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2026年2月17日 (火)

突然だが,Earth, Wind & Fireのベスト盤をストリーミングで聞く。

Ewf-greatest-hits "Greatest Hits" Earth, Wind & Fire(Columbia)

突然だがEarth, Wind & Fireである。今でも現役でライブを続ける彼らだが,私は彼らのライブは見たことがないし,保有しているEWFのアルバムも"All 'n All"とボックス・セットの"The Eternal Dance"だけなので,その程度の聞き方をしてきたリスナーに過ぎない。しかし,彼らの全盛期の勢いだけは同時代に体感していることもあり,気まぐれでも聞きたくなることもあるのだ。しかし,手っ取り早く懐メロ・モードに入ろうと思えばベスト盤が丁度いい。本来ならボックスをちゃんと聞けよってことになるが,全部聞くと3時間越えになってしまうこともあり,満遍なくヒット曲を収めたこういうベスト盤の方が便利だってことで,ストリーミングで聞いた。

このベスト盤,実によく出来ていて,こっちが期待するところはちゃんと押さえているのが素晴らしい。これだけ聞いていれば,EWFの全盛期のキャリアは総括できるって感じの選曲と言える。彼らの全盛期は70年代中盤から80年代前半というところだろうが,きっちりその時期の曲を収めていて,全編往時のノリのよさと同時に,メロディ・ラインの素晴らしさも追体験できる。やはり優れたバンドだったってことを改めて感じさせた一枚。

尚,ストリーミングで聞けるのはオリジナルの曲順だが,ボートラ2曲を加えた国内盤は曲順を変えているのが面白い。

本作(国内盤)へのリンクはこちら

2026年2月16日 (月)

リリースされたことも全く気付いていなかったKenny BurrellのFive Spotライブ完全版。

_20260211_0002 "On View at the Five Spot Cafe: The Complete Masters" Kenny Burrell with Art Blakey (Blue Note)

某誌の記事を見るまで,リリースされたことも全く認識していなかった2枚組である。私は元々のこのアルバムも保有しているが,このいかにもKenny Burrellらしいブルージーな響きはジャズ好きの琴線に触れるよなぁと常々思っていた。その割にこのアルバムを当ブログで記事にしていないが,まだまだそんなアルバムはあるってことだ。

それはさておきである。この2枚組は本作がレコーディングされた1959年8月25日の模様を完全収録したもので,これは気になると言うことで,認識してすぐに入手したもの。そもそもの出来がいいのはわかりきっているところに,その拡大版となれば,更に興味が増すのは当然なのだ。既発の8曲に未発表音源6曲という大盤振る舞いだが,まぁ正直言ってしまえばオリジナルでリリースされた音源の方がいいことは間違いないだろう。しかし,これだけのメンツが揃った演奏を改めて振り返ることができるということに大きな意義がある。星★★★★☆。

このアルバムが面白いのはピアノがBobby TimmonsとRoland Hannaが分け合っていて,Tina Brooksがテナーを吹くのはBobby Timmonsがピアノの時のみであることだ。こうなったのはライブ前半ではHannaがピアノを弾いて,後半ではTimmonsにピアノが代わって,Tina Brooksが加わったとオリジナルのライナーノートに書いてあって,今更なるほどと思った私であった。まぁ,入れ替わり立ち替わりってのはありえないしねぇ。

ところで,完全版のライナーにも書かれているが,数々の名演奏が録音されたFive Spotのキャパはなんと75人だったそうだ。そんなインティメートな空間でこんな演奏,あるいはEric DoolpyやThelonious Monkのライブが聞けたとはなんと幸せなことか。やっぱりそれこそが当時のNYCのヴァイブってところだよなぁ...。

Recorded Live at Five Spot Cafe on August 25, 1959

Personnel: Kenny Burrell(g), Tina Brooks(ts), Bobby Timmons(p), Roland Hanna(p), Ben Tucker(b), Art Blakey(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年2月15日 (日)

Camila Mezaが聞きたいがゆえのRyan Keberle & Catharsis(笑)。

_20260211_0001 "Find the Common Shine a Light" Ryan Keberle & Catharsis (Greenleaf)

昨年秋にドラムレスのトリオ編成で来日したRyan Keberle & Catharsisだったのだが,日程の関係で私は行くことができなかったのは残念だった。このバンドに私が注目するのは偏にCamila Mezaゆえだが,Camila Mezaは自身のバンドで昨年6月にBlue Note東京でライブをやっていて,そっちは見ていたからというのを言い訳にCatharsisとしてのライブは諦めたのであった。

それほど私はCamila Mezaに魅力を感じている訳だが,それゆえCamila MezaがCatharsisに参加したアルバムも5枚全部揃っている。そのうちの1枚の"Zone"ではゲスト扱いであったが,その後"Azul Infinito"以降は正式メンバーとなっている。リーダー,Ryan Kerberleも彼女のギターとヴォイスの生む効果を認めたがゆえということになろう。

本作は2017年にリリースされたものだが,Camila Mezaを活かしながら,コンテンポラリーな感覚を示したアルバム。しかし,このアルバムには明確なメッセージがあることはジャケをよく眺めればわかる。これは明らかに第1次トランプ政権,特にそこで打ち出そうとしていた移民政策への抵抗感が根底にあると思えばいいだろう。このアルバムがトランプの2017年の大統領就任直前に吹き込まれていることに加え,Ryan Keberleがライナーに書いている"Find the common, shine a light, become the water, put out the fire."というフレーズ,そしてそこから取られたアルバム・タイトルにも明確な意思を感じる。Bob Dylanの「時代は変わる」が歌われることも象徴的だ。

しかし,展開される音楽にそうした明確な怒りのようなサウンドは感じられず,あくまでも「静かな抵抗」を示すという感じと思った方がよい。そうしたコンセプトが根底にあるからと言って,反感を覚えるリスナーもいるかもしれな2017いが,音楽にメッセージを込めるのはミュージシャンの自由である。私は全面的に支持である。星★★★★☆。

Recorded on January 12-15, 2017

Personnel: Ryan Keberle(tb, el-p, melodica, vo), Camila Meza(vo, g), Mike Rodriguez(tp), Jorge Roeder(b), Eric Doob(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年2月14日 (土)

今年の"My Funny Valentine"はFrank Sinatraにしよう。

Song-for-young-lovers "Songs for Young Lovers" Frank Sinatra(Capitol)

ヴァレンタイン・デーとはもはや何の縁もない年齢になってしまった私だが,まぁ雰囲気だけってことで"My Funny Valentine"でも聞くかなんて毎年のように思っている(笑)。それでもって今回選んだのがFrank Sinatraである。もともとはここに挙げた10インチ・アルバムに入っているが,私が保有しているのは12インチ"Swing Easy!"にカップリングされたかたちのものだ。

そもそも私が"Swing Easy!"のLPを購入したのは相当昔のことで,そもそも裏ジャケに日本語で解説が書かれていて,そこには『シナトラを聴くなら、まずこのアルバムから 「シナトラ傑作集」』なんて書いてあることからしても相当に時代を感じさせるものだ。そのB面に収まっているのが"Songs for Young Lovers"で,その冒頭が"My Funny Valentine"であった。

私はあまりジャズ・ヴォーカルを熱心に聞いている訳でなく,更に男性ヴォーカルなんて数えるほどしか保有していない。そうした中で,Frank Sinatraを純粋ジャズ・ヴォーカルと呼んでよいかは微妙なところもあるが,それでも"Swing Easy!"が男性ジャズ・ヴォーカル,そしてFrank Sinatraのひな形となっていることは間違いない。

Swing-easy そうした中で,この"My Funny Valentine"も曲という観点でChet Bakerと並ぶヴォーカル版のひな形だと言ってもよいものだ。この1曲に限らず,"Swing Easy!"及び"Songs for Young Lovers"に感じられる小粋さこそが私にとってのFrank Sinatraのイメージであると言いたい。もはや私に手許に残っているのは"Swing Easy!"とAntonio Carlos Jobimとの共演盤ぐらいだが,常に手が伸びるのは"Swing Easy!"の方だと言っておこう。星★★★★★。せっかくなのでカップリングされた"Swing Easy!"のジャケもアップしておこう。しょっちゅう聞く訳ではないが,まさに温故知新という感じであった。

Recorded on November 5–6, 1953

Personnel: Frank Sinatra(vo), Nelson Riddle(cond)

2026年2月13日 (金)

”The Rite of Strings"の続編と言ってもよいが,雰囲気は随分違う。

Dstringz "D-Stringz" Stanley Clarke / Biréli Langrène / Jean-Luc Ponty (Impulse!)

Stanley Clarke,Jean-Luc PontyにAl Di Meolaを加えたトリオによる"The Rite of Spring"ははるか昔に記事にしたことがある(記事はこちら)。そもそもそのアルバムがリリースされたのが1995年だったのだが,それから20年後にその続編的な本作がリリースされていたことは認識していたようにも思うが,すっかり失念していた。先日,Stanley Clarkeのアルバムをストリーミングで聞いたことがあって,その結果として本作も表示されたってことだろうが,そう言えばそうだったなぁなんてこともあって,今更ながら聞いてみた。

ギターがAl Di MeolaからBiréli Langrèneに代わっているのを弱体化と考えてもよいかもしれないが,"The Rite of Strings"よりもリラクゼーション度の高い本作においては,ここはDi Meolaじゃないよなと思えるのも事実。前作が3者のオリジナルで占められていたのに対し,本作では3者のオリジナルもありつつ,スタンダードやジャズマン・オリジナルをやっているのが大きな違いで,そのせいもあって雰囲気に違いが出ている。

冒頭の"Stretch"こそ結構ゾクゾクさせる感じを醸し出すのだが,それが続かない。前作を知る人間からすれば,全編に渡ってもう少し丁々発止って感じがあってもいいように思えるのだ。まぁ前作から20年も経てば,ミュージシャンも歳を取るってところだが,Stanley ClarkeとJean-Luc Pontyについてはこれに先立ってやっていたReturn to Forever IVと違い過ぎだろうと言われても仕方がないところ。その辺りをどう評価するかによってよしとするか否かは確実に分かれると思う。"Mercy, Mercy, Mercy"にしても,ラストの"Wave"にしてもだが,正直に言ってしまえばちょっと緩いなぁってところだ。演奏には破綻はないが,そうしたこともあり星★★★ってところか。私は前作の方が好きだなぁ(きっぱり)。

Personnel: Stanley Clarke(b), Biréli Langrène(g), Jean-Luc Ponty(vln) with Steve Shehan(perc, clap)

本作へのリンクはこちら

2026年2月12日 (木)

Hitchcockの「救命艇」:この歳にして初めて見たなぁ。

Lifeboat 「救命艇("Lifeboat")」('44,米,Fox)

監督:Alfred Hitchcock

出演:Talluah Bankhead, William Bendix, Walter Slezak, John Hodiak, Mary Anderson, Henry Hull, Heather Angel, Hume Cronyn,Canada Lee

ドイツ軍のUボートに撃沈された船から脱出した乗員と,Uボートの乗員のドイツ人が救命艇という閉塞状況の中で描かれるおかしな言い方だが,海の上の密室劇。私はAlfred Hitchcockの映画は結構見ている方だが,この映画は長年見よう,見ようと思いつつ,優先順位が上がらないままになっていた作品を,ようやくこの歳にして初めて見た。

極めて限定的な環境の中で描かれる映画は,舞台劇としても成り立ちそうだが,そこに海上という環境が加わるので,これはやはり映画でしか描けない世界と言える。救出されるドイツ人を演じるWalter Slezakが怪しげな雰囲気を醸し出しつつ,最終的には「憎きナチス」みたいな描かれ方であるところに,この映画が撮られたのが戦時中という時代感を反映していると言ってもよい。

Alfred Hitchcockには「ロープ」のような実験的な作品もあるが,それと同質と呼んでもいいように思える作品ながら,人間模様の描き方はそれ相応のものであり,へぇ~,こんな映画だったのかと感心してしまったのであった。もちろん,これがHitchcockの代表作と言うつもりはないが,決して見て損のない映画。星★★★★。さすがである。Hitchcockのカメオ出演はよく知られた形式で登場。ここは笑える。

本作のDVDへのリンクはこちら。本作のストリーミングへのリンクはこちら

2026年2月11日 (水)

"Jazz at the Plaza":これを聞くのも久しぶりだ。

_20260209_0001 "Jazz at the Plaza Vol. 1" Miles Davis(Columbia)

Miles DavisのColumbia Boxの中でもなかなかプレイバック頻度が高まらないライブ・アルバム。メンツは"Kind of Blue"と同じセクステットなんだから,演奏が悪い訳はない。しかし,決定的に問題なのは音のバランスが悪いこと。Milesは意図的かどうか不明ながら,やたらにオフ・マイクで演奏するわ,ミキシング的にはJimmy Cobbのドラムスがドタドタと目立ち過ぎだわと,とにかくこのバランスは...ってところが惜しい。

まぁ"Kind of Blue"のメンツとは言え,やっているのは典型的ハードバップであり,モーダルな雰囲気はまだ感じられないが,Milesのオフ・マイクを補うかのように,ColtraneとCannonballのスピーディでキレッキレのフレージングが楽しめるのがこのアルバムのいいところか。

まぁリリースの歴史的意義は否定するものではないが,やっぱりプレイバックのモチベーションも頻度もこれからも高まらないだろうな。1973年までお蔵入りしていたのも当然の音源。それでも甘いの承知で星★★★★ぐらいはついてしまうのだが(笑)。そうは言っても,Miles聞くならこれからでは決してない(笑)。

それにしても,オリジナルでは"Straight, No Chaser"を"Jazz at the Plaza"と呼んでみたりとまぁ無茶苦茶なアルバムでもある。ドラマーもPhilly Joe Jonesとなっているが,Jimmy Cobbが正解(とMilesのオフィシャル・サイトにも書いてある)。尚,Vol. 1と言うからにはVol. 2もあるのだが,そちらはDuke Ellingtonの音源。

Recorded Live at the Plaza Hotel on September 9, 1958

Personnel: Miles Davis(tp), John Coltrane(ts), Julian "Cannonball" Adderley(as), Bill Evans(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年2月10日 (火)

Pretendersのアルバムを聞いて,自分の音楽へのフォローが足りないことを実感した。

Relentless "Relentless" Pretenders(Parlophone)

主題の通りだ。2023年に本作がリリースされたことすら全く認識していなかった自分が情けない。私はPretendersが結構好きだと思っているにもかかわらずだ。これも偏にショップに通うこともほとんどなくなってしまったせいだと言ってもよいが,ネット情報でも拾いきれていなかったのではいかんともしがたい。

昨今はストリーミングを聞いていて,新譜情報に出会うこともあるが,このアルバムについてはかつて目にしたこともなかったのだが,偶然とあるサイトを見ていて,Chrisse HyndeがBob Dylanをカヴァーしたアルバムの情報が出てきて,へぇ~と思っていたところで発見したのであった。

そしてChrisse姐さん,古希を過ぎてもロックをやる気満々なのは嬉しくなってしまった。冒頭の"Losing My Sense of Taste"からPretendersらしいエッジの効いたロックであるが,それだけにとどまらず,バラッド・チューンも魅力的で非常にバランスの取れたアルバムだ。

このアルバムの曲は全てChrisse姐さんと,ギタリストのJames Walbourneの共作で,曲のクォリティへのJames Walbourneの貢献度は結構高いと思える。以前Pretendersの"Break up the Concrete"についてこのブログに書いた時,曲のクォリティに疑問を呈したのだが,その時はChrisse姐さんが単独で曲作りをしていたことを考えれば,あながちはずれていないと思う。いずれにせよ,いいバンド・メイトを見つけたものだ。

このアルバムは様々なスタイルの曲を包含しているが,1stシングルとして公開された"Let the Sun Come in"のようにややポップな感覚を持った曲もあれば,"Merry Widow"のようにそこはかとなくトラッドの雰囲気を持つ曲もある。そのどれもが一定以上のレベルを保っていると思えるのは立派。歌声含め衰え知らずのChrisse姐さんの活動に触れられただけで私は満足であった。星★★★★☆。尚,Johnny Greenwoodが最後をしっとり締める"I Think About You Daily"でストリングスのアレンジを担当しているのもへぇ~って感じだ。

こういう音楽を見逃さないようにするには自分のアンテナを高くするしかないので,もう少し頑張らねばと思ってしまったのであった。

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2026年2月 9日 (月)

来日目前。Gilad Helselmanのアナログ・ライブ盤を格安で入手。

Gilad-hekselma-life-at-the-vanguard "Life, at the Village Vanguard" Gilad Hekselman (La.Reserve)

間もなく来日するGilad Hekselmanだが,その予習も兼ねてということで,このアルバムをストリーミングで聞いていた。本作はストリーミング/ダウンロードを基本として,媒体で出ているのはアナログだけだったはずで,本国から取り寄せると結構な送料も掛かってしまうこともあり,購入は諦めていた。しかし,某ショップでこのアナログ2枚組が¥4,000ちょっとで売られているのを見つけて,すかさず購入である。このアルバムの内容のよさはストリーミングでもわかっていたつもりだが,この価格は嬉しい。

Gilad Hekselmanのサイトから飛ぶショップでは$39.99なのだから,送料を含めれば確実に¥7,000超えになるのが当たり前のところが,この価格ではやはり手が出てしまう。そもそもこのアナログ,プレス枚数も限定だったはずで,私の手許に届いた現物には319/500の手書きのシリアル・ナンバーが書かれている。まぁこれは某ショップの値付けの間違いだろうと思うが,私としてはラッキーだった(以前,Bob DylanのRolling Thunder Revue14枚組ボックスを¥4,000以下というとんでもない価格で入手したこともあったなぁ...)。

そもそもこのアルバム,メンツがいいこともあって,ストリーミングで聞く前から期待値が高いものだったのだが,改めて現物で聞いてもかなりよい。演奏そのものはかなり地味と言ってもよいもので,このメンツならもう少し丁々発止のやり取りもできたであろうところをそうせず,8ビートで演じる"The Headrocker"にはジョンスコことJohn Scofield的なところも感じさせるものの,基本的にはGilad Hekselmanが主導した比較的静謐な音空間が展開される。例外的に激しいのはDisc 2のB面1曲目の"Urban Myth"ぐらいか。全編に渡って,バックのメンツはリーダーを立てるという感じが強いライブと言ってもよいかもしれないので,そこは評価が分かれるところかもしれないが,私にとってはこれはこれで十分楽しめるアルバムであった。星★★★★。

いずれにしても,来日時の演奏が楽しみになってきた私である。

Recorded Live at the Village Vanguard between March 30-April 2, 2022

Personnel: Gilad Hekselman(g), Shai Maestro(p), Larry Grenadier(b), Eric Harland(ds)

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2026年2月 8日 (日)

「トレイン・ドリームズ」:これほど地味な映画がオスカーにノミネートされることが素晴らしい。

Train-dreams 「トレイン・ドリームズ("Train Dreams")」(’25,米,Netflix)

監督:Clint Bentley

出演:Joel Edgerton, Felicity Jones, William H. Macy, Kerry Condon, Nathaniel Arcand

Netflixで見られる映画だが,作品賞含むオスカー4部門でノミネートされている映画を見た。先日取り上げた「トータル・リコール」とは全く性格が異なるが,同様に「夢」がモチーフになっている部分がある。同じ「夢」を描いても全然違う。

「トータル・リコール」はとにかく派手なのに対し,その対極にあるような地味な映画である。しかし,そこで描かれる愛とそれにも勝る喪失感の描き方はマジで心に刺さる。ラストに向けて「再生」が描かれてもよさそうなものだが,そうした感覚はあまり強くなく,私にとってはここで描かれる「喪失感」こそがこの映画の主題だと思えた。

こういう地味な映画が真っ当に評価されること自体に,映画界に良心が残っていることを感じるし,CG全盛の時代において,こうした滋味溢れる映像を生み出したところに私は感心してしまった。映画を見ていると,木々の映像が何度も出てくるが,濱口竜介の「悪は存在しない」における木々のイメージと重なる部分があったが,映像的に派手さはなくとも,実に印象的な映画なのだ。

こういう映画には一部門でもいいから受賞して欲しいねぇと思ってしまう私である。撮影賞,脚色賞辺りはいい線行くのではないか。これほど地味な映画は滅多にないと言ってもよいが,ちゃんと評価すべく星★★★★☆。

それにしても,主演のJoel Edgertonのラスト・ネームをエドガートンなんて書いていることが多いが,どう考えたってこの名前はの読みはエジャートンとすべきだ。こういうところはちゃんとして欲しいねぇ。

2026年2月 7日 (土)

Joel Rossの新作はその名も"Gospel Music"。だが,典型的ゴスペルではない。

Joel-ross-gospel-music_20260204094901 "Gospel Music" Joel Ross (Blue Note)

ジャズ・ヴァイブ界において,尖った方はPatricia Brennanってことになるだろうが,昨今のコンベンショナル側の代表格と言ってよいのがJoel Rossだろう。まだ30そこそこなのだが,成熟した響きを聞かせるのは大したものだ。Blue Noteでも期待値が高いようで,リーダー作のみならず,同レーベル所属のホープを集めたOut Of/Intoへの参加を含めて,活発な活動を展開させている。

そんなJoel Rossの新作をストリーミングで聞いたのだが,タイトルこそ"Gospel Music"となっているが,出てくる音は我々が想像するようなゴスペル・ミュージックではなく,あくまでも聖書を素材としたコンテンポラリーなジャズであった。各々の曲にJoel Rossがどういう意図を込めたかについてはライナーを読む必要があるようだが,私はストリーミングで聞いたものなので,そこまでは把握することはできない。しかし,ここで展開される音楽には激しさや派手派手しさはないものの,宗教観を背景としたがゆえの落ち着きに満ちた音楽とアンサンブルの妙を聞かせる。

アルバムのコアとなっているのはJoel Rossのバンドである"Good Vibes"であるが,そこに適材適所のゲストを迎えての演奏となっている。後半に向けてはヴォーカルの登場が多くなって前半よりは若干ながらゴスペル的ムードも増していくが,構成としては,聖書を題材としながらも,Joel Ross自身の音楽性に根差した組曲として聞くべきと思わせる音楽だと感じる。いずれにしても,本作は78分に及ぶ大作であるが,なかなかよく出来たアルバムだと思えた。リーダーにしても,メンバーにしても大した才能である。少々地味かなと思いつつ,星★★★★☆としよう。

不勉強にして,本作に参加しているメンバーはそれほど知名度が高いとは思えないが,ゲスト含めてそれぞれが好演。その中でベースのKanoa Mendenhallは昨年2月にCotton ClubでのJuzz Pulse参加時のライブを観る機会があって,その時も注目に値する人だと思ったが,こうしたレコーディングに参加することからしても,米国においても注目されていることの証だと思えた。そして,ここでも非常にいい音のベースを聞かせるのは立派だ。

Personnel: Joel Ross(vib, celesta, glockenspiel), Josh Johnson(as), Maria Grand(ts), Jeremy Corren(p), Kanoa Mendenhall(b), Jeremy Dutton(ds), Ekep Nkwelle(vo), Laura Bibbs(vo, tp, fl-h), Andy Louis(vo, g), Brandee Younger(harp), Austin White(electronics)

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2026年2月 6日 (金)

Chick Coreaの旭川でのソロ・ライブ音源が公開された。

Welcome-to-my-living-room "Welcome to My Living Room: Asahikawa 2005" Chick Corea (Universal)

早いものでChick Coreaがこの世を去って5年になろうとしているが,そのレガシーは人を魅了し続けるがゆえに,生前の未発表音源も続々とリリースされている。"Trilogy 3"然り,"Forever Yours: The Final Performance"然りである。そこに今回加わったのが2005年,旭川におけるこのソロ・ライブである。それを早速ストリーミングで聞いた。

このアルバムがレコーディングされた大雪クリスタルホール音楽堂は音響の良さで知られるところらしいが,ここでの録音自体はサウンドボード音源と言うより,DATか何かで録られたような少々くぐもった音という感じで,このホールの良さを反映している訳ではない。MCも結構聞きづらい。本作が日本限定リリースというのはそうした要素を加味したものだろうが,こういう演奏がリリースされることにこそ意義があるというのがChick CoreaのChick Coreaたる所以である。

演奏はいかにもChick Coreaらしいソロ・ピアノと言ってもよいが,即興での演奏が多いのが特徴という気がする。演奏そのものは"Forever Yours"に近く,例えば即興で会場の特定の人物を音楽化する"Portrait"をここでも2曲やっているが,"Forever Yours"にはMCも収録されていたのに対し,ここではMCが省かれているようなので,どういう人物を描いたものかは不明だ。そしてラストに収められた"Asahikawa Choir"はChick Corea得意のパターンで聴衆に歌わせるという「あれ」である。私はあの演出を好まないので,またかよって気もするが,現地にいた聴衆にとってはいい思い出にはなるだろう。しかし,ここでの歌わせ方ははっきり言ってやり過ぎで,逆に言えば,旭川の聴衆は相当頑張ったねぇとも言える(笑)。

私からすれば,もう少しスタンダードを入れてもよさそうにも思えるが,まぁこれはこれでやっぱりChick Coreaだと思わせる部分はあるということにしよう。今後もChick Coreaの未発表音源は発掘されていくものと思うが,私にとっては例外はあったとしても,基本はストリーミングで済ませるだろうなぁというのが実感である。

Chick Coreaにはこれより優れた音源はいくらでもあるということで,今回は星を付けることはしないが,現地にいた旭川の聴衆にとっては嬉しい置き土産ということになるだろう。

Recorded Live at 大雪クリスタルホール音楽堂 on May 27, 2005

Personnel: Chick Corea(p)

本作へのリンクはこちら

2026年2月 5日 (木)

これって本当にSeamus Blake?って思わせるオルタナ・ロックの世界。

Moosejaww "Moosejaww" Seamus Blake(Planck)

ストリーミング・サイトでこのアルバムが出てきて,Seamus Blakeの名前に惹かれて聞いてみたのだが,これが実に驚きのオルタナティブ・ロック・アルバムであった。主題の通り,これが本当にSeamus Blakeのアルバムなのかと思ってしまうのが人情ってところだ。

Bandcampでこのアルバムが紹介されていて,そもそもこのアルバムではSeamus Blakeがサックスを吹いておらず,ギターとヴォーカルに専念しているというところにまず驚いてしまう。出てくるサウンドもグランジみたいだと言ってもいいもので,これも一つのSeamus Blakeの音楽性だと言ってもよいのだが,これまでのSeamus Blakeのイメージからの振れ幅が無茶苦茶でかい。

このアルバムの製作経緯等の情報がないので,どういう動機でSeamus Blakeがこのアルバムをレコーディングしたのかは謎だが,とにかくこれには驚いた私であった。まぁそれなりのクォリティは保っているので,普通のロック・アルバムとして楽しめばいいのだが。星★★★☆。

Personnel: Seamus Blake(g, vo), Kris Bauman(b, vo), Al Street(g), Jochen Rueckert(ds)

限定版の現物もあるようだが,本作のストリーミングへのリンクはこちら

2026年2月 4日 (水)

"Private Garden":これがThierry Langとの出会いであった。

_20260121_0001 "Private Garden" Thierry Lang Trio(Plainisphare)

実に懐かしいアルバムだ。このアルバムを記事化していなかったことに我ながら驚く。私が本当に欧州ジャズに目覚めたのはもう少し後になってからのことだが,それでもECM所属のミュージシャンやEnrico Pieranunziを例外として全く聞いていなかった訳ではない。そこに加わったのがこのThierry Langであった。まさに私が痺れてしまうような,抒情性と美的な感覚を兼ね備えたアルバムがスイスという国から出てきたことが驚きだった。

全編に渡って聞けるこの美しいピアノ・トリオは一瞬にして私の心を捉えたのも30年以上前のことになっているが,今聞いてもこのアルバムの絶品度は何の変化もない。この手のピアノ・トリオの音を求めるリスナーにとっては文句なしの演奏だ。"Giant Steps"をスローなテンポで演奏するという試みも,まさにへぇ~という世界であったが,全然奇をてらった感じにならないのがThierry Langの偉いところだ。

その後も優れたアルバムを出しているThierry Langであるが,この人のリリシズムはやはり私の琴線に触れ続けると言い切ってしまおう。今更ながらではあるが傑作だ。星★★★★★。現在はジャケ違いの盤も出ているが,こちらがオリジナル。

来日時のライブは見逃したが,次の来日機会は絶対見逃さないと心に誓う私である(笑)。

Recorded on March 3-5, 1993

Personnel: Thierry Lang(p), Ivor Matherbie(b),Marcel Papaux(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年2月 3日 (火)

Alice Sara Ottが紡ぐJohn Fieldのノクターン。これって嫌いな人いないだろう。

_20260124_0002

"John Field: Complete Nocturns" Alice Sara Ott (Deutsche Grammophon)

某ショップのポイントの利用期限が迫っていたので,さて何を買うかってことで考えた末に購入したのが本作である。ストリーミングで聞いていてこれっていいねぇと思っていたアルバム。

そもそもJohn Fieldって誰やねん?というところがあるのだが,「ノクターンの父」と称されるアイルランドの作曲家でショパンにも影響を与えたそうだ。Alcie Sara Ottのピアノも相俟って,いかにも夜想曲と言うべき心地よい響きに夢見心地になってしまうのだ。

このアルバムは曲がどうのこうの,演奏がどうのこうのよりも,この響きこそが全て。あまりの心地よさに星★★★★★。まさに心の安寧に貢献すること請け合いだ。私が購入したのは輸入盤だが,ライナーの真ん中あたりのページがボロボロなのはなんでやねん?と思いつつ,まぁいいや。DGらしくないが。

Recorded in September and October 2024

Personnel: Alice Sara Ott(p)

本作へのリンクはこちら

 

2026年2月 2日 (月)

Netlflixで見たシュワちゃん版「トータル・リコール」。

Total-recall 「トータル・リコール("Total Recall")」(’90,米/蘭/墨,Tristar)

監督:Paul Verhoeven

出演:Arnold Schwarzenegger, Rachel Ticotin, Sharon Stone, Michael Ironside, Ronny Cox

後にリメイクもされたこの映画を初めてNetflixで見た。フィリップ K. ディックが原作とは露知らずだったが,まぁ暇つぶし感覚で見たもの。

「氷の微笑」でブレイクする前のSharon Stoneも出ているが,この時からエロいところはエロい(笑)。それはさておき,あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので控えるが,どこからが夢で,どこまでが夢なのかという感じの映画である。

もはやここまで行くと漫画の世界なのだが,シナリオには首を傾げる部分もありで,脚本にDan O’Bannonが絡んでいても,この人は「エイリアン」が突然変異的に素晴らしかったのだなと思わせる。特撮に関してもこれがオスカーで視覚効果賞?って感じの出来で,暇つぶしにはなったが,今後私の記憶に残ることはないだろうという凡作。星★★☆。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年2月 1日 (日)

久しぶりにMyung-Whun ChungのDGボックスを取り出す。

Myungwhun-chung"Myung-Whun Chung DG Recordings 1991-2010"(Deutsche Gramophone)

この33CDのでかくて重いボックスは2011年にこのブログで記事にしている。それから15年近い時間が経過しているのだが,そのうち何枚聞いたのか?と聞かれると答えに窮してしまう。ボックスが重い上に,でか過ぎてなかなか手が伸びないのだ。しかし久しぶりに派手派手しいオーケストラ音楽が聞きたくなって,このボックスを取り出したのであった。

このボックス,重いのには理由がある。そもそもこのボックスが韓国における編集ものなので,ライナーも韓国語,英語の2か国語表記なのだが,そのブックレットそのものが重いのだ。ディスクだけだったら大したことはないのだが,このハードカヴァーのブックレットのせいで扱いが面倒になってしまっていることは否めない。

Mwc_1

そんなことを思いながら,今回取り出したのが1枚目がサン・サーンス:「交響曲第3番/オルガン付き」/メシアン「キリストの昇天」,2枚目がリムスキー=コルサコフ:「シェエラザード」/ストラヴィンスキー:「火の鳥 組曲」という濃い~ものであった。そしてこの2枚が実にいい出来で,Myung-Whun Chungのこのレコーディング当時の充実度が如実に表れていると思った。現在も精力的に活動するMyung-Whun Chungではあるが,往時の勢いのようなものは感じられないというのが正直なところだとしても,この2枚を聞く限りは実に素晴らしい。

Mwc_2この中ではメシアンがやや異質にも感じられるのだが,メシアンだからと言ってついついかまえがちになってしまうことを強く反省して,このボックスに数多く入っているメシアンの曲を改めてちゃんと聞こうという気にさせてもらった。

そして率いたパリ・バスティーユ管弦楽団がフランスのエスプリというよりも,ダイナミズムを発揮しているところに感心してしまったのであった。昨年聞いたパリ管もそうだったが,十分にエネルギッシュなのだ。思い込みは怖いと思う一方,それもMyung-Whun Chungの指揮あってのこととも考えられるが,今にして思えばいい買い物であった。

このボックスにしてもそうだが,韓国のDGと言えば,Claudio Abbadoのマーラー全集を70年代~80年代の旧盤(録音のなかった8番だけは別)でボックス化するなど,気が利いているところは見習うべきところがあるな。

2026年1月31日 (土)

Action Trio@Cotton Club参戦記。

Action-trio-at-cotton-club Action Trioって何だ?となってしまうのが普通だ。サックス奏者David Binneyがリーダーとするトリオだが,このバンドのキモはLouis Coleの参加だろうなぁと思えるバンドである。正直なところ,David Binneyだけならば集客力の乏しいところ,フルハウスになっているのはLouis Cole目当てのオーディエンスが多かったのではないか。この二人にベースのPera Krstajicを加えたトリオは,"Action"というアルバム(これが媒体はCD-Rだ)をリリースしていて,それゆえのAction Trioって訳だ。

David BinneyはCriss Crossやらいろいろなレーベルからアルバムを出しているし,Wayne Krantzとの付き合いもあって,私には相応に馴染みのある人だ。しかし,アルバム単位で言えば,これぞって作品が思い出せないところが難点。一方Louis Coleは自身のバンドでも来日している(何てったってフジ・ロックにも出ているのだ)し,私にとってはアルバム"Time"にBrad Mehldauが1曲だけ客演していることもあって,その名前も未知のものではなかった(Louis Coleに関してはBrad Mehldau的観点で結構マニアックな記事を書いた:記事はこちら)。だが,そのLouis Coleとて敢えて私がライブに行こうと思うようなところはなかったのだが,今回は「夜の部活」メイトからのお誘いに乗っての参戦である。上述の"Action"をストリーミングで聞いて準備して現地に向かった。

そしてライブであるが,絶対アルバム"Action"より面白かったと言いたい。ファンク,ロック,メロウ,アンビエント,ミニマル,フリー・ジャズと,何でもござれみたいな多様な音楽性を聞かせたこのトリオ,実に面白かった。David Binneyのアルトはまぁこういう感じになるかなぁってところだったが,このバンドで音としての支配力はLouis Coleのドラムスが強烈だったと言える。この人の手数の多いタイトなドラムスを聞いていて,私は既視感(既聴感?)を覚えていたのだが,DOMI & JD BECKのJDのドラムスを聞いた時の感覚だったと気づいたのであった。強烈な手数とタイトな響きでバンドをドライブさせる感覚と言えばいいだろうか。それに対し,リーダー,David Binneyもエフェクターも使いながら熱いフレーズを繰り出すって感じである。

一方,Louis Coleがヴォーカルをとる段になると,メロウな響きにDavid Binneyが甘いオブリガートを被せたり,Louis Coleがシークェンサーでヴォーカルの多重化を図るとまさにチャントのような響きを生んだのも面白かった。そしてそこからのどファンクへの移行は聴衆を燃えさせるに十分だったと言ってよいだろう。打ち込みも使いながらの演奏はトリオとしての枠をはみ出していて,私の想定よりはるかに楽しめたと言っておこう。ベースのPera Krstajicはなんて読むんだ?って思わせるが,決してテクニシャンとは思わないが,このバンドにはあれぐらいが適切だろうという感じで,フィット感は問題なしってところであった。いずれにしても,私はLouis Coleの激しい煽りが今回のライブのキモであったとは思うが,このトリオ,変態度では相当なもので,そもそもこの3人がなんでトリオを組んだのかってのが実に興味深いとも思えた。

それにしても私の席から見ても,明らかに極端な立てノリをしている聴衆の姿には少々笑ってしまったが。隣にいた客は大変だったろうなぁ(笑)。また,甚だ余談であるが,David Binneyが小柄なのには驚いた。私より10cmぐらい身長が低かったのねぇなんて今更思った私であった。

Live at Cotton Club on January 30, 2026 2ndセット

Personnel: David Binney(as, electronics), Louis Cole(ds, vo, key), Pera Krstajic(b)

2026年1月30日 (金)

Sonny Stittに続いてJackie McLeanを聞く。

4-5-and-6 "4 5 And 6" Jackie McLean(Prestige)

Sonny Stittの"Tune-up!"を取り上げて,そう言えばJackie McLeanのこのアルバムも久しく聞いていないということで,レコードを取り出してきた。Sonny Stitt同様,私はJackie McLeanのアルバムもある程度保有しているが,その数はこちらも大したものではない。かつアナログとなると,本作,"Swing Swang Swingin'"と"Capuchin Swing"ぐらいしかないのではないか。しかし,このレコードを買ったのは多分学生時代のはずなのだが,しぶとくレコード棚で生き残っている(笑)。

このアルバムはタイトルにも表れているように,4(クァルテット):3曲,5(クインテット):2曲,6(セクステット):1曲という構成で演奏される。そうは言ってもクインテットで演じられる"Abstruction"ではラッパのDonald Byrdの出番は限定的なので,実質ワンホーンが2/3を占めるようなもので,むしろ全編ワンホーンでやっても成り立つようなアルバムだと言ってもいいかもしれない。

まぁそれでもこういう演奏ならば十分楽しめるし,"Sentimental Journey"のような曲をミディアム・テンポで軽くバウンスさせる感覚は実にいいねぇ。Jackie McLeanのアルトにはやや調子っぱずれなところを感じるところが多いのだが,このアルバムでは極めてまともに響いていて,50年代ジャズの魅力は十分に感じられる。Jackie McLeanはこの頃まだ20代半ばだったはずだが,もはや出来上がっているって感じだ。星★★★★。

Recorded on July 13 & 20, 1956

Personnel: Jackie McLean(as), Hank Mobley(ts), Donald Byrd(tp), Mal Waldron(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)

本作へのリンクはこちら

2026年1月29日 (木)

追悼,Richie Beirach。

Richie-beirach

Richie Beirachが亡くなったようだ。公式なアナウンスメントは出ていないようだが,メディア等でも報じられているので,事実として捉えざるをえない。

私がRichie Beirachの音楽を意識したのはECMでの"Hubris"が初めてだったはずだ。そこに展開される美的な音は非常に素晴らしかったと思える。しかし,その後,Live under the SkyでのColtraneトリビュート・ライブやら,Dave LiebmanとのLookout FarmあるいはQuestの音源におけるハードな演奏に触れるに至って,この人はまさにリリシズムだけでくくれる人ではないという思いを強くした。まさに硬軟取り混ぜて演奏ができる稀有なピアニストであったと思う。

Richie Beirachにとって不幸だったのはECMの総帥,Manfred Eicherともめた結果,ECMにおけるアルバム群が長年に渡って廃盤状態になってしまったことだろう(日本ではかろうじてCD化されて再発されたが...)。現在ではストリーミングでは聞けるようになったとは言え,ECM本体において媒体として復活しているのはジョンアバことJohn Abercrombieとのアルバムだけだ。それでもほかのレーベルに残したアルバムやQuestのアルバムも十分に魅力的なものだったから,影響は限定的だったかもしれないが,それでもやはりECMの3作がずっと聞けない状態だったのはキャリア的にはもったいなかったと思える。

_20260128_0001 私がRichie Beirachのライブに接したのは上述のLive under the Skyの時と,NYC時代にウエスト・ヴィレッジにあったVisionesでのQuestのライブの2回だけだったが,どちらも鮮烈な記憶として残っている。特に後者の時,私が彼らの最高傑作と思っているライブ盤にメンバー全員にサインをもらったのは今でもいい思い出である。

超ビッグネームとは言わないが,Richie Beirachの残した業績は過小評価すべきではないし,これからも聞き続けられるべきものと思う。惜しい人を亡くした。盟友,Dave Liebmanの悲しみも大きいと思う。

R.I.P.

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