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2022年10月 6日 (木)

久しぶりにVital Tech Tonesを聴く。 #VitalTechTones

_20221005 "Vital Tech Tones" Scott Henderson / Steve Smith / Victor Wooten(Tonecenter)

先日,ブログのお知り合いの910さんが,彼らの2ndアルバムを取り上げられていたのに触発されて(笑),久々のこのバンドである。

このアルバムが出た時は,アルバム・タイトル(バンド名?)を見て笑ってしまったのも懐かしい。Steve SmithのバンドがVital Information,スコヘンのバンドがTribal Tech,Victor Wootenが所属していたのがBela Fleck & the Flecktonesだからって,その組み合わせやんけ!ってことで,何と安直なって思ったからである。まぁ,それでもこのメンツが揃えば,大体どういう音がするかは想像がつくわけだが,まさにその想定通りの音が出てくるのが嬉しいねぇ。

思えば,私は彼らが所属した3つのバンドをすべて生で観ている。スコヘンがTribal Techに加え,自分のバンドでも見ているし,Vital InformationはCotton Clubで観た。Bela Fleck & the Flecktonesは私がNYC在住生活を始めた直後,Radio City Music HallにChicagoの前座で出たのを観たことがある。FlecktonsはリーダーのBela Fleckのバカテク・バンジョーも聞き物だが,私はライブの場ではVictor Wootenに目と耳を奪われていたと言ってもよい。なので,私の記憶には強く残ってきた人であり,自身のバンドもBillboard東京で観ている。結局,私は彼ら全てが気になる人なのだ(笑)。

だから,出てくる音は全く想定通りでも,ついつい反応してしまうのだ。まぁ悪く言えば一本調子ではあるが,これこそ予定調和の世界である。期待値と現実が合致しているのだから,文句はない。そうは言っても,"Giant Steps"は,冒頭のテーマ部分を,これはどうなのよ?って感じの変拍子に仕立てていて,これはいけていないと思わされる瞬間もある。だが,そこから4ビートに転じると,最初からこうやりゃいいのにと思ってしまうのはご愛敬である。

だが,基本的には3人の共作が多くて,もしやこれはインプロヴィゼーションでやったのか?と思わせる部分もあるが,ちゃんと作曲したものだったならば,相当ちゃんと作ったってことになる。だが,名手3人が揃えば,これぐらいはちゃちゃっと出来てしまうのかもなぁなんて思うのも事実である。また,スコヘンの"Dr. Hee"を再演しているのも懐かしいが,このメンツで聴けるってのも嬉しいものだ。

いずれにしても,演奏はやかましいことこの上ないが,何年経ってもここでの演奏にはついつい興奮してしまう私である。もはやハード・フュージョンを越えてロックだな。星★★★★☆。しかし,これがリリースされてもはや四半世紀近く経っているってことに驚愕してしまった。歳を取るわけだ(爆)。

Recorded between January 18-27, 1998

Personnel: Scott Henderson(g), Victor Wooten(b, vo), Steve Smith(ds)

2022年10月 5日 (水)

Charles Lloydのトリオ3部作の第2弾到着。これまた渋くも味わい深い。 #CharlesLloyd

_20221004"Trios: Ocean" Charles Lloyd(Blue Note)

7月に3部作の第1弾,"Chapel"について記事にしたが,その時にもCharles Lloydの衰え知らずの創造力に驚嘆させられた。この第2弾も編成は"Chapel"とは異なるものの,Charles Lloydが与える印象は変わらない。やはりこの人,化け物である。

ここでの演奏はパンデミック真っ只中の2020年9月9日に,ストリーミングで無観客配信された演奏がもとになっているらしく,Charles Lloydの地元,サンタバーバラにおけるライブ音源である。そして,今回のパートナーは,ピアノのGerald Claytonと,ギターのAnthony Wilsonというミュージシャン2世コンビである。Gerald ClaytonはCharles Lloydとも来日していて,私はその時のライブのGerald Claytonのピアノに落涙させられたクチ(その時の記事はこちら)なので,今回の第2弾の注目ポイントとしてはそのピアノの弾きっぷりにあった。

まぁ,ここでもGerald Claytonはレベルの高い演奏を聞かせており,実に満足いく出来である。しかし,前述のライブに接し,Gerald Claytonのリーダー作,"Bells on Sand"における二人のデュオ,"Peace Invocation"を聞いてしまった人間にとってはこれぐらいは当然と感じても仕方がないのも事実だ。一方,ギターのAnthony Wilsonもいい音を出していて,好演でリーダーに応えている。そのサウンド,フレージングからすれば,若干存在感としては地味にも思えるAnthony Wilsonというミュージシャンを連れてきたのは成功している。地味と言っても,リーダー作もあれば,Diana Krallの伴奏もしているのだから,知名度はそこそこあるはずだが,圧倒的には高くないだけである。しかし,ここでの演奏を聞けば,さすがCharles Lloydのお眼鏡にかなうだけのことはあると思わせる。

そこにいかにもCharles Lloydらしいサックスとフルートの音色が加われば,これは悪いはずがない。1曲ブルーズの"Jaramillo Blues"をやっているが,なんとなく雰囲気的に"All Blues"を想起させるメロディ・ラインであった。まぁブルーズなんだから,そういうことがあっても不思議はないが,所謂「どブルーズ」ではないな(笑)。それも何となくいい感じなのだ。やっぱりCharles Lloydのアルバムはレベルが高く,裏切らない。今回も星★★★★☆。

Recorded Live at Lobero Theatre, Santa Barbara on September 9, 2020

Personnel: Charles Lloyd(ts, as, a-fl), Gerald Clayton(p), Anthony Wilson(g)

2022年10月 4日 (火)

音楽シーズン到来! 続々届く新譜群から,今日はKeith Jarrett。 #KeithJarrett

_20221002"Bordeaux Concert" Keith Jarrett(ECM)

秋口になると,音楽シーズン到来ということで,続々と新譜が届いている。昨今,CDの購入枚数が減少する中でも,やはり音楽シーズンということで,この季節になると購入枚数が自然と増えるってところか。そんな中で今日はこのKeith Jarrettの新譜である。

新譜と言っても,Keith Jarrettは健康状態ゆえにもはや引退状態であるから,蔵出し音源ということになるが,それでも買ってしまうというのがファンの性ってところである。近年のKeith Jarrettのソロは第一部がアブストラクトな現代音楽的な響きが強く,第二部に入ると美メロやブルーズ,あるいはフォーク色を炸裂させるという構成が多かったが,このアルバムも出だしは結構アブストラクトで,あぁ,いつも通りねって感じなのだが,近年のアルバムとしては前半のアブストラクトさは抑制加減で,比較的聞き易い感じがする。その辺は前作のブダペストのライブと近いと言ってもいいかもしれない。それでもやはりアブストラクトさが勝っていることには変わりはないが...。。

このアルバムは最近には珍しく,アンコールの定番となっているスタンダードの演奏が行われていないが,それでも後半の美的なメロディ・ラインは健在なので,構成としてはKeith Jarrettのライブのパターンにははまっている。それをよしとするか否かは,各々のリスナーが考えればいいとして,もはや蔵出ししかないので,どれを聞いても大きな違いはないと言ってもよいだろう。厳しい言い方をすれば,それでも聞くか,もうええわとするかの時期に来ているようにも思える。

全盛期の長大なピアノ・ソロを知る人間としては,そっちを聞いている方がいいような気もするし,こういう短いインプロヴィゼーションを複数やる方が聞き易いというのも一方で事実である。私も長年Keith Jarrettのアルバムを買っては聞いている訳だが,もはや以前のような驚きはなくなっているところは微妙なのだ。

今回のアルバムもこれはこれでいい演奏だが,まぁこの辺でKeith Jarrettのソロ・アルバムは打ち止めでもいいかなって気がしている。それでもKeith Jarrettの快復を祈って星★★★★☆としよう。でもまた出たら買っちゃうかな...(苦笑)。

尚,ストリーミング版では聴衆の拍手がカットされていたが,CDには拍手が入っているので収録時間が若干違う。また,私はECMのCDは極力ドイツ盤を好んで買ってきたが,昨今の円安で国内盤の方が安いというのは困ったもんだなぁ。

Recorded Live at Auditorium de l’Opera National de Bordeaux on July 6, 2016

Personnel: Keith Jarrett(p)

2022年10月 3日 (月)

追悼,燃える闘魂,アントニオ猪木。 #アントニオ猪木

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アントニオ猪木が亡くなった。私の世代にとってはTVでのプロレス中継が盛んだったので,日本プロレス→全日本,新日本,果ては国際プロレスも中継が行われていた。アントニオ猪木については,ジャイアント馬場と袂を分かつ前にタッグを組んでいた時代も知っているし,アニメ,「タイガーマスク」には馬場,猪木が一緒に出てくるしねぇ。そういう時代だったのである。

そうした中で,アントニオ猪木の存在感は一種独特のものがあって,スープレックス等のげ技の切れ味よりも,打撃技や関節技,締め技の方が印象的で,「燃える闘魂」というキャッチ・フレーズもそういうところの方がぴったりくる人だったと思う。いろいろ言われるモハメッド・アリとの一戦を含め,格闘技らしさをまさに体現した人だったようにも思う。

アントニオ猪木と言えばどの技だろうかということで,どれも印象的な中で,今回貼り付けたのがナックルパートと延髄切り。どの写真でもそうだが,この表情こそ猪木の真骨頂だったなぁ。インディアン・デスロックも好きだったし,コブラツイストはどうした,卍固めはどうした,と言われそうだが,正直言って私は卍よりコブラの方がきくのではないかと思っていたりする。卍固めと言えば,ボブ・バックランド戦で猪木が卍を掛けた瞬間に,中継の放送時間終了ってのがあった。当時は生放送もしてたんだよなぁ。

そんな往時を思い起こさせる時代のアイコンがまた一人世を去った...。

R.I.P.

Photo_20221002073301

2022年10月 2日 (日)

Elton Johnのベスト盤:やはり70年代の曲の魅力が凄い。

_20220928 "Greatest Hits 1970-2002" Elton John(Mercury)

私は決してElton Johnの熱心なリスナーではない。保有しているアルバムも限られているが,改めてこのベスト盤を聴くと,実にいい曲を書く人である。ツアーからの引退を表明しているElton Johnであるが,現在の彼には私は興味はないとしても,過去の名曲には感じるところがある。

私が初めてElton Johnという名前を知ったのはラジオの深夜放送で"Saturday Night's Allright for Fighting"を聞いた時だからまだ小学生だったと思う。「土曜の夜は僕の生きがい」って邦題だったなぁなんて懐かしむ私ももはや高齢者であるが,考えてみればそれは1973年だから,ほぼ半世紀前ということにはショックを受ける。

それ以来,Elton Johnの曲にも触れてきたが,今回,このベスト盤を聴いて,やはりディスク1に収められた70年代の曲が素晴らしかったなと思う。"Daniel"然り,"Levon"然り,"Your Song"然り,"Candle in the Wind"然りである。しかしディスク2に入って80年代以降の曲を聞いてみると,全部がいいとは思わないとしても,突発的に素晴らしい曲が出てくるところに,才能は完全には枯渇していないということが明らかになる。

ついでに言うと,私が保有しているのは限定の4曲入りオマケ・ディスクがついた輸入盤3枚組だが,そのオマケに入っているGeorge Michaelとの"Don’t Let the Sun Go Down on Me"が実に素晴らしく,これを聴いた瞬間,無謀にもカラオケで歌うと決意した私なのだ。そんな思いにさせるぐらいいい曲を書く人だと思うし,Elton Johnの業績は永久に不滅と思う。星★★★★★。

国内盤にはボートラが入って,若干曲が違うようだ。また,ほかにも異なるヴァージョンも存在するようではあるものの,私にとっては自分が持っている3枚組でいいが,ヴァージョンにかかわりなく,どれを聞いてもまず間違いないと思う。

2022年10月 1日 (土)

久々のBlue Note東京:何と3年ぶりとは...。

Lee-ritenour-and-dave-grusin

私が海外からのミュージシャンのライブをBlue Note東京で観たのは2019年9月のCamila Mezaまで遡る。コロナ禍もあって,以前のようなライブ通いを停止してしまっていた訳だが,久しぶりにLee RitenourとDave Grusinのライブを観に行ってきた。なんと3年ぶり(!)とは,随分と時間が経過してしまったものだ。以前は「夜の部活」とか言って,年間20本以上ライブに通っていたことからすれば,この3年間の空白は,高齢者となってしまった私にとってはもったいなかったと言わざるをえない。

それはさておき,コロナ禍のせいもあって,Blue Note東京は現在は全席指定にしているようなのだが,今回,速攻で予約したので,かなりいいポジションで観ることができた。そこで,ある意味驚いたのがLee Ritenourの老けっぷりであった。Lee Ritenourってのは「永遠の好青年」みたいな,いつまでも若いイメージがあるが,今年で70歳になっているんだから,見た目が老けるのは当たり前だが,近くで見るとやっぱり年齢相応なんだなと思ってしまった。更にDave Grusinに至っては米寿だ。ミュージシャンは楽器を扱うのに指を使っているからボケないことはわかるが,米寿でまだ現役でライブをやってしまうってのも凄いし,彼らのやっている音楽は,決してヨイヨイのものではなかった。

やっているレパートリーはある意味お馴染みのものであり,目新しさとかは感じられるものではないとしても,レベルは高いもので,私としては佳きフュージョンを楽しませてもらった。やっぱりライブはいいよねぇと思った次第。でもLee Ritenourがドラムスに息子のWesley Ritenourを連れてくるのは理解できない訳ではないが,正直言って息子は親父ほどのミュージシャンではないので,ドラムス・ソロを聞かせても,う~む,イマイチって感覚があったのは惜しい。私がLee RitenourとDave Grusinのライブを観た時のドラムスはWill Kennedyだったが,レベル的にはWill Kennedy級が望ましいと思ったのも事実。

それでも演奏は十分楽しめたし,チャージは高くても仕方がないと諦めるしかない。私がベースのスラッピングの練習によく使う"Rio Funk"をやってくれたのもよかったしねぇ。さて,次は何に行くか(笑)。

Live at Blue Note東京 on September 29, 1st Set

Personnel: Lee Ritenour(g), Dave Grusin(p, key), Melvin Davis(b, vo), Wesley Ritenour(ds)

Blue-note-tokyo

2022年9月30日 (金)

正調ではないかもしれない。しかしこういうバッハも実に楽しい。 #VíkingurÓlafsson

_20220924 "J.S. Bach:Works & Reworks" Víkingur Ólafsson (Deutsche Grammophon)

今回取り上げるVíkingur Ólafssonについては,以前,Phillip Glassの音楽を演奏したアルバムを紹介したことがある(記事はこちら)。実に気持ちのよいアルバムで,その年のベスト盤にも選んだぐらい好きなアルバムであった。その後,Víkingur Ólafssonは順調にアルバムをリリースしているようであるが,昨今,特にクラシック畑の情報は必ずしもチェックが十分ではないので,本作のリリースも知らなかった。しかし,ほかのアルバムとの抱き合わせ購入時に何を買おうかと思っていて,猛烈に気になって購入したものである。

タイトル通りの構成と言ってよいが,1枚目が"Works"として編曲版を含むバッハの曲を演奏し,2枚目が"Reworks"として,エレクトロニクスを交えたアダプテーションした演奏が収められている。昨今,現代音楽のピアノにはまる私としては,"Reworks"への関心が上回っていたのだが,聴いてみるとこれがどちらもよいのだ。

"Works"の方も実は一筋縄ではいかない。レコード会社の情報にもある通り,「親しみ深い曲から少々サプライズ的なあまり注目されていない曲までを選曲」したもので,ある意味バッハをテーマとしたオムニバス盤のような趣もあるのだが,そこに全く違和感がないのである。そうしたところにバッハの音楽の懐の深さを感じる訳だが,更にそれが"Reworks"に至って,バッハの懐の深さを一層感じるというのがこの2枚組である。"Reworks"を聞いていると,Vangelisによる映画「ブレードランナー」を想起する瞬間やアンビエントな感覚もあって,こういうのってはまるんだよなぁ。

こういうプログラムは,クラシック音楽原理主義者からすれば,気に入らないものかもしれないと思いつつ,このピアノの響きに身を委ねれば,心地よいことこの上ないないのだ。やはりVíkingur Ólafsson,侮ってはならないピアニストである。ちょっと甘いとは思うが,星★★★★★としてしまおう。いずれにしても,次回来日する際には,是非とも聴きに行きたいと思った私である。

2022年9月29日 (木)

Pharoah Sandersを偲んで,今日は”Journey to the One”。 #PharoahSanders

Pharoah-sanders

"Journey to the One" Pharoah Sanders(Theresa)

_20220927_20220929080301先日この世を去ったPharoah Sandersを偲んで聞いたのが本作。このアルバムを買ったのはリリースされてから随分経ってからのことで,それがいつのことだったかは記憶から飛んでいる。アナログは2枚組だし,琴が入っていたり,コーラスが入っていたりと,ちょっと購入には勇気がいるところもある作品だ。よくよくライナーを眺めると,Bobby McFerrinが入っていたりすることは全然認識していなかった。いずれにしても,初めて聞いたのは多分ジャズ喫茶においてであったと思う(こういうのが当時よく掛かっていたのだ)が,若い頃に聞いた時には不思議なレコードだと感じたようにも思うし,その頃はPharoah Sandersには少なくともはまっていない。

だが,私もいろいろな音楽を聞いていると,このPharoah Sandersがコンベンショナルなセッティングの中で発する,フリーキーなトーンが快感になってくるから不思議なものだ。本作においても,激しいのは激しいんだけれども,いい塩梅でコンベンショナルな響きがあるところがいい感じに響く。まぁ編成とかを見ると,不思議なプロデュースだとは思うが,Pharoah Sandersがやりたいことを全部やりましたって感じなのかもしれない。

こういう音楽はPharoah Sanders亡き今,なかなか聞けなくなるのかなとも思うが,私としては彼の残したレガシーとして聴き続けたいと思う。但し,そんな頻繁ではないが...。いずれにしても,また一人のスタイリストが世を去ったことは実に寂しい限り。

改めてではあるが,R.I.P.

Personnel: Pharoah Sanders(ts, bell), Eddie Henderson(tp), John Hicks(p), Joe Bonner(p), Mark Isham(synth), Carl Locket(g), Chris Hayes(g), Ray Drummond(b), Joy Julkus(b), Idris Muhammad(ds), Randy Merritt(ds), Babatunde(perc), Yoko Ito Gates(koto), Paul Arslanian(harmonium, wind-chimes), Bedria Sanders(harmonium), James Pomerantz(sitar), Phil Ford(tabla), Claudette Allen(vo), Vicki Randle(vo), Ngoh Spencer(vo), Donna Dickerson(vo), Bobby McFerrin(vo)

2022年9月28日 (水)

Barre Phillips:「最後のソロ・アルバム」は「最後のアルバム」じゃなかったのねぇ(苦笑)。 #BarrePhillips

_20220924-3 "Face à Face" Barre Phillips / György Kurtág, Jr.(ECM)

Barre Phillipsがアルバム,"End to End"をリリースした時,「最後のソロ・アルバム」としてECMに自らオファーしたとライナーには書かれていた。即ち,年齢を考えれば,それはBarre Phillipsにとっての「最後のアルバム」だと思っていた私の早とちりっていうのが,本作で明らかになった。

"End to End"が制作に至る経緯がなかなか感動的だっただけ(詳しくはこちら)に,おいおい,まだ出るのかと思ったのも事実なのだが,今回,ECM New Seriesに自らのピアノ演奏でのアルバムも持つGyörgy Kurtágの息子との共演とあってはかなり気になる。しかし,絶対ハードルは高いはずだと思いつつ(笑),今回購入したものの一枚がこれである。

一聴して,これはやっぱりハードルが高い(きっぱり)。もはや現代音楽と言っても通じる感覚であるが,こういう音楽に耐性を身に着けてしまった私には,これがまた実に興味深く響くのだ。本作はBarre Phillipsのベースに,György Kurtág, Jr.のライブ・エレクトロニクスが加わるというものだが,ライナーはまたまたSteve Lakeが書いているし,やっぱりECMにおけるBarre Phillipsのポジションは特別なのかもしれない。

本作のSteve Lakeのライナーにも,ソロ作は"End to End"で最後としても,これは「コラボレーション」としての取り組みだって書いてある。今年の10月で米寿を迎えるBarre Phillips,まだまだやる気満々ってところか。だが,2020年9月から2021年9月までの1年を掛けて完成させたこのアルバムは,普通のリスナーにとっては「何のこっちゃ?」って感じのアルバムだろう。メロディ・ラインも,リズム・フィギュアもほとんど感じられないのだから,こんなものは音楽と認められないという人もいるはずだ。

まぁ,確かに「鑑賞音楽」としては結構辛いよなぁってのは私も感じるところなのだが,Barre Phillipsの本音はさておき,聴く方はこれはアンビエント・ミュージックとして捉えた方がいいかもしれない。何となくプレイバックしていて,これに耳をそばだてるかというと,それも微妙であり,何となく流れているという感覚の方が,私としてはわかり易い気がする。むしろ,こういうアルバムをリリースしてしまうところが,ECMというレーベルの真骨頂であり,こんなことができるレーベルはそうはない。出しただけでも凄いよねって感覚をお判り頂ける方だけが聞けばいいでしょう。私としては星★★★★ぐらいだが,さて,普通の人はどう捉えるか(笑)。

Recorded between September 2020 and September 2021

Personnel: Barre Phillips(b), György Kurtág, Jr.(electronics)

2022年9月27日 (火)

Enrico RavaとFred Herschの共演は期待通りと言ってよい。 #EnricoRava #FredHersch

_20220924-2 "The Song Is You" Enrico Rava / Fred Hersch (ECM)

本作のリリースがアナウンスされた時から,私としては大いに期待していたアルバムである。Fred HerschがEnrico Ravaとライブで共演しているという情報は,Fred HerschのFBページ等でもわかっていたが,その時はほぉ~,HerschにRavaかって思っていた私だが,このレコーディングを踏まえてという意味合いだったのだろう。いずれにしても,この二人に期待するのは究極のリリシズムってところであるが,その期待は決して裏切られることはない。冒頭のAntonio Carlos Jobimの"Retrato em Branco e Preto"から掴みはOKである。

二人が即興で演じた2曲目の"Improvisation"や,そのほかの曲でのRavaのソロにややアブストラクトな響きが強まる瞬間はあるが,基本的に歌心に溢れた素晴らしい演奏である。Fred Herschのファンとして言えば,Fred Herschらしいピアノの響きであり,実に嬉しくなる作品だ。最後をFred Herschのソロによる"'Round Midnight"で締めるのも,これまたファンには嬉しい演出である。

そして,Enrico Ravaがフリューゲル・ホーンで通したことも,Fred Herschのピアノとのいい混じり具合を生み出したと思える。こういうのを聞いていると,名人が二人揃えばこんなものよと思わなくもないが,ちゃんと期待に応えてくれるところが素晴らしい。そうした点も評価して,星★★★★★。こういう音楽は,本当にツボにはまる...。このコンビで是非来日して欲しいと思うし,続編も期待してしまうなぁ。

Recorded in November 2021

Personnel: Enrico Rava(fl-h), Fred Hersch(p)

2022年9月26日 (月)

Miles Davisの”Decoy”期前後の音源を中心とするブートレッグ・シリーズ。ライブ音源が最高だな。

_20220923-3 "That’s What Happened: The Bootleg Series, Vol.7 1982-85" Miles Davis(Columbia)

80年代にカムバックしてからのMiles Davisをどう捉えるのかってのは,人によって随分違うと思う。例えは違うかもしれないが,50年代のArt Pepperとカムバック後のArt Pepperの「どっちがいい」論争みたいなものも生み出すかもしれない。私としてはWarnerに移籍して"Tutu"をリリースする前後で随分評価が変わると思っているクチである。

私は80年代のMiles Davisのライブは,初回を除いて,来日する度に観ていたと思う。私としては85年あるいはせいぜい87年ぐらいまでは無茶苦茶カッコいいと思っていたのだが,晩年の演奏は全く感心しなかったというのが正直なところだ。以前にも書いたと思うが,私が最後にMiles Davisのライブを観たのは,91年のAvery Fisher HallでのJVC Jazz Festivalにおける演奏であった。その翌年,Milesが世を去るとは全く想像していなかったが,その時の演奏は全く面白みに欠け,もうMilesのライブはいいやなんて思っていたのが約30年前である。

それに比べれば,80年代中頃までのMilesのライブは,血沸き肉踊らせたっていう感覚があるのだ。だからこそ,今回リリースされる音源には非常に関心があった。ただねぇ,82~85年という切り口が本当によかったのか?ってのは,実はよくわからない。なぜカムバック前後からの音源からカヴァーしなかったのかってのは,追々出すのか?って気にもなるが,まぁカムバックから暫くしての復調を果たしたMilesの姿って編集方針だってことにしよう。

音源については,私はストリーミングで聞いていたが,現物が届いて,改めて聴いているところである。スタジオ音源に関しては,もう少しちゃんと聴く必要があるが,この3枚組のキモはCD3のモントリオールにおけるライブ音源だと言って間違いなかろう。ここでの音源は"Decoy"に使われていることからして,この時の演奏が相当なレベルでの演奏だと判断されていたってことは明らかなのだ。"Decoy"というアルバムは,私はアナログで言えばB面こそ燃えると思っているが,まさにB面に収められた2曲の音源はこの時の演奏の編集されたものなのだから,この演奏には興奮して当たり前だと言いたくなる。

このボックスの意義を語るには,私は聞き方がライブ音源に偏り過ぎだが,いずれにしても,このボックスはCD3から聞いて興奮するのが正しいと言いたくなる私である。そうは言っても,今回のスタジオ音源にはJ.J. Johnsonが参加しているものもあって,思わずへぇ~となってしまったのだが。まぁ,あとはTina Turnerのヒット曲,"What's Love Got to Do with It"が公開されたことだろうな。

そうは言っても,当時のMiles DavisバンドのライブのカッコよさをCD3で追体験するってのが,このボックスの聞き方の正しい姿だろう。それにしても,Darryl Jonesのベースのソリッドさは凄いな。

Personnel: Miles Davis(tp, key), Bill Evans(ts, ss, fl), Bob Berg(ss), J.J. Johnson(tb), Mike Stern(g), John Scofield(g), John McLaughlin(g), Robert Irving, III(key), Marcus Miller(b), Darryl Jones(b), Al Foster(ds), Vince Wilburn, Jr.(ds), Mino Cinelu(perc), Steve Thornton(perc)

2022年9月25日 (日)

Brad Mehldauの最初期音源の一枚:Peter Bernsteinの”Somethin’s Burnin’”。進歩が早い...。

_20220923 "Somethin’s Burnin'" Peter Bernstein(Criss Cross)

Brad Mehldauのレコーディング・キャリアはChristopher Hollydayの"The Natural Moment"で始まるが,その録音が91年の1月だったので,Brad Mehldauはまだ20歳の時であった。その後,順調にキャリアを積み上げ,今やジャズ界ではビッグ・ネームとなったが,初期のレコーディングを振り返ってみると,このアルバムはかなり早い時期のものと言ってよい。それはリーダーであるPeter Bernsteinにとっても同じで,これはPeter Bernsteinの初リーダー作のはずである。

Brad MehldauにはPeter Bernsteinとの共演が結構あるが,彼らがどのように出会ったかはわからない。多分,ここにも参加しているJimmy CobbのCobb’s Mobのバンド・メイトとして付き合いが始まっていると考えればいいと思うが,ことあるごとにと言っては言い過ぎかもしれないが,結構マメに共演しているのは確かである。当時はまだまだ若手と言ってよい二人が共演したこのアルバムを聞いていると,Peter Bernsteinは年齢(録音当時25歳ぐらいのはずだ)を感じさせない達者なプレイぶりであるが,一方のBrad Mehldauは,Christopher Hollydayとのアルバムで感じさせた生硬さは感じられず,短期間で長足の進歩を遂げているという感覚がある。所謂「伸び盛り」ってことなのかもしれないが,ここでのプレイぶりは明らかに"The Natural Moment"の時とは明らかに異なると思えるのだ。Cobb’sでMobで鍛えられたのかもしれないが,年齢相応というよりも,より成熟した感覚を打ち出している。少なくとも20歳そこそこの若手の演奏と思えない弾きっぷりは,表現を変えれば「老成」のようにも思えるが,ここではセッションの性格を踏まえた「適切」なバッキングをしていると思える。

今にして思えば,Criss Crossというレーベルは,Peter BernsteinやGrant Stewart,あるいはWalt WeiskopfやMark Turnerのアルバムで,若きBrad Mehldauにレコーディングのチャンスを与えたことでも評価しなければならないと思える。それこそ今は亡き,レーベル創設者兼オーナー兼プロデューサーのGerry Teekensに感謝する必要があるってものだ。この後にアルバムを吹き込むFresh Sound New TalentとCriss Crossの2つのレーベルは,Brad Mehldauというミュージシャンの成長過程を知る上で,実に重要なレーベルと言いたい。

いずれにしても,こういう伸び盛りのミュージシャンの「瞬間」を捉えたアルバムとして十分楽しめるアルバムだと思う。星★★★★。

Recorded on December 22, 1992

Personnel: Peter Bernstein(g), Brad Mehldau(p), John Webber(b), Jimmy Cobb(ds)

2022年9月24日 (土)

日野皓正からのつながりで,今日は日野元彦:この程度のアルバムだったのか...?

_20220921-3 "Hip Bone" 日野元彦(Fun House)

昨日,兄貴の日野皓正のアルバムを取り上げたので,今日は弟の日野元彦である(笑)。このアルバムを聞くのも実に久しぶりだったのだが,時間の経過によって,随分印象が変わってしまったという感覚を覚えたことは告白しておかねばならない。

私の保有しているCDは,兄貴の日野皓正よりも,日野元彦のものの方が多い。これもその一枚だが,買った当時はこのアルバムに好印象を持っていたし,だからこそずっと一軍の棚にいたのである。本作が出たのはほぼ四半世紀前のことになるが,当時の日本ジャズ界のそれこそ「若手の精鋭」を集めたバンドだったと言ってもよいだろう。結構これはカッコいいのではないかという印象をずっと持ったままラックに収めていたのだが,久しぶりに聴いてみると,これがピンと来ない。むしろ全くいいと思えない。それは私の加齢のせいかもしれないし,そもそもの審美眼,あるいは趣味,嗜好の変化ということかもしれない。だが,今回,久々に聴いてみて,本作に対してどうにも私には受け入れがたい「軽さ」を感じてしまったのである。

全9曲中3曲がリーダーのオリジナルだが,そのほかはMiles Davis人脈のレパートリーを中心とするモダン・ジャズ・オリジナルである。それを3管ではあるが,80年代に復活後のMilesバンドの感じのファンク色を交えて演奏するってところのアルバムである。なのだが,私がどうしても違和感を覚えてしまうのは,わざわざアレンジメントをいじる必要があるのかって曲を,「オリジナリティを必死で出そうとする感じ」がある意味痛々しく感じてしまうということだ。例えば,2曲目は"So What"となっているが,それが出てくるのは最後の最後ってのは,さすがに気負い過ぎだよって言いたくなるのだ。

ここにいるメンツであれば,ギミックをかまさなくても演奏の質は保てたと思えるのだが,策に溺れた感があって,全然楽しめないのだ。私に言わせれば,こういう演奏を以てよしとしたプロデューサーの趣味の悪さを感じざるをえないというところだ。曲が曲だけに,普通にやりたくない気持ちはわかる。そういう曲が揃っているから,ミュージシャンとしてはそう思うのも理解できない訳ではない。しかし,ここでの演奏は私にはギミックと,サウンドとしての軽さしか感じられない凡作なのだ。それは1曲を除いてアレンジを施した納浩一の責任でもあるが,A級戦犯はプロデューサーの方だろうな。

今回,私はこのアルバムを一軍の棚に入れておいたことは明らかな間違いだったと思った訳だが,それも聞いてみないとわからないってことで,いい勉強になった。いずれにしても,本作は本日を以て二軍行きが確定したのであった(笑)。星★★★。日野元彦を聞くならば,このアルバムからではない(きっぱり)。あ~あ。

Recorded on June 11-15, 1994

Personnel: 日野元彦(ds), 納浩一(b),大石学(org),道下和彦(g),佐藤達哉(ts, ss),五十嵐一生(tp),山田穣(as)

2022年9月23日 (金)

日野皓正の”Double Rainbow”:これが出た頃って実はよくわからなかった。私もまだまだ修行が足りなかったな(苦笑)。

_20220921 "Double Rainbow" 日野皓正(Columbia/Sony)

このアルバムが出たのが1981年のことだが,私はリリース後,アナログで入手したものの,全くピンと来ないというか,正直言って,よくわからなかったというアルバム。まぁ当時の私と言えば,ジャズはそこそこ聞くようになったものの,まだエレクトリックなMiles Davisの音楽にもはまっていないことだし,メロディ・ラインが明確な方を好んでいたから,このアルバムのある意味で混沌とした(フリーとかアバンギャルドではない)雰囲気が当時の私の理解を越えていたということになる。

この当時,日野皓正,ナベサダ,そして菊地雅章がメジャー・レーベルColumbiaと契約したことは日本ジャズ界でも大きな話題になった。そして,このアルバムも全米でリリースされたはずだが,売れたって話は聞いたことがない。それは菊地雅章の"Susto"の姉妹作的なつくりによるハイブラウな感覚もあるだろうし,コマーシャリズムからは一線を画した作風によるところも大きいと思える。メジャーと契約しながら,売れることより,クリエイティブであることを選択するってのは勇気のいることだろうが,その心意気は買わなければならない。

このアルバムにおいては,Gil Evansの参画も大きな話題になったが,Gil Evansが関わっているのは"Miwa Yama"だけであり,別にGil Evansらしいオーケストレーションを施している訳でもない。まぁ,Miles Davisの"Star People"や"Decoy"にGil Evansがクレジットされているのと同じような感覚で私は捉えている。本格的なアレンジャーというよりも,オーガナイザーあるいはアドバイザーってところではないのかと思う。

いずれにしても,執拗に繰り返されるリズム・フィギュアに乗って展開される怪しげな(笑)ファンクは,40年以上前のアルバムでありながら,今の耳で聞いても古さを感じさせないのは,私がこういうサウンドに慣れたってこともあるだろうが,今にして思えば大したものである。最後の"Aboriginal"にはAnthony Jacksonのエレクトリック・ベースに,アコースティック・ベースが3本加わるってのは相当変態だし,クラッピングなんてSteve Reichをちょっと想起させるしなぁ。

ということで,私も当時はまだまだ修行が足りなかったことを再認識しつつ,このアルバムってもう一度評価し直してもいいかもと感じさせるものであった。星★★★★☆。

蛇足ながら,このアルバムの最大の難点はこのジャケかもしれない。アルバムで奏でられている音楽とこれほどアンマッチなジャケットもなかろう(笑)。

Personnel: 日野皓正(cor), 菊地雅章(key, p, arr), Kenny Kirkland(key), Herbie Hancock(key), Mark Gray(key), Steve Grossman(ss), Sam Morrison(wind driver), Steve Turre(conch), Lou Volpe(g), Butch Campbell(g), James Mason(g), Barry Finnerty(g), David Spinozza(g), Anthony Jackson(b), Hassan Jenkins(b, clap), Herb Bushrler(b), Reggie Workman(b), Eddie Gomez(b), George Muraz(b), Harvey Mason(ds), Lenny White(ds, clap), Billy Hart(ds), Airto Moreira(perc), Don Alias(perc), Manolo Badena(perc), Emily Mitchell(harp), Gil Evans(arr)

2022年9月22日 (木)

これもまたJoni Mitchellってことで,"Big Yellow Taxi"のマキシ・シングル。 #JoniMitchell

Big-yellow-taxi "Big Yellow Taxi" Joni Mitchell(Reprise)

私はJoni Mitchellのかなりのファンであることは,このブログにも何度も書いているし,ミュージシャン単独でカテゴリー登録しているのはBrad MehldauとJoni Mitchellだけである。だから,コンプリートとは言わずとも,結構な数のJoni Mitchellの作品は参加策含めて保有している。そうした中でも,相当異色と言っていいのがこのマキシ・シングルである。

端的に言えば,Joni Mitchellの人気曲,"Big Yellow Taxi"を複数バージョンにリミックスしたEPなのだが,これが結構面白いのだ。正直言ってしまえば,私はリミックス・アルバムとかにはあまり興味がないタイプのリスナーだが,このEPの場合,"Big Yellow Taxi"がこうなっちゃうの?って感じなのだが,リミックスされたビートに,Joni Mitchellの声が違和感なく溶け込んでしまっていると感じてしまうのだ。贔屓目に言えば,どのようなリミックスを施しても,Joni Mitchellのオリジナルの強さは感じられるというところだろう。

そもそもこのEPの出自は,米国のドラマ,"Friends"に採用されたことから,その拡大盤というかたちでリリースされたものだろうが,そんなことを知らずに購入して,初めて聴いた時はびっくりしたはずだ(もう四半世紀以上前のことなので,記憶の彼方だが...)。これもまたJoni Mitchellの作品として考えれば面白いが,聴く人によっては邪道,あるいは原曲への侮辱と感じるかもしれない。しかし,Joni MitchellがOKしなければ,こういうかたちではリリースされていないはずなので,本人はこれもありって捉えているってことだろう。

最後の最後にオリジナル・ヴァージョンが収められていて,リミックス版,ダブ版との「落差」を楽しむのがいいと思えるユニーク作。ダブ版なんて,ほぼJoni Mitchellの痕跡もなしみたいな感じだしねぇ(笑)。いずれにしても,久しぶりに聴いたらマジで面白かった。

2022年9月21日 (水)

Alan Parsons Projectの”Eve”:Eric Woolfsonがヴォーカルを取り始める前のアルバム。 #AlanParsonsProject

_20220919-2"Eve" The Alan Parsons Project(Arista)

このブログでも何度か書いていると思うが,私はAlan Parson Projectのファンである。批評家筋の受けが悪かろうが,なんだろうが,好きなものは好きなのである。彼らの最高傑作は"Eye in the Sky"であると信じて疑わないが,キャリアを通じて,彼らのアルバムはどれも相応に魅力的だと思っているが,特にEric Woolfsonがヴォーカルを取るようになる"The Turn of a Friendly Card"以降が私への訴求力を増していくと思っている。このアルバムはEric Woolfsonがヴォーカルを取り始める前のアルバムである。

ここではAlan ParsonsとEric Woolfsonが果たしているのは,あくまでもプロデューサー,ソングライターとしての役割だったのだが,プレイヤーとしては出番がかなり少ないこともあって,私としてはこのアルバムはIan Bairnson, David PatonのPilot組に,ゲスト・ヴォーカルを迎えるというフォーマットであり,Pilotの持っていたポップさを明確に引き継いでいると思える。

そもそもDavid PatonはBay City Rollersにも在籍したことがあるってぐらいだから,ポップなのは当たり前ってところだが,リード・ヴォーカリストが6人もいるってこともあるし,やや仰々しいとも思えるオーケストレーションもあって,印象が定まりにくい部分もあるように思える。そういうところもあって,私が保有するAlan Parsons Projectのボックスの中では,プレイバック頻度があまり上がってこないというところである。決して嫌いって訳ではないのだが,決定的なキラー・チューンに欠けるってのも事実だ。そういうところもあって,星★★★☆。

それにしても,"Secret Garden"におけるChris Rainbowのクレジットが"One-man Beach Boys"ってのは笑える。

因みにアルバム・カヴァーはHipgnosisであるが,Wikipediaにも書かれているように,よくよく見ると結構凝った作りになっているが,あまりそこまで気にしたことはなかったなぁ。

Personnel: Alan Parsons(produce, autoharp,key), Eric Woolfson(key, exective produce), Ian Bairnson(g), David Paton(b, vo), Stuart Elliot(ds, perc), Duncan Mackay(key), Lenny Zakatak(vo), Chris Rainbow(vo), Dave Townsend(vo), Clare Torry(vo), Leslie Duncan(vo), Andrew Powell(orchestration)

2022年9月20日 (火)

Creed Taylorを偲んで,の意味合いも含めてFreddie Hubbardの”Sky Dive”。     #FreddieHubbard

_20220919 "Sky Dive" Freddie Hubbard(CTI)

先日,亡くなったCreed Taylorであるが,CTIレーベルのアルバムってのは,まさに玉石混交と思う。このブログにはそれほどCTIのアルバムはアップしていないが,例えばMilt Jacksonの"Sunflower"とかは,さすがにあかん方の部類である。一方,Freddie HubbardやJoe Farrellのアルバムって結構好きだと思っているが,そう言えばこのアルバム,真っ当に聞いたことがなかったなぁということで,廉価盤も出ているしということで,Creed Taylor追悼も込めて今更ながらゲットしたもの。

このアルバムは,Don Sebeskyも絡んでいるので,いかにものCTIサウンドと言ってよい訳だが,その中で異色なのは何と言ってもKeith Jarrettの参加だろう。このアルバムがレコーディングされたのは1972年10月なので,Keithは既にECMで"Facing You"を吹き込み,American Quartetも結成済みの時期である。そうしたタイミングでこういうアルバムに参加しているというのは実に面白い。そう言えば,Airtoの"Free"にも参加していたが,実はそっちも聞いたことがないところが,CTIに対する私のスタンスみたいなものだ(笑)。

正直言って,2曲目のBix Beiderbecke(!)作である"In a Mist"でのKeithのピアノを聞いていると,やる気あるのか?と思うようなパラパラとしたフレーズを聞かせて,明らかに浮いている感じがするが,転じて,アナログで言えばB面の2曲においては,結構メロディアスなソロが聞ける。3曲目は何と,映画「ゴッドファーザー」のテーマ曲である。と言っても例の「広い世界の片隅に~」(だったか...)で始まる「愛のテーマ」ではない。典型的なバラッド曲と言ってよいこの曲において,途中からテンポを上げてスリリングに展開する演奏はなかなか楽しい。

まぁ,このアルバムはあくまでもFreddie Hubbardのアルバムなので,Keith Jarrettはゲストとして捉えればいいのだが,Freddie Hubbardはなかなかいい吹奏ぶりで,この頃はなかなか好調だったんだろうと思う。本作と併せて"First Light"も購入しているので,そのうちそっちもアップするが,いずれにしても,典型的なCTIのメンツ,CTIのサウンドを肩肘張らず楽しめばよいと思わせるアルバム。星★★★★。

Recorded on October 4 & 5, 1972

Personnel: Freddie Hubbard(tp, fl-h), Hubert Laws(fl), Keith Jarrett(p, org), George Benson(g), Ron Carter(b), Billy Cobham(ds), Airto(perc), Ray Barretto(perc), Don Sebesky(arr, cond) with Horns

2022年9月19日 (月)

Sarah Vaughan:当たり前だが,本当に歌がうまいねぇ...。 #SarahVaughan

_20220915 "How Long Has This Been Going on?" Sara Vaughan(Pablo)

私が保有しているSarah Vaughanのアルバムはかなり後期に偏っているが,元から歌はうまかったとしても,Sarah Vaughanが人間国宝的な扱いを受けるようになったのは,Pabloに吹き込むようになってからではないだろうか。本作はそのPabloにおける第1作。

なんてたって,共演しているのがOscar Peterson,Joe Pass,Ray Brown,そしてLouie Bellsonという面々である。プロデューサーとしてNorman Granzも力が入っているとわからせるに十分である。私が知らない曲は"You're Blasé"だけで,それ以外は有名曲が並んでいて,Sarah Vaughanからすれば,簡単に歌いこなすこともできるような曲ばかりと言ってもよい。しかし,Norman Granzがそうはさせない(笑)。

アナログで言えばA面に当たる5曲はクァルテットをバックに歌うのだが,このアルバムのキモはB面に移ってからである。”More Than You Know"はOscar Peterson,"My Old Flame"はJoe Pass,"Teach Me Tonight"は一旦クァルテット伴奏に戻るが,"Body And Soul"はRay Brown,そして最後の"When You Lover Has Gone"はなんとLouie Bellsonとのデュオで締めくくるのだ。どうせなら全部クァルテット伴奏でいいのにとか,こういう構成が気に入らないという人もいるかもしれない。しかし,Sarah Vaughanという歌手の実力を知らしめるというNorman Granzの意図が,私には強烈に感じられる。

もちろん,こうしたプロデュースを可能にするのは,バックの面々の実力あってこそではあるが,この5人だからこそ成しえたアルバムと言ってよい。こういうのを聞くと,この人たち,マジで凄いわって思わざるをえない。そして,Sarah Vaughanはやはり人間国宝級の歌手であった。星★★★★★。

Recorded on April 25, 1978

Personnel: Sarah Vaughan(vo), Oscar Peterson(p), Joe Pass(g), Ray Brown(b), Louie Bellson(ds)

2022年9月18日 (日)

録りだめしたビデオから,今日は「ワーロック」:なかなか珍しい設定である。

Warlock 「ワーロック("Warlock")」(’59,米,Fox)

監督:Edward Dmytryk

出演:Richard Widmark, Henry Fonda, Anthony Quinn, Dorothy Malone, Doloreth Michaels

録りだめした映画が何本もある私だが,なかなか見ている暇がないというのはいつもながらのことである。そもそもこの映画,私は米国で仕入れたリージョン1のDVDを保有しているのだが,先日購入したリージョン・フリーのDVDプレイヤーと相性が悪く,再生ができないのでショックを受けていたのだが,なんてことはない。BSで放送されたものを録画していたことに気づいて,観ることにした。

この映画,悪玉ははっきりしている。一番悪いのはTom Drake演じる極悪非道のAbe McQuownなのだが,それに対立する善玉軸の主役の3人がよくわからない。まぁRichard WidmarkはAbe McQuownの一味ながら,その極悪非道に辟易として,正義の道を歩むのだが,通常は善人を演じることが多いHenry Fondaの演じるClayはメイクの感じもあって,強いのだが,これがよくわからない。見た感じは後の「ウエスタン("Once upon a Time in the West")」でHenry Fondaが演じたFrankのよう見た目なのだ。Anthony Quinn演じるMorganは一筋縄ではいかない役回りってところで,この辺がありきたりの西部劇と違う感じを醸し出している。ついでに言っておくと,後に「スター・トレック」でドクター・マッコイを演じるDeForest Kelleyは最終的に善玉の味方になってしまうところが,この人の役得って感じもする。

いずれにしても,基本は善玉対悪玉の構図なのだが,上述の通り,よくわからないキャラが存在することで,やや複雑な話になっている気がするし,そこにDorothy Malone,Doloreth Michaelsという女優が絡むことで,話がやや長くなった感は否めない。その辺が西部劇に何を求めるかってところで評価が分かれるところだろうが,まぁそこそこは楽しめる。痛快西部劇って感じではないところが難儀なところだが,多分これは原作もそういう感じだったんだろうと思う。ってことで星★★★☆ぐらい。

因みに監督のEdward Dmytrykは赤狩りの対象として投獄されながら,後に転向して,仲間を売ったということで,映画界で顰蹙を買った人だが,思想によるパージなんていう映画界にとっても不幸な時期があったことは決して忘れてはならない。時代とは言え,ハリウッドにおける赤狩りは,未来永劫映画界の恥部として記憶されるべきであるし,表現の自由ってのは何なのよとこれからも考えていくべきなんだろうと思う。

2022年9月17日 (土)

前々から気になっていた”Spirit of the Forest”を入手。

_20220909-4 ”Spirit of the Forest” Various Artists(Virgin)

熱帯雨林保護を目的としたチャリティ・ソングである。まぁ,"We Are the World"の環境保護版ってことになるのだが,以前からこれが気になっていたのは,偏にJoni Mitchellの参加ゆえである。こういうのって,同じくJoni Mitchellが参加したNorthern Lightsによる"Tears Not Enough"1曲を聞くために"We Are the World"を入手するのと同じようなものだが,ファンってのはそういうものだ(苦笑)。

Spirt-of-the-forest-vocal-chart ジャケのイメージからだけではわかりにくだろうから,参加したメンツがわかるイメージがDiscogsにあったので貼り付けておくが,まぁ凄いメンツである。チャリティについては,各々のミュージシャンが意思を以て参加しているので,それについてはそれを尊重すべきであるし,曲のよしあしとかについてどうこう言うつもりもない。それにしても,LA,NY,ロンドンの3か所でのレコーディングによくぞこれだけミュージシャンが集結したものだ。

私としてはこの7インチ・シングルをゲットしたことで満足である。オーストラリアのセラーから,送料込みにするとそこそこのコスト(と言っても大した金額ではない)は掛かったが,Joni Mitchellの一瞬のソロ・フレーズははっきりしているし,まぁいいやってことにしておこう。一般的には,完全にオタクの世界と言っても過言ではないが(爆)。

尚,このシングル,A面とAA面から成るが,両面でソロを取るミュージシャンには違いがあるのは写真の通りである。

YouTubeにはこの曲の映像もあったので,ついでに貼り付けておこう。因みに映像はA面のメンツ。普通の人はこれで十分でしょう(笑)。ところで,映像に出てくるブラジルのミュージシャンはどこで録ったのか?また,映像にはStingらしき人物も映っているように見えるのは気のせい?

«来日目前:Dave GrusinとLee Ritenourの懐かしいブート音源。

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