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カテゴリー「SSW/フォーク」の記事

2012年5月26日 (土)

Rachael Yamagataのライブはよかった。

Rachael_yamagata 先日開催されたビルボード・ライブ東京におけるRachael Yamagataのライブに出掛けてきた。私が行ったのは21:30スタートの2ndセットである。実は当日まで行けるかどうか怪しかったのだが、何とか行けることになったので、当日になって、カジュアル・シートを予約しての参戦である。

私はこのブログでも彼女のアルバムを取り上げてきているし、結構なファンだと言ってもよいはずである。最新作"Chesapeak"は彼女がPledge Musicで資金繰りをしている際に、私も微々たる金額ながらスポンサーとなったクチであることからしてもそれはお分かり頂けると思う。

しかし、ライブとなると私が暫くライブに行くことから遠ざかっていたこともあるが、これまで縁がなかった。彼女はこれまで何度か来日しているはずだが、行きたい、行きたいとは思いつつ、その機会を逃してきたので、今回は何とか見に行きたいと思っていた。ということで、行けたことだけで満足なのだが、演奏もこれが優秀なバック・バンドにも恵まれて非常によかったと思う。編成は彼女に加えて、ギター、ベース、ドラムスにチェロという編成。チェロというのが変わっているが、彼女のアルバムでもチェロは使ってきていたからその流れの中でのバンドってことだろう。

レパートリーは新旧取り混ぜてのバランスの取れたものだったが、どの歌も聞かせどころを持ついい曲ばかりだったと思う。意外だったのはバックのメンバー、特にギターのMichael Chavezがロック・タッチを持ち込んでいたことだろう。Rachaelのアルバムにはそこはかとなくロックを感じさせる部分もあるが、今回はライブということもあり、結構激しいなぁと思わせる曲もあったからである。だが、それが悪いということではない。私はむしろ支持したいと思うような演奏であったし、バックは結構タイトな演奏を繰り広げていたのがよかった。私はチャージが結構安いので、もっと小編成かと思ったが、ちゃんとしたバンドだったのは嬉しかった。カジュアル・シートで4,500円なら完全に元を取ったと思わせてくれる内容であった。

まぁ、文句をつけようと思えば、ちょっとPAの音量がビルボードという箱に対しては過剰ではないのかとか、Rachaelのギターの腕はイマイチだとかいろいろある。しかし、私にとっては彼女の生歌が聞けただけで幸せなのである。あの声で、あの曲、特にダークな曲調を聞かされたらまいってしまうのである。

彼女には失礼ながら、以前の写真から比べると、体重は随分と増えたようにも思うが、見た目は問題ではない!あるいは東京を最後とするアジア・ツアーで爆食したのではないかとも勘繰りたくなったのも事実ではあるが、彼女の魅力はあくまでも歌なのだからいいのだ。

時が時なら、Adeleのようにバカ売れしたかもしれないにもかかわらず、彼女のポピュラリティは上がっていかないのが不思議に思えるが、このライブを聞けば、そこにいた聴衆はもっと人気が出ていいはずだと思ったのではないか。70分程度のステージではあったが、遅い時間にでも駆けつけてよかったと思えた好ライブであった。また来日することがあれば、絶対行くと思わせてくれた彼女に感謝。

2012年3月23日 (金)

2,000本目のエントリーはJoni Mithchellで

Miles_of_aisles "Miles of Aisles" Joni Mitchell and the L.A. Express (Asylum)

長年ブログをやっていれば,記事の数が積み重なるのは当たり前のことだが,飽きっぽい私が6年目にしてついに2,000本目のエントリーというのは我ながら信じ難い。こうなってしまうとなかなかやめられないというのが正直なところだが,さすがに最近毎日更新はきついと感じるようになっている。それでもできるだけ更新はするようにしてはいても,「本日は...」だの「今日はお休みです」だのってのが増えてしまっているのも事実。まぁ,これからも気楽に続けていきたいものである。

その2,000本目のエントリーに選んだのが懐かしのJoni Mitchellによるライブ盤である。このアルバムがリリースされたのが1974年であるが,まだジャズに傾斜する前の,シンガー・ソングライターとしてのJoniのキャリア前半のベスト盤的位置づけにあると言ってもよいだろう。録音が3か所で行われていて,雰囲気の違いがかなり出ているのが編集的にはどうなのよと言いたくなるのも事実であるが,それでもこれはバックのL.A. Expressの演奏とも相俟って楽しめるアルバムである。

Joniらしい変則チューニングの模様や,語りも含めて収録されているところが,往時のSSWのアルバムって感じもするが,ここで聞かれるJoniのギター・チューニングの数々には改めて目が点になる思いである。よくもまぁここまで考えるものだと思うとともに,よく弾きこなすものだと言わざるをえない。まさにこれはOne & Onlyの世界である。Joni Mitchellという人は,歌手,ソングライターとしてと同じぐらい,変則チューニングを駆使するギタリストとして評価しなければならないということを改めて痛感させられた私である。

そして,このブログでも先日取り上げた"The Circle Game"も収録されているが,先日のBuffy Sainte-Marie盤の記事を書いた時には,そちらに馴染みがあり過ぎて,Joniのオリジナル・バージョンを聞いた時には違和感があったと記した。しかし,ここでの歌唱は,聴衆にも歌わせるという演出もあって,「おぉっ,いかにもSSW」って感じで微笑ましいし,スタジオ盤よりも私はこっちの方が好きかなぁ。CSN&Yの"4 Way Street"にしろ,本作にしろ,そういう時代だったのだ。ここではJoniが面白いことを言っていて,"The Circle Game"は一人で歌うよりも,大人数で歌うことを意識して作った歌,それも調子っぱずれな歌が入ってもOKみたいに言っている。これは聴衆の参加を促すためのセリフとも言えようが,いずれにしてもこういうのって時代を感じさせるものだが,これはこれで楽しいのである。

また,聴衆があれを歌え,これを歌えとやかましいが,途中で聴衆が叫ぶ"Joni, you have more flash than Mick Jagger, Richard Nixon, or Gomer Pyle combined!"というセリフにJoniも爆笑しているのも微笑ましい。このあたりは米国のTV文化に通じていないとわからんと言っても仕方ないが,こういうのも微笑ましさを感じさせるのである。

同じ1974年にリリースされた"Court & Spark"から1曲しか演奏していないのは解せないが,それでもこれは選曲よし,歌よし,演奏よしの三拍子そろったナイスなアルバムである。これと"Shadows & Light"のどちらかを選べと言われたら,それは究極の質問だと逃げたくなってしまうかもしれない。それぐらい楽しめるアルバムである。星★★★★★。

Recorded Live at the Universal Amphitheatre on August 14 through August 17 except "Cactus Tree" Recorded at L.A. Music Center on March 4 and "Real Good for Free" Recorded at Berkeley Community Center on March 2

Personnel: Joni Mitchell(vo, g, p, dulcimar) with The L.A. Express: Tom Scott(woodwinds & reeds), Max Bennett(b), John Guerin(ds, perc), Robben Ford(g), Larry Nash(p)

2012年3月15日 (木)

本家より好きかもしれない:Buffy Sainte-Marieの"The Circle Game"

Circle_game "The Circle Game" Buffy Sainte-Marie

"The Circle Game"と言えば,私がこよなく愛するJoni Mitchellの名曲である。しかし,Joni Mitchellの音楽に私が出会うはるかに前から私はこの曲を知っていて,Joniを意識しなくてもいい曲だと思っていた。今にしてみれば非常に懐かしいのだが,私がこの曲を初めて聞いたのはラジオの深夜放送,おそらくは「ABC ヤング・リクエスト」だったはずである。年の頃はおそらく小学校5年生ぐらいだったのではないか。ほぼ40年前である。

私は子供の頃からかなりの宵っ張りで,小学生の頃から毎晩1時前後までは通称「ヤンリク」を聞いていた。この番組は歌謡曲とポップスが交互にかかるというのが編成の特徴で,私が小学生の頃から洋楽に目覚めてしまったのは,この番組でBeatles,Carpenters,更にはMichel Polnareffやら,果てはT-Rexまでいろいろな音楽に接していたことによるところが大きい。中学生になると,私はFMへと移行を果たし,更に洋楽の道を進むことになった。そんな私が「ヤンリク」でこの曲を聞いたとき,Buffy Sainte-Marieのビブラートは不思議だなぁなんて思いつつ,妙にメロディが心に残ってしまった。この曲が映画「いちご白書」に使われていたことを知るのはずっと後になってからだったが,爽やかなイントロやらいかにもポップス的な伴奏もあって,この曲は本当に強い印象を残したのである。

だから,後年,Joni Mitchellのオリジナル・バージョンを聞いた時にも,むしろ違和感のようなものを覚えてしまったぐらいであるが,それは私がそれほどこのBuffy Sainte-Marie版が好きだったということの裏返しに過ぎない。今回,ある方のFacebook上での投稿に影響されて久々に聞きたくなって音源をダウンロードしたのだが,やっぱりこれはよい。いっぺんに約40年前の自分に戻ったような気がしてしまった私である。今聞いてもBuffy Sainte-Marieのビブラートはきつ過ぎるようにも感じるし,ファースト・コーラスの後半にリズムが走ってしまうように感じるのもあの時のままだが,時代を越えて愛されて然るべき曲,歌唱であると思えてしまった。

とにもかくにも懐かしい。そして多くの人にこの曲を知って頂きたいという思いもあり,甚だ気まぐれでこの記事を書いたが,折角だからYou Tubeのファイルも貼り付けてしまおう。ええですわぁ。この曲が使われた「いちご白書」も劇場で再公開されているようだし,DVD化も今のところされていないので,劇場でやっているうちに休みの日にでも見に行くことにしよう。

尚,はなはだ余談であるが,「ヤンリク」のテーマを作曲したのは浪速のモーツァルト,キダタロー大先生,最初は奥村チヨが歌っていたが,私が聞いていた頃は岡本リサ版であった(はずだ)。な~んてことを言っても反応する人がどれぐらいこのブログのビジターの中にいるかなぁ,と思いつつ,人には忘れられないことって必ずあるのだ(だからどうした!?と言われても反応できないが...)。いずれにしても,こうした回顧的な記事を書くこと自体が歳を取った証拠だな(苦笑)。

2012年2月12日 (日)

今聞いても素晴らしいPhoebe Snowのデビュー・アルバム

Phoebe_snow "Phoebe Snow" Phoebe Snow(Shelter)

Phoebe Snowが一昨年亡くなって,その後,Columbiaレーベルの諸作が紙ジャケで再発になった。それらのアルバムも私は"Never Letting Go"を筆頭に結構好きだが,Phoebe Snowについて考えるならば,やはりこのデビュー・アルバムが最高であることには異論はないだろう。

シンガー・ソングライターとしての素晴らしさとブルージーな感覚,ソウルフルな歌いっぷりを聞いて,当時の彼女が23歳とか24歳だったと信じられる人がどれぐらいいるだろうか。かつ,アコースティック・ギターの弾き手としても味わい深いのだからこれは大した才能だったと言ってよいだろう。

バックにもジャズ系のミュージシャンも交えて展開される音楽は相当に渋い。Zoot Simの参加も驚くが,Teddy Wilsonまで入っているのには恐れ入ってしまうと言ってよいだろう。しかもそうしたジャズ界の大物がThe PersuasionsやDave Masonのような別のフィールドのミュージシャンと同居していても,全く違和感がないのである。これはまさに優れたプロデュースの賜物とも言えるが,それを実現してしまうPhoebe Snowは偉い。

そして,このように渋いアルバムが全米トップ5に入ったというのも今にして思えば凄いことだが,それでもこういう音楽が評価される土壌があること自体が素晴らしいとも言える。今だったらAdeleがバカ売れする感覚に近いものかもしれないが,それにしてもこのアルバムの曲のクォリティには驚いてしまう。リリースからもはや40年近くが経過しても,ちっとも古びたところがないのは私がここに収められた類の音楽が好きだという理由だけではないだろう。これはやはり立派なアルバムであったのだ。

私がこのアルバムを聞くのは久しぶりのことだったのだが,私の記憶の中にあるレベルよりもはるかに優れた演奏が聞こえてきて,正直,自分の耳の至らなさを反省してしまった。Columbiaの作品もいいが,この作品に比べると何かが足りない。あるいは,逆に何かが過剰だったのかもしれないが...。

1974年のPhoebe Snow,彼女はまさに後年のアルバム・タイトルではないが,"Something Real"であった。星★★★★★。素晴らしい。

Phoebe_snow_japanese_version_2 尚,オリジナルのカヴァー・アートは上のものであるが,ちょっと素っ気ない感じもする。当時のこの作品の邦題は「サンフランシスコ・ベイ・ブルース/ブルースの妖精フィービー・スノウ」というものだったため,日本盤には金門橋の写真を被せたジャケになっているが,どっちかというとこっちの方が雰囲気出ているように思うのは私だけではあるまい。でもPhoebeは生粋のニューヨーカーではあるが...

Personnel: Phoebe Snow(vo, g), Teddy Wilson(p), Bob James(el-p), Steve Burgh(g), Dave Mason(g), Hugh McDonald(b), Chuck Domanico(b), Chuck Israels(b), Steve Mosley(ds, perc), Margaret Ross(harp), Zoot Simes(ts), The Persuasions(vo)

2012年1月17日 (火)

完全復活はまだの私に,Rachael Yamagataから届いた素敵なプレゼント

Rachael_yamagata001 "Chesapeak" Rachael Yamagata(Frankenfish)

昨日は「ヒーリング」なんて言葉を書いたが,完全復活には程遠い私である。どうして胃の痛みが消えないのか。本当に困ったものである。こうした中,肉体的な不調にフラストレーションもたまる中,私の心を和らげてくれる郵便物が米国から届いた。それがRachael Yamagataの新譜+αである。

アルバム自体は昨年の10月にとっくにリリースされており,輸入盤ショップやネットのサイトでも購入できるようになっていたし,このアルバムにも記事をアップしている(記事はこちら)。本作はPledge Musicというサイトにおいて,資金集めを実施し,それによりようやくリリースにこぎつけるという,言わばスポンサーを募っての自主制作盤みたいなものであるが,私も微々たるものながら,そのスポンサーとして参加したものである。それに対して,先行的に音源だけはMP3でデリバリーされていたものの,現物がなかなか届かずやきもきしていたのだが,ついに到着である。また,それが嬉しくなるような手作り感があって,スポンサーになりがいがあったってものである。

CDのレビューは改めて行うとして,今回届いたのがサイン入りCD,サイン入りTシャツ,そして自筆のThank Youレターである。Tシャツのイメージはアップが難しいのだが,まずはCDを見て頂きたい。私の名前が入っているではないか。ということは彼女は一枚一枚,スポンサーの名前を確認しながらCDにサインしたってことである。このパーソナル・タッチを喜ばずにいられようか。スポンサーとなった人間の数は結構多かったはずなのに,この気づかいは素晴らしい。

Rachael_yamagata002_2 更にはThank Youレターも印刷すれば済んでしまうところを,全て自筆である。こういう手作り感をオーディエンスと共有してくれるミュージシャンは本当にありがたい。もちろん,昨今はCD不況であるから,こうしたタイプの付加価値付きの商品提供が増えているのは事実である。以前取り上げたJewelのアルバムもそうだった。だが,Rachaelの対応はJewelの比ではない。これで私はますます彼女が好きになってしまった。

しかし,こうした有能なミュージシャンにレコーディングの機会すら与えられない音楽業界は一体どうなっているのか。全く困ったもんだと言っておきたいが,今日のところはこうして現物が届いたことを素直に喜びたい。こんなことならずっと応援しちゃうよ。

ちなみにこのCDはネット・ショップで簡単に手に入る(もちろん,サインはなしだが)ので,皆さんもRachael Yamagataへの応援よろしくどうぞ。

2011年12月11日 (日)

Laura Marling: ある意味今年一番驚いたのはこれかもなぁ。

The_creature_i_dont_know "A Creature I Don't Know" Laura Marling(Ribbon Music)

このアルバムをある雑誌で見かけて,気になったのはプロデュースがEthan Johnsということと,Joni Mitchellの影響濃厚という記述であった。Ethan Johns(Glyn Johnsの息子だったのねぇ...)と言えば,Ray LaMontagneのアルバムで私を痺れさせてくれたが,そうした渋い音楽をプロデュースさせれば,Joe HenryやT-Bone Burnetteといい勝負ができるのではないかと思えてしまうほどである。

更に,それに輪を掛けて驚かせてくれたのが,このLaura Marlingという人の声と音楽である。ほんまに21歳か!と思ってしまうほどだが,たばこで声が低くなる前のJoni Mitchellの声を確かに想起させるし,このSSW的な味わいは非常に私にとってはフィット感が強い。ティーンエイジャーでデビューした当時からこうした音楽性を備えていたのだとすれば,それはそれで凄いことである。英国の音楽シーンはAdeleといい,Joss Stoneといい,ある意味「若年寄」的な音楽を聞かせる女性ミュージシャンが多いのが面白いが,それだけ伝統というものについてもしっかり身についているということだろう。

それにしても,シンプルなバックを従えて,トラッド的な要素も感じさせながらの歌唱ぶりには本当に驚かされると言わざるをえない。しかも,音楽性が多彩であり,"The Beast"等は強烈なロック・フレイバーすら感じさせるのである。こんな人を輩出してしまう英国ってのはどういう国なんだ!と思ってしまうが,それほど年齢にしては成熟感のある音楽やり過ぎである。しかも何と渋いジャケ。とにもかくにも味わい深い作品であり,今後の活動への期待も膨らむまさに驚きの21歳。星★★★★☆。

Personnel: Laura Marling, Ruth De Turberville, Pete Roe, Marcus Humblett, Matt Ingram, Graham Brown & Ethan Johns

2011年11月23日 (水)

久々にRy Cooderのアルバムを買った

Ry_cooder "Pull Up Some Dust And Sit Sown" Ry Cooder(Nonesuch)

私は昔からRy Cooderのファンだったのだが,彼の音楽を聞かなくなってしまったのはブエナビスタ・ソシアル・クラブあたりからのことである。元祖ルーツ・ミュージックと呼ぶべき音楽や,世界の音楽に対する造詣の深さを感じさせた初期のアルバム群は今でも好きなのだが,一時期映画音楽を連発したり,プロデュース業に精を出すようになってからあまり興味を持てなくなってしまったのである。

しかし,今回のアルバムは世間で,以前のRy Cooderに戻ったというようなトーンの批評が多く聞かれたため,私もRolling Stone誌の選ぶ世界100大ギタリストの第8位に位置する彼のギター・プレイが聞けるものと期待して,久しぶりに彼のアルバムを購入した。とっくに買っていたこのアルバムについての記事をなかなか書けなかったのは,単にCDの買い過ぎで追いついていないという理由によるものだが,いずれにしてもMavis Staplesの"We'll Never Turn Back"でのような演奏(記事はこちら)を求めていたことは間違いない事実である。

このアルバムを聞いていると,確かに昔のトーンに近い気もする。それはFlaco Jimenezとの共演によるところも大きいようにも感じるし,曲そのものもルーツ・ミュージック的な感覚が強いからではないかと思う。冒頭のギターのイントロも嬉しいしねぇ。今回,久しぶりにRy Cooderのアルバムを聞いて,彼の声質が歳を重ねたなぁという感覚が強かったことには驚いたが,それでもこれは多くの人がRy Cooderに求めるであろう音楽を収めていて,評価が高くなるのも当然という気がする。かく言う私もこうしたRy Cooderの取り組みを評価する一人であり,Ry Cooderかくあるべしだと感じてしまうのである。

そうは言いながら,彼が近年リリースしたアルバムを全く聞いていないのだから,彼の音楽の変遷自体を理解しているわけではないので,これが真っ当な評価かどうかと言えばかなり怪しいのだが,それでも所謂カリフォルニア3部作はコンセプト・アルバムのようでもあり,私には敷居が高いように感じられたのである。何を隠そう,私の一番お気に入りのRy Cooderのアルバムは"Show Time"なのだから,そうした感覚もご理解頂けよう。

ではなぜ記事のアップにこれほど時間が掛かってしまったのか。これはまさにCDの買い過ぎに起因していることは言うまでもないのだが,それでも「いの一番」に聞きたいと思わなかったというのが,昨今の私のRy Cooderに対する思い入れの低さを表している。だが,久しぶりに通してアルバムを聞いてみると,Ry Cooder健在を強く感じさせてくれたのが非常に嬉しかった。マリアッチ風味もあったり,いろいろな音楽を吸収していることは以前から全く変わっていない。

だが,このアルバムで最高なのは"John Lee Hooker for President"だろう。Ry Cooderのブルーズ魂が炸裂している。これはいい。ということで,久しぶりに買ってみて間違いなく正解だったと思える作品。星★★★★☆。

Personnel: Ry Cooder(vo, g, mandolin, mandola, banjo, bass, bajo sexto, marimba, key), Joachim Cooder(ds, b), Flaco Jimenez(accor), Arturo Gallardo(cl, as), Erasto Robles(tb),
Carlos Gonzales(tp), Pablo Molina(sousaphone, alto horn), Edgar Castro(perc), Terry Evans, Arnold McCuller, Willie Green, Juliette Commagere(vo), Jesus Guzman, Raul Cuellar, Jimmy Cuellar, Ismael Hernandez(vln), Robert Francis(b), Rene Camacho(b), Robert Francis(b), Jim Keltner(ds)

2011年11月21日 (月)

プロデュース作だけでなく,Joe Henry自身の作品も...。

Reverie "Reverie" Joe Henry(Anti)

先日,Joe HenryがプロデュースしたMe'Shell Ndegeocelloの新作を取り上げたばかり(記事はこちら)だが,それはややHenry色は薄いものだったとは言え,やはり優れた作品だったと思っている。だが,その前にJoe Henry自身の新譜が出ているにもかかわらず,ちっとも記事にできていなかったのはやはりまずかろうということで,ようやくのアップである。

ここのところのJoe Henryの作品はどれも素晴らしい出来で,私は毎年のように彼の作品やプロデュース作をその年のベスト作の一つに選んできたように思う。私にとっては本当に信頼できるミュージシャンなのである。今回の作品も全く期待を裏切らない出来のものであり,これまた私はしびれてしまった。

そもそも,Joe Henryの作品というのは渋いものが多いのだが,本作は輪をかけて渋いと言うべきか。しかし,静謐な中に深い情念を感じさせるHenryのヴォーカル,それに寄り添うが如き見事なRibotのギターって感じで,そもそもからして私が好きなサウンドなのだ。いつものHenry節と言えばその通りだが,やはりこれは最高である。プロデューサーとしてのHenryを評価するのはもちろんだが,この自分の作品のクォリティの高さはこの人への信頼感を更に高めると言わざるをえない。作品として,もう少し変化があってもいいようにも思えるし,私にとっては,Henryの最高傑作は"Scar"だと思っているので,星★★★★☆とするが,それでも今年屈指のアルバムの一枚と言ってもよい。この渋さ,やはり筋金入りである。

こういうアルバムを聞かされると,彼の来日時にライブに行けなかったことを痛烈に後悔してしまう私である。しかも,今年の12/2にはロンドンでBrad MehldauとJoe Henryのデュオが予定されているではないか(http://www.wigmore-hall.org.uk/whats-on/productions/joe-henry-singer)。聞きたいなぁ...。BBCが録音して,放送してくれるのを期待しよう。

Personnel: Joe Henry(vo, g), Jay Bellerose(ds), Keefus Ciancia(p), Lisa Hannigan(vo), Jean McClain(vo), David Piltch(b), Marc Ribot(g, ukulele), Patrick Warren(org, p)

2011年10月27日 (木)

Rachael Yamagataの新作が出たのだが,現物はまだだ...

Rachaelyamagatachesapeake "Chesapeake" Rachael Yamagata(Frankenfish)

私が贔屓にしているRachael Yamagataの新作が(ひっそりと)リリースされた。本作のリリースに当たっては,Pledge Musicでの資金集めを行い,それで制作するという手作り感が強いアルバム。私もそこでCDとTシャツの購入を行って資金調達に若干の貢献をしたのだが,まだ現物は届いていない。まずは先にデリバリーされたMP3での音源で聞いているのだが,前作がメジャーのワーナーからだったことを考えると,そもそも,ポジションとしての落差が大きいようにも思える。しかし,彼女のようなシンガーがどのようなかたちにしても活動を継続できることは私としては大変嬉しいことである。彼女のWebサイトを除いて,ほとんどプロモーションもしていないようだが,ちゃんとファンはついているのだ。そして,現在,彼女はライブ・ツアーを敢行中である。NYCではKnitting Factoryとかに出るんだなぁ...。見たいなぁ。12月にはCity Wineryとかいう多分新しいクラブにも出るらしいしなぁ。いいなぁ。

現物がないので,音だけでの判断になってしまうのだが,相変わらずこの人の声が素晴らしい。私の心を刺激するいい声なのだ。しかし,このアルバムの冒頭の"Even If I Don't"がこの人にしては物凄くポップなサウンドで驚いてしまう。前作の"Elephants...Teeth Sinking Into Heart"が2枚組のコンセプト・アルバムだった(記事はこちら)だけに結構こちらの落差も大きいが,2曲目以降はデビュー・アルバム"Happenstance"(記事はこちら)路線に近い感じもする。

ちゃんとしたレビューは現物が来てからにするが,これってやっぱり魅力的である。そして,プロモーションが行われないのももったいないので,私が多少は助けましょう(ほんまかっ!?)ということでのご紹介である。本当にいい歌い手なのだ。このそこはかとない暗さ,たまりません。だからこそ1曲目が浮いているのだが(笑)。

2011年9月20日 (火)

ちょっと高かったが,RhinoによるBobby Charlesの復刻盤にはびっくり。

Bobby_charles_rhino_handmade "Bobby Charles" Bobby Charles(Bearsville→Rhino Handmade)

既にこのアルバムは「SSWの鑑と呼ぶべきアルバム」としてこのブログにも取り上げたし,誰もが認めるアメリカン・ロック/SSW系の名作アルバムである。なぜ,それをまたここに取り上げるのかということだが,この度Rhino Handmadeから大量の未発表音源やインタビューも付いた3枚組としてリリースされたからである。ついでにプレオーダー先着何人かには7インチEPも付いてくるという仕様である(ちなみに私はゲットできたクチ)。

私の欧州出張中にブツは届いていたのだが,ボックスを開けてその装丁にビックリである。まるでベニヤ板仕様(その手触り感が写真では伝わらないのが残念だが...)のようなアルバム・カバーというのは初めて見たが,これでは値段が多少高くてもしょうがないかって感じである。しかし,元々の音源の素晴らしさはわかっているとしても,とにかくこれは改めて聞くのが楽しみということで,まずはご報告である。それにしてもこれはやっぱり凄いなぁ。

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