2026年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
フォト
無料ブログはココログ

お知らせ

  • 当ブログはAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

2026年5月13日 (水)

いかにも日本企画らしいBill Evans,1967年のVanguardでのライブ完全版。

_20260505_0001 "At the Village Vanguard on August 17, 1967" Bill Evans Trio(Verve)

先日,Enrico PieranunziとBebo FerraによるBill Evansへのオマージュ盤を取り上げたので,今回は本家の登場である(笑)。

1967年8月17日,18日の両日にBill EvansがVillage Vanguardに出演した時の演奏は,元々"California, Here I Come"という2枚組LPがBill Evansの死後にリリースされた。その時の演奏が日本では完全版として2組の2枚組としてリリースされている。いかにも日本的な企画と言ってもよいが,私は以前その"California, Here I Come"のレコードも保有していたが,このCDが出てこっちだけでよいということで,LPは処分してしまったはずだ。それはそれとして,本日はその2組のうちの8月17日の方の演奏を収めたものを聞いた。

この時のライブ音源がリリースされた時の「目玉」はドラムスがPhilly Joe Jonesということだったが,Bill EvansとPhilly Joe Jonesは共演経験はあるものの,トリオでのレコーディングが"Everybody Digs Bill Evans"と"Green Dolphin Street"ぐらいしかなかったことからと言ってもよい。後に同じVanguardでの演奏が"Getting Sentimental"という音源で発掘されたが,あちらは音の悪いブート的なものに過ぎないので,ライブ音源という意味ではこの時の演奏は貴重な訳だ。Bill Evansにとって最後の来日となった78年にはPhilly Joe Jonesが付き合ったというのも何かの因縁という気もする。

それでもって,この2枚組,Disc 1が1stセット,Disc 2に2ndと3rdセットの全23曲(曲のダブりはあり)が収められていて,その日のBill Evansトリオの演奏の全貌がわかるという点でこのアルバムは価値がある。"California, Here I Come"は本作と翌18日の演奏を収めた2枚組のダイジェスト版という趣になるので,そっちだけ持っていればいいという人と,いや完全版でなければという人に分かれることになるが,私は後者って訳だ。

まずは8月17日のこの演奏を聞いても,Bill EvansはどうやってもBill Evansだという感想しか出てこない。完全にスタイルとして確立したピアノには改めて感心してしまう。本当に見事なものである。おそらく18日の演奏にも同じようなことを感じるだろうが,改めて聞いてみることにしよう。

Recorded Live at the Village Vanguard on August 17, 1967

Personnel: Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Philly Joe Jones(ds)

本作へのリンクはこちら

 

2026年5月12日 (火)

休日にストリーミングで見た映画:「ウォーフェア 戦地最前線」は休日に見るには適していなかったが...。

Warfare「ウォーフェア 戦地最前線("Warfare")」(’25,米/英,A24 )

/監督:Ray Mendoza, Alex Garland

出演:Will Poulter, D'Pharaoh Woon-A-Tai, Cosmo Jarvis, Joseph Quinn, Aaron Mckenzie, Alex Brockdorff

この映画を製作したA24には「シビル・ウォー アメリカ最後の日」という強烈な映画もあったが,同作を撮ったAlex GarlandがRay Mendozaと共同監督で撮った本作はこれまた強烈な映画であった。国内では今年公開されたものだが,この映画,私としては劇場に見に行こうかと思っていたものの,機会を逃していたものだ。それがストリーミングで見られるようになったので,早速見てみた。

一言で言えば,この映画を見て高まるのは厭戦気分のはずだ。2006年,イラクに派遣されたNavy Sealsの部隊が,敵に包囲されての市街戦となる模様をリアルに描いていて,静かな前半が過ぎると,最後まで銃撃戦を描いた映像が続き,並みの緊張感ではないし,エグい表現もある。しかし,結局このNavy Sealsの部隊は何の戦果も挙げることなく,死傷者だけを出しただけではないかというのが実態だ。戦争なんてそんなものだと言うのは簡単だが,そこに巻き込まれた兵士たちはたまったものではないし,まさに極限状態を描いたものという感じなのだ。

そしてこれが実話に基づくものであり,登場する兵士たちは実在の人物がモデルなのだから,彼らのその時の心情は推して知るべしというところだが,この映画を見て,とにかくこの戦闘の無意味さを感じることこそがポイントだと思っている。主題の通り,休日に見るには適したものではないが,それでも戦争の恐ろしさや無意味さを体感するという点では十分に意義のある映画であった。私はこの映画は「反戦映画」だと思いたいし,だからこそ感じるのが厭戦気分なのだ。劇場で見ていたら,更にそうした感情は高まっていたであろうと思える。私としては「シビル・ウォー」同様に評価したい。星★★★★。

この映画のストリーミングへのリンクはこちら

2026年5月11日 (月)

Enrico PieranunziとBebo FerraによるBill Evansへのオマージュ。はまり過ぎである。

Evanscape "Evanscape" Enrico Pieranunzi & Bebo Ferra(Bonsaï Music

Enrico PieranunziがギターのBebo Ferraとデュオ(但し2曲ではベースが加わる)で作り上げたBill Evansへのオマージュ作がリリースされたので,早速ストリーミングで聞いた。

Enrico Pieranunziとギターのデュオを言えばFederico Casagrandeと組んだ"Double Circle"という素晴らしいアルバムもあった。一方のBebo FerraはベースのPaolino Dalla Portaと作り上げた"Aria"と"Bagatele"という素晴らしく詩的なデュオ・アルバムがあったから,この二人が組めば成功は間違いないと思ってしまう。そして,その期待は裏切られることはない。

このアルバムをオマージュと書いたのは,もちろんBill Evansゆかりの曲とオリジナルを組み合わせつつ,Bill Evansの音楽に対するシンパシーを感じさせる対話を聞かせる。一言で言えば詩情とインティマシー溢れるデュオ作となっていて,この手の音楽好きにはたまらない出来と言ってよい。Enrico Pieranunziは多作の人なので,何でもかんでも褒めるって訳ではないが,こういうアルバムには無条件に星★★★★★としたくなってしまう作品である。

それにしてもこのアルバムをリリースしたフランスのBonsaï Musicは今年のはじめにEnrico Pieranunziのトリオ作"A Sunday in Paris: Live at the Sunside"を発掘して大いに私を喜ばせてくれたが,改めてこういうアルバムを出してくるところに,わかってるねぇと言いたくなってしまうのであった。

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Bebo Ferra(g), Diego Imbert(b)

現物は当分入ってきそうにないので,ストリーミングのリンクを貼り付けておくが,これは現物としても欲しい一枚と言っておこう。本作へのストリーミングへのリンクはこちら

2026年5月10日 (日)

久々に劇場で見た映画が「ハムネット」。いい映画であった。

Hamnet 「ハムネット ("Hamnet")」(’25,英/米,Universal)

監督:Chloé Zhao

出演:Jesse Buckley, Paul Mescal, Joe Alwyn, Emily Watson, Jacobi Jupe, Noah Jupe

GW休みも終わりに近づいたところで劇場にも行くかってことで観に行ったのがこの映画。シェークスピアの「ハムレット」の制作過程における息子,ハムネットの死をモチーフとしながら,魂の再生を描いたような感動必至の映画であった。

主演のJesse Buckleyの演技はまさにオスカーの主演女優賞に相応しいが,それに加えてタイトル・ロールのハムネットを演じる11歳のJacobi Jupeの名演技が素晴らしく,世の中には凄い子役がいるものだと思わされる。そして,最後の劇中劇となる「ハムレット」で主人公ハムレットを演じるのがJacobi Jupeの実兄であるNoah Jupeというところに感じるキャスティングの妙。映画のストーリー上は全く説明されていないとしても,この「兄弟共演」による血のつながりから生じる近似性(死者の面影と言えばいいだろう)には,Jesse Buckley演じるアグネスでなくとも心を打たれてしまうのだ。そのことを知らなくても感動するが,それを知るとストーリーとしての理屈が通って更に感動してしまうのだ。

映画は静かに展開されるが,最後の劇中劇「ハムレット」に物語のピークを持ってくるところも素晴らしい。監督のChloé Zhaoの作品を見るのは「ノマドランド」以来だが,この人はつくづく風景を撮るのが上手い人だと思わせる。そして脚本,編集もこなすというところも凄いが,本作の劇的な展開により,映画の感動度で言えば,「ノマドランド」より本作の方が上だとすら思えてしまった。いずれにしても,女優の実力あってこそとは言え,この演技を引き出した演出力が素晴らしい。

この映画を見ていて,エンド・ロールが終了するまで席を立つ人が皆無に近かった(一人だけ,エンド・ロールの最後の最後で出て行ったが...)というところも,この映画の余韻の深さを感じたのであった。星★★★★★。日本では大ヒットしそうにないのが残念に思える傑作である。

2026年5月 9日 (土)

待望!:クリポタの新譜がリリースされた。

Chrispotter_alivewithghoststoday "Alive with Ghost Today" Chris Potter(Edition)

常にこちらの期待値を越えてくるミュージシャンと言ってよいクリポタことChris Potterである。そんなクリポタの新譜がリリースされたが,現物はこれから英国から飛んでくるので,早速送付されてきたデジタル・ファイルをダウンロードして聞いている。私が購入したのは2曲追加されたアナログの限定デラックス・エディションの方で,通常盤の赤基調とはジャケの色も違う青基調のものになっている。こうして無駄遣いだと思っていてもついつい買ってしまうのがファンというものだ。

本作は奴隷制度解放論者,John Brownにインスパイアされた組曲だそうである。John Brownは1856年,ウエスト・ヴァージニア州ハーパーズ・フェリーの襲撃事件を起こして,その後処刑された人だが,クリポタはそうした事件を現在のアメリカ国内の状況に照らして曲を書いたものらしいから,一種のコンセプト・アルバムである。そういう意味ではSFJazz Collectiveの最新作である"Collective Imagery"も絵画を題材にしたコンセプト・アルバムだったので,クリポタはここでもテーマを明確にした作曲に軸足を置いたものと言ってよいかもしれない。

本作での最大の注目はビルフリことBill Frisellとの共演ってことになるだろうが,Undergroundでも共演したNate Smithの復帰も嬉しいし,ベースのBurniss Travisとは初共演ではないだろうか。そして強く感じられるのがアンサンブル指向が強く出ているところだろうか。クリポタのサックスZekkereya El-magharbelのトロンボーンの2管にビルフリのギターがメロディ・ラインの中心だが,それを支えるのが超強力なリズムの二人である。クラリネットとヴァイオリンは色彩感の強化というかたちで加えるという使い方のようにも感じられる。ヴァイオリンのややくすんだ音使いもここでの音楽にフィット感が強い。

トロンボーン,クラリネット,ヴァイオリンを除けば,キーボードが抜けた後のUndergroundと同じ編成なのだが,だいぶ感じが違うと感じるリスナーは多いはずだ。ビルフリのギターはいつものサウンドよりもクリアなトーンを聞かせるのが面白い。

もちろんいつもながらのクリポタの強烈なフレージングも聞けるが,ソロが浮いているようには決して聞こえない。あくまでもアンサンブルの中でのソロという感じなので,イケイケ感は控えめではあるが,演じられる音楽のタイプからすればこうなるだろうという感じの吹き方である。そうは言っても"Into Africa"辺りはついつい興奮してしまうのだが。

アルバムでは8曲目までがオリジナルで書かれた組曲扱いで,デラックス・ヴァージョンに追加された2曲は組曲の扱いから外れたものなので,オリジナルではない。そこでやっているのがJohn Coltraneがトラディショナル曲に基づいて書いた"Song of the Underground Railroad"と何とドヴォルザークの「家路」というチョイスである。この2曲ではトロンボーンほかは抜けて,クァルテットで演奏されるので,組曲とは感じは異なるが,アンサンブルから解放された感覚が楽しめる。

アルバム全体では強烈な興奮のようなものは感じないとしても,やはりちゃんと期待に応える水準のアルバムを出してきたクリポタである。星★★★★☆。

Recorded on March 24-26, 2025

Personnel: Chris Potter(ts, ss), Bill Frisell(g), Burniss Travis(b), Nate Smith(ds), Rane Moore(cl), Zekkereya El-magharbel(tb), Sara Caswell(vln)

本作へのリンクはこちら

2026年5月 8日 (金)

休日にストリーミングで見た映画:存在すら知らなかった映画「ガタカ」。静かなSFサスペンスってところか。

Gattaca 「ガタカ("Gattaca")」(’97,米,Columbia)

監督:Andrew Niccol

出演:Ethan Hawke, Uma Thurman, Jude Law, Alan Arkin, Loren Dean, Gore Vidal, Ernest Borgnine, Xander Berkeley

主題の通り,Amazon Primeでこの映画を知らなければ,一生知ることも,見ることもなかったであろう作品。主題の通り,遺伝子操作とロケット打ち上げをバックエンドに描いているのでSF映画と言ってもよいし,そこに殺人が絡むむしろ静かなサスペンス映画と言った方が適切だろう。

この映画で描かれる人間が「適格者(Valid)」と「不適格者(Invalid)」に振り分けられるということが実際起こるとすれば恐ろしいが,約30年前のこの作品がある意味現在の差別や分断を予想させると言ってはうがち過ぎか。それにしても,自然分娩ではなく,人工授精による産み分けが当たり前の世界として描かれてしまうのも恐ろしい。だが,SFの体は取っていても,派手派手しいSF的表現はほとんど皆無で,かなり暗いトーンの映画ではある。

そもそもタイトルの「ガタカ」ってのがよくわからないので,当時の日本でヒットしたとは到底思えないが,DNAの基本塩基の頭文字の組合せだそうだ。そういう意味を理解して見れば,なるほどと思えるが,この映画のプロモーションは難しかっただろうなぁなんてことを考えてしまう。だが,ここでもJude Lawのクセの強い演技は健在だし,キャスト陣も静かなドラマをちゃんと構成させるに十分なもので,なかなかよく出来た味わい深い映画であった。星★★★★。

この映画の音楽を担当しているのはMichael Nymanだが,いつもながらの印象的な曲を書いているが,私がより反応してしまったのは途中で挿入されるStan Getzが吹いた"First Song"であった。あのメロディ・ラインが聞こえてきた時にはおぉっとなってしまった私である。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年5月 7日 (木)

「呪われた夜」のデラックス・エディションはライブ音源がねらいだよなぁ。

One-of-these-nights_20260504153201 "One of These Nights: Deluxe Edition" Eagles (Rhino)

1975年のこのアルバムは4枚目にして,ビッグネームへと変貌した作品と言ってよいが,まだまだカントリー・フレイヴァーも残っていて,アルバムとしての統一感の確立は次作"Hotel California"まで待つ必要がある。しかし,このタイトル・トラックのカッコよさには子供心にも痺れたのがもはや半世紀以上前。そしてそのデラックス・エディションがつい先日リリースされたので早速ストリーミングで聞いてみた。

オリジナルのアルバムは既に記事にしているので,今回は追加されたライブ音源についてのみ取り上げる。Eaglesには既発のライブ音源としては"Eagles Live"と,変則的な"Hell Freezes Over",そして"Live from the Forum MMXVIII"がある(加えて"Live at the Forum 1976"ってのもあるなぁ)が,ここで公開された音源の目玉はそれらに収められていない"One of These Nights"と"Lyin’ Eyes"のライブ演奏だろう。特に前者はどういう演奏をするのかに私は注目していた。

イントロこそイマイチな感じはあるのだが,演奏自体は非常にタイトでこれがよい。この時の演奏全体を通して聞いていて,Don Felderの貢献度は結構大きかったと感じさせるものであった。そしてバンドの演奏能力が高いことに今更ながら気がつく。この頃はDon Henleyのドラムスもドタドタ感はそんなにない。

更にこの時の演奏は脱退するBernie Leadonにとって最後のライブの機会だったようだ。カントリー指向の強いBernie Leadonにとっては,"One of These Nights"のような曲が自身の指向と異なることは明らかであり,脱退は必然だったと思うが,代わって加入するJoe Walshがゲストで登場して"Rocky Mountain Way"を歌ってしまうところなど,もはや出来レースだったと言いたくもなるところだ。まぁ一部でゲスト・コーラスとしてJackson BrownやJ.D. Southerも入っているようだから,その辺りはBernie Leadonへの惜別も込めたのかもしれない。

いずれにしても,私としてはフィジカルな媒体を買うほどだとは思っていないが,それでもこのライブ音源は一聴の価値はあると感じたのであった。

Recorded Live at Anaheim Stadium on September 28, 1975

2026年5月 6日 (水)

休日にストリーミングで見た映画:「フィラデルフィア・エクスぺリメント」。定冠詞付きの荒唐無稽さ。

Philadelphia-experiment 「フィラデルフィア・エクスぺリメント("The Philadelphia Experiment")」(’84,米)

監督:Stuwart Raffill

出演:Michael Paré, Nancy Allen, Eric Christmas, Bobby Di Cicco, Louise Latham, Kene Holiday

この映画のタイトルは知っていても,見たことはなかった映画。「フィラデルフィア実験」という都市伝説があるらしいが,それをベースにした映画とのことだが,よくあるタイムスリップ物としても,もはや荒唐無稽と言ってよいSF映画である。以前見た「ファイナル・カウントダウン」とモチーフに似たところはあるが,映画としては「ファイナル・カウントダウン」の方がまともってところ。

とにかく突っ込みどころ満載過ぎて指摘を始めたらそれだけで記事が終わりそうだ。そもそも実験を主導したロングストリート博士はもはやマッド・サイエンティストだろうと言いたくなるし,Nancy Allen演じるAlisonのお人好しぶりには,そんな奴はおらんと突っ込みたくなる。主演のMichael Paréは「ストリート・オブ・ファイヤー」でもカッコよかったが,その彼をカッコよく見せようという意図が明白な設定であり,そもそもネタバレになるので書かないが,あの終盤はまさに何じゃそりゃ?の世界であった。

もはやこういう映画には目くじらを立てること自体無駄という気がするが,そもそもこういう映画を選んで見る自分が悪いのだ。まぁ娯楽映画として時間潰しにはなったが,記憶には残らないという程度の映画。星★★☆。製作総指揮にJohn Carpenterの名前があったが,彼が撮っていたらどうなっていたのかって思ってしまう。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年5月 5日 (火)

突如現れたPeter Erskine Trio+Bob Mintzerのライブ・アルバム。

Four-gentlemen-of-verona "Four Gentlemen of Verona" Peter Erskine(ZenArt)

ストリーミング・サイトに突然現れたライブ・アルバム。Alan PasquaとDarek Olesとのトリオはほぼレギュラーと言ってよい面々だが,そこにBob Mintzerのテナーが加わるという編成。詳細は不明ながら,タイトルからしてイタリア,ヴェローナでの録音だろう。ヴェローナと言えば「ロミオとジュリエット」の舞台となる世界遺産の街。まぁこのジャケは...って感じだが,それはよかろう。

私はPeter Erskineのトリオの演奏については評価しているクチだが,実のところ,Bob Mintzerが苦手なので,メンツを知ってう~むとなってしまったのも事実。正直言ってもはやこれは相性と言ってもよいのだが,どうも私はBob Mintzerのテナーに魅力をあまり感じないのだ。Yellowjacketsでの演奏はバンド・サウンドもあって苦にならないが,ストレートな吹き方の場合はやはり苦手なのだ。Peter Erskineのトリオによるイタリアのライブと言えば,"Live in Italy"というのもあったが,それに比べるとどうもBob Mintzerのテナーが必要だったのかという思いが強くなってしまうのだ。

このアルバムはメンバーのオリジナルとスタンダードから構成されるが,Alan Pasquaが書いた"Contemplation"なんて実に美しいイントロからして魅力的に響く。しかし,その後のテナー入り演奏を聞いていると,これはトリオでやった方がきっとよかっただろうと思えてしまう。全編を通じて演奏は少々軽くやり過ぎではないかとさえ感じさせるもので,もう少し美的に響く瞬間や,スリリングに響く瞬間が欲しい。

ストリーミングで聞いているせいかもしれないが,ドラムスのミキシング・レベルが少々低めなのも惜しい。彼らのやることだから演奏は悪くはないとしても,ついつい期待値が大きいだけにこの程度では...と思ってしまったのであった。星★★★。Bob Mintzerも本人のオリジナル"All Is Quiet"辺りはいい演奏を聞かせるが,いかんせん同じテナー入りワンホーンならGeorge Garzoneとやった"3 Nights in L.A."の方が圧倒的に優れている(きっぱり)。ここまで来ると,単なる好き嫌いだな(爆)。

ベースがScott Colleyに代わってのトリオ盤,"Peregrine"もそのうち記事にしよう。

Personnel: Peter Erskine(ds), Bob Mintzer(ts), Alan Pasqua(p), Darek Oles(ds)

2026年5月 4日 (月)

休日にストリーミングで見た映画:「アギーレ/神の怒り」。Klaus Kinskiが濃いなぁ。

Aguirre 「アギーレ/神の怒り("Aguirre, der Zorn Gottes")」(’72,独/墨/ペルー)

監督:Werner Herzog

出演:Klaus Kinski, Rui Guerra, Helena Rojo, Peter Berling, Del Negro

私はWerner Herzogの映画を見たことがないはずだ。「フィッツカラルド」をレンタルで見ようとしたことはあったはずだが,結局未見に終わったので,これが初Herzogだろう。1972年製作のこの映画が11年後の1983年に日本で公開されたのは「フィッツカラルド」によるところが大きいとは思うが,これがなかなか重苦しい映画なので,未公開だったのもうなずける。

映画冒頭の説明にもあるが,16世紀にアマゾンの奥地に黄金郷,エルドラドを求めたスペイン探検隊の実話に基づくようだが,自然と原住民に阻まれ,探検隊が内部崩壊してゆく様子を描いていて,とにかく重苦しい。そしてKlaus Kinski演じるAguirreがほぼ狂っている感覚が延々と描かれるから,見ている方も疲れること甚だしい。

しかし,序盤の絶壁のシーンや川下りのシーンなど,自然との対峙を描いた映像はこれは凄いわと思えるのも事実。だが,そうした映像的なところよりも話の重さが勝ってしまうというところが,この映画の厳しいところ。最後の猿はシンボリックなものだろうが,結局は狂気の末,そして誰もいなくなったという映画であった。1.5時間そこそこの映画なのに,疲労感が半端ではなかったこの映画は,好き嫌いは確実に分かれるだろうし,私もこの作品は優れていても好きにはなれないってことで星★★★☆になってしまうのである。おそらく再見はないな(笑)。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年5月 3日 (日)

休日にストリーミングで見た映画:久々の白黒映画はDon Siegelの初期作「仮面の報酬」

The-big-steal 「仮面の報酬("The Big Steal")」(’49,米,RKO)

監督:Don Siegel

出演:Robert Mitchum, Jane Greer, William Bendix, Patrick Knowles, Ramon Novarro

休みに乗じて,久しぶりに往年の白黒映画に復帰である。後に「ダーティハリー」を含めて,Clint Eastwoodとの名コンビを組み,演出ではEastwoodの師匠ともなったであろうDon Siegelが1949年に撮った70分余りの中編。

全編メキシコを舞台にしたロケーションで撮られているが,カーチェイスあり,アクションありの娯楽編で,やっぱりDon Siegelの映画は面白いわと思わせる。カーチェイスのシーンは現代のようなスピード感を求めてはいけないが,スクリーン・プロセスも駆使しながらうまく撮ったもんだと感心してしまった。

Robert MitchumとJane Greerは「過去を逃れて」のコンビだが,ここでのJane Greerは「過去を逃れて」でのようなファム・ファタールではなく,もう少し真っ当なヒロインって感じの役なので,印象はそれほど強くはない。しかし,こういうストーリーは軽く見るには丁度いいもので,やはり古き佳き時代の映画ってところであった。星★★★★。但し,この邦題は少々意味不明だが。

ここでの敵役と言ってよいWilliam Bendixは,白黒映画に関する記事では今回で4回目の登場となるので,この時代の映画に欠かせないバイ・プレイヤーだったのだなぁと改めて感じたことも付記しておく。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら

2026年5月 2日 (土)

入手から随分経ってしまったが,”Relayer”のオリジナル盤を久しぶりに取り出す。

Relayer "Relayer" Yes(Atlantic)

このアルバムについては2018年に記事にしている(その時の記事はこちら)し,英国オリジナル盤をゲットしたことは,「危機」のUSオリジナル盤を入手した時の記事にもちらっと書いている。もうそれから3年近い時が経過しているが,改めてレコード棚から取り出してきた。

私はこのジャケが結構気に入っており,Yes全盛期のアルバムのRoger Deanのデザインの中でも好きなものだ。だからこのアルバムを入手したのもジャケにつられてというところはあるのだが,あの8人Yesのライブの場で売っていたTシャツでも,いの一番で買ったのはこのジャケのデザインのものだったのも懐かしい(と言っても,もはやそれはボロボロになってしまったので既に手許にはないが...)。

私が入手した英国オリジナル盤はジャケ,盤質ともに良好で,まぁその値段なら...というのは入手してわかるのだが,これはいい買い物だったなぁと思っている。音楽的にはPatrick Morazの加入で,それまでのYesとは異なる印象が強いアルバムだが,改めて聞いても,A面を占める"The Gate of Derilium"からしてテンションが高い。そこから牧歌的と言ってもよい"Soon"への転換が見事に決まっている。この部分を抽出してシングル・カットしたくなる気持ちもわかるってものである。 また,"Sound Chaser"におけるChris Squireのベース,Steve Howeのギターの激しさにおののくという感じで聞きどころは多いのだ。

まぁこれがYesの王道だったかと言えばそういう訳でもないと思うが,改めていいアルバムであったと思う。ということで,ジャケを眺めながらニヤニヤしている私である。

Personnel: Jon Anderson(vo), Steve Howe(g, vo),Patrick Moraz(key), Chris Squire(b, vo), Alan White(ds, perc)

本作へのリンクはこちら

2026年5月 1日 (金)

結局は謎が多いままのHarris Simon:第2作の”Swish”を聞く。

Swish "Swish" Harris Simon Group(Baybridge)

以前このブログに「出自がよくわからないHarris Simonの"New York Connection"だが,Michael Breckerのソロは聞き物。」という記事を書いた。そこでも取り上げたHarris Simonであるが,ほとんど情報がないままなのは相変わらずだ。しかし,本作と"New York Connection"をコンパイルしたかたちで,"The Mastery of Passion"というアルバムがResonanceレーベルから再発された際に若干話題になった程度で,Queens出身というのはわかったが,その後一線の音楽生活からは身を引いて,"New York Connection"の記事にも書いたが,大学で教鞭を執っていたようだ。そして,この2枚のアルバムは日本がオリジナルだったというのが真相らしいが,どういう経緯でそうなったのかは謎だ。まぁクロスオーバー/フュージョン・ブームに乗って売り込まれたってところだろうが...。

本作も典型的フュージョンという感じだが,"New York Connection"よりはややソフトな感覚が強いのはストリングスが入っていることによるが,ヴォーカルもやや甘めで,イージー・リスニング的に響くところも評価の分かれ目ってところだろう。

それにしてもいろいろなミュージシャンが参加しているのが目を引くが,Billy Cobhamまで参加しているのは少々意外。但し,ドラマーは複数いるので全面参加ではない。このアルバムではHarris Simonが"Street Song"でもハーモニカも達者なところを聞かせるものの,このアルバムの難点は一本筋が通った感じがしないところで,アルバム全体としては可もなく不可もなしってところ。メンツから考えて,"New York Connection"の残りテイクも含まれているのではないかと思わせる部分もあるが,全体の出来としては"New York Connection"の方が上ということになるだろう。

まぁ時代の徒花と言ってしまえばその通りだが,こういうのもあったねってことで星★★★。これまた中古CDにはアホみたいな値段がついているが,ストリーミングで上記のコンピレーションを聞いていれば十分だ(きっぱり)。

Recorded on September 22-October 19,1980

Personnel: Harris Simon(key, hca), Dave Valentine(fl), Michael Brecker(ts), Claudio Roditti(flh), Michael Urbaniak(vln), Bill Washer(g), Scott Hardy(g), Mike Richmond(b), Rufus Reid(b), Ratzo Harris(b), Billy Cobham(ds), Brian Blake(ds), John Riley(ds), Grady Tate(ds), Portinho(ds), Rubens Bassini(perc), Guilherme Franco(perc), Todd Anderson(perc), Gayle Winters(vo), Ann Ang(vo), Janis Perndervis(vo), Vocal Jazz Incorporated(vo)

本作へのリンクはこちら

2026年4月30日 (木)

「デリンジャー」をストリーミングで初めて見た。

Dillinger 「デリンジャー(”Dillinger”)」(’73,米,AIP)

監督:John Milius

出演:Warren Oates, Ben Johnson, Michelle Phillips, Harry Dean Stanton, Richard Dreyfus, Cloris Leachman

この映画は私が中学生当時公開されたものだが,予告編は見た記憶はあっても,本編は見たことがなかった。後に「ビッグ・ウエンズデー」を撮るJohn Miliusの監督デビュー作のはずだ。

主人公のJohn Dillingerは"Public Enemy #1"と呼ばれる有名な犯罪者だけに,後にJohnny Deppも映画「パブリック・エネミーズ」でJohn Dillingerを演じているし,何度も映画に登場しているキャラだが,ここではWarren Oatesがいかにもな感じで演じている。片やFBI(正確に言えば当時の呼称はBOI: Bureau of Investigation)のMelvin PurvisをBen Johnsonが演じるがこれがまた渋い。この二人を見ているだけで,この映画は楽しめると言ってもよい。

但し,映画としてはマシンガンぶっ放しまくりみたいな,かなり殺伐としたシーンが多いのはガチガチの保守武闘派(笑)のJohn Miliusらしい(笑)。そういうところで評価は別れそうな気がする。逆に言えば「ビッグ・ウエンズデー」がJohn Miliusっぽくないと考えるべきだろう。

ここで描かれるJohn Dillingerとその一味の犯罪が事実に近いものだとすれば,確かに「民衆の敵」と言われても仕方のない悪事の数々だが,それが約1年半の間に起こっているということが信じがたい。だからこそAl Capone同様に歴史に名を残してしまうレベルの犯罪者ってことになるが...。

いずれにしても監督第一作としては結構よく出来た映画だと思えたが,上述の通り,劇中で何人死ぬの?みたいなところがある。だが映像としてはさすがに半世紀以上を経過しているので,手作り感に溢れていて,過ぎし日の映画作りに思いを馳せるというところもあった。ちょっと甘めの星★★★★。

尚,その後,Warren Oatesがパイオニアの「ロンサム・カーボーイ」のCMに出演した時に驚いたことも懐かしい。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年4月29日 (水)

ジャケの印象が残っているLarry Coryellの”Standing Ovation”。

Standing-ovation "Standing Ovation" Larry Coryell(Mood)

70年代後半から80年代前半にかけて,Larry Coryellがアコースティック路線に転じていた時期がある。「ボレロ」とかもやっちゃってたしねぇ...。私は何と言ってもSteve Khanとのデュオ"Two for the Road"が最高だと思っているクチだが,このアルバムはジャケとタイトルだけが妙に印象に残っている。当時の流行りだったOvationのギターを弾いているから"Standing Ovation"ってことだろうが,本作はLarry Coryellのギターの多重録音が基本のアルバム。1曲でピアノはプレイし,最後はL. Subramaniumのヴァイオリンとのデュオという構成だが,基本はギターのアルバムであることは間違いない。

このOvationのギターの音は好き嫌いが分かれるはずだ。妙にクリアな音で,響きは金属的な感じがして,MartinやGibsonとは根本的に異なる音だからだが,一世を風靡したことは間違いない。Adamasなんてのはアホみたいな値段がついているが,正直言って私の趣味ではないのだ(きっぱり)。

まぁそれはさておきだが,Larry Coryellが"The Best LP I Ever Made"と言ったとか言わないって話はあっても,それほどのものか?というのが正直なところで,"Two for the Road"の丁々発止な感じの方がずっといいではないかというのが実感だ。ピアノ・ソロでやるその名も"Piano Improvisation"はそれなりの響きだが,攻撃的なギターとは違って随分リリカルなのが笑える。

これはこれでありだとは思うが,Larry Coryellのソロ(及び多重録音)ならまぁこういう感じだよねぇという程度のアルバム。星★★★。中古CDにもアホみたいな値段が付いているが,ストリーミングで十分だ(笑)。

Recorded on March 8-11, 1978

Personnel: Larry Coryell(g, p), L. Subramanium(vln)

本作へのリンクはこちら

2026年4月28日 (火)

Lars Danielssonの”Liberetto“シリーズも5作目となる新作がリリース。

Echomyr "Echomyr" Lars Danielsson Liberetto(ACT)

2011年に第1作をリリースしたLars Danielssonのバンド,Liberettoであるが,ここに来て5作目がリリースされたのでストリーミングで聞いてみた。

私はこのバンドのアルバムを熱心に聞いてきた訳ではないものの,ストリーミングでは聞いたことがある程度だが,Lars Danielssonの関与したアルバムらしい美的な感覚は共通して感じられると思っている。楽器編成もあって,派手派手しさはないが,こういうのを心に沁みる音楽と言う。これぞまさにLars Danielssonの美学全開である。"Sensitiva"なんて曲もあるが,まさにセンシティブそのもののような響きだ。

全編に渡って抒情的な響きが継続するので,ジャズに刺激を求めるクチには物足りなく思える部分もあるだろうが,こちらにはこちらの世界があるってことで,こうした世界を期待するリスナーは裏切られることがない。第1作からピアノ以外は不動のメンツで作り上げる音楽は,ジャズにおける室内楽とでも言ってよく,全ての楽器の響きが魅力的。ゲストで入るArve Henriksenのラッパも,ラッパらしい熱さとは無縁の世界で吹奏されるのはある意味凄いことだ。まぁこの人のラッパは尺八ライクな響きだからこういう音楽にははまる。いずれにしても,聞き応えもあり,没入度も実に高い音楽。星★★★★☆。たまりませんなぁ~。

因みに現在のバンドでピアノを弾くGrégory Privatの前任がTigran Hamasyanだったのだが,私の感覚ではTigran Hamasyanはこういう音楽には合いそうにないようにも思える。しかし実際はどんな感じだったのか興味深いので,改めて旧作もストリーミングで聞いてみることにしよう。

Personnel: Lars Danielsson(b, cello, gimbri, p, g), Grégory Privat(p), John Parricelli(g), Magnus Öström(ds, perc) with Arve Henriksen(tp), Magnus Lindgren(fl, a-fl), Carolina Grinne(eng-h)

本作へのリンクはこちら

2026年4月27日 (月)

追悼,Michael Tilson Thomas。

Michael-tilson-thomas

またも訃報である。Michael Tilson Thomasが亡くなった。長きに渡ったサンフランシスコ交響楽団との付き合いにより,多数のレコーディングを残し,数多くのグラミーも受賞しているが,私の場合,クラシック畑の音楽は全然聞いていないというのが実態なのは告白しておかねばなるまい。私にとってMichael Tilson Thomasと言えばSarah Vaughan/ロス・フィルとの"Gershwin Live!"ってことになるのだが,そのほかにもMahavishnu Orchestraの"Apocalypse"のバックでロンドン響を振ったりと,クラシックに留まらない活動を示した人だった。因みにJohn McLaughlinとは"Mediterranean Concerto"ってのもやっている。

レコーディングのほか,若手音楽家の育成にも力を注いだ人だったが,今回亡くなった原因が膠芽腫と知り,母を同じ病気で亡くした私としては別の感慨があった。この膠芽腫という病気は超悪性の脳腫瘍で,罹患してしまうと生存確率が極めて低いことで知られる。Michael Tilson Thomasは一度脳腫瘍の手術を受けているが,それが最悪のかたちで再発したということになる。この病気,高齢だからと言って進行が遅い訳ではないという厄介な病気だけに,ご家族も大変だったのではないかと想像する。

いずれにしても,膨大なレコーディングを行っているので,改めて追悼を込めてMichael Tilson Thomasの残した音楽に触れてみることしよう。

R.I.P.

2026年4月26日 (日)

懐かしいと思いつつ,ストーリーを全く覚えていなかった「スコルピオ」。

Scorpio 「スコルピオ("Scorpio")」(’73.米,United Artists)

監督:Michael Winner

出演:Burt Lancaster, Alain Delon, Paul Scofield, J.D. Cannon, John Colicos, Gayle Hannicutt

主題に書いた「懐かしい」というのには訳がある。この映画が公開されたのは1973年だったが,私が見たのは神戸(スカイシネマだったかな)で二本立てだったはずで,中学に入学したての頃だったかもしれない。私が中学生の頃は,音楽より映画の方が主たる趣味だったと言ってもよかったが,もっぱら二本立てで洋画を見るのが習慣みたいになっていたのだ。なので,本作も半世紀以上前に見たことになるが,今回ストリーミングでこの映画が見られるようになっていて,懐かしさもあって再見したもの。但し,日本語字幕なしのモードだったので,英語のキャプションで見たものだが,全くストーリーは覚えていなかった(笑)。まぁそれも仕方ないと思えるB級作品と言ってよい。

そもそも監督のMichael Winnerは結構な数の映画を撮っているが,まぁ大した作品が残っていないことからしてもB級で仕方なしなのだが,キャスティングだけは結構豪華と言ってもよかった。公開時には還暦を過ぎていたBurt Lancasterがまぁ走る,走るって感じでご苦労様なことだが,まだ30代後半のAlain Delonはスマートなものである。だが,私がこの映画を再見して,一番印象的だったのがPaul Scofieldの渋さであった。また,後に「警部マクロード」でクリフォード部長を演じるJ.D. Cannonが出ていたことを改めて知るという発見もあった。

だが,ストーリーとしては人物の相関関係を複雑化させるだけなのに加え,それであの人物はどうなったのかというところもある消化不良なシナリオで,どうも具合が悪い。アクションもBurt Lancasterの年齢を考えれば,まぁ頑張ったとは言え,ちょっと重々しさが勝っているなぁというのが正直なところだ。パリ,ウィーン,ワシントンとロケ地は多様で,それらの風景を楽しむことはできるとしても,結局それがどうした?というレベルの凡作なのだ。ということで,記憶に残っていなくても当然と思ってしまったのであった。懐かしさだけしか残らないと言ってもよい映画で,星★★☆が精一杯。それにしても,このポスターは何のこっちゃという感じでダサダサだ。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2026年4月25日 (土)

追悼,Dave Mason。

Dave-mason

Dave Masonが亡くなった。闘病の末とかではなく,食事後椅子に座ってうたた寝をしたまま亡くなったそうだ。

Dave Masonについては私はTrafficは全く聞くことなく"Alone Together"から入ったので,私のDave Masonのイメージは"Alone Together"から形成されている。あと保有しているのは"Captured Live"だけであるが,それ以外で言えばどこでプレイしているかはっきりしないものの,George Harrisonの"All Things Must Pass"への参加も印象深い。イギリス人でありながら,完全にスワンプ化していたが,完全に消化していたことが今となっては驚きである。いずれにしても,ファースト・ソロで素晴らしいアルバムを作り上げたことが素晴らしい。

頭も薄くなった晩年の姿は全然違うものだが,私にとってDave Masonのイメージは上の写真のような感じということで貼り付けたが,いずれにしてもこうして私にとって思い出深い人たちが世を去っていくのは悲しい。まだ79歳だったので,まだまだいけたと思えるだけに惜しい。

R.I.P.

2026年4月24日 (金)

”Unlimited Miles”@Blue Note東京参戦記

Unlimited-miles-on-bnt-stage

今年はMiles Davis生誕100周年ということで,Milesゆかりの音楽が演奏される機会が多い年になることは想定されることだが,そこに現れたのがUnlimited Milesという名前のバンドであった。メンツは派手なのか地味なのかよくわからんという感じだが,おそらくはJohn Beasleyを番頭としたバンド。そのライブを見るべくBlue Note東京に行ってきた。このバンド,急造バンドであることには間違いないのだが,来日前にはNYCのBirdlandでもライブを行っていて,それなりにこなれてからの来日となっているので,そこそこ期待できるはずだと思っていた。おそらくこのバンドのメンバーで日本で一番メジャーなのはKurt Rosenwinkelだろうから,彼目当ての聴衆も多いのかななんて想像しながら現場に向かった。今回はほぼステージ中央,最前列のまさにかぶりつきの席である。

Unlimited-miles-at-bntメンバーがステージに登場する段階から嫌な予感がしたのだが,私の横の卓の客が最初から騒がしい。John Beasleyが今日はライブ・レコーディングだと言っていたからまた調子に乗ったのかもしれないが,「バカの一つ覚え」としか言いようのないしょうもない奇声を上げ続ける連中には辟易としながら演奏を聞いていた。ライブには相応の「ノリ」も必要だが,調子に乗り過ぎの過度な騒ぎっぷりは迷惑でしかない。

そんな思いを抱えながら演奏への集中を心掛けた私だが,Miles Davisのレパートリーをやるからと言って,そのままオリジナルの演奏をなぞることはしなかったこのバンドである。冒頭の"Seven Steps Heaven"から手を加えて変拍子化させて一気に盛り上げたのを皮切りに,"Ah Leu Cha"と"Milestones"のハイブリッド,これまた"So What"と"Flamenco Sketches","All Blues"をマージしたような演奏,更にはタイムマシーンと言いながら40年代,60年代,80年代の曲をメドレーで演じた"Moon Dreams"~"Sanctuary"~"Fat Time",そして""Paraphernalia"を演じて,アンコールでやったのは"Splatch"だったか?いずれにしても当夜のプログラムは相応に満足度の高い演奏であった。

演奏には少々粗いところがない訳ではなかったが,各人のソロも上々で,ラッパのSean JonesはMilesゆかりということもあって,プレッシャーもあっただろうが,オープンでもミュートでも朗々としたフレージングを聞かせたのは立派。John Beaselyはバンマスとしての役割重視なので,ソロは若干控えめ感がある中,Mark Turnerもコクのあるソロを聞かせる一方,ドラムスのTerreon Gullyはちょっと叩き過ぎの感はあった。そうした中で私が最も惹きつけられたのがBen Williams。とにかく上手い。エレクトリック・ベースはスラッピングする訳でもないのだが,ベースはああいう風に弾きたいと思わされてしまったのであった。

おっと,忘れてはいけないKurt Rosenwinkel。このバンドにギターが必要なのかという思いもあったが,"Fat Time"で聞かせたソロだけでもOKという感じであった。この"Fat Time"という曲,"The Man with the Horn"の冒頭のMike Sternのギターの印象が強いし,アルバムにおけるダークな曲の感じが,後のライブで演じられるものと全然印象が違うところがあってつかみどころがないのだが,ここでのKurt Rosenwinkelの長いソロはこのライブにおける彼の演奏の中では間違いなく白眉と言ってよいものだった。

Unlimited-miles-set-list ということで,ステージ上にあったセットリストを極力編集して貼り付けておくが,それでも読みにくいことこの上ない(笑)。そう言えば"Madness"もやったような気がするが,アンコールは"Pinnochio"とあるものの,"Pinnochio"でなかったことは間違いない。尚,John Beasleyによれば,ライブ盤は来年2月にMack Avenueレーベルから出るそうだ。どういうことになるのかを期待して待ちたい。尚,トップの写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on April 21, 2026

Personnel: John Beasley(p, key), Sean Jones(tp), Mark Turner(ts, ss), Kurt Rosenwinkel(g), Ben Williams(b), Terreon Gully(ds)

«またも無駄遣い? Joni Mitchellの”For the Roses”の当初想定ジャケ盤をRSDで入手。