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2020年3月10日 (火)

出張中に見た映画:1本目は「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」。

Knives-out 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(”Knives Out")」(’19,米,Lionsgate)

監督:Rian Johnson

出演:Daniel Craig,Chris Evans,Ana de Armas,Jamie Lee Curtis,Christopher Plummer

今回は久しぶりの米国出張ということもあり,機内エンタテインメントで映画を見る気満々だったのだが,結果的には往復で6本ということで,まぁこんなものか。往路では2本しか見ていないので,もう1本は見られたなぁなんて思っているが,それでも普通の人から言わせればよくやるわってところかもしれない。それでもって,最初に見たのがこの映画である。

この映画,なかなか評判もよく,最初から期待して見た映画である。監督は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を撮ったRian Johnsonだが,全然違うタイプの映画なのが面白い。本作を一言で言うならば,演劇的な感じと言えばいいだろうか。そうした中で,くすっと笑わせるところもあり,シナリオが面白いと思っていた。

そして,Daniel Craigが007シリーズとは全然違う感じを出しているし,登場人物がいちいち癖がある設定で,役者がそれをうまく演じているから,これはまぁそこそこの出来になることは間違いないと思えた。結局のところ,シナリオとキャスティングの勝利って感じだ。星★★★★。

それにしても,昨今のChristopher Plummerは怪優化が進んでいるなぁ。「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐と偉い違いや。だが,既に90歳を過ぎても,見事なものであった。

2020年3月 5日 (木)

出張はつらいよ。

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コロナウィルスの感染が広がる中,米国出張中の私である。今回訪問しているのは,アリゾナ州フェニックス。フェニックスに来るのは20年ぶりぐらいだろうか。前回はよりリゾート的なスコッツデールだったが,今回はダウンタウン。

何が辛いかと言えば,16時間の時差。表は写真のように陽光が降り注いでいるが,老体には時差の調整が実に厳しい。

明日はサンフランシスコに移動してひと仕事して帰国だが,マジでヘロヘロである。いつものことながら出張はつらいのだ...。

2020年3月 1日 (日)

Barry Mannが名曲の数々をセルフ・カヴァーで歌う。いいねぇ。

_20200229 "Soul & Inspiration" Barry Mann(Atlantic)

数々の名曲を書いてきたBarry Mannがその名曲をセルフ・カヴァーで歌う企画アルバムだが,必要最小限のバックのメンバーを従えた演奏により,曲のよさが更に際立つというところだろう。そして,それを支えるコーラスやハーモニーをつける歌手が実に錚々たる歌手が揃っている。この辺りにBarry Mannというミュージシャンへのリスペクトが感じられるのが心地よい。

もちろん,オリジナルで歌われたヴァージョンに比べると,って話もあるかもしれない。しかし,Barry Mann自身の歌も結構洒脱な感じでいいのである。とにかく曲の持つパワーを感じるだけで幸せになれる。星★★★★☆。

Personnel: Barry Mann(vo, p, el-p), Paul Shaffer(org), Matthew McCauley(org), Dean Parks(g, sitar, mandolin), Fred Mollin(g, banjo, hca, vib, celeste, perc), David Piltch(b), Lenny Castro(perc), Oliver Schroer(perc), Pat Perez(ts, ss), Norton Buffalo(hca), Carole King(vo), Marc Jordan(vo), Brenda Russell(vo), Richard Marx(vo), Bryan Adams(vo), Daryl Hall(vo), Deana Carter(vo), J.D. Souther(vo), Peabo Bryson(vo), Leah Kunkel(vo)

2020年2月28日 (金)

またもブログ更新停滞中。

世の中では新型コロナウィルスの感染の拡大を受けて,何でも自粛するモードが広がりつつあるが,そうした中で,私はと言えば,そんな風潮に抗うかのような生活を送っている。関与者に迷惑が及ぶので,詳しくは書けないのだが,いわゆる濃厚接触の場にいたのだが,そうした生活を送っていると,どうも今回の世の中の反応は過敏に過ぎるようにさえ思えてくる。まぁ,ウィルスの実体が不明なので,ある程度の反応は仕方がないとも思うが,うがいと手洗いをこまめに行っていれば,感染のリスクはある程度抑制できると思うのだが...。

それでも,先日出張で行ったシンガポールではオフィスの出入りはもちろん,銀行の営業店に入るのにも,検温,質問票への記入/署名を求められたのに比べると日本の対応は甘いって話もあるのも一方では事実だが,国土の面積と人口に対する感染者の数を考えれば,シンガポールがよりクリティカルに捉えるのは当然のことだと思う。

まぁ,それはさておきである。そんな生活を送っていると,ブログの記事をアップする余裕もないというのが事実で,来週にはこのご時世に米国出張を控え,更に記事を書いている余裕がなくなるはずなのだ。ということで,先日,Pat Methenyの記事をアップしてから,全然記事を書いていないので,現状のご報告って感じなのだが,なんかちゃんと音楽を聞けていないのは事実で,この停滞感がいつまで続くのやら...。

2020年2月24日 (月)

これは凄い。Pat Methenyによる壮大なる音楽絵巻,あるいは叙事詩。

_20200224 "From This Place" Pat Metheny(Nonesuch)

盟友Lyle Maysの訃報という衝撃的なニュースからまだ数週間というところで,ショックも冷めやらぬところではあるが,そこへPat Methenyの新作のリリースとは何と因果なことか。そして,リリースされた直後は現物が届いていなかったので,ストリーミングで聞いていたが,遅からずしてCDがデリバリーされた。

ストリーミングで聞いている時から,このアルバムのキモはオーケストレーションだなぁと思っていた私である。もちろん,Pat Metheny以下,バンドのメンバーの演奏も実に素晴らしいのだが,それを増幅させたのが,私はGil Goldstein,Alan Broadbentによるオーケストレーションであったと思えたのだ。ただでさえ優れた演奏には余計なオーケストレーションは不要だという考え方もあるだろう。だが,これこそ音楽の魅力をさらに増す効果を持つ,実に見事な仕事っぷりである。

私はPat Methenyが現行のバンドを結成した時に,実はどうなるのかなぁとも思っていたのだが,ライブを聞いた限り今のメンツは機能しそうだと思ってはいたものの,このアルバムを聞いていると,ツアーを重ねて,コンビネーションは確実に深化したと思える。その前のUnity Groupも実に優れたバンドだったが,それと比べても勝るとも劣らないレベルに達しているのには正直言って驚いた。そして,Gwilym Simcockが聞かせるピアノ・フレーズの鋭さが実に素晴らしい。もともと有能だとは思っていたが,完全に一皮むけた感じというところだろう。

それにしても,おそらくは相当の予算を掛けて録音されているアルバムであり,バンド・サウンドだけで完結させてもよかったところに,ゲストとオーケストラを加えて,実にカラフルに仕立てているのにもまいった。Unity Groupのアルバムも優れていたが,私は本作をそれを軽く越えてしまったと思えるのだ。おそらく,それに貢献したのが共同プロデュースを務めたSteve Rodbyであろうことは想像に難くない。Lyle Maysは不在だとしても,やはりPMGのメンバーが揃うと何かが起こるのだなぁとしみじみと感じてしまった。

2月の段階で言うのは時期尚早ではあるが,今年度ベスト作に確実に入ってくるであろう傑作。これはマジで凄い。星★★★★★。尚,ライナーにはオーケストラのメンバーも記載されているが,ここでは省略。でもSteve Kujalaみたいな懐かしい名前も入っていたことは書いておこう。

Personnel: Pat Metheny(g, key), Gwilym Simcock(p), Linda May Han Oh(b, vo), Antonio Sanchez(ds) with Meshell Ndegeocello(vo), Gregoire Maret(hca), Luis Conte(perc) and the Hollywood Studio Symphony Orchestra, Joel McNeely(cond)

2020年2月23日 (日)

久しぶりに聞いたFleurineとBrad Mehldauのほぼデュオ・アルバム。

_20200222 "Close Enough for Love" Fleurine(EmArcy)

FleurineはBrad Mehldauの奥方ということで,彼女のアルバムにはBrad Mehldauが何曲か客演するパターンが続いているが,彼女の第2作である本作には全面参加して,3曲でストリングスが加わるほかは,ほぼデュエットで演じているという点で,このアルバムはやはり重要な位置づけにあると思っている。しかし,そんなアルバムも聞くのは結構久しぶりで,こんな曲もやっていたっけ?なんて思うのだから,いい加減なものである。

全10曲中,4曲はオリジナルだが,冒頭から"The Logical Song"である。そう,あのSupertrampのヒット曲である。彼らの"Breakfast in America"がバカ売れしたのは1979年のことだったが,そのリード・シングルがこの曲であった。その頃高校生だった私にとっては何とも懐かしい選曲である。そのほかにもJimi Hendrixno"Up from the Skies"もやっているが,Pat Methenyの"Betters Days Ahead"にFleurineが歌詞をつけて歌っているのも面白い。どんな曲をやっても,ここでのBrad Mehldauのピアノはリリカルで,ついついピアノの方に耳が行ってしまうのは仕方ないところである。感覚的に言えば,"Elegiac Cycle"に通じるような響きと言えばいいだろうか。

だからと言って,Fleurineの歌は無視できない。ここでは楚々とした歌い方で,クセのなさが心地よいのだ。その後のFleurineのアルバムもBrad Mehldauコレクターとして買い続けている私だが,やはりこのアルバがほかのアルバムよりも魅力的に響くのは,Brad Mehldauのピアノはもちろん,選曲とFleurineの歌いっぷりによるところも大きい。久しぶりに聞いて,思っていたよりも面白く,優れたアルバムであった。星★★★★☆。それにしても,Brad Mehldauのストリングスのアレンジも結構いけている。何をやっても大したものである。

Recorded on June 24 & 25, 1999

Personnel: Fruerine (vo), Brad Mehldau(p),Marrianne Csizmadia(vln), Ori Kam(vla), Noah Hoffeld(cello)

2020年2月22日 (土)

Bryan Ferryには悪いが,"Boys and Girls"でお口直し(爆)。

_20200220 "Boys and Girls" Bryan Ferry(Virgin)

昨日取り上げたRoyal Albert Hallのライブ音源がどうにも納得いっていない私である。なので,私の中でRoxy Musicを除いて,一番Bryan Ferryを想起しやすいアルバムを取り出してしまった。本作はBryan Ferryにとっても,唯一全英チャートのトップに輝いたものだ。やっぱりそうだよねぇって思ってしまう。

このアルバムを初めて聞いた時の記憶は今でもはっきりしている。それは今でも同じことを感じるのだが,Roxy Musicの最高傑作"Avalon"との同質性である。ここで聞かれるムードはまさしくまんま"Avalon"だと思ったのも懐かしい。ムードは"Avalon"だが,バックのミュージシャンが違うので,サウンドはよりタイトな感じだが,正直言って,このアルバムには相当痺れた私であった。その後のBryan Ferryのアルバムを私が基本的に買うようになったのは,やはり本作と"Avalon"によるところが大きい。そして,このアルバムのクレジットを見ていると,その参加ミュージシャンに目がクラクラすると思ってしまうのはBryan Ferryのその後のアルバム同様である。そうした中で,Marcus Millerのベースはすぐ彼とわかるなぁと思ったのも今から約35年前のことである。

改めて今回このアルバムを聞いてみて,LP時代,私が聞いていたのはA面ばかりだったのだなぁと思うぐらい,前半の曲が印象的。それでもこのムードがいいのよねぇと思いながら,久々にこのアルバムを聞いた私であった。やっぱり,Bryan Ferryはこの方が絶対にいいですわ。星★★★★。

Personnel: Bryan Ferry(vo, key), David Gilmour(g), Neil Hubbard(g), Chester Kamen(g), Mark Knopfler(g), Nile Rodgers(g), Keith Scott(g), Guy Fletcher(key), Jon Carin(key), Tony Levin(b), Neil Jason(b), Marcus Miller(b), Alan Spenner(b), Omar Hakim(ds), Andy Newmark(ds), Jimmy Maelen(perc), David Sanborn(as), Martin McCarrick(cell), Anne Stephenson(vln), Virginia Hewes(vo), Ednah Holt(vo), Fonzi Thornton(vo), Ruby Turner(vo), Alfa Anderson(vo), Michelle Cobbs(vo), Yanick Etienne(vo), Colleen Fitz-Charles(vo), Lisa Fitz-Charles(vo), Simone Fitz-Charles(vo)

2020年2月21日 (金)

突如登場したBryan Ferryの1974年のライブ・アルバム。

Bryan-ferry-live "Live at the Royal Albert Hall 1974" Bryan Ferry(BMG)

このアルバムのリリースが告知された時は驚いた。なぜ今頃になって1974年のライブ音源がリリースされるのか?と思っていた私である。しかし,昨年見たBryan Ferryのライブは実にスタイリッシュであったし,楽しめるものだったこともあり,そもそもBryan Ferryのアルバムを結構買っている私としては,今回も購入である。

いきなり"Symapathy for the Devil"で幕を開けるが,当たり前のことだが,Bryan Ferryの声が若々しい。ただ,ここで歌っている曲はロックンロールやらポップス系の曲が多いため,Bryan Ferryの声がどうも私には濃厚に過ぎるような気がしてしまう。ここに収められた曲,例えば"Baby I Don't Care"や"Don't Worry Baby",更には"Smoke Gets in Your Eyes"を歌うには強烈なクセを感じてしまうのだ。まぁ,このツアーはBryan Ferryにとって初のソロ・ツアーってこともあって,やりたいこともあったのだろうと思うのだが,どうも私がBryan Ferryに求める音とはちょっと違う気がする。

そういう感覚は,ここでバックを務めているメンバーにはPhil Manzaneraもいれば,Eddie JobsonやらJohn Wettonもいるし,更にはPaul Thompsonもいるのだから,違うサウンドも出せたのではないかと思ってしまう。Roxy Musicとは違うんだぜという感覚を打ち出したかったのだろうが,それを聞き手がどう受け止めるかってところだろう。ライブの場ではBryan Ferryもバンド・メンバーもブラック・タイで演奏していたようだから,そういうショーだったというのはわかる。でもやっぱり私が求めているBryan Ferryの音ではなかった。

なので,まずはストリーミングで聞いた時には,強烈に違和感があり,CDで聞いて多少は印象は改善したとしても,これは違うのだ。私が求めてしまうのはスタイリッシュ,あるいはもっとロックなサウンドであったということで,ちょっと残念なアルバムとなってしまった。星★★★。ストリーミングで確認する前に発注してしまった私のミスだな。これなら絶対"Viva! Roxy Music"の方が楽しめると言っておこう。

Recorded Live at the Royal Albert Hall on December 19, 1974

Personnel: Bryan Ferry(vo), John Porter(g), Phil Manzanera(g), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Jobson(p, vln), John Wetton(b), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Peter Robinson(key), Mike Moran(key), Morris Pert(perc), Chris Mercer(ts), Jeff Daley(as), Ronnie Ross(bs), Paul Cosh(tp), Martin Drover(tp), Malcom Griffith(tb), Geoff Perkins(tb), Martyn Ford(orchestra direction)

2020年2月20日 (木)

リリースされて40年も経って,初めて聞いた”London Calling"。

London-calling "London Calling" The Clash(Columbia)

主題の通りである。ジャケットはロック史上最もカッコいいものの一つではないかと思いながら,私のパンク・ロック嫌いが災いして(笑),このアルバムをリリースされてから40年の間,一度も聞いたことがなかった。しかし,世の中では非常に高く評価されているアルバムで,いつか聞かねばとずっと思っていたが,40周年記念盤がリリースされたのを受けて,輸入盤は結構手頃な値段だったので,買ってきたものだ。

なんで私がパンクが嫌いだったかと言えば,私が好む音楽とは明らかに違うテイストについていけなかったからだと言ってもよい。私はパンク・ロックのアルバムはほとんど保有していないと思っているが,Patti Smithもパンクではないのか?と言われればそうかもしれない。しかし,私はPatti Smith教の信者ではあるものの,彼女の音楽をパンクと思ったことは実は一度もない。結局,いあゆるパンク・バンドが発する過剰なアナーキズムみたいなメッセージや,いかにもパンク的なサウンドが私の趣味ではないのだ(きっぱり)。そもそも日頃はジャズやら,渋いSSWを好んで聞いている人間にとってはパンクはある意味縁遠かったのだ。しかし,本作がリリースされた40年前と言えば,私もまだティーンエイジャーだったのだから,パンクの世界に引き込まれても不思議はなかったのだが,そうなることはなかった。

だが,改めてこのアルバムを初めて聞いてみると,今の私には普通のロックに聞こえる。そして,多様な音楽性を吸収した実に出来のいいロック・アルバムではないか。Clashも出自はパンクってことだったのかもしれないが,その懐はずっと深かったのだろうということを感じさせた。時代が彼らの普遍性を増幅させたって気がしないでもないが,それでもこれは実によくできたロック・アルバムだと思えた。そして繰り返しになるが,カッコいいジャケットである。リリースされて40年も経って,この魅力を理解する私もいい加減なものだが,これはほとんどエヴァーグリーンと言ってもよい。星★★★★★。今更ながらお見それ致しました。

Personnel: Mick Jones(vo, g), Joe Strummer(vo, g), Paul Simonon(b, vo), Topper Headon(ds, perc)

2020年2月19日 (水)

Carla Bley,Andy Sheppard,Steve SwallowのトリオによるECM第3作。

Life-goes-on "Life Goes on" Carla Bley / Andy Sheppard / Steve Swallow(ECM)

このトリオによるECMレーベル第3作がリリースされた。彼らの初レコーディングは95年の"Songs with Legs"に遡るので,今年で結成25年という節目になるらしい。私は"Songs with Legs"は未聴であるが,ECMでの第1作”Trios",そして第2作"Andando di Tiempo"については絶賛を惜しまなかった。その2枚は2013年と2016年の年間ベスト盤の一枚にも選んでいるから,どれほど評価しているかはお判り頂けるだろう。そうした彼らの新作である。期待しない訳にはいかない。

このアルバムには次のように書かれている。”Carla was hit by a bucket of shit and the band played on. She opened the door and was hit by some more and the band played on. Could this be the ending or just the biginning of life without music or fun?" これをどう解釈するかはなかなか難しいところであるが,皮肉な感覚に満ちているのは間違いないところである。それがどう音楽に反映するのか?

今回のアルバムは3つの組局から構成されているが,冒頭のタイトル・トラックはいきなりのブルーズにびっくりする。それに続く"Life Goes On"組曲に含まれた曲を聞いていて,私は前作に感じたような「深み」は感じなかったのだが,むしろ,音楽を通じたポジティブな感覚をおぼえていた。

しかし,2つ目の組曲"Bearutiful Telephone"はダークな響きで始まる。この曲はECMのサイトによれば,Donald Trumpがホワイト・ハウスに足を踏み入れた時に,“These are the most beautiful phones I’ve ever used in my life"と言ったとか言わないとかいう逸話への皮肉としか思えない。まさに何言ってやがるみたいなCarla Bleyの心証を反映したものと言いたくなってしまう。

3つ目の組曲"Copycat"の意味するところは不明であるが,”After You"~”Follow the Leader"~"Copycat"というタイトルには別な皮肉を感じてしまうのはうがち過ぎだろうか。いずれにしても,ここでは比較的中庸な表現が用いられているって感じである。

トータルで考えると,やはり"Andando di Tiempo"に感じた音楽的な深さは薄れたが,それでも非常に三者によるレベル高い会話を聞かせてくれるという点では評価したいし,彼らにしか出せない音だと思う。Carla Bleyも80歳を過ぎても,まだまだいけるところを実証したアルバム。半星オマケしてちょいと甘めの星★★★★☆ということにしよう。

Recorded in May, 2019

Personnel: Carla Bley(p), Andy Sheppard(ts, ss), Steve Swallow(b)

2020年2月18日 (火)

出張中に見た映画(20/02編):2本目は「ジョン・ウィック:パラベラム」だったが,よくやるわとしか言えない。

John-wick 「ジョン・ウィック:パラベラム(”John Wick: Chapter 3 - Pallabelum”)」(’19,米,Lionsgate)

監督:Chad Stahelski

出演:Keanu Reeves,Halle Berry,Ian McShane,Lawrence Fishburn,Mark Dacascos,Asia Kate Dillon,Angelica Houston

往路の2本目としてみた映画がこれなのだが,主題の通りなのだ。2時間以上に渡って,よくもこれだけのアクション・シーンを詰め込むわとしか言いようがない。実はこの映画,昨年の出張時にも一度見ようとしたのだが,どうしても睡魔を誘うのだ。これだけド派手な映画なのに,眠くなるというのは,私にとってはあまりに一本調子で面白くないってことかもしれない。実は今回も途中で眠りに落ちた私だが,結局今回は最後まで見た。

ストーリーからしても,もう1本作る気満々だが,映画の80%近くは格闘もしくはアクション・シーンではないのかと思えるほどの徹底ぶりで,こういう映画には固定ファンがついているってことだろうし,興行収入も好調のようだ。しかし,私は劇場に金を払ってまでこういう映画を見に行きたいとは思わない。あくまでも機内エンタテインメントだから見たようなものだが,このシリーズ,一応ストーリーとしては連続性は担保しているようだから,その点は認めてもいいだろうが,こういうノンストップ・アクションは相当に疲れる。

まぁ,TVゲーム感覚と言えばいいのだろうか。格闘もののTVゲームを見ているような感じを強く覚えた私であった。この映画の中で死ぬ人間は何人いるのか,なんて余計なことも考えてしまったが,やっぱりこういうのはあまり評価したくないというのが正直なところである。アクション・シーンは強烈だが,私にとってはそれだけ。星★★☆ってところだろう。見る映画のチョイスを間違えたな(苦笑)。

2020年2月17日 (月)

出張中に見た映画(20/02編):1本目はRenée Zellwegerがオスカーを獲った「ジュディ 虹の彼方に」。

Judy 「ジュディ 虹の彼方に("Judy")」(’19,英/米,FOX)

監督:Rupert Goold

出演:Renée Zellweger,Jessie Buckley,Fin Wittrock,Rufus Sewell,Michael Gambon

今回,シンガポールに行ってきたのだが,帰りは夜行便だったので,見たのは往路での2本だけ。1本目がRenée Zellwegerが見事にオスカーで主演女優賞を獲ったこの映画である。日本での公開は3月の予定だが,こういうのを先に見られるのが機内エンタテインメントのいいところである。そして,私の興味はなぜ彼女が受賞に値するのかというところにあった訳だが,吹替なしで自身がJudy Garlandになりきって歌うところを評価されたと考えてよいだろう。実にうまいものなのだ。

この映画の主人公は,誰もが知るJudy Garlandである。「オズの魔法使い」やその他のMGMでのミュージカルでの明るいイメージが持たれることが多い彼女だが,この映画に描かれる通り,相当に精神的に病んでいる人だった。その彼女の晩年の姿をRenée Zellwegerが演じる訳だが,正直言って,ちゃんと救いのシーンは準備されてはいるが,それでもこの映画はかなり 重い。ストーリー展開はまぁ想定通りであるし,Renée Zellwegerの演技は評価できたとしても,映画としては無茶苦茶優れているとは思えなかったというのが正直なところである。

それでも1968年という時代感はうまく出していると思えるし,Renée Zellwegerが歌うシーンは見ごたえがある。それでも,Judy Garlandの凄みはこんなものではなかっただろうと思ってしまうのは,私が中学生の時に見た「ザッツ・エンタテインメント」で見られた映画"Summer Stock"における"Get Happy"のシーンが強烈に印象に残っているからだ。Judy Garlandはある意味悲劇的な人生を歩んだとも言えるが,アーティストとしては一流であったことを感じさせる映像を貼り付けておこう。いずれにしても,この映画は悪くはないが,まさしくRenée Zellwegerのためだけにある映画であったと言ってもよい。星★★★★。

2020年2月15日 (土)

Jesse Frederick: こういうのまで再発される日本って凄いねぇ。

_20200211-2”Jesse Frederick" Jesse Frederick (Bearsville)

主題の通りである。こういうあまり知られていない作品がCDとして再発される日本って凄いなぁってつくづく思うが,実は私は本作がリリースされていたことも全然知らなかった。しかし,ある本を読んでいて,本作に触れた記事があって,よくよく調べたら日本でも出てんじゃん!ってことではあったのだが,もはや結構入手困難化していたようだ。まぁ,相当マイナーな作品であるから,プレスの枚数も少なかったのではないかと想像する。ってことで,中古で入手したものである。大したことはなかったが,それでも定価を上回る価格での購入となった。

このジャケットを見れば,まぁ売れるはずはないかって気もするが(笑),それでもその筋の聞き手にとってはそこそこ魅力的に響くはずだ。このアルバムはシンガー・ソングライターのアルバムとしては,結構ロック色が強い。どちらかと言えば,昨日取り上げたDonnie Frittsのような「ど渋い」シンガー・ソングライターを好む私としては,この人の声やサウンドはやや好みからはずれる部分があるのは事実である。このアルバムがある程度人の記憶に残るのは,Todd Rundgrenがリミックスに関わっていることもあるだろうが,それだけで買うリスナーはそれほど多くはないだろう。

正直言ってしまうと,これなら保有していなくてもいいかなぐらいのレベルのアルバムではあるが,でも聞いてみたかったんだもん(爆)ってことで,それはそれでよしとしよう。ところで,このアルバムのアレンジャーとしてはDavid Darlingの名前があるが,ECMからアルバムもリリースしたDavid Darlingなのか?このアルバムが録音されたのはNashvilleであるが,David DarlingもNashvilleをベースに活動していたはずだから,その可能性は高そうだ。David Darlingが録音された後にECMでリリースするアルバムを考えると,全然違う音楽だが,そうだとしたら実に面白い発見だと思った。星★★★☆。

Personnel: Jesse Frederick(vo, b), Wayne Watson(g), Jim Crawford(ds), Lindsay Lee(p), David Darling(arr) and Others

2020年2月14日 (金)

最後まで渋かった...:Donnie Frittsの遺作。

Donnie-fritts”June: A Tribute to Arthur Alexander" Donnie Fritts(Single Rock)

昨年来日が予定されていながら,体調不良により来日がキャンセルされたばかりか,8月には亡くなってしまったDonnie Frittsの遺作である。Donnie Frittsと言えば"Prone to Lean"が真っ先に思い出されることに異論はないが,その後,彼がリリースした数少ないアルバムのそれぞれは,アメリカン・ロックあるいはシンガー・ソングライター好きの心を捉えて離さないものばかりだったと言ってもよい。

とにかくこの人の音楽は渋い,渋過ぎるって感じだが,特に私が痺れたのが彼の声だと言ってもよい。私はこの手の音楽を結構偏愛してきたと言ってもよいが,そうした中でも,Donnie Frittsの声は私の心に刺さるのだ。それは遺作となった本作でも同じであり,彼の声はやはり私には魅力的に響くし,彼の弾くエレピ(Wurlitzer)の音が,彼の音楽に実にフィットしているのだ。

本作においても,彼の声と伴奏が実にマッチして,私の好物たる音楽を奏でてくれる。最後まで,変わらぬ音楽を提供し続けたミュージシャンであった。本作は過去の作品に比べると若干評価は下という感じはあるが,Donnie Frittsが残してくれた音楽と彼への追悼も込めて星★★★★★としよう。R.I.P.

Personnel: Donnie Fritts(vo, el-p), David Hood(b), Reed Watson(ds), John PaulWhite(g, vo), Ben Tanner(key, b, vo), Kevin Holly(g), Kimi Samson(vln), Caleb Elliott(cello), Selwyn Jones(bassoon), Lara Lay(oboe), David McCullough(fr-h), Meghan Merciers(cl), Laura and Lydia Rogers(vo), Louisa Murray(vo), Cindy Walker(vo), Marie Lewey(vo)

«懐かしのBrecker Brothersのデビュー・アルバム。

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