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カテゴリー「Inner Ear」の記事

2012年12月18日 (火)

これまた痺れたVigleik Storaasのトリオ作

Vigleik_storaas "Epistel #5" Vigleik Storaas (Inner Ear)

2012年の回顧シリーズをちょっとお休みして,年末に現れたナイスなアルバムを紹介したい。本作のリーダー,Vigleik StoraasについてはJohn Surmanの"Nordic Quartet"が初聞きであったが,その存在を強く意識したのはInner Earレーベルにおける"Now"だった。それは非常に美しいピアノ・トリオであり,このブログでも相応の評価をし(記事はこちら),Inner EarレーベルはECMライクな部分とも相俟って,俄然私の中では注目のレーベルとなった。その後は,リリースされても日本になかなか入ってこないことや,??なアルバムもあり,今イチ注目度が上がってこなかったのだが,久々のStoraasトリオといことで購入したものだが,これがまたこの手のピアノ好きにはたまらない出来である。

最後の1曲を除いてRainbow Studioにおける録音で,エンジニアリングもJan Erik KongshaugというところがECM的であるが,ノルウェイのピアニストなのだから,オスロで録音するのは当たり前と言えば当たり前なのだ。だが,本作から聞こえてくるサウンドはECM的だと言っても十分通じるものであるのは"Now"と同様である。メンツも"Now"と同じであるから,それもまたむべなるかなというところだ。だが,そうしたサウンドの同質性など忘れてしまうぐらい,ここには美しいピアノ・サウンドが収められていて,寒い冬も少し暖かさを取り戻すような気がしてくるのだ。

冒頭のKenny Wheeler作"Aspire"からして静謐な出だしで,まずはこれで心をつかまれ,時に美しく,時に哀愁さえ感じさせるメロディに時間の経つのも忘れると言っては大袈裟か。イントロは不思議な感じで始まる曲もあるが,途中からはメロディにやられてしまうのである。やはりこれはいいねぇ。そして8曲目にはSam Riversの"Beatrice"が控え,最後はMichel Legrandの「シェルブールの雨傘("I Will Wait for You")」で締められてはまいったというしかない。「シェルブール」はライブ音源というのも凄いねぇ。

今月になってアップする新作ピアノ・トリオ盤はこれで3枚目で,そのどれもがいい出来だが,本作も勝るとも劣らぬものとして推薦できる。今年来日も果たし,お知り合いのブロガーの皆さんも話題にされていたMats Eilertsenも素晴らしい助演ぶりである。星★★★★☆。欧州ジャズ・ファンは必聴。いやいや,これはええですわぁ。

Recorded May 31, 2011 except Track 9 Recorded Live on May 4th, 2010 at Festiviteten, Eidsvoll

Personnel: Vigleik Storaas(p), Mats Eilertsen(b), Per Oddvar Johansen(ds)

2010年8月24日 (火)

泣かせるメロディ満載:Tore Johansen+Steve Swallow

Tore001"I.S." Tore Johansen Feat. Steve Swallow(Inner Ear)

ToreとRogerのJohansen兄弟が立ち上げたノルウェーのInner Earレーベルは,レーベル・カラーや発表する音楽がECMと相通ずるところがあって,私は当初から注目してきた。しかし,このアルバムでレーベル設立から3年目か4年目でまだ7作目とリリースのペースは決して早いとは言えない上に,日本にもなかなか入って来ないという問題があるのは困ったものである。だいたい,商売っ気がないのか,Webサイトも更新がちゃんと行われていないような状態なのである。それでも,このレーベルのアルバムを全部買っている私のような物好きもいるのであるが,そうした私も,カテゴリーにInner Earなんていうのを作っておきながら,これまで取り上げたアルバムは第3作,Vigleik Storaas Trioだけといういい加減ぶりである(記事はこちら)。

そんなInner Earの中では,結構注目を集めそうなメンツのアルバムが発売された。ブログのお知り合い,すずっくさんならメンツを見ただけで,即「買い」というところだろう。何てたって,Johansenのワンホーンを支えるのがLars Jansson,Steve Swallow,Anders Kjellbergなのである。そして,このアルバムで展開されるのが哀愁メロ炸裂の演奏ときては何をか言わんやである。ただでさえトランペットのワンホーンを好む私である。ここで展開されるメロディには思わず「おぉっ!」と声を上げてしまいそうになったではないか(まじ)。Johansenは中音域オンリーのような吹きっぷりであるが,それがある意味,よりクールな印象を与えていて,この手のサウンド好きにはたまらないものとなっている。

このアルバムは北欧らしいというか,「熱」を感じさせない演奏群であるから,ジャズのエネルギッシュな部分を求めてはならないが,ECM的なクールさ,静謐さが魅力的に響く。また,Johansen,Jansson,Swallowが持ち寄ったオリジナルが,非常にこのメンツにフィットしており,まるでレギュラーでやっているようにも思えてしまうのである。もちろん,Swallowのベースに違和感を全くおぼえないわけではないのだが,それでもこの演奏のメランコリックな響きを聞けば許すと思ってしまうのである。そうは言いながら,Janssonのオリジナル"New Room"はJohansen抜きのトリオで演じられるが,これはちょっと微妙かなぁというところ。このメンバーはJohansenのラッパが入って,サウンド的に均衡するように思えるのである。そうした意味では,全編ホーン入りでやる方が正解だったとは思うが,それでもこの手のサウンド好きには楽しめるものだと言える。とにかく曲調がネクラの私にとってはよかったのであった。日本ではInner Earなんてわめいている人間は少数だろうが,もう少しこのレーベル,あるいはこのアルバムに対する注目度が上がってくれることを期待して,半星オマケで星★★★★☆。

ということで,すずっくさん,反応をお待ちしてます~(笑)。

Recorded on June 2, 2009

Personnel: Tore Johansen(tp), Lars Jansson(p), Steve Swallow(el-b), Anders Kjellberg(ds)

2008年1月21日 (月)

ECMファンも注目すべき新レーベル Inner Ear

Now "Now" Vigleik Storaas Trio(Inner Ear)

輸入盤屋をうろついていたら,大変美しいピアノ・トリオが聞こえてきた。一聴するとECMレーベルの音楽のようにも響く,明らかにヨーロッパのピアノ・トリオである。ジャケはJan Garbarekの"Dis"のようでもあり,よくよく見てみるとInner Earという聞いたこともないノルウエーの新興レーベルである。ご丁寧に「私たちは新興レーベルで,これが3枚目のリリースとなります」と書いてある。

更によくよく見てみると,何と録音はECMでもおなじみのRainbow Studioだし,エンジニアはこれまたECMでおなじみのJan Erik Kongshaugである。ECMのように響くのもむべなるかなという感じである。最近のECMも相変わらずいいのだが,New Series追加以降,昔ながらのサウンド・カラーがそれほど明確とは言えなくなってきたのではないかと思っていた私のようなリスナーが,まさに一聴して気に入ってしまったのである。とういうことで,個人的には注目すべきレーベルの登場と考えざるをえない。レーベル名称は直訳してしまえば「内耳」であるが,それでは身も蓋もないので,「内に秘めた聴覚」ぐらいに訳しておけば,ECMのかつてのレーベル・キャッチコピー"The Most Beautiful Sound Next to Silence"にも通ずるような部分があるようにも感じられるではないか(うーむ,ややこじつけか)。

このレーベル,ToreとRogerのJohansen兄弟がオーナーらしいのだが,出ているアルバムは本作を含めてまだ3枚。今からECMのコンプリートは厳しいが,この新興レーベルなら全部集めてみたくなるような演奏である(ということで,私は一気に3枚購入してしまった)。

いずれにしても,本作はとにかく美しい響き,あるいはそれらしい曲が楽しめるアルバムであり,ヨーロッパ・ピアノ・トリオ好きにはたまらないものではないかと思う。このレーベル,引き続きウォッチしていくこととしたい。まずはご祝儀的に星★★★★★。

Recorded on April 12 & 13, 2007

Personnel: Vigleik Storaas(p), Mats Eilertsen(b), Per Oddvar Johansen(ds)

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