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2023年2月 4日 (土)

今日は趣向を変えて,Count Basieの「猫ジャケ」アルバム。

Lester-leaps-in "Lester Leaps in" Count Basie and His Orchestra Featuring Lester Young (Epic)

クラシックな音源である(笑)。これは1939~40年という古い音源で,私がこうした時期の音楽について,このブログにアップした記憶はないし,基本的にジャズはビ・バップ以降しか聞いていない私がなぜこれを保有しているかと言えば,「猫ジャケ」がおしゃれだからである。Epicレーベルの「猫ジャケ」のアルバムは6枚あって,それが一度紙ジャケで再発された時に全部買ったのは,こういう企画は好き者しか買わないから,持っていれば後々何かの役に立つ(?)だろうという思惑からという,極めて不純な動機による。だが,こうした時期はCount BasieバンドにおけるLester Youngの全盛期ということもあって,音楽的な興味があったことは一方で事実である。

そして本作を聞いていると,この時期,ジャズはダンス音楽だったんだろうなぁと思ってしまうようなスイング感に満ちた演奏群である。古い音源だけに当然音はよくないが,往時のジャズの演じられ方を想像させるに十分な楽しさは感じられる。そして何よりもLester Youngの流れるようなフレージングが素晴らしい。そうは言っても,サウンドはどうやってもCount Basieだという感じで,Count Basieのピアノってのはスタイルが明確だったなんて改めて思ってしまった。最後に収められてあ"Boogie Woogie"にはJimmy Rushingのヴォーカルも入るが,さすがに声が若々しい。

購入の動機は不純でも,こうして楽しんでいるからよしとしよう(笑)。プレイヤー多数なので,詳細のPersonnelは省略するが,Lester Youngに加えて,Buck ClaytonやVic Dickenson等の名プレイヤーも参加している。この二人はJimmy RushingとEddie Condon All Starsで来日していたなんてこともあったなぁ。その時のライブ・アルバムについても記事にしたことがあったのも懐かしい(記事はこちら)。

Recorded on March 19,20,April 4, 5,August 4, September 5,1939 and on August 28, 1940

2023年2月 3日 (金)

Bonnie Raittが豪華ゲストを迎えたライブ盤を久々に聞く。

_20230202"Road Tested" Bonnie Raitt(Capitol)

昨年リリースされた"Just Like That..."も実によかったBonnie Raittであるが,今なお現役で頑張る彼女のデビュー25周年を記念した95年のライブ・アルバムを久しぶりに聴いた。アルバム"Nick of Time"により勢いづいた後のライブであり,当時のアルバムを支えたDon Wasとの最後のコラボレーションとなっている。

25周年を祝うだけに多様なゲストを迎えており,そうした点は聞きどころとなるが,ゲストを迎えていない曲の演奏がこれまたいいだけに,バンドだけのライブ・アルバムも聞きたくなってしまう。10年後に録音された"Decades Rock Live"は私は未聴だが,そちらも35周年記念ということでゲストを迎えたものだけに,企画を変えてもいいのになぁと思ってしまう。

しかし,ここで聞かれるBonnie Raittのスライド・ギターの技にはまじで唸らされる。エレクトリックであろうが,アコースティックであろうが,Bonnie Raittのギターの腕は確かなものであり,「歌って弾ける」Bonnie Raittの魅力であり,強みを感じさせられるものである。アコースティック・セットの渋さも素晴らしい。

このアルバムには"Louise"も入っているが,どこかで聞いたことがあるなぁと思っていた。Bonnie Raitt本人もアルバム"Sweet Forgiveness"でカヴァーしているようだし,Linda Ronstadtも歌っているようだが,考えてみると,私がこの曲を聞いていたのは,Leo Kottkeの"My Feet Are Smiling"においてであったなぁと気づいた。Bonnie Raittでもなく,Linda Ronstadtでもなく,Leo Kottkeってことに我ながら笑ってしまったが,いろいろなミュージシャンがカヴァーしたくなるいい曲であった。

ともあれ,歌手であり,ギタリストであるBonnie Raittの魅力を再認識できるアルバムであった。星★★★★☆。

Recorded Live at the Schnitzer Auditorium, Portland on July 11-13, and at the Paramount Theater, Oakland on July 16, 18 & 19, 1995

Personnel: Bonnie Raitt(vo, g, key), Glen Clark(key, hca, vo), Debra Dobkin(perc, vo), Ricky Fataar(ds), James "Hutch" Hutchinson(b, vo), Mark T. Jordan(key, g, mandolin, vo), George Marinelli(g, mandolin, vo) with Bruce Hornsby(vo, p, accor), Ruth Brown(vo), Charles Brown(p, vo), Kim Wilson(hca, vo), Bryan Adams(vo, g), Jackson Brown(vo, g) 

2023年2月 1日 (水)

改めてDerek Trucks入りのAllman Brothers Bandを聞く。

_20230130-2 "Hittin’ the Note" The Allman Brothers Band(Peach/Sanctuary)

全くもって不思議なことに,このブログではDerek Trucksについては何度も記事を書いているのだが,Allman Brothersについては何も書いていないってのはどういうことか?と思ってしまった。Gregg Allmanについては書いているし,Duane Allman関連の記事も書いているが,Allman Brothersの記事が一本もないっていうのは,我ながら「なんでやねん?」と言わざるをえない。

とかなんとか言いつつ,先日Little Featのボックスも買ったばっかりやんけ!と言われれば,返す言葉はないのだが,ここでAllman Brothersについて記事を書くべく,Derek Trucksが入ったAllman Brothersとしての唯一のスタジオ作,そしてAllman Brothersとしては最後のスタジオ作である本作を取り出した私である。

このアルバムが出た頃は,Dicky Bettsが抜けて,ギターはWarren HaynesとDerek Trucksになった訳だが,長年のファンにとってはDicky Bettsの不在は残念だったらしい。この「らしい」というのは自分ではそんなことは感じてもいないからにほかならないが,Dicky Bettsの抜けた穴をDerek Trucksが埋めていると言ってよい働きには改めて感心してしまう。この時,Derek Trucksは22歳の頃だが,スライドの技はまさに完璧と言っても過言ではない。まじでこの当時から凄かったよねぇと思わざるを得ないのである。

昨今のDerek Trucksは,カミさんのSusan Tedeschiとのバンド活動がほとんどで,正直言って最近Susan Tedeschiの声に飽きてきたところがある私としては,このアルバムにおけるGregg AllmanやWarren Haynesのようなヴォーカルとの演奏もそろそろ期待したくなるような出来。最近のアルバムより興奮してしまったと言っては言い過ぎかもしれないが,実にカッコいいと思えるアルバム。星★★★★☆。

Recorded in December, 2001 & April, 2002

Personnel: Gregg Allman(vo, org, p, key), Butch Trucks(ds), Jaimoe(ds), Warren Haynes(g, vo), Marc Quinones(perc), Oteil Burbridge(b), Derek Trucks(g)

2023年1月31日 (火)

Michel Petruccianiの"Pianism":このトリオはやっぱりいいと思う。

_20230130 "Pianism" Michel Petrucciani Trio(Blue Note)

以前にも書いたが,何枚かCDは保有していても,私は決してMichel Petruccianiを熱心に聞いてきた訳ではない。そんな私がこれまでのMichel Petruccianiのアルバムで最も聞く頻度が高かったのは,Concordから出たVillage Vanguardでのライブ盤であった。そこにおけるPalle DanielssonとElliot Zigmundとのトリオはバランスもよく,魅力的に響くトリオだったと思っている。本作はその後,Michel PetruccianiがBlue Noteレーベルと契約してリリースした第1弾のアルバムだが,そのトリオによる演奏ということで,改めて中古でCDをゲットして聞いてみた。

これがトリオのメンバーに恵まれてと言うところを強く感じさせる,ナイスなアルバムであった。全6曲中4曲がPetruccianiのオリジナルで,残るが"Night and Day"と"Here's That Rainy Day"という鉄板のような構成で,どれもがMichel Petruccianiのピアノの美学が表出した演奏で,アルバム・タイトル"Pianism"に偽りなしって感じだ。決してBlue Note第1作だからと言って,派手派手しくならず,力みなく抑制された演奏は非常に好感度が高い。そして,このアルバムのピークは最後の"Regina"でやって来る。これが実にいい曲で,作曲能力も大したものだったと改めて思わされてしまった。

このアルバムのレコーディング時には,Michel Petruccianiは23歳になる直前であったということからも,いかにこの人が早熟なミュージシャンであったかを示している。まさに天賦の才能と言ってもよいのかもしれない。思えば,肉体的なハンディキャップを抱えながらのピアノ・プレイだったにもかかわらず,これだけの演奏を聞かせることには驚きを禁じ得ないが,36歳での早逝にもかかわらず,そこそこの枚数のアルバムを残せたことは不幸中の幸いであった。こういうのを改めて聞いてしまうと,ほかのアルバムもちゃんと聞かないといかんなぁと,今更ながら思っている私である。反省も込めて星★★★★☆。

Recorded on December 20, 1985

Personnel: Michel Petrucciani(p), Palle Danielsson(b), Elliot Zigmund(ds)

2023年1月30日 (月)

豪華メンツによるAlex Sipiaginの新作をストリーミングで聞く。

Mels-vision "Mel’s Vision" Alex Sipiagin(Criss Cross)

Alex Sipiaginのアルバムは大体がよく出来ていて,非常に平均点が高いミュージシャンだと思っている。だからと言って全部買いをしている訳ではなく,昨年リリースした"Ascent to the Blues"はスルーしてしまっていた。このブログで最後に彼のアルバムを取り上げたのはその前の"Upstream"に遡る(記事はこちら)。そこでもCriss Crossレーベルのことを書いているが,創設者Gerry Teekensの死によって,一時期存続が危ぶまれたものの,その後も活動は継続され,本作のような新譜がリリースされることは実に喜ばしい。そして,このいかにもCriss Crossらしい豪華なメンツには期待が高まる訳だ。

そうは言っても,この時代,何でもかんでもフィジカルな媒体を購入するという訳でもないので,まずはストリーミングで聞いてから購入を検討というのが,本当に好きなミュージシャンを除いた私の昨今の行動パターンなので,本作もまずはストリーミングで聞いてみた。

Criss CrossのWebサイトによれば,もともとGerry TeekensにはAilex Sipiaginにスタンダードのアルバムを吹き込ませたいという考えがあったようだが,Teekensの死によって,その計画は頓挫していた。新生Criss Crossに吹き込まれた本作では,「スタンダード」という訳ではないが,Don Friedman, McCoy Tyner,Ornette Coleman, そしてCharlie Mingusのジャズマン・オリジナル(それもなかなか珍しい選曲である)を交えたアルバムになっている。そこにSipiaginのオリジナル2曲,クリポタのオリジナル1曲,そしてウクライナ民謡"Vesnianka"が加わるというプログラムである。

このアルバムを聞いていると,やはりSipiaginとクリポタというフロントは強烈だし,リズム・セクションもパワフルである。アルバムとしても相応に楽しめることは間違いない。だが,ストリーミングで聞いているせいもあるかもしれないが,このアルバムを買いたい!ってところまでには至っていないというのが正直なところだ。このメンツとしては珍しいとも言えそうなDon Friedmanの"Summer's End"をはじめ,スロー・チューンの方に意外なよさを感じてしまうのが,私の天邪鬼なところと言ってもいいかもしれないが,アルバム全体でSipiaginとクリポタの対位法的なアプローチが出過ぎじゃないのって気もしてしまう。各人のソロは素晴らしいと思うが,アレンジメントとしてはどうかなぁってところだ。また,Ornetteの"Bird Food"を2テイク入れる必要性についても疑問を感じる。

だがこれだけのメンツである。がっかりさせられることはないが,私にとっては当面はストリーミングで聞いていればいいやって感じである。星★★★★。

Recorded on April 22, 2022

Personnel: Alex Spragin(tp, fl-f), Chris Potter(ts), David Kikoski(p), Matt Brewer(b), Johnathan Blake(ds)

2023年1月29日 (日)

長年未発表だったことが不思議なHampton Hawesのアルバム。

_20230126-3 "Bird Song" Hampton Hawes(Contemporary/OJC)

このアルバムは50年代に録音されていながら,1999年まで長年未発表だったアルバムである。このブログでHampton Hawesのアルバムを取り上げる機会は稀ではあるが,私にとってはCharlie Hadenとのデュオ盤である"As Long As There's Music"が印象深いが,バップ・スタイルのHampton Hawesも素晴らしいと思っているし,ちゃんとContemporaryからのアルバムも何枚かは保有している。記事にしていないだけなのだ(苦笑)。

改めて,このアルバムを聴いてみると,なぜ40年以上未発表だったのか全く理解できないナイスな出来である。全12曲中9曲はPaul Chambers,Lawrence Marableとのトリオだが,残りの3曲では何とScott LaFaroがベースを弾いているのが珍しい(ドラムスはFrank Butlerだ)。

そしてこのアルバム,特にPaul Chambers,Lawrence Marableとの56年録音の方は,ジャズマン・オリジナルにスタンダードを交えて,これが快調そのものなのだ。それに比べると,Scott LaFaro参加の58年の方はイマイチしっくりこないところがある。このアルバムの2つのセッションには2年以上のインターバルがあるから,元からこのフォーマットでリリースするつもりだったのかどうかはわからない。ライナーによれば,Scott Lafaroが参加した3曲は"For Real!"レコーディング時に録音されたトリオ・テイクではないかということだが,例えば”What’s New"とかを聞いていると,ベースのピッチがおかしいようにも聞こえるし,”I’ll Remember April"のアルコ・ソロなんかはこれが本当にLaFaro?と思ってしまう。なので,本作のデータには誤りがあると考える人がいるのも事実だし,確かに私もそう感じる部分がある。

とは言え,お蔵入りさせておくにはもったいないレベルのアルバムであったことは間違いなく,相応に楽しめる一枚ではある。星★★★★。

Recorded on January 18, 1956 and in March, 1958

Personnel: Hampton Hawes(p), Paul Chambers(b), Scott LaFaro(b), Lawrence Marable(ds), Frank Butler(ds)

2023年1月28日 (土)

Mike Mainieriとノルウェー軍団の共演。クールな響きが印象的。

_20230126-2 "Northern Lights" Mike Mainieri(NYC)

ライナーにも書いてある通り,Steps Aheadにも在籍したサックス奏者Bendik Hofsethの紹介により,Mike Mainieriがノルウェーのミュージシャンと共演したアルバムである。"Norwegian Posse"と書いているから,訳せば主題の通り,ノルウェー軍団(笑)ってところである。

アメリカのミュージシャンには北欧のミュージシャンとの共演は魅力的に映るのかもしれないが,Keith Jarrettはもとより,Billy Cobhamにも"Nordic"というアルバムがあって,本作である。参加しているのはまさに当時(現在も含めてと言ってもよいが...)の気鋭のノルウェーのミュージシャンたちである。

それでもって,いきなり"Nature Boy"から始まるのにはびっくりするが,サウンド的には所謂nuジャズってやつで,エレクトロニクスも多用した音楽なので,決してコンベンショナルなジャズではない。コンテンポラリーな響きが強い中で,演奏はクールで,決して熱くならないところが北欧的と言ってもよいかもしれないが,それをよしとするか否かで好みはわかれるはずだ。私のような雑食音楽リスナーにとっては,これはこれでありだ。

そして2曲目"Poochie Pie"の冒頭から響くLars Danielssonのベースの音が実に生々しくも腹に響く。エレクトリックとアコースティックをうまく配分,両立させた音楽は刺激的である。それに続くのがBjorkが主演した"Dancer in the Dark"から”I’ve Seen It All"だったり,"Flamenco Sketch"やら"Naima"までやっているのは何とも不思議な感覚であるが,どんな曲をやってもクールな感覚には変化がない。

同じようなテンポの曲が続くので,全編を聞いていて変化に乏しいと感じるリスナーもいるだろうが,そういう音楽だと思えば腹も立たない。音量を絞ってバーでプレイバックしてもおかしくない響きとも言えるし,ある意味どのようなアンビエンスにもフィットしてしまいそうなのがnuジャズたるところ。まぁ,バーと言っても,オーセンティックなバーよりも,ちょっと尖った感じのバーの方が適切だが(笑)。 星★★★★。

Personnel: Mike Mainieri(vib, marimba), Nils-Petter Molvær(tp), Bendik Hofseth(sax), Bugge Wesseltoft(key, synth, p, prepared-p), Elvind Aarset(g), Lars Danielsson(b), Andere Engen(ds), Paolo Vinaccia(perc), Jan Bang(sample, prog), DJ Strangefruit(turntable), Joyce Hammann(vln), Laura Seaten(vln), Ron Carbone(vla), David Eggar(cello), Gil Goldstein(string-arr)

2023年1月27日 (金)

バブル期に向かう日本を象徴するようなOTBのライブ・アルバム。

_20230126 "OTB Live at Mt. Fuji" OTB(Blue Note)

今にして思えばマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルというのは,日本のバブル経済を象徴するようなイベントであった。私も確か一度だけ参戦した記憶はあるのだが,誰を聞いたのかの記憶が全くない。結局参加することに意義があるみたいな感じだったのかと思うが,バブルが崩壊した後も続いていたのだから,ある意味大したものだ。

そんなマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルにおけるOTBのライブ盤は,バブル期に向かうその当時の日本にフィットしたイケイケ感たっぷりって感じの演奏を収めている。

前半4曲はピアノ・トリオ,後半3曲をセクステットという構成はなかなか面白いと思え,前半はピアノのHarry PickensがBud Powellに捧げるというかたちで演奏しているが,私はこの人のピアノは実力あるなぁと思っていた。だが,その後,あまり名前を聞かなくなってしまったのはちょっと惜しい気もするここでの演奏ぶりである。

後半のセクステット演奏は,それこそ勢いでブチかますという感じの演奏となっていて,オーディションを経て集められただけあって,相応に実力のあるメンツが揃っていたと思える。Ralph Petersonは亡くなってしまったが,今ではKenny Garrettが一番現役感を醸し出しているってところか。そう言えば,ここに参加しているRalph BowenとKenny Davisは出張中にSmallsで観たことがあったのも懐かしいが,彼らやMichael Philip Mossmanは教鞭を執っているというのも面白い。まぁ,人に教えるだけの実力はあるってことの裏返しだ。

まぁ,当時はみんな若かったってこともあり,勢いが勝ってしまって,コクとかは感じられないってのも事実なのだが,時代がそういう方向に流れていたってことにすればいいと思う。星★★★★。

Recorded Live at Mt. Fuji Jazz Festival on August 31, 1986

Personnel: Michael Philip Mossman(tp), Kenny Garrett(as), Ralph Bowen(ts), Harry Pickens(p) Kenny Davis(b), Ralph Peterson, Jr.(ds)

2023年1月26日 (木)

Harper Brothersを迎えたTete Montlieuのライブ盤。

_20230124 "En el San Juan" Tete Montlieu(Nuevo Medios)

このアルバムを初めて聞いたのは,今はなき高田馬場のマイルストーンだったはずだ。マイルストーンは学生時代からよく通った店であったが,卒業後もたまに顔を出していたのだが,店のアンビエンスに合致したリラックス感が心地よく感じられて,その後すぐに購入したように思う。

Tete Montlieuが亡くなったのは97年だが,このライブが録音されたのが95年なので,晩年のアルバムということになるが,ここではHarper Brothersを迎えての演奏というのが珍しい。Harper Brothersの活動期間からはちょっとはずれた時期になっているが,このライブのために特別に再編したって感じだろうか。北川潔も参加しての演奏である。

Tete Montlieu以外のプレイヤーに注目されるところであるが,Harper Brothersはそれなりの演奏。もう一人Danny Harperなるフリューゲルホーンが参加しているが,この人はHarper Brothersの弟らしいのだが,トランペットのPhillip Harperに比べると技量はかなり落ちるって感じである。むしろここでの演奏で注目されたのがテナーのStephen Rileyだろう。この人,その後SteepleChaseにリーダー作を何枚も吹き込んでいる人だが,このライブの当時は20歳そこそこの若手だったはずにもかかわらず,なかなかの実力者だと思わせるのが拾い物であった。

最近,このアルバムはアナログ2枚組で再発されたようだが,演奏としては特に優れたものということでもない。しかし,上述の通り,リラックス感はあって,そこそこ楽しめるアルバムだと思う。星★★★☆。

因みにHarper BrothersのWinard Harper,Phillip Harperは現在は個別に活動しているようだが,あまり目立った活動とは言えないし,あまりアルバムのリリースもされていない。以前はVillage Vanguardでのライブ音源も残しているが,その後の失速感は否めない。私の感覚では,Stephen Rileyの活動ぶりが当然と思えるのと対照的だ。

Recorded Live at Colegio Mayor San Juan Evangelista on June 19, 1995

Personnel: Tete Montlieu(p), Phillip Harper(tp), Danny Harper(fl-h), Stephen Riley(ts), 北川潔(b), Winard Harper(ds)

2023年1月25日 (水)

フィジカルでリリースされないのが惜し過ぎるLizz Wrightのライブ音源。

Holdingspace"Holding Space: Live in Berlin" Lizz Wright (Blues & Greens)

私が最初にLizz Wrightの音楽に接したのは"The Orchard"でのことだったが,そこから遡ってデビュー作含めて,ずっとLizz Wrightの音楽を聞いてきたし,彼女のアルバムが出れば,高く評価してきたつもりだ。彼女のさまざまなタイプの音楽に根差した歌唱,そして声は実に魅力的であり,これまでも,そしてこれからも期待できる歌手だと思っている。

そんなLizz Wrightの最新作は,彼女自身が設立したと思しきBlues & Greensレーベルからのもので,去年の夏場にはリリースされていたはずだ。しかし,このアルバム,フィジカルな媒体では発売されず,ストリーミング/ダウンロード・オンリーというかたちになっていたため,私は聞いてはいたものの,このブログにアップできていなかった。

このライブ音源は,2018年の欧州ツアーの模様を収めたものらしく,録音から少々時間は経過しているが,改めて聞いても,その音楽の魅力は不変である。私が彼女のライブに接したのはもう7年以上前のCotton Clubにおいてであったが,その時の感動が甦るような素晴らしいアルバムだと思う。

バック・バンドもタイトなまとまりを示し,Lizz Wrightの歌唱を適切にサポートしているのも嬉しいが,とにもかくにもLizz Wright本人の歌が魅力的過ぎる。来日時にも歌ったNeil Youngの"Old Man"のカヴァーなんか最高だよなぁと思ってしまう。私がフィジカルな媒体にこだわってさえいなければ,このアルバムは間違いなく昨年のベスト・アルバムの一枚に加えていたと思わざるをえない素晴らしい音源。星★★★★★。

このアルバムとタイミングは違うが,North Sea Jazz Festivalで歌った"Old Man"の映像を貼り付けておこう。MCやらイントロやらに続いて,Lizz Wrightが歌いだした瞬間,くぅ~っとなること必定。また来日してくれないものか...。

Recorded Live in Berlin in 2018

Personnel: Lizz Wright(vo), Chris Bruce(g), Bobby Ray Sparks II(key), Ben Zwerin(b), Ivan Edwards(ds)

2023年1月24日 (火)

改めてEnrico Pieranunziの美音に浸る。

_20230122"Untold Story" Enrico Pieranunzi(IDA)

私はEnrico Pieranunziのアルバムはそこそこ保有していると思うが,いかんせん多作の人なので,全部なんてことにはならない。しかし,私が彼のファンであることは間違いないところなのだが,このブログにおいては,新譜としてリリースされたアルバムは記事にすることもあったが,手持ちのディスクはあまり書いていなかったなぁということで,今回取り出したのがこのアルバムである。

Enrico PieranunziがIDAレーベルに吹き込んだ3枚は,プレス枚数が少なかったのか何なのかよくわからないが,なかなか入手が難しいようで,オリジナルのフランス盤は結構な高値で取引されている。まぁ,音だけ聞くなら,ジャケ違いの再発盤でもいいのだが,私はなぜかそのIDA盤をすべて持っている。だが,なんで買う気になったのか,いつ,どこで買ったのかという記憶が欠落している。いずれにしても,90年代の初頭に”No Man’s Land"で初めて接した彼の音楽に魅かれて,その後いろいろなアルバムを買い足していった頃のものだろう。

そんな本作を久々に聴いたのだが,これが音もよく,聞いている方が嬉しくなるような美音,美旋律の連続なのだ。Marc Johnson, Paul MotianというBill Evansゆかりの二人との共演だが,Bill Evans的に響く部分もありながら,Enrico Pieranunziならではの個性は十分に確立していると思えるピアノ・トリオ演奏となっている。全9曲中,Pieranunziのオリジナルが5曲,Paul Motianのオリジナル2曲,3者のインプロヴィゼーションと思われるその名も"Improlude"に,John Lewisの"Django"という構成も魅力的であり,美的な面だけでなく,ややハード・ドライヴィングに響く演奏も含まれていて,全編を通じてだれることがないのは立派。星★★★★☆。

Recorded on February 15 & 16, 1993

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Marc Johnson(b), Paul Motian(ds)

2023年1月23日 (月)

ライブ演奏なのにフェード・アウト?と驚いたのも今は昔の10CCのライブ・アルバム。

_20230120 "Live and Let Live" 10CC(Mercury)

以前にも書いたことだが,10CCの全盛期は70年代中盤から後半にかけての時期だと思うが,そうした時期にリリースされたのがこのライブ・アルバムである。以前,私は本作をアナログ盤で保有していたが,今ではMercury時代(75-78年)のアルバムを集成したボックス・セットに収められたものとして聞いている。このボックス,どうせなら1stと"Sheet Music"も入れてくれればよかったのにと思うが,まぁいいや。

このアルバムを初めて聞いた時,ライブ演奏にもかかわらずフェードアウトする曲があってびっくりさせられたものだが,当時の論調はスタジオでの演奏を再現する「能力」みたいな感じだったように記憶する。しかし,10CCの曲はそんなテクニカルなものではないので,プロダクションに対するこだわりの裏返しと考える方が正確ではないかと思える。

このアルバムはGodley & Creme組が抜けた後にリリースされた"Deceptive Bend"ツアーの位置づけらしく,同作からの曲が多く,過去のヒット・パレード的ではないが,当時の10CCの進行形のライブというかたちで捉えればいいものだろう。その辺り,ベスト盤的な位置づけにしていいようにも思えるが,ソングライターとしてのEric StewartとGraham Gouldmanは,Godley & Creme色を薄めたいと思っていたのかもなぁと思う。

いずれにしてもよく出来たライブ盤で,バンドの実力も十分捉えられたものだと思う。そして,やっぱりいい曲書くわと改めて感じさせられた。星★★★★。しかし,このジャケは...ってところだが。

Recorded Live at Hammersmith Odeon on June 18-20 and at Manchester Apollo on July 16-17, 1977

Personnel: Eric Stewart(vo, g, p, el-p), Graham Gouldman(vo, b, g), Rick Fenn(g, b, vo), Tony O'Malley(vo, p, key, synth), Paul Burgess(ds, perc, el-p), Stewart Tosh(ds, perc, vo)

2023年1月22日 (日)

Art Pepperの”No Limit”を聴くのも実に久しぶり。

_20230118 "No Limit" Art Pepper(Contemporary)

Art Pepperの音楽に関しては,50年代から60年代前半までと,70年代になってからの復帰後でどちらがいいかという議論は今でも存在していると思う。前にも書いたと思うが,私としては古い音源の方に愛着はあるものの,復帰後には復帰後なりの魅力があると思っている。

本作は"Living Legend"で本格的に復帰して,3作目のアルバムということになるが,アルトとテナーの両方を吹く"Mambo De La Pinta"に象徴されるような,John Coltraneに影響を受けたと思しき激しいブロウっぷりには今更ながらびっくりさせられる。アルバム全体を通して,Art Pepperに関しては問題ないのだが,このアルバムになかなか手が伸びない理由を考えると,ベースとドラムスにあると今回久しぶりに聴いて思ってしまった。

私が聞いていていかんなぁと思うのがTony Dumasの増幅感ありありのベースで,この音色が相当気持ち悪い。またドラムスのCarl Burnettは昔から私の中では評価が低い人なので,この二人がうるさく感じてしまうのがこのアルバムの難点だろう。このリズム隊を聞いていると,Vanguardでのライブのバック(George MrazとElvin Jones)がいかに優れているかっていうのは明らかなのだ。音も違えば,味わいそのものも違ってきてしまうという感じだ。ついでに言っておけば,ピアノのGeorge Cablesもフレージングはさておき,音がしょぼい。

No-limit よって,Art Pepperの演奏は評価できても,収められた音自体で積極的に聞く気がなくなるという不幸なアルバム。"Ballad of the Sad Young Man"とか"My Laurie"のバラッド表現はいいと思えるだけに惜しいねぇ。星★★★☆。因みに"Ballad of the Sad Young Man"は,Art PepperがラジオでRobert Flackのこの歌を聴いて,感動して吹き込みを決意したという意外なエピソードもライナーに書かれている。

尚,CD化に際してタイトル・トラック"No Limit"が追加収録されているが,なんでオリジナルには入れなかったんだろうねぇと思わせるような演奏。国内盤初出時はArt Pepperの写真が使われたジャケットだったのも懐かしい。私はこの写真はあまりいいとは思わないけどね(笑)。

Recorded on March 26, 1977

Personnel: Art Pepper(as, ts), George Cables(p), Tony Dumas(b), Carl Burnett(ds)

2023年1月21日 (土)

改めて生オケを聴きたくなり,今回は「アルプス交響曲」ほか。

Suntory-hall

昨年,Nelsons/ボストン響でショスタコの5番を聞いて以来,オーケストラの生演奏の魅力を再確認してしまった私である。その後,Slatkin/N響でコープランドを聞いて,今度は山田和樹が振る読響で,リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」を聞くべく,久々にサントリー・ホールに行ってきた。私がサントリー・ホールに行ったのは,Brad Mehldauのトリオを聞きに行って以来だと思うが,このホールでオーケストラを聞くのは,はるか昔のSinopoli/フィルハーモニアのマーラーの「復活」以来ではないか?あれは私が地方勤務をしている頃だったので,1987年のはずである。何とまぁって感じだが,それだけオーケストラのライブとは縁遠い生活を送っていたってことだ。考えてみれば,なんてこった!ってところだ(爆)。まぁ,一時期はクラシックだけでなく,ライブそのものからも離れていたから,仕方ないと言えば仕方ないのだが...。

それでもって,ショスタコで目覚めたというのはやはり「大編成」オケの魅力である。「アルプス交響曲」はその編成の大きさもあって,これは聞きに行ってもいいなと思って,急遽参戦したのであった。実のところ,チケットを買ったのは3日前という実に気まぐれだったのだが,今回もオーケストラのサウンドを十分に楽しんだと言える。

今回の演奏会では第一部で矢代秋雄の交響曲を演奏したのだが,これが予想以上に面白かった。現代音楽的な響きと言うよりも,私には和風の旋律も交えた映画音楽のように感じられる瞬間もあった訳だが,吹奏陣,打楽器陣の活躍の場も多く,山田和樹が飛びながら(本当にジャンプしていたのだ:笑)指揮しているのには思わず笑ってしまった。しかし,この曲も編成は非常に大きなもので,オケのダイナミズムを感じさせるに十分であった。

そしてメインの「アルプス交響曲」であるが,正直言ってしまえば,私はオケのレパートリーとしては人気のあるリヒャルト・シュトラウスの交響詩を好んで聞いてきたとは言えないし,「アルプス交響曲」とて,その音楽の物語性は劇的だとは思いつつ,まぁそれはそれでいいじゃんぐらいの思い入れの無さである。まぁ,それでも今回の演奏では客席に別動隊のバンダも配して,大編成オケならではの演奏であった。ただ,この曲が夜に始まり,夜に終わるという構成ゆえ,聴衆の熱狂は誘いにくいところもあるような気がする。実に安直な言い方をすれば,フィナーレは「ぐうゎ~っ」(笑)と終わって欲しいというのが私の感覚である。それはこの曲の本質を理解しておらん!とお叱りを受けそうだが,ライブは熱量を上げたいと思ってしまうのだ。この曲自体は中盤にその「ぐうゎ~っ」が来てしまうから,そこで上がった熱量を維持できればそれはそれでいいのだが,それが難しいのも事実のように思える。

いずれにしても,やはり生演奏はいいよねぇと改めて感じさせてもらった一夜ではあったが,私は矢代の交響曲の方がリヒャルト・シュトラウスよりも楽しんでしまったかもしれないな。さて,次は何に行こうかな(笑)。

Live at サントリー・ホール on January 19. 2023

Personnel: 山田和樹(cond),読売日本交響楽団

2023年1月20日 (金)

Little Featボックスから今日は”Time Loves a Hero”:随分Little Featのイメージと違うサウンドと言うべきか。

_20230117 "Time Loves a Hero" Lettle Feat(Warner Brothers)

先日ゲットしたLittle FeatのWarner音源の集成ボックスをランダムに聞いている。本日は6作目のアルバム,"Time Loves a Hero"なのだが,これが随分Little Featに私が持つ印象と異なるサウンドでびっくりしてしまった。

端的に言ってしまえば,泥臭いイメージではなく,洗練された都会的サウンドと言うべきか。Doobie BrothersがMichael McDonaldの加入と,Tom Johnsonの病気によってバンド・サウンドが変化させた時を思い起こさせるような違いを感じる。だって,"Day at the Dog Races" なんて変拍子のインストだし,都会的ファンク・フレイヴァーもそこかしこに聞かれる。これはリーダー,Lowell Georgeがリード・ヴォーカルを3曲しか取っていないことから,アルバムへの関与度が低いことを反映したものと言えるかもしれないが,この違いをどう受けとめるかによって評価が変わるアルバムだ。

このサウンドの変化を裏付けるように,このアルバムにはDoobie BrothersからMichael McDonald,Patrick Simmons,Jeff "Skunk" Baxterがゲストで参加しているが,特にMikeとPatがヴォーカルで参加した"Red Streamliner"なんて,もろに"Takin’ It to the Streets"で聞かせたDoobie Brothersのサウンドを踏襲したものと言ってもよい。この曲を書いたのはBill Payneだが,Bill PayneはDoobiesのアルバムにも参加していたし,まぁ相互の触発ってのはあったのかもしれないが,それにしてもこれにはびっくりしてしまう。まぁ,プロデューサーが同じTed Templemanだったってこともあるだろう。

Doobie Brothersの場合はサウンドの洗練化後も,特にアルバム,"Minute by Minute"で大きな成功を収めたが,Little Featの場合,本作の次作は"Waiting for Columbus"であるから,従来路線に戻ったことからすれば,これはやはり一時的なものであったと考えた方がいいのかもしれない。だが,音楽だけで冷静に判断すれば,これはこれでありだと思わせるし,決して悪いアルバムとは思わない。単にそれまでのイメージと違うということが,Little Featファンからは反感があったかもしれないが,私のようにこれまで彼らの音楽に対して触れていない人間からすると,「へぇ~」って感じであった(笑)。彼らの本質とは違うかもしれないが,音楽としては相応に楽しめる。星★★★★。

Personnel: Paul Barrère(vo, g), Sam Clayton(perc, vo), Lowell George(vo, g), Kenny Gradney(b), Richie Hayward(ds, perc, vo), Bill Payne(vo, p, synth, marimba) with Greg Adams(tp), Jeff "Skunk" Baxter(dobro), Emilio Castillo(ts), Mic Gillette(tb, tp), Stephen "Soc" Kupka(bs), Michael McDonald(vo), Lenny Pickett(as, ts), Patrick Simmons(g, vo), Fred Tackett(mandocello, g)

2023年1月19日 (木)

これぞキラ星のごとき出演者:"Carnegie Hall Salutes the Jazz Masters"

Carnegie-hall-salutes-the-jazz-masters "Carnegie Hall Salutes the Jazz Masters" Various Artists(Verve)

先日,Joe Hendersonの"Double Rainbow"を取り上げたが,あのアルバムの制作の契機はこのコンサートでのJoe HendersonとAntonio Carlos Jobimとの共演にあったとライナーに書いてあった。私はこのディスクそのものは未聴だったのが,以前はこのライブの模様を収めたレーザーディスクを保有していた。しかし,レーザーディスク・プレイヤーそのものがもはやメンテ不能となり,ソフトも全て廃棄してしまったのだが,やはり映像はあまり見ないということで,このライブ映像も数回見たに留まるはずだ。出演する豪華なメンツが,男性(Pat Methenyさえもである:笑)はタキシードで演奏していたのが印象に残っている。ということで,ちょっと懐かしさもあって聞いてみるかってことで,中古でゲットしたもの。

このコンサート自体はVerveレーベルの50周年記念ということで開催されたもので,各々の収録曲がかつてのVerveに在籍したミュージシャンたちにトリビュートするかたちでの演奏という形態を取っている。当時のVerveレーベルは相当なミュージシャンを抱えていたこともあって,このライブに出演したミュージシャンも主題の通り,キラ星のごときもので,まさに50周年を祝うに相応しい豪華さであった。メンツは下記のPersonnelをご覧頂きたいが,これだけのミュージシャンに一堂に会するというのは米国においてもなかなかないことだと思う。バックのビッグバンドのメンツだって相当凄い。それぐらいのイベントであり,これを目撃できた人は幸せだと言いたい。当時,Verveと契約していた山下洋輔も登場し,ピアノ・ソロでBud Powellに捧げるというかたちで,"Parisian Thoroughfare"をやっているが,ここではさすがの山下洋輔もそれっぽいフレーズは繰り出しながらも,山下洋輔としてはおとなしめの演奏となっている。まぁ,これだけの大御所に囲まれてはそうなるよねぇ。

まぁ,こういうイベントのライブであるから,お祭り的なものとして捉えるべきで,出来がどうこうと言うべきものではないが,それにしても凄いメンツが集ったことにはやはり驚きを隠せないと言うべきだろう。意外なところでは,本イベントでVanessa Williamsとともにホストを務めたHerbie Hancockが,John McLaughlinのデュオで,Bill Evansに捧げる"Turn Out the Stars"をやっているが,これもJohn McLaughlinが"Time Remembered"というアルバムで,Bill Evansの曲を演奏していたことを踏まえてってところか。それでもこのライブにおけるハイライトはAntonio Carlos JobimとPat Methenyのデュオによる"How Insensitive"になってしまうのかもしれないなぁ。Jobimのヴォーカルは相変わらずのヘタウマの世界だが...(笑)。ついでに言っておくと,Verveレーベルとは縁のなかったはずのMiles DavisにもちゃんとトリビュートしているところがMiles Davisたる所以か。Herbie HancockとJohn McLaughlinほかで"It’s About That Time"をやっているが,演奏ははっきり言って大したことないな(苦笑)。

ということで,YouTubeに映像がアップされていたので貼り付けておこう。2時間近くあるが,どこから見てもへぇ~となってしまうような映像のはずだ。

Recorded Live at Carnegie Hall on April 6, 1994

Personnel: Don Alias(perc), Tom Barney(b), Dee Dee Bridgewater(vo), Ray Brown(b), Kenny Burrell(g), Betty Carter(vo), Peter Delano(p), Al Foster(ds), Charlie Haden(b), Herbie Hancock(p, key), Roy Hargrove(tp), Joe Henderson(ts), Bruce Hornsby(p, el-p), Antonio Carlos Jobim(p, vo), J.J.Johnson(tb), Hank Jones(p), Abbey Lincoln(vo), Jeff Lorber(key, ), Christian McBride(b), John McLaughlin(g), Jackie McLean(as), Pat Metheny(g), Art Porter(as), Stephen Scott(p), Jimmy Smith(org), Gary Thomas(ts), Kenny Washington(ds), Vanessa Williams(vo), 山下洋輔(p) with the Carngie Hall Jazz Band: Randy Brecker(tp), Earl Gardner(tp), Lew Soloff(tp), Byron Stripling(tp), Slide Hampton(tb), Doug Purviance(tb), Steve Turre(tb, shells), Dennis Wilson(tb), Jerry Dodgion(as), Franks Wess(as), Alex Foster(ts), Willie Williams(ts), Gary Smulyan(bs), Renee Rosness(p, el-p), Dennis Irwin(b), Kenny Washington(ds), Don Sickler(cond)

2023年1月18日 (水)

Everything but the Girl:24年ぶりのアルバム・リリースを前に。

Ebtg

Everything but the Girlがこの春,24年ぶりとなる新作"Fuse"をリリースするというニュースは,長年の彼らのファンにとっては待望と言ってよい知らせであった。その間,Ben Watt,Tracy Thornの各々がソロ・アルバムをリリースしていて,それらはそれらで実によいアルバムだったのだが,この二人がユニットで生み出すサウンドへの渇望感も一方に存在していたのは事実であった。

そんな彼らがアルバムのリリースを前に先行して"Nothing Left to Lose"のMVを公開しているが,これを見ると,どちらかと言えばやはり後期の彼らのサウンドを踏襲した感じかなと思えるものである。私にとって,彼らのアルバムはリミックス音源を集めた"Adapt or Die: Ten Years of Remixes"が最新のものということになるが,Ben Wattが一時期DJ活動に熱心だったこともあり,アコースティックな路線ではないとは思っていたが,まずは想定通りというところか。いずれにしても,新作がアルバム全体を通して,どのようなサウンドになっているかが楽しみであり,リリースを首を長くして待っている私である。

ということで,"Nothing Left to Lose"の映像を貼り付けておこう。それにしても,上の近影を見ると,Tracy Thornの髪が綺麗な白髪になっているが,彼女は私とほぼ同年代(私より一つ下)なので,染めているのかなぁなんて想像してしまった。

2023年1月17日 (火)

久しぶりにEgberto Gismontiを聴く。

_20230115 "Dança das Cabeças" Egberto Gismonti(ECM)

「輝く水」という邦題でリリースされていた本作はEgberto Gismontiによる記念すべきECM第一作。近年Egberto Gismontiのレコーディングは新録としては"Saudações"が最後で,それ以来行われていないようだが,最近はどうしているのだろうか?私は近年では2007年と2016年の来日公演を観ているが,どちらも強烈な印象を残すライブであった。2007年は晴海の第一生命ホール,2016年は練馬文化センターというちょっと変わったヴェニューでのライブというのも記憶している理由になるかもしれない。

それはさておき,このアルバムを聴いたのも実に久しぶりのことであった。ECMのミュージシャンの中でもギタリストとしてはRalph Towner,Pat Methenyのアルバムと並んで別格扱いにしているにもかかわらず,あまりプレイバックしていないのも困ったものということもあり,取り出してきたもの。ECMレーベルに相応しいボーダレス感に溢れたアルバムと言ってよいだろうが,アナログであればA面に相当するPart 1がより土俗的な感覚が強いのに対し,B面に相当するピアノで演じられるPart 2前半はKeith Jarrettがかつてよく聞かせたフォーク・タッチにも通じるところを感じさせながら,より美的な展開を図るのが実に面白い。そして後半に改めてギターにチェンジしても,Part 1とは明らかに異なるリズム感覚を打ち出している。

私が二度接したライブでも第一部はギター,第二部はピアノという構成だったと記憶しているが,楽器によって感覚の違いを出すっていうアプローチだったのかもしれないと思わせる演奏と言ってもいいだろう。私としてはEgberto Gismontiはギタリストという位置づけではあるが,本人にとってはピアノもギターも主楽器なんだろうなぁと思わせるに十分。ピアノもうまいRalph Townerに通じるところも感じていた私である。

久々に聴いたが,これは傾聴に値する作品であることは間違いない。これ以外のEgberto Gismontiのアルバムもちゃんと聞き直すことにしよう。星★★★★☆。

Recorded in November, 1976

Personnel: Egberto Gismonti(g, p, wood-fl, vo), Nana Vasconselos(perc, berimbau, corpo, vo)

2023年1月16日 (月)

Ondřej Štveráčekの新作登場:Space Projectのライブ盤。

_20230114 "Space Project Live" Ondřej Štveráček(Stvery)

ジャズ界のおんどれ君ことチェコのテナー・サックス奏者,Ondřej Štveráčekについてはこのブログにも何度も登場し,その都度,結構贔屓にしてきた。John Coltraneの影響を受けたOndřej Štveráčekのテナーは,多くのリスナーの耳を惹きつけるだけの魅力を持つものと思っている。そんなOndřej Štveráčekの前作は"Space Project"というエレクトリック・サウンドを追求したものであり,それまでのイメージを覆す感じで私を驚かせたのであった。そのおんどれ君の最新作がリリースされたので,本人に連絡を取り,チェコから飛ばしたものが先日デリバリーされた。本作はそのSpace Projectによるライブ盤である。

当然,Space Project名義であるから,またエレクトリック路線でブイブイ言わせるものと思わせるのだが,これがちょっと違うのだ。冒頭の2曲こそエレクトリックで始まるが,3曲目の"Spanish"はアコースティックで,John Coltraneフォロワー路線が明確に打ち出され,私としてはおやっ?と思ってしまう。まぁ,Space Projectと言ったって,ドラマーは最近共演の多かったGene JacksonからDavid Hodekに代わっているが,基本的にメンツはいつものメンツなのだから,エレクトリックだろうが,アコースティックだろうがやれてしまうことはわかる。しかし,Space Projectを名乗る以上,路線は明確にした方がよくないか?それに続く"Control"もKlaudius KováčのMcCoy Tynerライクなピアノが聞こえてきるのはいいとして,1分19秒で唐突にフェードアウトしてしまう構成は一体どういうことなんだと思ってしまう。そして,それに続く"The Ferret"はエレクトリックに戻るのだ。この辺に私は戸惑ってしまったというのが正直なところだ。

更にそれに続く"Speed"はDavid Hodekのドラムス・ソロなのだが,これも1分50秒でフェードアウトし,次の"To Nowhere And Back"は13分越えの演奏となっていて,その次の"Sonic"はフェードインから2分弱でフェードアウトと,これらのフェードアウトされる曲はインタールード的なものと解釈すればいいのかと思ってしまう。しかし,それが成功しているかと言えば,そこは少々疑問に感じる。おんどれ君としては,レコーディングしたものは何らかのかたちで音源として残そうとしたのかもしれないし,9曲目の3分程度の"Vibe"がベース・ソロであることを考えると,短い尺の曲はメンバーのショーケース的なものとしたかったのもしれないが,聴き手に違和感をおぼえさせてしまっているのは何とももったいない。

そして,最後が"Maiden Voyage"をアコースティック路線で締める訳だが,私としてはやはりこのエレクトリックとアコースティックの混在,そしてアルバムとしてのプロダクションには中途半端さを感じてしまい,いつものおんどれ君のようにはこのアルバムに没入できなかったというのが正直なところである。

演奏自体は悪いとは思わないので,ここはプロデューサーとしてのおんどれ君に,もう少し修行して欲しいという感じか。いつも贔屓にしているがゆえに辛口になってしまったが,今回は「う~む...」となっても,次にはまた期待したいと思う。星★★★☆。

尚,本作は本人から直接送ってもらったので,ライナーには下の写真のようにサインを入れて送ってくれた。

Recorded Live at U Malého Glena, Prague on March 26, 2022 

Personnel: Ondřej Štveráček(ts,effects),Klaudius Kováč(p, synth), Tomáš Baroš(el-b, b), David Hodek(ds)

_20230114-2

2023年1月15日 (日)

第1作は見ていないのだが,「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」を観に行った。

Avatar「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター("Avatar: The Way of Water")」(’22,米,20世紀)

監督:James Cameron

出演:Sam Worthington, Zoe Saldana, Sigourney Weaver, Kate Winslet, Stephen Lang, Cliff Curtis

世界中で大ヒットしているにもかかわらず,日本ではイマイチらしいこの映画であるが,珍しくも家人からの誘いもあり,3D,IMAXでの鑑賞と相成った。

実は私はこの映画の第1作を見たことがないので,ストーリーの展開については想像するしかない訳だが,別に第1作を見ていなくても,単体で見ても問題はないと思えるものであった。シナリオはさておき,この映画はその映像に圧倒されるという感じで,最近の3Dは以前に比べると随分と改善された感じもするし,IMAXのサウンド効果もあって,視覚,聴覚に与える感覚的な刺激は大きい。

だが,どうなんだろうねぇ。この映画,3時間12分という長尺であるが,ここで描かれるストーリーだけならこの尺は必要ないとしか思えない。Peter Jackson版「キング・コング」でも同じようなことを書いたが,ストーリーとして不必要なシークエンスが多過ぎやしないか?結局,James Cameronが見せたいのは「圧倒的な映像」という一点ではないのかと思いながら,映画を観ていた私である。確かに映像や特撮技術は凄いねぇとは思っていたが,どう考えても映画としては冗長なのだ。

モーション・キャプチャーやCGを駆使した映像にはびっくりするし,Sigourney Weaver演じるKiriと,彼女の実年齢のギャップには笑うしかない。しかし,Sigourney Weaver含めて役者陣が水中シーンを演じているってのには改めて感服せざるをえないが。

まぁ,映画としてはそこそこ楽しめるとは言え,これってどっかで見たことあるよなぁというデジャヴ感もありありの映画で,私としては評価は星★★★程度が限界。20世紀フォックスをディズニーが買収したことで,いかにもディズニー的な感じがするのも気に入らない要因かもなぁ。

«Jeff Beckを偲んで,なのだが,この荒々しさに改めて興奮してしまう。

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