随分前に購入していたものの,全然聞かないで放置していたアルバム。そもそも購入の動機がMobile Fidelityからのリリースだから,いざとなればそこそこの値段で売れるという邪な理由によるものだったはずだ。そもそも私はLoggins & Messinaのアルバムは今まで聞いたこともない。Kenny Logginsは"Footloose"とかがバカ売れした頃に聞いたとしても,アルバムを購入するまでは行っていない。Loggins & Messinaで記憶にあるのはラジオから流れてきた"My Music"ぐらいのものだ。なので,今回,このアルバムをプレイバックしたのが私にとっての彼らの初聞きみたいなものだ(爆)。

このアルバムはもともとKenny Logginsのソロ・アルバムとしての企画だったらしいが,そこにJim Messinaがプロデューサーとして関与して,曲を提供するだけでなく,演奏に加わることで,Kenny Loggins with Jim Messinaとなったようだから,実質的にはこれがLoggins & Messinaとしての1stらしいってことも今頃になって知る。そもそもこのアルバムで最も知られているのは"House at Pooh Corner(プー横丁の家)"だろうが,それだって聞いた記憶もなかったから,私にはほとんど縁のない人たちだったと思ってしまう。むしろ「プー横丁」と言えば京都のレコード・ショップを思い出してしまう私である(笑)。

しかし,改めてこのアルバムを聞いてみると,私の好む,より渋い音とは異なるが,ポップさも兼ね備えたなかなかの佳曲揃いで,これは売れただろうし,自分としてももっと早く聞いておけばよかったなぁなんて思ってしまう。キャリアとしてはJim Messinaの方が目立っていたはずだが,その後のポピュラリティという観点ではKenny Logginsが上回って行ったのは面白いが,いずれにしてもこの二人,歌手としても,ソングライターとしてもなかなか優れていたのは間違いない。

リリースから半世紀以上を経てのアルバム初体験であったが,いい温故知新になった。反省も込めて星★★★★☆。

Personnel: Kenny Loggins(vo, g, hca), Jim Messina(vo, g), Michale Omartian(key, steel-ds), Larry Sims(b, vo), Merel Bregante(ds, vo), Milt Holland(perc), John Clarke(sax, oboe, steel-ds), Lester A. Garth(sax, recorder, vln, steel-ds)

本作へのリンクはこちら

2026年3月 1日 (日)

あぁ,無駄遣いと思いつつ入手したJohn Coltraneのヘルシンキ・ライブ。

John-coltrane-in-finland "Live in Finland 1961・1962" John Coltrane(The Lost Recordings)

既にいろいろなところで公開されている1961年と62年のフィンランドにおけるJohn Coltraneのライブ音源だが,ストリーミングで聞けるものは音がいけていないという難点があった。そうした中,ブートまがいの音源としてCDでも入手可能なこの時の演奏の模様がLost Recordingsによってリストアされて,アナログ盤でリリースされたのだが,クリア・ヴァイナルのSapphire Edition(500部限定)と,ブラック・ヴァイナルの通常盤(4,000部限定)があり,私はとち狂ってバカ高い(マジで高かった...)前者を入手したのであった。因みにCDは3月にリリース予定になっている。

そのSapphire Editionであるが,品質問題が発生して,当初の発売日から一旦リリースが延期になったものがようやく先日デリバリーされた。ただでさえ高いものに関税まで掛けられて,こっちとしてはたまったものではない(苦笑)。まぁそれでもプレイバックしてみると,オリジナルのアナログ・テープから復元を謳うだけあって,ストリーミングされているものからの音質の改善は明らかだったからまぁ許す。

しかし,この値付けはどうなのよってぐらいのもので,これを無駄遣いと言わず何と言うというところだ。我ながらアホだと思うが,まぁいいや。演奏自体はこのメンツであるから,何の問題もなし。"Impressions"でのDolphyとそれに触発されたかのようなColtraneのキレっぷりが強烈。

Recorded Live on November 21, 1961 and November 20, 1962

Personnel: <1961>John Coltrane(ts, ss), Eric Dolphy(as, fl), McCoy Tyner(p), Reggie Workman(b), Elvin Jones(ds), <1962>John Coltrane(ts, ss), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

2026年2月28日 (土)

Jerry Bergonziのデジタル音源連続聞き。

Jerry-bergonzi-albums

ストリーミングで音楽を聞いていると,こんなアルバムがあったのかなんてことに気がつくことが多々あるが,今回はJerry Bergonzi関係の音源をストリーミングで連続聞きしたので,それについて書いておきたい。

昨今,デジタル・オンリーというリリース・パターンは増えてきて,我々のようなフィジカル媒体派にとっては少々残念な部分もあるのだが,それでもレコード会社の縛りからは解放されて,これまでならリリースされていなかったような音源が聞けるというメリットもあるように思う。

Jerry BergonziについてはSavantレーベルからフィジカルでアルバムもリリースしているが,私の関心が今回向いたのがCarl Wintherとの共演盤であった。Jerry BergonziとCarl Wintherと言えば,このブログで彼らの共演盤である"Sonic Shapes"や"Tetragonz"を取り上げたのはもはや15年近く前のことになるが,その相性のよさを強く感じていた。その後も共演は続いているようで,今回聞いたのが以下の5枚。全てJerry Bergonziのワンホーン・クァルテットで,リリース元はドラマーのAnders Mogensenが主宰するオンライン専門レーベルAMMである。

"Blue DNA"

"Presence"

"Transformation"

"Standard Gonz"

"Straight Gonz"

"Blue DNA"こそ"Jerry Bergonzi Meets Carl Winther Trio"となっているが,それ以外は"The Modern Jazz Trio with Jerry Bergonzi"となっていて,ジャケ写真もJerry Bergonziなんだから,実質的にJerry Bergonziのリーダー作みたいに見える。そもそもThe Modern Jazz Trioって何だよ?って言いたくなるが,全てCarl Wintherのトリオ。"Straight Gonz"と"Standard Gonz"はコロナ前の2019年のデンマークにおけるライブ音源。"Blue DNA"のみベースがJohnny ÅmanからRune Fog-Nielsenに代わるだけで,ほかの3人は不動。それにしても何と安定度の高いクァルテットかと言いたくなるような快演揃いで大いに楽しんだ私であった。

来年には傘寿を迎えようとしているJerry Bergonziであるが,その演奏には一切の衰えなしだ。今日紹介のアルバムはどれを聞いても失望させられることなし。素晴らしい!日本に来てくれないものか...。

Personnel: Jerry Bergonzi(ts), Carl Winther(p), Johnny Åman(b), Rune Fog-Nielsen(b), Anders Mogensen(ds)

Johnny Åmanがベースの2019年3月のパリ,Sunsideでのライブの模様がRadioFranceのサイトにアップされていたので,リンクを貼り付けておこう。

Jerry Bergonzi in Paris

Jerry-bergoni-at-sunside

2026年2月27日 (金)

Gilad Hekselman@Cotton Club参戦記。

Gilad-hekselman-at-cotton-club

ジャズ・ギター界の中堅どころでは注目度の高い人と言ってよいGilad Hekselmanのライブを観るためにCotton Clubに行ってきた。先日取り上げたVillage Vanguardでのライブは少々地味ながら,実力を発揮した演奏だったと思えるが,コンベンショナルなギター・トリオのフォーマットでどういう演奏をするのかを楽しみにしていた。Gilad Hekselmanという人はコンベンショナルな感覚でも,コンテンポラリーな感覚でも弾ける人という認識だが,今回はどうだったか。

Gilad-hekselman-at-cotton-club-feb-25 演奏はアルバムとしては最新作の"Downhill from Here"からの曲が中心になっていたと思うが,聞いていて感じたのが,この人のギター・プレイは昨今のギタリストへの影響が顕著なPat MethenyやJohn Scofieldとは全く異なるものだし,Wes Montgomeryをはじめとするコンベンショナルなジャズ・ギターとも異なるサウンドだったということだ。以前のアルバムではPat Metheny調,ジョンスコ調もあっただけに,そこからは脱却して,オリジナリティの確立が本格化したというところかもしれない。本人はMCでBrad Mehldauがヒーローであり,Brad Mehldauからの影響を口にしていたが,なるほどそういうことかと感じていた私であった。4月にはVillage VanguardでBrad Mehldauとの共演も控えており,本人もワクワクしているんだろうなぁなんて思ってしまった。

_20260226_0001 トリオの演奏としてはリーダー主導の部分は大きかったが,ドラムスのJK Kimは手数も多く,タイトなドラミングで適切な煽りを入れるという感じで,ベースのRick Rosatoは自己主張は控えめに堅実なプレイに徹したというところか。いずれにしても,コンベンショナルなギター・トリオのフォーマットでありながら,出てきたサウンドは非常にユニークなものだった。Gilad Hekselmanはピックと指弾きアルペジオを併用するという技も見せながら,決してギミックな感じを与えないところも非常によかった。

演奏終了後にはサイン会もあって,私は先日入手したVanguardのライブ盤LPと"This Just in"を持参。サイン会で3人とも写真を撮らせてもらった(戦利品のLPもちらっと写っている)のでモザイク付の写真もアップしておこう。

尚,上の写真はCotton ClubのFBより拝借。

Live at Cottton Club on February 25, 2026,2ndセット

Personnel: Gilad Helselman(g), Rick Rosato(b), JK Kim(ds)


Gilad-hekselman-trio-and-i_mosa_20260226090901

2026年2月26日 (木)

よくできたコンピレーションなのに廃盤なのが謎なGeorge Harrisonの"Best of Dark Horse 1976-1989"。

_20260217_0001 "Best of Dark Horse 1976-1989" George Harrison (Dark Horse)

私はGeorge Harrisonのファンを自認しているが,このブログではあまり取り上げていないのは今更何を語る?ってところがあるからだ。しかし,Dark Horseレーベル時代の曲を集めたベスト盤と言ってよいこのアルバムがずっと廃盤なのが解せないということもあって,ここで取り上げることにした。

このアルバムはベスト盤の趣もありながら,当時の新曲として"Poor Little Girl"と"Cockmamie Business"が収められていることが重要なのだが,この2曲はここでしか聞けないらしい。だとすれば,このアルバムを廃盤にすべきではないし,せめてこの2曲を何らかのかたちで入手できるようにしておくべきだと思うのだが,ストリーミングでも聞けないのが実態だ。

まぁ中古盤は簡単に入手可能だから,希少性がどうこうというものではない。しかし,私はDark Horseレーベルでリリースされたアルバムにも,George Harrisonらしいメロディ・ラインを持ったいい曲はいくらでもあるということを認識させるこのコンピレーションは,捨てがたい魅力を持っていると思うのだ。このアルバムは復活させて然るべきものと思うが,何らかの大人の事情でもあるんだろうなぁ。あるいはベスト盤なら"Let It Roll - Songs Of George Harrison"を聞けってことか(笑)。だが私は保有していないので,元祖"Best of George Harrison"と本作でOKなのだ。

本作へのリンクはこちら

2026年2月25日 (水)

今にして思えば,珍しい組み合わせだったGary Burtonの"Cool Nights"。

_20260216_0001 "Cool Nights" Gary Burton(GRP)

Gary Burtonについては,先日Pat Methenyとの"Reunion"を取り上げたところだが,GRP時代はほぼ毎年のようにリリースしていて,活動はかなり活発だったころだが,本作は91年に"Reunion"に続いてリリースされたもの。GRP時代のGary Burtonのアルバムは少々微妙なところがあるとも思えるのだが,このアルバムもあまりプレイバックしていないということで,久しぶりに取り出してみたが,こんなメンツだったか...と今更ながら思ってしまうような編成である。

Will LeeとPeter Erskineのリズム隊は"Reunion"からの続投だが,それ以外がBob Berg,Bob James,そしてWolgang Muthspielの組合せというのは珍しい。特にBob JamesとGary Burtonの共演はこれが最初で最後ぐらいではないか。

そして展開される演奏はソフトな感覚が強いが,このアルバムがリリースされた91年頃というのは,「スムーズ・ジャズ」全盛期みたいな時期だから,そういう方向性に向かったとしても不思議ではない。タイトル・トラックを含めてPat Methenyの曲が4曲入っていて,Wolfgang Muthspielのギター・フレーズもそこはかとなくPat Methenyを感じさせる部分がある。"Take Another Look"なんて,いかにもPat Methenyらしいメロディ・ラインだし。しかもアルバムの最後では"Farmer's Trust"までやっちゃうしねぇ。

そういうサウンドなので,いつもならブイブイ吹くBob Bergもおとなしい演奏で,Bob Bergらしくないと言えば,全くらしくない。Bob Bergファンである私としては,Bob Bergはもっとハイブラウなサウンドにこそフィットするのであって,ここはBob Bergでなくてもいいんじゃないかと思えてしまう。

まぁそうは言いつつ,これだけのメンツが揃っているので,演奏の質としては問題ないのだが,ここは少々スムーズに流れ過ぎたという感じだ。心地よく時の流れる良質のBGMだと思えばいいだろうが,ジャズ・アルバムとして捉えると刺激に乏しいというのが正直なところ。そういう意味では何とも惜しいと思えてしまうアルバム。星★★★。

Personnel: Gary Burton(vib), Bob Berg(ts), Bob James(p, key), Wolfgang Muthspiel(g), Will Lee(b, perc), Peter Erskine(ds, perc)

本作へのリンクはこちら

2026年2月24日 (火)

Kris Davisによる越境型音楽。もはや現代音楽と言った方がよいだろう。

Solastalgia-suite "The Solastalgia Suite" Kris Davis and the Lutosławski Quartet (Pyroclastic)

ジャズ界での注目度も高まるKris Davisが弦楽クァルテットとレコーディングしたアルバム。この編成ならば,上原ひろみにも"Silver Lining Suite"というアルバムがあったが,随分と趣が異なる。そもそも,タイトルにあるSolastalgiaとは「環境破壊や気候変動により、住み慣れた土地が心安らぐ場所から苦痛の源へ変貌した際に生じる、無力感や孤独感、喪失感を伴う精神的な痛み」だそうである。う~む,これはタイトルからして難しそうだが,"Silver Lining Suite"が「希望の光」をテーマにしているのとは真逆と言ってもよいものだから,趣が違って当然だ。

このアルバムはそうしたSolastalgiaにまつわる心象を,8曲から構成される組曲として演奏したものであるが,全編に渡って不安感が表出されたような感覚の曲が多いから,決して気楽に聞ける音楽とは言えない。もはやこの音楽をジャズの範疇で語ることには無理があり,現代音楽とのハイブリッドとして捉えた方がよい。よって,Kris Davisがインプロヴィゼーションを聞かせるパートも限定的であり,基本的には記譜された音楽である。

そうした音楽なので,コンベンショナルなジャズ・ファンに受けるとは考えられないし,フリー・ジャズ好きにも訴求するかも微妙なところがある中で,最後に収められた"Degrees of Separation"辺りが最もジャズ的な起伏を感じさせる。私は現代音楽も好きな方なので,こういう音楽にも抵抗はないが,それでもやはり一筋縄では行かないと感じさせる。Kris Davisについては,このブログにおいても"Run the Gauntlet"を取り上げた際にもそこにも「一筋縄ではいかない」と書いていて,自分の表現力のなさを痛感するが,これはこれで純粋に音楽的なチャレンジとして捉えればよいし,Kris Davisというミュージシャンの多様な才能を示すものだ。

いずれにしてもこのハイブラウな響きは好き嫌いは出てきて当然が,評価はしなければならない音楽だと思う。そうした意味も込めて星★★★★☆としよう。

Recorded on November 23, 2024

Personnel: Kris Davis(p), Lutosławski Quartet:Roksana Kwaśnikowska(vln),Marcin Markowicz(vln), Artur Rozmysłowicz(vla), Maciej Młodawski(cello)

本作は現物も出ているはずだが,現物のリンクが見当たらない。ということでストリーミングへのリンクはこちら

2026年2月23日 (月)

今井美樹の新作をストリーミングで聞いた。冒頭からのポップな響きに戸惑う。

Smile "smile" 今井美樹 (Universal)

このブログにも今井美樹に関する記事を結構アップしてきた。私は彼女のバラッドではしっとりした歌いっぷり,アップ・テンポの曲ではメロウ・グルーブ的なノリが魅力的だと感じてきた。なので,新作が出れば期待も込めて聞くってことで,新作"smile"がリリースされたので聞いてみた。

今井美樹も歌手デビュー40周年というのには驚いてしまうが,今や役者としてより歌手としての活動がメインになっている。私が最後に彼女の演技を見たのは出張中の機内エンタテインメントで見た「象の背中」で,その記事を書いたのはもう18年も前になる。その後,2021年に「名も無い日」という映画に出ているようだが未見。いずれにしても活動の中心は音楽である。

そんな今度の新作だが,冒頭の"Because of You"のあまりにもポップな曲調から私は戸惑ってしまった。これははっきり言って私が今井美樹に期待する音ではない。メロウでもなんでもないのだ。そしてこのアルバムの目玉はさだまさしが書いた上に,客演もする「美しい場所 ~Final Destination~」だろうが,これとて曲が面白くない。

全体的の曲のクォリティが高いとは言えない上に,アレンジメントが今井美樹に合っているとも思えず,私としては全く魅力のないアルバムになってしまった。

それにしても前作"Sky"から8年も経過しているというのにも驚いたが,その前作は購入したにもかかわらず記事にしていないのはどうしてなのかと思い,改めてそちらも聞いてみたが,前作の方がずっとよいではないか。そう感じさせる本作だが,だからこそ今にして思えば"I Love a Piano"と"Dialogue: Miki Imai Sings Yuming Classics"はつくづく私の感覚にフィットするいいアルバムであったと感じざるをえない。

2026年2月22日 (日)

Hitchcockの「三十九夜」:これも見た気になっていただけだったが,筋金入りの傑作であった。

39-steps「三十九夜("The 39 Steps")」('35,英)

監督:Alfred Hitchcock

出演:Robert Donat, Madelene Carroll, Lucie Mannheim, Godfrey Tearle, Peggy Ashcroft, Wylie Watson

Alfred Hitchcockの映画は書籍「映画術」を通じてその魅力の深みにはまり,結構な数の映画を見てきたつもりでいる。しかし,当ブログで取り上げた「間諜最後の日」にしろ,「バルカン超特急」にしろ,イギリス時代の作品は見た気になっていただけで,実は見たことがなかったのではないかというのが実態であった。この「三十九夜」もMr.メモリーだの,小指のない男だのの逸話は知っていたのだが,今回ストリーミングで見てみると,本作も映画としてちゃんと見たことがなかったと感じてしまった。まずは反省である。これに先立つ「暗殺者の家」だって見た気になっているが,リメイクの「知りすぎていた男」は何度も見ているから,その気になっているだけかもしれないと思えてきてしまった。それは別の機会に改めるとして,この「三十九夜」である。

これが主題の通り,筋金入りの面白さなのだ。殺人や逃走劇から生まれるサスペンスに,ユーモラスな要素も加えて,Hitchcockの面目躍如たる出来にマジで感心してしまったのであった。そもそもの巻き込まれ型のプロットの面白さもあるが,86分という尺でこんなに面白く映画が作れてしまうというところが素晴らしい。昨今,やたらに上映時間が長い映画が多いが,こういうストーリーテリングの妙を見習って欲しいと思うのは私だけではあるまい。ロンドンの都会的な描写と,スコットランドの荒涼とした風景の対比も面白く,あっという間に時間が過ぎて行ったのであった。まさにクラシック。これは星★★★★★以外にはない傑作。

お馴染みHitchcock登場のシーンは少々わかりづらいが,そう言われてみればそうだという感じのゴミをポイ捨てする通行人(笑)。

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2026年2月21日 (土)

Melissa Aldanaによる美しくも渋いキューバ音楽に根差したバラッド・アルバム。

Filin "Filin" Melissa Aldana(Blue Note)

昨今のジャズ・シーンにおいては女性ミュージシャンの活躍が目覚ましい。そんな中でMelissa Aldanaというチリ出身のテナー・サックス奏者については名前は認識していても,聞いたの初めてって感じであった。しかしブログを振り返ってみればTerri Lyne CarringtonやDennis Chambersのアルバムのクレジットにその名はあるものの,彼女のプレイぶりへの言及はない。それらのアルバムはMelissa AldanaがThelonious Monk Competitionで優勝してすぐぐらいのアルバムで,注目のプレイヤーとしての参加だったのかもしれない。

そんなMelissa Aldanaの新作が出たのでストリーミングで聞いてみた。タイトルの"Filin"とは1940年代後半〜1960年代にキューバで流行したジャズや歌謡音楽を融合させたボーカル音楽のようだが,魅力的なメロディ・ラインが感じられるのは昨今昭和歌謡への注目が改めて高まることと近しい部分があるかもしれない。そうした曲をバラッド・アルバムに仕立てるというのがこのアルバムのコンセプトだが,これが思った以上にいいアルバムに仕上がっている。これは自らプロデュースに当たった現Blue Noteの総帥,Don Wasの趣味のよさも表れているように思う。

全編に渡って甘さに流れないバラッドに仕立てるところは,まだまだ年齢的には中堅と言ってよいMelissa Aldanaの実力だろうが,今後の更なる成熟を期待させる演奏だ。さすがにDownBeat誌の批評家/読者投票でそれぞれテナー部門の6位に選出されるだけのことはある。それを支えたGonzalo Rubalcabaも趣味のようバッキングに徹しているところが成功要因だし,Melissa AldanaにFilinを演奏する示唆を与えたことは評価してよいように思う。また,2曲に客演するCécile McLorin Salvantの歌いっぷりもよく,ヴォーカル入りが2曲というのも適切に感じるものであった。

こういう音楽を聞いていると,心に潤いを与えてくれると思いたくなる点も評価して星★★★★☆。

Personnel: Melissa Aldana(ts), Gonzalo Rubalcaba(p), Peter Washington(b), Kush Abadey(ds), Cécile McLorin Salvant(vo)

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2026年2月20日 (金)

Gary BurtonとPat Methenyの"Reunion":これも懐かしい音源だ。

_20260213_0004 "Reunion" Gary Burton(GRP)

間もなく新譜もリリースされるPat Methenyであるが,そもそもプロとしての活動の原点はGary Burtonのグループであったこともあり,久々の邂逅となったので"Reunion"というのは少々ベタではあるが,それはそれで問題ないということにしよう。

もはやGary Burtonが引退状態なので,彼らの共演はもはや聞く術がないので,こうした過去の音源で振り返るしかない訳だが,このアルバムがリリースされたのが1990年ということで,もはや35年以上経過しているということに時の流れを感じざるをえない。当たり前だが裏ジャケに写るミュージシャンたちも若いのなんの(笑)。その後,豪華メンツによる"Like Minds"をはさんで,2009年にはメンツを変えたライブ盤も出しているが,これがBurton~Methenyの「リユニオン」一発目だったはずだ。

当時,Gary BurtonがGRP専属だったから,本作もGRPからのリリースだったが,とにかく様々なミュージシャンと契約していたのが当時のGRPで,物凄いレーベル・パワーを感じたものだ。ここでも主役二人を支えるのが,このメンツなら間違いないだろうという鉄板のバックを揃えている。

まぁ,ここではリリシズムが優勢って感じで,美的な感覚の強い曲と演奏が並んでいるが,Gary Burtonだったらまぁこうなるというところだ。ある意味予定調和的にさえ響くと言ってもよいのだが,これを聞いていたら気持ちよくなること必定みたいな音楽なので,多くのリスナーに受け入れられるはずだ。刺激を求めるリスナーには少々不向きだろうという気もするが,これはそういうタイプの音楽ではないと思って聞けば腹も立つまい。ってことで星★★★★。ここでPat Methenyがギター・シンセサイザーを派手派手しく使わなかったのは音楽のタイプを考えれば正解だったと思う。と言っても"Panama"では結構やっちゃっているが,それに対してBurtonはマリンバで応えるというのが渋い。

Recorded on May 6-10, 1989

Personnel: Gary Burton(vib, marimba), Pat Metheny(g, g-synth), Mitchel Forman(p, key), Will Lee(b), Peter Erskine(ds, perc)

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2026年2月19日 (木)

Bill Evans & the Vansband All Stars at Blue Note東京参戦記。

Bill-evans-vansband-at-bnt

Bill EvansがVansband All Starsなるバンドを引き連れてBlue Note東京に出演し,しかもサブタイトルは"Celebrating the 100 Year Anniversary of Miles Davis"なんて謳っているので,南青山まで出かけてきた。メンツも実力者揃いである。何だかんだと言って,私はBill Evansが来日するとライブを観に行っている感じで,このブログにも過去5回ライブに関する記事をアップしている。

Bill-evans-at-blue-note-2026しかし,私の場合,Bill Evansを見に行っているかと言えば実はそうでもなく,一緒に来るメンバーに惹かれるということがほとんどだというのが実態なのだ。Mike Stern然り,Dave Weckl然り,Robben Ford然りだ。

それでもって,今回はどうだったかと言えば,私にとってはKeith Carlockである。先月,Steve LukatherやMichael LandauとのBoone's Farmで来たばかりのKeith Carlockであるが,前回はロック色が濃い演奏だったのに対し,今回はジャズ色が濃い中でどうなるのかというところに関心が集中していたと言っても過言ではない。

そんなKeith Carlockをかぶりつきで見ていたのだが,結論から言えば,私はライブの間,何よりもKeith Carlockのドラミングに夢中になっていたと言っても過言ではない。4ビートだろうが,8ビートだろうが,16ビートだろうが何でもござれで,バンドをドライブする姿に惚れ惚れとしてしまったのである。全くもって実に素晴らしいドラマーである。

まぁリーダー,Bill Evansの名誉のために言っておけば,今回の演奏は私が彼のライブで今まで見た中では一番よかったかもしれないとも言えるが,それでもフレージングはTill Brönnerの方が魅力的と感じるレベルだ。私はいつも思っていることだが,Bill Evansはテナーの方がずっと魅力的で,ソプラノはもう少し減らしてもいいというのは今回も同じであった。それでも許せるレベルではあった。

Keith-carlock-and-i-2026-mosaic-edited Russell Ferranteは少々お疲れの様子であり,ソロを取るならエレピを使ってもいいのではないかと思わせたし,James Genusはアンコールの"Milestones"でソロは取ったものの,バックに徹した方がよかったというレベルの中で,全編を通じて最も魅力的だったのはKeith Carlockであった。演奏終了後,サイン会もやっていたようだが,私はそれを完全無視して,Keith Carlockだけをつかまえて,Wayne Krantzの動静や55 Barがなくなって寂しいみたいな感じでちょいと話をしたのだが,その後,私と快く写真にも収まってくれたのであった(いつも通り,自分にはモザイクを施す)。

Bill-evans-2026-set-list

まぁ,"Celebrating the 100 Year Anniversary of Miles Davis"と言いながら,やったのは"All Blues","Jean Pierre","Milestones"という少々安直な3曲ってのはどうなのよ?って気もするが,Keith Carlockのドラミングを観られただけで十分満足した私である。2ヶ月続けてKeith Carlockを拝めただけでよしとすることにしよう。かぶりつきの席ゆえにセットリストの写真も撮れてしまったので,併せてアップしておこう。"Elope"はRussell Ferranteのオリジナルだが,このバンドに合っているかはさておき,Herbie Hancockの"Cantaloupe Island"へのオマージュ感が強い曲なのが面白かった。

尚,一番上の写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on February 18, 2026, 2ndセット

Personnel: Bill Evans(ts, ss), Till Brönner(tp), Russell Ferrante(p, key), James Genus(b), Keith Carlock(ds)

2026年2月18日 (水)

長年保有していてもプレイバックの頻度が極めて低い"New York Second Line"。

_20260213_0001"New York Second Line" Terence Blanchard / Donald Harrison(Concord)

主題の通りだ。私はこのアルバムを中古で買ったはずだが,長年保有していても,ちっともプレイバックの頻度が上がらないアルバムとなっている。それは1曲目のタイトル・トラックがどうしても私の嗜好に合わないという要素が一番影響している。

そもそも"Second Line"なんて言っているんだから,ニューオーリンズ的リズムに即した曲が出てくるとは想定できるとしても,それが1曲目からというのに面食らうのだ。Terence BlanchardとDonald Harrisonと言えば,この当時はJazz Messengers(JM)に所属して,当時のヤング・ライオンズとして捉えられていたはずだ。そしてこのアルバムでも当時ののメンバーであったMulgrew MillerとLonnie Plaxicoがバックを固め,御大Art Blakeyに代わってMarvin "Smitty" Smithがドラムスを叩いているから,よりJM的なハードバップ・サウンドを期待するのが人情ってものだ。それが冒頭のタイトル・トラックで印象がずれるところにこのアルバムの決定的な難点を感じるのだ。

2曲目以降は彼らに期待すべき音が出てくるという感じだが,そこまで至らせる気にならないからプレイバック頻度が高まらないと言っておきたい。まぁ,リーダーの二人がニューオーリンズ出身だからということもあるだろうが,伝統に根差すにしても,アルバム単位で考えれば,タイトル・トラックを冒頭に持ってきたのは私は失敗だったと思える。二人ともこの当時は20代前半とは思えない演奏をしているだけに,何とももったいないと感じるのは私だけだろうか?星★★★。

Recorded on October 15 & 16, 1983

Personnel: Terence Blanchard(tp), Donald Harrison(as), Mulgrew Miller(p), Lonnie Plaxico(b), Marvin "Smitty" Smith(ds)

本作へのリンクはこちら。記事アップの時点でこのCDにアホみたいな値段がついている...。

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